9月の和名は「長月」。日増しに夜が長くなってくる季節という意味の「夜長月(よながづき)」が由来です。
真夏に比べると、日没時間がずいぶん早くなりました。夕方の早い時間から仄暗さを感じることもあり、夜が長くなりつつあることを実感します。
日中はまだまだ残暑厳しいものの、朝夕にはひんやりした秋の空気が漂い、どこからか虫の音も聞こえてくるようになりました。あぜ道や土手に彼岸花が咲き、金木犀の芳しい香りが満ちたら、いよいよ秋も本番。
そんな9月のくらしの歳時記を紹介します。
今月の注目イベント
目次
9月のこよみ
9月1日「二百十日」(雑節)
立春から数えて210日目。
八朔(8月27日)・二百二十日(9月11日)と並んで荒天になりやすい日として「農家の三大厄日」と呼ばれます。
強風や大雨などで収穫前の稲が倒れると減収につながるため、注意喚起をしていたというわけです。現代のように詳細な気象予測ができなかった時代の知恵ですね。
9月8日「白露」(二十四節気)
草の葉に露が結ぶことから「白露」。夜のあいだに空気が冷えて、朝露がおりるようになるころという意味です。
日中はまだまだ暑いものの、日が落ちてしまえば少し涼しさを感じる日も出てきたのではないでしょうか。
このころになると、日本の上空に大陸育ちの乾燥した高気圧が張り出してくることから、より空が高く澄んだ青色に変化してきます。
「行合の空(ゆきあいのそら)」はちょうどこの頃の空のこと。
夏の名残の雲と、秋の鱗雲や巻雲が同時に空に浮かぶ情緒ある空模様は、暑気と冷気が行き合うことから起こります。
9月9日「重陽の節句」(節句)
縁起の良い奇数(陽数)の極(一番大きな数)である9が重なることから「重陽」。菊を用いて不老長寿を願うことから「菊の節句」とも呼ばれます。
寒さや霜に強い菊は「不老草」として、延寿の効果があると考えられていました。また古来より薬草として用いられてきたこともあり、この日には菊花酒を飲む風習があります。
本来の菊花酒は花を漬け込んで作るようですが、自宅で真似をするなら花びらを浮かべるだけで十分(※エディブル・フラワー(食用の花)を使いましょう)。
9月23日「秋分」(二十四節気)
天文学上「昼と夜の長さがほぼ等しくなる」日(秋分日)。秋分の日を境に昼が短く夜が長くなって、いわゆる「秋の夜長」のシーズンに入ります。
そろそろ金木犀の香りがどこからともなく漂ってくるころでしょうか。
この日は国民の祝日である「秋分の日」でもあります。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを主旨として1948年に制定されました。
年中行事と9月のイベント
9月20日〜26日「彼岸」
秋分の前後3日を合わせた7日間が「秋彼岸」。
2023年は9月20日に彼岸入りし、26日に彼岸明けします。
仏教では、三途の川を挟んで「彼岸(三途の川のあちら側)」と「此岸(私達の住む側)」に分かれると考えられています。また極楽浄土=彼岸は西の彼方にあるとされることから、太陽が真西に沈む秋分(と春分)は、その夕日が彼岸への道しるべになるとされてきました。
お彼岸は亡き人のいる西の彼方の浄土を思い、供養をする期間なのです(お盆のように浄土から帰ってくるわけではありません)。
中日(ちゅうにち)である秋分の日には、夕日を拝むと功徳があると言われています。
9月29日「十五夜」(中秋の名月)
「中秋」とは秋の真ん中のこと。昔は7月~9月が秋でしたが、その真ん中である8月15日(旧暦)に月見をする風習です。
お月見の風習は、平安時代に唐から伝わったとされています。最初は貴族の間に、次第に庶民へと広がりました。
十五夜のお供え物
お月見のお供え物といえば、ススキと月見だんご。これは月の満ち欠けで農作業のタイミングを図っていた時代に、収穫を祝って月にお供え物をしたことに由来します。
月見だんごの他には、その時の旬のものをお供えします。十五夜の頃は、里芋の新物が出回る時期。そのため十五夜のことを「芋名月」と呼んだりもします。
ちなみにひと月後の十三夜の頃は栗の収穫時期であることから「栗名月」と呼ばれます。
旬のものは味覚で季節を感じられる上に、栄養豊富で価格も手ごろ。普段の食事に取り込まない手はありません。
芋と栗を使った「和」と「洋」のお月見レシピで、名月イベントを楽しんでみましょう。
中秋の名月は「満月」とは限らない
ところで「十五夜・中秋の名月といえば満月」というイメージはありませんか?
実は必ずしも満月というわけではなありません。というのも 旧暦の毎月1日は、朔といって新月=月齢0に当たる日。一方で新月から満月までの経過日数は13.9日~15.6日と大きく開きがあります。そのため、15日に必ず満月になるわけではない、というわけです。
しかし去年に引き続いて、今年の中秋の名月も満月!
まん丸な十五夜お月様を見ることができますよ。
月はありのままを愛でる
となると気になるのが、当日のお天気。スッキリ晴れた、綺麗な夜空に浮かぶ月を見たくなりますよね。
でも昔の人は、雲に隠れてしまえば「無月(むげつ)」、雨が降ると「雨月(うげつ)」と呼んで、たとえ月が見えなくても風情あるものとして、ありのままに受け入れてきたようです。
9月1日は「防災の日」いざという時の備えを確認しよう
防災の日は1960年に制定されました。9月1日という日付は、大正12年の関東大震災の発生日にちなんでいます。
また二百十日(例外もあるが9月1日であることが比較的多い)の台風シーズンにもあたることから「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められています。
災害は「○月○日ごろ起こる」と事前に分かるものではありません。だからこそ日々の備えが重要なのです。
備蓄は定期的な見直しを
「防災グッズは既に用意している」という人は多いでしょう。
でも定期的に点検や見直しはできているでしょうか?
持ち出し袋に入れた食品や水の賞味期限、乾電池などの使用期限のチェックはもちろんのこと、小さな子供やお年寄りのためのものや、ペット用に特化した防災・避難グッズなど、年齢・目的に合ったものが準備できているかを見直ししておきましょう。
ローリングストック法は毎日の生活の中で備蓄をするから、「見直し」と「いざというときの備え」を同時に行えます。
スーパーで買える「非常食」
災害時用の備蓄食料といえば、保存期間が長い防災専用の食品というイメージがあるかもしれません。でもローリングストック法を駆使すれば、スーパーで買える食料品がいざという時の備蓄食料になります。
普段のお買い物がそのまま防災行動に。
慣れるまでは少し難しく手間に感じるかも知れませんが、無理なく取り入れられる備蓄方法です。
いざというときにどう行動するか。事前に確認しておきましょう
物品を備蓄するだけが防災ではありません。いざというときに安全を守る行動が取れるか否か、またその準備を普段からしておくことも重要です。
防災の日を含む前後1週間(8月30日〜9月5日)は「防災週間」として、様々な啓蒙活動や防災訓練が行われます。もし普段なかなか体験できない、大がかりな訓練に参加できる機会があればぜひ参加を。
「いざというときは、自分が想像していたよりも動くことができない」「平時には想像すらしていないことが起こる」という感覚を体験しておくのは、防災パンフレットやウェブサイトの情報を読むだけでは得ることのできない実感です。
例えば地震が発生したら
マンションと戸建て住宅では、揺れがおさまったあとの対応が少し違ってきます。
マンションなら上層階からの避難方法、避難生活の過ごし方など、ご自身の住まいに応じた対処の仕方を事前に確認しておきましょう。
使い方のチェックもお忘れなく
避難に関する道具は、日常的に使わないものだけに、いざ使おうとしたときに手間取ってしまうことも考えられます。
例えばライトならスイッチの場所や実際の明るさ、ラジオなら周波数の合わせ方やボリューム調整の方法など、実際の場面を想定しながら使って見ましょう。
マンションの場合、避難はしごを使ったことがあるという人はかなりレアなのでは。
はしごの取り出し方、降り方を実演してみたので、ぜひチェックしてみてください。
台風は接近前からの対策がカギ
台風への対策は、マンションと戸建て住宅で少しやるべきことが異なります。
高さがある分風の影響を受けやすいマンションにおいて、バルコニーの片付けは、風雨が強くなる前に何をおいてもやり遂げなければならない急務。
接近前〜接近中にやっておくべきこと、通過後の片付け手順について見直してみましょう。
避難にはスマートフォンが役立つことも
お手持ちのスマートフォンに、防災アプリをインストールするのもお忘れなく。災害状況が分かるほか、避難に役立つ情報をプッシュ通知してくれるものもあります。
停電した場合に備えて、充電の手段を確保しておくことも重要です。
アルファジャーナルでは
防災に関する記事が充実しています
保険の補償内容の見直しも
災害で住まいに万一のことがあった場合に、いまの保険の補償内容でカバーできるかも見直しておくとよいかもしれません。住まいの場所を決めた時や、保険の加入時に確認したハザードマップが大幅に改定されていることもあります。
また支払われる保険金は、住まいを修繕する費用はもちろんのこと、被災した生活を立て直すための資金源にもなります。防災グッズの準備や備蓄も大切ですが、そのあとの生活にも備えておくことをおすすめいたします。
今月のアンケート
みんなの暮らし聞いてみました!
\こんなとき、どうしてる?/
わざわざ聞かない。聞けないけど、ずっと気になっている日常生活のアレコレ…「そういえば、みんなどうしてる?」をリサーチしてお届けします!
今月のお題は「お米」
新米が店頭に並ぶ季節が近付いてきました。
世間ではコメ離れが進んでいるなどと言われますが、やはり新米が並ぶとウキウキしますよね。
みなさんは日ごろどのくらいのお米を食べていますか?今回のアンケートは、お米の食べる頻度や購入場所などをお聞きします。
回答期限:2023年9月14日(木)
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先月の「ゴミ出し」の集計結果をみる
臭いや害虫対策など、ストレスが多い夏場の『ごみ出し』。
「我が家はごみ出しの回数が多い…?」「ごみを減らすためのリサイクル活動はどのくらいやってるんだろう?」など、他のご家庭のごみ事情が気になる人もいるのでは?
今回はみなさんの「ごみ出し」について、お伺いしました。
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次回の「くらしの歳時記」は10月・神無月編。お楽しみに!