マンションのバルコニーにある避難はしご。あるのは知っているけれど、使い方は知らないという方、蓋も開けたこともないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
避難はしごは、災害などの緊急時にマンションの下階に避難するためのアイテムです。緊急時の避難用なので普段使うものではありませんが、いざという時、迅速に対応するために予め避難はしごの使い方を確認しておくのはとても大事なことです。
今回は、ぜひ知っておいてほしいマンションの避難はしごの使用方法について、写真や動画を用いて詳しく紹介していきます。
自分の身を守るためにも最後までお読みいただき、いざという時に備えましょう。
※本記事では、2020年2月現在のあなぶき興産の新築分譲マンションで採用されている避難はしごを例に、使い方を紹介しています。
設置されている避難はしごのメーカーやマンションの形状等により、使い方や避難はしごで移動した後の避難経路は異なりますのでご注意ください。
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1.「避難はしご」は緊急時、下階へと避難する際に使うもの
普段マンションで生活する上で、避難はしごを使うことは滅多にありません。避難はしごは、震災時に玄関から出られなくなったときや、階段やエレベーターを使っての避難が困難になったときの避難経路確保のために設置されています。
階数が多く、建物の高さがあるマンションにおいては、バルコニーから飛び降りるのは危険です。避難はしごを使ってまずは「脱出が可能な階まで移動する」ようにしましょう。
基本的には、いったんすぐ下の階のバルコニーまで降り、そこから安全な避難経路を確保します。詳しくは後ほどご紹介しますが、下階に降りた後の行動は、以下の3パターンになります。
- すぐ下の階のバルコニーから部屋に入り、玄関から避難する
- すぐ下の階の部屋に入れなかった場合は、バルコニー間の仕切りを蹴破って隣のバルコニーに移動、避難できる住戸を探す
- すぐ下の階から避難できなかった場合は、避難はしごを使ってさらに下の階まで降り、避難できる住戸を探すまたは地上階まで降りる
※避難時の行動はマンション形状などにより異なります。お住まいのマンションでの避難行動は、マンションの防災計画をご確認ください。
避難はしごは、緊急時にのみ使用するため、実際に使ったことがあるという人はとても少ないのではないかと思います。筆者もマンションの販売に携わって8年ほど経ちますが、実際に使った経験はありません。
「使う機会がない」にこしたことはない避難はしごですが、もしもの場合に備えて使い方は把握しておきましょう。
2.「避難はしご」の種類と使い方完全マニュアル
2章では、避難はしごの使い方を写真と動画で確認していきますが、まず、マンションごとに違うであろう避難はしごの種類をおさえておきましょう。
2-1.避難はしごは大きく分けて4種類
避難はしごの種類は、使用方法により下記の4種類に分けられます。
- ハッチ用つり下げはしご
マンションの避難はしごは、大半がこの「ハッチ用つり下げはしご」です。この記事では、こちらのタイプの使い方を紹介します。
マンションにお住まいの方は想像できるかと思いますが、普段はバルコニーの床下に格納されており下階に避難する際に開くと下階に降りるためのはしごが出てくる仕組みのものです。
- 固定はしご
建物自体に固定されているはしごです。
常時使用可能な状態のものや、伸縮式で利用時にはしご形状になるものもあります。
- 立てかけはしご
建築物に立てかけて使うはしごです。
普段は収納されており、必要になったときに持ち出して上階にかけて使うものです。
- つり下げはしご
3の立てかけはしごが、下階から上階へ立てかけるものであるのに対し、つり下げはしごは上階から下へつり下げて使用するものです。
2-2.写真・動画で解説!「ハッチ用はしご」使い方完全マニュアル
それでは、避難はしごの使い方を詳しく見ていきましょう。
今回は弊社あなぶき興産のマンションにて筆者が実際に避難はしごを使用してみました! 実際の使用方法や、使ってみて初めてわかった注意点などをご紹介していきます。
※今回使用した避難はしごのメーカーは、「吉池防災サービス株式会社」さんです。
物件により避難はしごのメーカーや使用方法は異なりますので、あくまでもひとつの例としての紹介です。その点はご了承ください。
まずは、バルコニーに出てみましょう。
シルバーの蓋があるのが見えます。
この中にはしごが格納されており、普段はバルコニー使用の邪魔にならないように、また子どもなどが下階に落ちないように蓋を閉めてあります。
マンションによりますが、避難はしごはすべてのお部屋のバルコニーに設置されるとは限りません。角部屋のみに設置されているという場合が多いので、購入時のパンフレットなどで、避難時には同じ階のどの避難はしごを使うのが近いか、確認しておきましょう
真横から見ると、蓋の部分がバルコニー面よりも少し上がっているのがわかると思います。
普段から避難はしご(蓋)にはできるだけ近づかないようにしましょう。
2-2-1.【蓋を開けて下階のバルコニーに降りる編】
それでは、実際の使い方について解説していきます。
蓋を開ける~下階のバルコニーに降りるところまでを画像で確認していきましょう!
注意点や、筆者が感じたことも併せて紹介しますので、ご自身がどうやって避難するかの検討に役立ててください。
- 避難はしごの蓋(上蓋)を持ちあげる。
※事故防止のため、チャイルドロックが掛かっています。持ち上げるだけでは蓋は完全には開きません。
手前に見える黄色いチェーンがチャイルドロックです。【ここに注意!】避難時は急ぎや焦りがあるものですが、できるだけ蓋はゆっくりと開けましょう。素早く開けようとすると、チャイルドロックにより蓋が開かず、指を挟んでしまう恐れがあります。 - 蓋を持ち上げながらチャイルドロック(チェーン)を解除し、蓋を90°まで開ける。
※チェーンは手前に引くだけで簡単に解除できます。
蓋を90°まで開け切った時の写真がこちらです。【ここに注意!】上蓋の内側に、白いシールが貼ってあるのが見えるでしょうか。
これから紹介する使用方法が蓋の裏側にも記載されています。実際に使用される際には、記載された手順に沿ってはしごを降ろしましょう。
【ここまでの流れ】
- 下蓋開放レバーを横に倒し、下蓋を開放する。
※避難はしごには上蓋と下蓋があります。
上蓋:避難はしごをバルコニーから隠す。
下蓋:下階から上階を見た時に避難はしごが見えないよう隠す。
下蓋を開放しないと、はしごは下に降りません。
レバーを倒すと下蓋が開放されます。
この写真を見ると下蓋が開き、下階のバルコニーが見えているのが分かると思います。
上蓋、下蓋が開いた避難はしごを真上から撮影した写真です。
ここまでくれば、あとははしごを降ろして下階のバルコニーに降りるだけです。
- ボタンを押して、はしごを降ろす。
※ボタンを押すだけで自動的にはしごは下に伸びていきます。
ボタンを押し、はしごが下降したあとの写真がこちらです。
格納されていたはしごが、下まで伸びきっているのが見えます。【ここに注意!】はしごが降りるときには、非常に大きい音が出ます。騒音問題にならないよう、非常時に使うとき以外は使用しないようにしましょう。
また、はしごを降ろす際、下に人がいると危険です。下階の状況を確認してからはしごを降ろしましょう。
【ここまでの流れ】
- はしごをしっかり持ちながら下に降りていく。【ここに注意!】筆者も、実際にはしごを降りてみて初めて感じましたが、かなり怖いです。
マンションなので高いということに対する不安ももちろんありますが、自分が思っていたよりも「揺れ」を感じました。さらに、身体の重心の関係により、はしごが外側に傾きます。
降りること自体はさほど難しくありせんが、人によっては高さや揺れに恐怖を感じ、思っていたよりも体力を使うことがあるということを事前にわかっていたほうが良いかと思います。【ここに注意!パート2】撮影時、筆者はスリッパを履きはしごを降りてみました。
もちろん、スリッパでも降りられないことはないのですが、足元がかなり不安定に感じました。
スリッパやサンダル、履き慣れていない靴やサイズが合っていない靴を使うと、足を踏み外し落下してしまう危険性がありますので、履き慣れたスニーカーやスリッポンなどをもしもの時のために準備しておくことをおすすめします。
下階のバルコニーに到着しました。
多少の怖さはありましたが、使用方法は簡単ですので初めてでも問題なく下まで降りることができました。
【ここまでの流れ】
それでは「上蓋を開けるところから、下階のバルコニーにたどり着くまで」の一連の動作を、続けて動画で確認してみましょう!
【避難時を想定し、下階まで何秒で降りられるかをやってみました!】
2-2-2.【下階のバルコニーに降りてからの行動編】
先にご説明したように、緊急時下階のバルコニーまで降りた後の行動は、3パターンあります。
- 下階のバルコニーから部屋に入り、玄関から避難する
- 下の階のバルコニーに降り、バルコニー間の仕切りを蹴破って、さらに隣のバルコニーに避難する
- 下の階のバルコニーに設置された避難はしごを使い、さらに下の階まで降りる
下階のバルコニーまで降りたものの上記1・2の行動ができない場合で、下階のバルコニーにも避難はしごが設置されている場合は、同じようにはしごを使い、さらに下の階まで降りた後、避難経路を探しましょう。
2-2-3.【こんなときどうする!? を写真と動画で解説】
荷物を持って避難する
急な避難とはいえども、貴重品や大切な荷物は一緒に持っていきたいと思う方も多いでしょう。
その際は、多く持ちすぎないように注意しましょう。量が多く、重量が重すぎると、はしごを降りる際にバランスを崩す恐れがあります。
そして、重さだけではなく荷物の大きさにも注意しましょう。例えば、荷物(リュックサックなど)を背負ってはしごを降りる場合、荷物が引っかかって避難が遅れる可能性があるからです。
写真のように、比較的小さなリュックであれば背負ったままはしごを降りることができますが、それでもはしごの有効幅ギリギリなのが分かると思います。
もっとサイズの大きなリュック(荷物)になってしまうと…
荷物が引っかかってしまいます。
写真は体の小さな女性ですが、これが男性になると…
比較的小さな荷物でも引っかかってしまうのです。
緊急時だからといって、たくさんの荷物を持っていこうとすると、避難が遅れ災害に巻き込まれてしまう恐れもあるので、荷物の重量やサイズには注意しましょう。
上記の危険性を防ぐために筆者は、「先に荷物を下階に落とし、その後自分が下まで降りる方法」をおすすめします。
- 1人で避難する場合は、下階に人がいないかどうかを確認し、荷物だけ先に落とします。
その後、自分の体一つで下階まで降りるようにしましょう。
- 2人以上で避難する場合は、先に1人が下階まで降り、上階に残った人が荷物を落としそれを下階にいる人がキャッチする方法をとりましょう。
また、できるだけ女性や子ども、高齢者を先に避難させ、男性は後からはしごを降りるようにしましょう。
子どもと一緒に避難する
まだ歩くことのできない小さな子どもがいる場合も荷物同様、一緒にはしごを降りる必要があります。
しかし当然ながら、荷物のように下階に落とすなんてことはできませんので、この場合は子どもを背負って一緒に降りるしか方法はありません。その際は、ロープや抱っこ紐などで子どもをしっかりと固定して降りるようにしましょう。もちろん、はしごの枠に引っかからないようご注意ください。
急いでいるからといって子どもを片手で抱っこして、もう片方の手だけではしごを持ちながら降りるなんてことは絶対にしないでください。万が一子どもが暴れたり、バランスを崩してしまうとバルコニーから外に放り出されて落下するという可能性も大いにありえます。
ちなみに筆者は検証のため、片手で降りようと試みてみましたが、結果は降りることができませんでした。先にもご説明したように、降りるときは両手でしっかりとはしごを持ちながら降りるようにしましょう。
2-3.避難はしご使用上の注意点
避難はしごの正しい使い方については、ここまでの動画で十分ご理解いただけたかと思います。
ここからは、使用上の注意点について詳しく説明していきます。正しい使い方や注意点を知っておくことで、緊急時に焦ったりすることを防ぎ、素早く避難することができます。事前に確認しておきましょう!
- 避難はしごの上に重い物を置くのはNG!
普段ほとんど使わないからといって、避難はしごの蓋の上に物を置いてはいけません。
特に重いものはいざというとき移動させるのに時間がかかりますので、絶対にNGです。
あまり家の中に置いておきたくないもの、例えば車のタイヤや鉢植え、布団干し用器具 などは避難はしごの蓋から離れた位置に置きましょう。
- 人が通れる有効幅を確認しておこう!
設置されている避難はしごの種類や形状にもよりますが、開口部の有効幅は事前に把握しておきましょう。動画でも紹介しましたが、荷物を背負ったままはしごを降りたり、子どもをおんぶしたまま降りようと思っても、幅が小さくてつっかえてしまい降りられない可能性もあります。
また、重いものを背負ってのはしご使用は、バランスを崩しやすく、落下する危険もあるので、十分注意しましょう。荷物などは自分が降りるより先に下の階に落とすといった対策が有効です。
- やけど防止のため、素足・素手で触らない!
避難はしごの蓋はステンレス製のものが多いです。
日当たりの良いバルコニーに設置された避難はしごは、季節や気温によっては高温になっていることもあるため、念のため火傷にも注意しましょう。
いざというときに備え、軍手やすぐ使える履物をバルコニーのどこかに置いておくのがいいでしょう。
- 蓋の上でのジャンプなどはNG!(騒音問題)
使用上の注意とは少し意味が異なりますが、子どもがいらっしゃるご家庭などは普段の生活にも注意しておきましょう。
通常のコンクリート上とは違い、避難はしごの蓋の上でジャンプしたりすると、下の階に大きな音が響いてしまします。マンションは多くの人が住む共同住宅なので、マナーを守り、トラブル等に発展しないよう注意しておきましょう。
3.侵入などの心配は? 避難はしごの防犯性を解説
緊急時に避難するための避難はしごですが、上の階からの侵入される危険があるのでは、という声もいただきます。確かに避難はしごは初めてでも簡単に使えるよう設計されているため、バルコニーへの侵入は物理的には可能です。しかし、避難はしごを使って侵入して窃盗を行ったりすることは、下記の理由からほぼ不可能といっていいと思います。
※今回は、設置されている割合が多い「ハッチ用つり下げはしご」の場合で解説します。
- マンションの周囲から目立つ
バルコニーは当然「外」なので、外部の人から見ると目立ちます。
火災など、何もない発生していない状態のときに、一部屋だけ避難はしごが降りていたら不思議に思う人もいるでしょう。スマートフォンで写真や動画を撮られることも考えられるので、侵入する側からするとリスクが高い行為です。
- はしごを降ろす際に大きな音がでる
2章でも説明しましたが、はしご降ろす際には大きな音が出ます。隣接住戸はもちろん、周囲の通行人などにも聞こえるほどの大きさです。
大きな音が出ると、同じマンションの住民も何か事故かなと思い、外を覗くかと思います。
誰にも見られずに下階に侵入するのは難しいといえるでしょう。
4.まとめ
今回はマンションの避難はしごについてご紹介しました。
普段生活する上では、めったに使うことのない避難はしごですが、緊急時などいざという時に焦らず正しい使い方ができるのが理想です。
まずは「避難はしご」の存在や必要性を理解して、避難時の予習をしっかりとしておきましょう。
避難はしごの使い方の他に、避難するときの心配ごとといえば防災袋の準備もあるかと思います。
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