気に入ったマンションをモデルルームで見つけたとき、みなさんはまず何をしますか?インターネットで情報を集めたり、親族や知人に相談したり、疑問に感じた点は営業スタッフに質問したりするのではないでしょうか?
ひと通り話を聞いて納得の行く物件であれば、いよいよ購入を考えるタイミングですよね。そんな時、「本当に大丈夫なのかな?」「聞き忘れていることはなかったかな?」「説明してくれてないことはないのかな?」などなど漠然とした不安も出てきます。高額な商品である不動産においては当たり前の事です。
でも安心して下さい。不動産の契約においては、「そんな重要なこと説明を受けてない!」とならないように、「契約するかどうかを決めるために必要な情報が記載された書類」を前もって宅地建物取引士より必ず説明を受けることになっています。
この書類を「重要事項説明書」というのですが、説明を受ける際のポイントや注意点があります。これを知っておかないと、「聞いたけど何のことかさっぱり分からなかった…まぁ大丈夫だろう」で契約し、大きな問題が生じることもあります。
今回は、その重要事項説明書のポイントや注意点についてご紹介したいと思います。
なおこちらの記事は私が今までに、マンションの営業スタッフとして「体験したことや聞いたこと、失敗したことや成功したこと」を参考に、皆様に「ここだけは後悔しない為に、知っておいてもらいたい!」という内容をまとめたシリーズ第5弾・契約編となります。
マイホーム購入で後悔しないために知っておきたい6つのポイント
- 入居後のトラブルを回避するためには、どんな人が住むのかを理解することが大切。生活スタイルの違う人がお隣さんの場合は要注意!
- 住宅ローンの説明が分からない場合は、納得いくまで質問しよう。「ライフスタイルに合った提案をしてくれているのか?」がポイント!
- モデルルームは、ハイグレードなオプションや高級感を出す変更工事がいっぱい。間取りや広さ、窓や梁の大きさなどは確認が必要!
- 周辺環境はしっかり確認。思いもよらないことがあるので要注意!メリットがあればデメリットがある!デメリットがあればメリットもある!
- 営業スタッフの説明だけでなく、重要事項説明書もしっかり確認しよう。重要事項説明書をしっかり聞いていないと、大きなトラブルになる事も!(今回記事)
- 請求を忘れがちな「固定資産税」、手続を忘れがちな「すまい給付金・住宅ローン減税」固定資産税は手続なしで請求がくるけど、税金の還付や給付金は手続が必要!(公開予定)
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そもそも重要事項説明書ってなに?
前置きでも説明したように、重要事項説明書とは、契約するかどうかを決めるために必要な情報が記載された書類で、契約する前に必ず説明を受けることになっています。
とても大切な内容なので、宅地建物取引士という資格をもった者から説明を受けることになっています。
ということは、「何か大切なことを聞き忘れたまま、マンションを購入してしまい後悔してしまう」ということはないはずですが、実際は「そんなこと聞いてない」というトラブルが存在するのも事実です。
重要事項説明書の説明を聞くときの注意点
重要事項説明書を宅地建物取引士から必ず説明を受けてから契約するのに、なぜ購入後にトラブルが存在するのでしょうか?3つほど要因が考えられます。
重要事項説明書の説明を受ける際に潜む3つの落とし穴
- 重要事項説明書の説明は長時間となる
- 記載されている内容に専門用語が多い
- 説明する宅地建物取引士によって個人差がある
重要事項説明書の説明は記載されている内容にもよりますが、宅地建物取引士が読み上げるだけで約1時間前後かかります。さらに専門用語も多く、説明してくれる宅地建物取引士によっても、個人差があり、早口の人だったり、声が小さかったりと色々です。
重要事項説明書を宅地建物取引士から説明を受けることは、一生のうちでそう何度もありません。ほとんどの方が初めての経験で、「まぁ、こんなもんなのだろう」で終わってしまいがちです。
何も問題がなければそれでよいのですが、もしかすると重要な内容がサラッと流れてしまっている可能性もあるのです。 ここにトラブルの原因が潜んでいます。
重要事項説明書の理解度をアップさせるためにできる5つのこと
重要事項説明書とは「契約するかどうかを決めるために必要な情報が記載された書類」なので、きっちりと理解しておきたいですよね。聞く側のちょっとした対応で、理解度を大幅にアップさせることもできるので、その方法についてご紹介します。
重要事項説明書の理解度をアップさせる為に出来る5つのこと
- 重要事項説明書のコピーを予めもらって目を通す
- 説明を聞いていて分らないところがあればすぐ確認する
- 自分が特に大事だと思う箇所には付箋をつける
- 「この中で特に大切なところはどこですか?」と質問する
- 難しい内容は「簡単に言うと、どう言う事ですか?」と改めて説明してもらう
こんな宅地建物取引士には要注意
「重要事項説明書は、資格を持った人が説明をしてくれるなら大丈夫!」というわけでもありません。
非常に少ないケースですが、説明をしてくれる宅地建物取引士にも注意しておいたほうが良いことがあります。いくつかご紹介したいと思います。
- 重要事項説明書の説明を受ける前に、予め見せてもらおうとしても見せてくれない。
または、コピーをくれるように要求してもくれない。 - 重要事項説明書を読み上げるだけで説明が終わる。
- 宅地建物取引士と営業担当マンとの説明に食い違いがある。
- 説明後の質問を受けて付けてくれず、まずは重要事項説明書へのサインを求められる。
重要事項説明書に記載されている内容
そもそも重要事項説明書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?簡単に記載されている項目についてご紹介します。
対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
- 登記記録に記録された事項
- 都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要
- 私道に関する負担に関する事項
- 飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の設備状況
- 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等(未完成物件のとき)
- 当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
- 当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
- 石綿(アスベスト)使用調査の内容
- 耐震診断の内容
- 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合(住宅性能評価書の交付の有無)
取引条件に関する事項
- 代金及び交換差金以外に授受される金額
- 契約の解除に関する事項
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
- 手付金等の保全措置の概要(業者が自ら売主の場合)
- 支払金又は預り金の保全措置の概要
- 金銭の貸借のあっせん
- 瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要
- 割賦販売に関する事項
その他
- 供託所等に関する事項
- 取引の判断に重要な影響を及ぼす事項
一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理・使用に関する事項
- 敷地に関する権利の種類及び内容
- 共用部分に関する規約の定め
- 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め
- 専用使用権に関する規約等の定め
- 所有者が負担すべき費用を特定の者のみ減免する旨の規約等の定め
- 計画修繕積立金等に関する事項
- 通常の管理費用の額
- 建物の維持修繕の実施状況の記録
- その他
特によく聞いておきたい項目
どの項目も大切なのは言うまでもありませんが、前章の全ての項目を宅地建物取引士から長時間の説明を受けるとなると、やはり理解にも限界があります。
そこで私が「特によく聞いておいたほうが良い」と思う項目を3つご紹介したいと思います。
特によく聞いておきたい重要事項説明書の項目
- 契約の解除に関する項目
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
- 「その他」の項目
私が「なぜ上記の3つを特に良く聞いておいたほうが良いのか」というと、重要事項説明書では建物や土地に関係する記載は多くありますが、お客様はチラシやパンフレットを見たり、モデルルームを見学したり、営業スタッフの説明を受け、知人や親族からの意見も聞き、自身の購入のポイントとなる物件知識をある程度身に付けた上で「それじゃ、契約を考えてみようかな」となっているのが一般的で、重要事項説明書での建物や土地に関する内容は、知識を補うイメージとなるからです。
しかし、マイホームの夢が膨らみ契約を前向きに検討しているお客様が、「契約後の万が一のこと」についてはどうしても建物や土地の内容よりも意識が低くなりがちです。 そういう面で「契約の解除に関する事項」、「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」は、よく聞いておいたほうが良い項目と考えます。
「その他」については、取引の判断に重要な影響を及ぼす事項についても記載される項目ですので、それだけでよく聞いておいたほうが良いということは、ご理解いただけるのではないでしょうか?
この項目は「その他」という表現だけでなく「特約事項」などの別の表現で記載されていることもあるので注意しておきましょう。
まとめ
マンション購入で後悔する人の原因の多くは、「聞いた聞いてない」「言った言ってない」と意外とシンプルです。
そこを補っているのが、契約前に宅地建物取引士から説明を受ける重要事項説明書です。しっかりとポイントをおさえて聞いておけば大きな失敗は避けられるはずです。
今回はその重要事項説明書のポイントや注意点について、営業スタッフでもあり宅地建物取引士でもある私の経験をもとにご紹介させていただきました。皆様のこれからのマイホームご検討の参考になれば幸いです。
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