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北欧インテリア│インテリアデザイナーおすすめアイテムで作る北欧コーディネート

根強い人気の北欧インテリア。その品良く落ち着いた雰囲気は、流行に左右されることなく、幅広く人に愛されるインテリアテイストです。
オンラインストアやウェブサイトでは北欧風の家具やインテリア小物の特集ページを見ないことはないくらい、もちろん実店舗のインテリアショップや雑貨店でも北欧インテリアアイテムは大人気です。

しかし「北欧インテリアとは具体的にどんなものか」「何をどうすれば北欧インテリアになるのか」と聞かれると、上手く答えられない人が多いのではないでしょうか。そこで今回は、北欧インテリアに造詣の深いインテリアデザイナー 奈良崎 稔氏(URBAN HOUSE)にお話をうかがいました。
前半では北欧風にお部屋のインテリアをまとめるポイント、後半ではデザイナーおすすめの北欧名作家具を、コーディネート例を交えながら紹介いたします。

監修:奈良崎 稔(INTERIOR DESIGN SHOP URBAN HOUSE(アーバンハウス)代表取締役社長)
画像提供:株式会社YAMAGIWA 

インテリアの配色を決める色彩計画

北欧風インテリアを作るためのポイント

北欧のインテリアデザイン

北欧インテリアのフィロソフィーは、毎日を心地よく暮らすこと。何気なく過ごす日常の時間をより幸せなものに変えていく、そんな豊かさを宿しています。
デザインのメインテーマは

  • シンプルで機能的な形であること
  • 美しい色彩であること
  • 楽しい図案や模様であること
  • 総じて「心地よい」「くつろげる」存在であること

つまり北欧インテリアは「毎日を心地よく暮らす」ためのデザイン。それが広く愛されている所以なのです。

目指すべきは「ヒュッゲ」な空間

ヒュッゲ(hygge)とは、デンマーク語で「人と人とのふれあいからうまれる、心地よい時間や空間」を表す言葉。インテリアに限らず、北欧風を目指す際の重要なキーワードです。
物があればそれで良いという物質的な満足ではなく、家族や友人を大切にし、丁寧に毎日を過ごす精神的な充足感やくつろぎを大事にする——そんなライフスタイルを送るにふさわしい空間づくりが目標です。

ヒュッゲのイメージ

部屋に置くものはこだわり抜いて。アイテム数は少なくても大丈夫

北欧の人々は家で過ごす時間が長いことから、家の中のしつらえにはとてもこだわります。
例えば椅子ひとつを選ぶのにも、とても長い時間をかけるのです。時には座り心地を確かめるために、1時間くらい座っていることもあるそう。それくらい、ヒュッゲな空間作りのためには妥協などしないのです。そして、そこまでして選んだ椅子はとても大切に、長く使います。
さすがに1時間も座って確かめるのは難しいですが、そんな風にこだわって選んだ家具や雑貨で心地よい生活空間つくり上げましょう。

北欧インテリアイメージ

URBAN HOUSE施工例

また、北欧インテリアに限ったことではありませんが、物があふれている部屋には「心地よさ」を感じることができません。ましてや細部にまで趣向を凝らせた北欧デザインを活かすには、物が多い部屋では不向きです。デザインの美しさを最大限楽しむために、部屋の中の不要なアイテムは極力減らしましょう

ただ明るいだけではなく、陰影によるリラックス感溢れる照明使い

ヒュッゲな空間を演出するには、一室多灯という手法がおすすめです。
日本では天井のシーリングライトひとつで部屋全体を照らす方法が主流ですが、一室多灯では、主照明に補助照明を複数組み合わせて奥行きと暖かさを強調します。照明が直接照らす明るいところと影になったところで、光のムラやグラデーションが生まれ、部屋の雰囲気を一層盛り上げてくれます。

それでは明るさが足りないのでは…と心配な方は、ダイレクトレールにペンダントライトとスポットランプを併用方法がおすすめ。明るさと立体感、両方を得ることができますよ。明かりの色は、もちろん電球色を選びましょう。

ダイレクトレール施工例

URBAN HOUSE施工例

北欧デザインの照明は眩しさを感じない、柔らかな光を楽しむデザインの物が多く、この一室多灯な空間づくりに最適。造形そのものも美しいので、インテリアアイテムの一部として存在感を放ちます。

天然木を使った温かみのある素材感の家具を選ぶ

北欧インテリアのアイコンともいえる、天然木をふんだんに使った家具。洗練されたデザインと、北欧の森林をそのまま部屋に持ってきたかのような温もりと落ち着き感が魅力です。
そしてなにより忘れてはならないのが、見た目だけではない機能性です。長く使い続けられる頑健性や心地よさこそ、ヒュッゲな空間づくりの要でしょう。

北欧家具

URBAN HOUSE施工例

おすすめの素材は、オーク材・ウォールナット材

どちらも固さと粘りがあって耐久性が高く、また耐水性もあるので長く使える素材です。重厚感を感じられるハッキリとした木目、時間の経過に伴って変化する色合いも魅力です。

(左)オーク材(右)ウォールナット材

淡い自然色を基調に、ファブリックで鮮やかな色をプラスする

直線を多用したシンプルな室内に、白を基調とした淡色の壁。ミニマルなデザインの木製家具。そこに鮮やかな差し色をプラスするのが北欧スタイルです。

北欧インテリアイメージ

カラーチェアのような家具を置くのも良いですが、もっと手軽にファブリックを利用してみましょう。ファブリックとは、カーテンやベッドカバー、テーブルクロスなどインテリアに使う布製品のことです。クッションカバーやカーテン、壁に飾るファブリックパネルに、アクセントになるような大胆なデザインやカラーを選ぶと楽しいですよ。


デザイナーおすすめ!名作北欧家具と、コーディネート実例

柔らかな光りと造形美を楽しむ照明

Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)/PH 5

PH5

(左)画像提供:株式会社YAMAGIWA(右)URBAN HOUSE施工例

1958年に発表したルイス・ポールセンを代表する照明の名作。電球全体を覆い隠すグレア・フリー(眩しさの除去)デザインは、卓上をしっかりと照らしつつ、テーブルを囲む人々の顔を柔らかく美しく照らすのが特徴です。
この照明のデザインを活かすためには、卓上60cmの位置に吊り下げてください。

Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)/PH Snowball(スノーボール)

スノーボール

(左)画像提供:株式会社YAMAGIWA(右)YAMAGIWA大阪ショールーム

8枚のシェードの両面を光沢とマットに塗り分けることで、美しい光の効果を生み出す照明です。直接光源にあたることのない、グレア(眩しさ)をまったく生じさせないデザインは、工芸品と呼ぶに相応しい名品。

LE KLINT(レ・クリント)/SWIRL(スワール)

スワール

(左)画像提供:株式会社YAMAGIWA(右)YAMAGIWA大阪ショールーム

デンマーク王室御用達に選定されるレ・クリントならではの、ハンドクラフトの技によって生まれる暖かい光とやさしい影が美しい照明です。1枚のプラスチックシートをひとつひとつ手折りして作られたこの照明は、SWIRL=渦の名前の通り、螺旋を描く美しい形をしています。お部屋の中に光のオブジェをレイアウトする感覚で使えます。

JAKOBSSON LAMP/JAKOBSSON LAMP(ヤコブソン・ランプ)

ヤコブソン・ランプ

(左)画像提供:株式会社YAMAGIWA(右)YAMAGIWA大阪ショールーム

スウェーデンを代表するデザイナー、ハンス-アウネ・ヤコブセンがデザインした照明。じっくり自然乾燥させたヨーロッパ産のパイン(マツ)材を薄くスライスしたものを組み合わせたこのランプは、材料を活かしたデザインが特徴です。薄いパイン材のシェードを通したほのかな光のぬくもりと、使い込むことによって深みを増していく色を楽しんでください。

ペンダントライトは低めに吊すのがおすすめ

テーブル面から60〜89cm程度の高さが目安。
ただ明るく照らすだけでなく、照明カバーのデザインや、多灯にした明りのバランス(高低)を楽しむことができる高さです。

ペンダント照明施工例

URBAN HOUSE施工例

Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)/AJ フロア

AJフロア

(左)YAMAGIWA大阪ショールーム(右)画像提供:株式会社YAMAGIWA

アーネ・ヤコブセンが、コペンハーゲンのロイヤルホテルのためにデザインしたフロアランプです。ミニマルなデザインがいかにも北欧らしく、半世紀経った現代でも新鮮さを感じさせます。
シェードが上下に90度可動するので光を必要な場所に向けることができ、読書を楽しむのにぴったりです。

Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)/PH3/2 TABLE

PH3/2 TABLE

(左)YAMAGIWA大阪ショールーム(右)画像提供:株式会社YAMAGIWA

乳白色のガラスが印象的なテーブルランプです。このガラスはハンドメイドの吹きガラス。シェードの内部にフロスト処理を施すことで、柔らかい反射光を生むクラフトマンシップあふれるデザインです。同シリーズのフロアランプと組み合わせて配置すると、より光の奥行きが生まれ寛ぎの空間になります。

ミニマルでありながら、北欧の森林を想起させる木製家具たち

Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)/YチェアCH24

YチェアCH24

(左)URBAN HOUSE施工例(右)画像提供:株式会社YAMAGIWA

椅子の巨匠、ハンス・J・ウェグナーの代表作。ペーパーコード張りの座面は長時間座っていても疲れにくく、発売以来約70年もの間世界中で愛された北欧モダンの名作です。
柔らかな曲線は他の家具とも馴染みやすく、どんなインテリアともマッチするのでおすすめ。

Artek(アルテック)/Stool60(スツール60)

スツール60

画像提供:株式会社YAMAGIWA

機能美を追求し、極限まで要素を削ぎ落とした3本脚のスツールは、アルヴァ・アアルトによるデザイン。アアルト自身が開発した、曲げ木の手法を用いて作られたアルテックのアイコン的アイテムです。
シンプルなデザインだから、サイドテーブルやディスプレイ台として使っても素敵です。スタッキングができて、丈夫で長く使える機能面も魅力。

FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)/セブンチェア

セブンチェア

画像提供:URBAN HOUSE

アルネ・ヤコブセンによりデザインされたフリッツ・ハンセン社を代表するチェア。三次元曲面でデザインされたこのチェアは体に優しくフィットし、見た目からは想像できないほど疲れにくくなっています。
9層もの成形合板が体の重みに合わせて適度にしなるため、木製にも関わらず柔らかく、リラックスタイムにぴったりな座り心地。ミニマルでありながら完成された造形美は、どんなインテリアとも調和します。

北欧インテリアらしさの要、ファブリック

marimekko(マリメッコ)

フィンランドの老舗ブランド・マリメッコ。1951年の創立以来、大胆なプリントと色使いで人々に幸せと喜びをもたらしてきたライフスタイルブランドです。
中でもクッションやテーブルクロス、クッションカバーなどのインテリアファブリックが有名ですね。特にウニッコ=ヒナゲシ柄(画像の黒や黄色の花柄)のファブリックは、マリメッコの名前を知らない人でも見覚えがあるのではないでしょうか。

マリメッコのクッションカバー

URBAN HOUSE店内

北欧スタイルのインテリア”らしさ”の最大のポイントは、ミニマルに仕上げた部屋の中にアクセントとして置く鮮やかな色のアイテム。マリメッコはそのアクセントアイテムにピッタリです。
大胆なデザインや色使いながら、部屋のどこに置いても不思議と馴染むので、クッションやファブリックパネルだけでなく、テーブルクロスやカーテンのような面積の大きな場所に使うのもおすすめです。

マリメッコのファブリック

URBAN HOUSE店内

大胆な色・デザインのファブリックを使って
北欧風インテリアにまとめるコツ

まず、部屋をセンス良くまとめるカラーコーディネートのセオリーを覚えましょう。

  • ベースカラー(床・壁など)6割
  • アソートカラー(家具・カーテンなど)3割
  • アクセントカラー(クッション・アートなど)1割

このアクセントカラーに属するものを、ファブリックで補うと一気に北欧らしさが出てきます。思い切って大胆な色やデザインの物を選ぶと素敵ですよ。

ただし色数が増えると、北欧風インテリアの持ち味であるミニマルな感じが損なわれてしまいます。それを避けるには、アソートカラーと共通する色が含まれる柄を選ぶことです。共通する色のおかげで、北欧ならではの大胆なデザインと色使いがアクセントになりながらも、すっきり馴染んだハイセンスな空間になるのです。

インテリアの配色を決める色彩計画

まとめ

北欧のインテリアアイテムには、家具や照明からカップのような雑貨ひとつににいたるまで、製作者のヒュッゲに対する思いが感じられます。そんなアイテムをていねいに選んでつくりあげたインテリアは、毎日の暮らしをより満足できるものにしてくれるはずです。
シンプルながらも奥深い北欧インテリア、楽しんでください。

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