9月の和名は「長月」。日増しに夜が長くなってくる季節という意味の「夜長月(よながづき)」が由来です。
真夏のころに比べると、日没時間がずいぶん早くなりました。午後遅くにはすでに夕暮れの気配を感じることもあり、夜が長くなりつつあることを実感します。
日中はまだまだ残暑厳しいものの、朝夕にはひんやりした秋の空気が漂い、どこからか虫の音も聞こえてくるようになりました。あぜ道や土手に彼岸花が咲き、金木犀の芳しい香りが満ちたら、いよいよ秋も本番。
そんな9月のくらしの歳時記を紹介します。
9月のこよみ
9月7日「白露」(二十四節気)
草の葉に露が結ぶことから「白露」。夜のあいだに空気が冷えて、朝露がおりるようになるころという意味です。
日中はまだまだ暑いものの、日が落ちてしまえば秋の空気を感じる日も出てきたのではないでしょうか。
9月9日「重陽の節句」(節句)
縁起の良い奇数(陽数)の極(一番大きな数)である9が重なることから「重陽」。”陽”の気が”重”なることから、縁起の良い日とされています。
また菊を用いて不老長寿を願うことから「菊の節句」とも呼ばれます。
寒さや霜に強い菊は「不老草」として、延寿の効果があると考えられていました。また古来より薬草として用いられてきたこともあり、この日には菊花酒を飲む風習があります。
菊花酒以外では、ちょうど同じ時期に収穫時期を迎える栗のごはんもよく食べられます。
9月22日「秋分」(二十四節気)
天文学上「昼と夜の長さがほぼ等しくなる」日(秋分日)。秋分の日を境に昼が短く夜が長くなって、いわゆる「秋の夜長」のシーズンに入ります。
そろそろ金木犀の香りがどこからともなく漂ってくるころでしょうか。
またこの日は国民の祝日である「秋分の日」でもあります。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを主旨として1948年に制定されました。
9月の年中行事とイベント
9月17日「十五夜」(中秋の名月)
「中秋」とは秋の真ん中のこと。昔は7月~9月が秋でしたが、その真ん中である8月15日(旧暦)に月見をする風習です。
お月見の風習は、平安時代に唐から伝わったとされています。最初は貴族の間に、次第に庶民へと広がりました。
十五夜のお供え物
お月見のお供え物といえば、ススキと月見だんご。これは月の満ち欠けで農作業のタイミングを図っていた時代に、収穫を祝って月にお供え物をしたことに由来します。
月見だんごの他には、その時の旬のものをお供えします。
十五夜の頃は、里芋の新物が出回る時期。そのため十五夜のことを「芋名月」と呼んだりもします。
中秋の名月は「満月」とは限らない
ところで「十五夜・中秋の名月といえば満月」というイメージはありませんか?
実は必ずしも満月というわけではなありません。というのも 旧暦の毎月1日は、朔といって新月=月齢0に当たる日。一方で新月から満月までの経過日数は13.9日~15.6日と大きく開きがあります。そのため、15日に必ず満月になるわけではない、というわけです。
ちなみに、ここ数年は、中秋の名月と満月は同じ日でしたが、今年は翌日の18日が満月となっています。
月はありのままを愛でる
せっかくのお月見ですから、きれいに晴れた夜空に浮かぶ月を見たくなりますよね。
でも昔の人は、雲に隠れてしまえば「無月(むげつ)」、雨が降ると「雨月(うげつ)」と呼んで、たとえ月が見えなくても風情あるものとして、ありのままに受け入れてきたようです。
9月19日〜25日「彼岸」
秋分の前後3日を合わせた7日間が「秋彼岸」。
2024年は9月29日に彼岸入りし、25日に彼岸明けします。
仏教では、三途の川を挟んで「彼岸(三途の川のあちら側)」と「此岸(私達の住む側)」に分かれると考えられています。また極楽浄土=彼岸は西の彼方にあるとされることから、太陽が真西に沈む秋分(と春分)は、その夕日が彼岸への道しるべになるとされてきました。
お彼岸は亡き人のいる西の彼方の浄土を思い、供養をする期間なのです(お盆のように浄土から帰ってくるわけではありません)。
中日(ちゅうにち)である秋分の日には、夕日を拝むと功徳があると言われています。
9月の自然を表す「ことば」
野分
二百十日、二百二十日のころに吹く、暴風。台風またはその余波の風のことを指すこともあります。
「野分」は、野の草を強い風が吹き分ける様のことです。
古典文学にもたびたび登場しますが、特に有名なものは、清少納言が著した「枕草子」189段でしょうか。
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ
野分の翌日はしみじみとした趣があって面白い、というのです。
続けて、立蔀や透垣が暴風で倒れたり、風で吹き飛ばされた枝が、今を盛りと咲いていた萩や女郎花の上に横たわっている様子などを生き生きと書き連ねています。
現代のように天気予報が発達していなかった時代、野分はある日突然やって来て、周囲を荒らし回り、そして景色を一変させて行ってしまう、そんな存在だったのかもしれません。
行合の空
白露のころになると、日本の上空に大陸育ちの乾燥した高気圧が張り出してくることから、より空が高く澄んだ青色に変化してきます。
「行合の空(ゆきあいのそら)」はちょうどこの頃の空のこと。
夏の名残の雲と、秋の鱗雲や巻雲が同時に空に浮かぶ情緒ある空模様は、暑気と冷気が行き合うことから起こります。
色なき風
秋に吹く風のこと。
陰陽五行説において、稲などが実る成熟の季節である秋は「白」が当てられています。白色は「無色」であることから、秋に吹く風のことを「色なき風」と呼ぶわけです。
春(陰陽五行説で「青」)や夏(陰陽五行説で「朱」)のような華やかさはないものの、無色透明で爽やかな、落ち着いた秋の情景を表した言葉です。
宵闇
月の出が遅くなる、陰暦16日から20日ごろの良いの薄暗さのこと。特に、中秋の名月を過ぎたころの宵の暗さを指します。
秋になって日の入りが早くなると、宵の頃の空の暗さを実感します。
この頃から立冬にかけては「秋の夜長」の時期。どんどん宵の空は暗く感じられるようになります。
秋霖
「霖」とは3日以上降り続く長雨の意。
9月中旬ごろから10月にかけて日本に停滞する、秋雨前線によってもたらされる秋の長雨のことです。
秋雨前線は、日本の南にある暖かく湿った太平洋高気圧(夏の空気)と、北にある冷たい高気圧(秋の空気)の境目に発生します。季節が進むにつれて夏の空気が弱まると、秋の空気が張り出すことで北から前線が降りてきて、秋霖(しゅうりん)がもたらされる仕組み。
9月1日は「防災の日」いざという時の備えを確認しよう
防災の日は1960年に制定されました。
9月1日という日付は、大正12年の関東大震災の発生日にちなんでいます。
また二百十日(例外もあるが9月1日であることが比較的多い。2024年は8月31日でした)の台風シーズンにもあたることから「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められています。
災害は「○月○日ごろ起こる」と事前に分かるものではありません。だからこそ日々の備えが重要なのです。
備蓄は定期的な見直しを
「防災グッズは既に用意している」という人は多いでしょう。
でも定期的に点検や見直しはできているでしょうか?
持ち出し袋に入れた食品や水の賞味期限、乾電池などの使用期限のチェックはもちろんのこと、小さな子供やお年寄りのためのものや、ペット用に特化した防災・避難グッズなど、年齢・目的に合ったものが準備できているかを見直ししておきましょう。
ローリングストック法は毎日の生活の中で備蓄をするから、「見直し」と「いざというときの備え」を同時に行えます。
スーパーで買える「非常食」
災害時用の備蓄食料といえば、保存期間が長い防災専用の食品というイメージがあるかもしれません。でもローリングストック法を駆使すれば、スーパーで買える食料品がいざという時の備蓄食料になります。
普段のお買い物がそのまま防災行動に。
慣れるまでは少し難しく手間に感じるかも知れませんが、無理なく取り入れられる備蓄方法です。
いざというときにどう行動するか。事前に確認しておく
物品を備蓄するだけが防災ではありません。いざというときに安全を守る行動が取れるか否か、またその準備を普段からしておくことも重要です。
防災の日を含む前後1週間(8月30日〜9月5日)は「防災週間」として、様々な啓蒙活動や防災訓練が行われます。もし普段なかなか体験できない、大がかりな訓練に参加できる機会があればぜひ参加を。
「いざというときは、自分が想像していたよりも動くことができない」「平時には想像すらしていないことが起こる」という感覚を体験しておくのは、防災パンフレットやウェブサイトの情報を読むだけでは得ることのできない実感です。
マンションで地震が発生したら
マンションと戸建て住宅では、揺れがおさまったあとの対応が少し違ってきます。
マンションなら上層階からの避難方法、避難生活の過ごし方など、ご自身の住まいに応じた対処の仕方を事前に確認しておきましょう。
防災グッズは使い方のチェックをしておく
避難に関する道具は、日常的に使わないものだけに、いざ使おうとしたときに手間取ってしまうことも考えられます。
例えばライトならスイッチの場所や明るさ、ラジオなら周波数の合わせ方やボリューム調整の方法など、実際の場面を想定しながら使って見ましょう。
マンションの場合、避難はしごを使ったことがあるという人はかなりレアなのでは。
はしごの取り出し方、降り方を実演してみたので、ぜひチェックしてみてください。
台風は接近前からの対策がカギ
台風への対策は、マンションと戸建て住宅で少しやるべきことが異なります。
高さがある分風の影響を受けやすいマンションにおいて、バルコニーの片付けは、風雨が強くなる前に何をおいてもやり遂げなければならない急務。
接近前〜接近中にやっておくべきこと、通過後の片付け手順について見直してみましょう。
避難にはスマートフォンが役立つことも
お手持ちのスマートフォンに、防災アプリをインストールするのもお忘れなく。災害状況が分かるほか、避難に役立つ情報をプッシュ通知してくれるものもあります。
停電した場合に備えて、充電の手段を確保しておくことも重要です。
保険の補償内容の見直しも
災害で住まいに万一のことがあった場合に、いまの保険の補償内容でカバーできるかも見直しておくとよいかもしれません。住まいの場所を決めた時や、保険の加入時に確認したハザードマップが大幅に改定されていることもあります。
また支払われる保険金は、住まいを修繕する費用はもちろんのこと、被災した生活を立て直すための資金源にもなります。防災グッズの準備や備蓄も大切ですが、そのあとの生活にも備えておくことをおすすめいたします。
今月のアンケート
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ATMや証明書の発行など、商品販売以外のサービスも豊富なコンビニエンスストア。今や、なくてはならない存在となりましたが、みなさんはどのくらい利用していますか?
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回答期限:2024年9月19日(木)
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毎日続く、うだるような暑さ。みなさんはどのような対策をしていますか?
今回は暑さ対策についてお聞きしました。外出時に持ち歩くものや就寝時の暑さ対策、エアコンの使い方など、ぜひ参考にしてください。
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次回の「くらしの歳時記」は10月・神無月編。お楽しみに!
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