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後悔しないマンション購入のための、ハザードマップの3つの確認ポイント
マンションを買う

後悔しないマンション購入のための、ハザードマップの3つの確認ポイント

台風や豪雨などでの災害が頻発している近年、マンション購入や一戸建て建築など住宅取得を検討する上で、災害被害を気にかける方が増えています。

そのような状況を鑑み、2020年8月28日より、不動産取引(売買・貸借契約など)を行う際には、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を重要事項として説明することが義務化されました。
参考:国土交通省webサイト「宅地建物取引業法施行規則の改正について」
つまり、マンション購入などの不動産取引では物件の所在地の水害リスクの情報が契約締結の意思決定上重要で、住宅購入を考えている人の最優先で確認するべきポイントだと、法律でも規定されたということです。

とはいえ、住宅購入時に確認しておきたいのは水害のハザードマップだけではありませんし、物件の場所だけの安全を確認すればいいわけでもありません。
今回は、普段新築分譲マンション営業担当として、お客様のマンション購入のサポートを行っている筆者が、マンション購入におけるハザードマップの3つのチェックポイントを、マップの見方から解説いたします。

<マンション購入におけるハザードマップの3つのチェックポイント>

  1. 水害ハザードマップで検討物件所在地の水害リスクを確認する
  2. 土砂災害ハザードマップで警戒区域を確認する
  3. 避難経路の災害リスクを確認する

ハザードマップは、インターネットや自治体窓口にて簡単に確認することができます。マンション購入の打ち合わせ時に説明を受けるだけでなく、ぜひご自身でも検討中のマンション周辺のハザードマップを確認してみてください。
ハザードマップから、物件が建つ場所の安全性とリスクをしっかり確認して、後悔のないマンション購入を実現しましょう。


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1. マンション購入におけるハザードマップの重要性

1-1 ハザードマップは災害被害の軽減や防災対策のための地図

国土地理院の説明では、ハザードマップは以下のように定義されています。

「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。

国土地理院webサイト「ハザードマップ」の説明より

ハザードマップには「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」等の種類があります。
これらのマップは、お住まいの市区町村役場の窓口や自治体webサイトで入手するか、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で確認することができます。

ハザードマップを事前に確認しておくことで、災害発生時には迅速・的確に避難を行ったり、二次災害が発生することが予想される場所を避けたりといった、避難行動の助けとなります。

1-2 2020年8月28日に水害ハザードマップが、不動産契約時における重要事項説明の対象に

近年の大規模水災害をうけ、2020年8月28日に水害ハザードマップが不動産契約時における重要事項説明の対象に加わりました。
購入・貸借等の取引をする不動産の水害リスクを契約締結前までに説明してもらうことで、どれくらいの被害が予測できるかを理解した上で契約し、いざ災害が起こったときには大きな被害を回避できるようにしておくのが目的です。

具体的な流れで説明すると、契約前に行われる「重要事項説明」のタイミングで、ハザードマップを示しながら、取引対象となる物件の位置を説明されます。
ハザードマップはマンション建設地に印をつけた状態で、重要事項説明書の添付図面として渡されます。物件の災害リスクを契約前にしっかり確認しておきましょう。
2章でハザードマップの見方を3つのチェックポイントから解説しておりますので、参考にしてください。

1-3 ハザードマップは、マンション購入時には絶対にチェックすべき重要な検討材料

大抵の場合は、マンション購入後、長期間にわたってその地に住むことになります。
そのため、そのマンションが建っている場所で安心して暮らしていけるかどうかをマンション購入前に見極める必要があります。
「ステキなマンションなのに相場よりお得!」と即決したら、実は災害危険区域だったということもありえます。契約前に、ハザードマップを確認して災害リスクを必ず把握しておきましょう。

ただ、ハザードマップ上でリスクがあると判断できるからといって、絶対にそこに住んではいけないということではありません。災害リスクがあるエリアに建つマンションならそれに応じた災害対策を講じている場合もありますし、災害に備えて備蓄しておいたり避難行動をシミュレーションしておいたりと、個人でできる災害対策もあります。
リスクを知った上でうまく付き合っていくという視点も大切です。


2. マンション購入におけるハザードマップの3つのチェックポイント

この章では、「ハザードマップポータルサイト」での表示を例に、ハザードマップの見方とマンション購入において参考にしてほしいポイントを解説します。
マンション購入におけるハザードマップ確認で大事なチェックポイントは以下の3つです。

  1. 水害ハザードマップで検討物件所在地の水害リスクを確認する
  2. 土砂災害ハザードマップで警戒区域を確認する
  3. 避難経路の災害リスクを確認する

冒頭でも説明しているとおり、ハザードマップは誰でも簡単に確認することができる情報です。重要事項説明のタイミングでなくても、検討するマンションが決まったら、ご自身でまず確認してみましょう。

※ここでは「ハザードマップポータルサイト」のPC画面で見方を解説していますが、スマートフォンの画面でも基本的な見方は同じです。
 メニューの場所などに少し違いがありますので、詳しい使い方は「ハザードマップポータルサイト」のヘルプ画面も参考にしてください。

2-1 水害ハザードマップで「検討物件所在地の水害リスク」を確認する

水害ハザードマップには「洪水」「津波」「高潮」等の種類があります。
ここでは、多くのエリアで重要となる「浸水状況」が確認できる「洪水」のハザードマップの見方を説明します。
検討しているマンションが海に近いエリアなら、津波や高潮のハザードマップも同様の手順で確認しておきましょう。3章で津波や高潮ハザードマップのチェックポイントを紹介しておりますので、合わせて参考にしてください。

  1. 「ハザードマップポータルサイト」から【重ねるハザードマップ】を開き、検討しているマンションの所在地を表示する。
  2. 「洪水浸水想定区域(計画規模(現在の凡例))」を表示する
    洪水浸水想定区域(計画規模)
    河川から洪水が発生した場合に浸水が予想されるエリアが、浸水の深さごとに色分けされています。「凡例」をクリックすると、色分けと深さの対応が表示されるので、地図内の色と見比べてみましょう。
    同じ河川沿いでも、場所によって浸水の深さに違いがあるのがわかりますね。ここで色が付いているエリアは、「10年~100年に一度」の降雨規模(計画規模の降雨)での氾濫エリアです。
     
  3. 「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」を表示する
    洪水浸水想定区域(想定最大規模)
    この河川以外の周囲も含めて想定される最大の浸水区域を示したものが「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」です。「想定最大規模の降雨」とは1000年に一度規模の降雨を指した表現で、自治体の窓口で配布されるハザードマップは一般的にこちらの規模で作られたものです。

最大雨量時に、そのエリアがどれくらい浸水する可能性があるのかが、洪水ハザードマップを見ればひと目で分かります。
洪水ハザードマップのチェックポイントは浸水深です。色が濃くなるにつれ、浸水の可能性が高まります。検討している地域が川からどれくらいの距離にあり、浸水深がどれくらいかを確認しておきましょう。

マンション検討における洪水ハザードマップの目安は以下のとおりです。

  • 想定最大規模の浸水深がピンク色の3-5mになると、マンションであっても2階まで影響を受ける可能性がでてきます。
  • 黄色の0.5mであっても、地下に駐車場や電気設備があるマンションでは影響を受ける可能性があります。

心配な場合は、マンションの営業担当に物件での浸水対策と合わせて詳しく説明してもらいましょう。

2-2 土砂災害ハザードマップで警戒区域を確認する

水害に伴う二次災害として発生する恐れがあるのが、土石流や崖崩れ、地滑りなどの土砂災害です。
土砂災害の警戒区域も「ハザードマップポータルサイト」のハザードマップでは洪水ハザードマップと同じ画面で確認できるので、合わせて確認しておきましょう。

土砂災害ハザードマップ

急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりの危険性があるエリアが色分けされています。
特にチェックが必要なのは土石流の警戒区域です。

黄土色「土石流警戒区域」
住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域
 
赤色「土石流特別警戒区域」
建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがある区域

現在、居室を有する建築物の新築等を行う場合、建築計画の段階(建築確認申請)で、災害などで受けることが想定される衝撃等に対応した建築物の構造かどうかが審査されます。
つまり、土砂災害が予想されるエリアに新築マンションを建てようとする場合、要求される基準が高いのでそもそも災害予想エリア内で計画を立てることはほとんどなく、建築の許可が下りたのであれば、そのエリアで予想される土砂災害に耐えられる構造になっているということなので心配しすぎる必要はありません(参考:国土交通省「土砂災害防止法の概要」P7 土砂災害特別警戒区域-2.建築物の構造の規制)。
とはいえ、2-3で説明している避難経路や、周辺で日常的に使う施設で災害リスクが高くなっている可能性がありますので、周辺エリアも含めて、ハザードマップで確認しておきましょう。

中古マンションの場合は、マンション自体が土砂災害の警戒区域内に入っている可能性があるので、特に注意してハザードマップを確認しておきましょう。

2-3 避難経路の災害リスクを確認する

ハザードマップには、近隣の避難所や避難場所も記載されています。
「ハザードマップポータルサイト」の【重ねるハザードマップ】では、「洪水」「土砂災害」それぞれの画面の「指定緊急避難場所」から確認できます。災害の種類によって避難場所が違うことがありますので、それぞれの災害の場合の避難場所を確認しておきましょう

避難場所

避難所と避難場所の違いや避難行動の詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

いざという時に備えて!避難所・避難場所の違いと持っていくべきもの
『避難所』と『避難場所』は違うということ、ご存知でしたか?万が一の災害に備えて、避難所の確認や事前の準備をしておくことはとても大切です。この記事では、避難所と避難場所の違い・検索方法から避難のタイミング、事前に準備しておくべきことなどをお伝えします。

ここでは、近くの避難所までの経路の確認手順を「洪水」「土砂災害」それぞれの場合で解説します。

洪水の場合:危険箇所を避けた避難ルートを確認

まず、最寄りの指定緊急避難場所、または指定避難所、頑丈で背の高い建物を確認しておきましょう。
次に洪水ハザードマップで河川沿いや冠水の恐れがあるエリアと道路を調べます。水辺やアンダーパスはもちろん、マンホールや用水路、側溝等も危険箇所です。自宅(検討しているマンション)から避難場所やより安全な場所との間の危険箇所を把握して、これらを避けるように避難できるルートを考えておきましょう
崖崩れなどの二次災害が発生する可能性も考えて、土砂災害ハザードマップでも避難経路を確認しておいてください。

土砂災害の場合:土砂災害警戒区域の外に移動できる安全ルートを確認

まず、最寄りの土砂災害に対応している指定緊急避難場所を確認しておきましょう。
次に、土砂災害ハザードマップで「土石流警戒区域」「土石流特別警戒区域」を把握します。警戒区域等になっていなくても、沢などの水辺や崖地は土砂災害が発生する可能性がありますので、通らないよう避けておいたほうがいいでしょう。

実際の避難時には、まず土砂災害警戒区域の外に移動して命を守ることを最優先に考えましょう。警戒区域の外に安全に移動できるルートを確保し、それから、近くの避難所や、安全な場所にある親戚・知人宅などに避難するよう考えておきましょう。

また、各種のハザードマップで自分が暮らすエリアにどのような危険性があるのか確認しておけば、それに応じた対策を立てられます。
例えば「洪水のリスクがある区域なら、河川水位などの情報を素早く入手できる情報源を確認しておく」「マップで予想されている災害の種類や規模を想定した避難品を用意する」といった、より具体的な行動を考えることができるでしょう。
避難ルートの確認だけでなく、災害への具体的な備えにもハザードマップを活用しましょう。


3. その他のハザードマップの種類とマンション購入検討時のチェックポイント

「洪水」「土砂災害」以外の災害のハザードマップも一般公開されています。
マンション購入を検討する上で、それぞれのハザードマップで確認しておきたいポイントを紹介します。

3-1 地震ハザードマップ(ゆれやすさマップ)

地震ハザードマップ

地震ハザードマップの例(栃木県宇都宮市ゆれやすさマップ

地震ハザードマップ(ゆれやすさマップ)は、各市町村の地盤や断層の状態と想定しうる地震の両面から、地域の揺れやすさを震度で表して地図上に表したものです。上記の例では市役所(本庁)直下を震源とした地震(マグニチュード6.9)が発生した場合に予想される震度をゆれやすさとして表示しています。

「地震でマンションが倒壊しないか心配」と思われている方も少なくないでしょう。ですが、現在の「新耐震基準」では、「震度5強であれば建物の機能を保持できること」「それ以上の震度(6強~7)であっても、倒壊はせず人命を守ることができること」と、より厳格な基準へと変わっておりますので、地震によって新耐震基準のマンション自体が倒壊する可能性は極めて低いことがうかがえます

新耐震基準と旧耐震基準のマンションの見分け方は、こちらの記事を参照ください。

進化する耐震基準を学んで地震に強いマンションを知ろう
地震に強いマンションとは?進化する耐震基準を知ることで安心できるマンションを考えてみましょう。

ハザードマップの中の「防災マップ」を確認して、近くに避難場所はあるか、地震による大規模火災が発生した際に逃げ道はあるか等を確認しておきましょう

3-2 津波・高潮ハザードマップ

津波ハザードマップ

ハザードマップポータルサイト【重ねるハザードマップ】での確認方法

津波・高潮ハザードマップには、大規模な津波・高潮が発生したときに浸水が予測される区域や想定水深、最寄りの避難場所などが記載されています。

海の近くのマンションは「津波」による被害も考えられます。マンションは戸建て住宅と比べて高さがあるので、逃げ遅れた場合は上層階に避難することはできますが、津波被害に遭った後もマンションが住み続けられる状態である保証はできません。ハザードマップでリスクをしっかり確認した上で、購入するかどうかを判断しましょう。


4. マンションを既に購入しており、危険想定区域内だった場合の考え方

現在お住まいのマンションが災害の警戒区域などに入っていた場合は、災害情報に気を配って、日頃から災害に備えておきましょう。

4-1 避難経路の確認をする(2-3参照)

日頃から、災害に対する備えをしておくことが最も大事です。自宅から避難場所への経路はしっかり確認しておきましょう。
2-3の経路の確認方法を参考に、改めて避難経路を確認しましょう。

4-2 防災対策・防災グッズの準備を徹底する

最近のマンションには防災備蓄倉庫があることも多いです。備蓄品の内容や各世帯への振り当てを確認し、自分の家族に不足しているものは自身で用意しましょう。特に家族の人数が多いご家庭では多めに用意しておく必要があります。
具体的な備蓄品の目安については、こちらの記事も参考にしてください。

今こそ実践!防災のための備蓄法「ローリングストック」を徹底解説!
地震や台風、長雨による土砂崩れなど、年々被害が大きくなっている自然災害。今回は、防災の備蓄法のひとつである「ローリングストック(日常備蓄)」という考え方を紹介しつつ、防災用に備蓄をしておきたい食料品や水、日用品の量の目安も併せて解説します。

こういった備蓄だけでなく、日ごろから管理組合で災害への備えについて話し合って、対策しておくことも大事です。
例えば、マンション周辺の側溝を平時に清掃しておくと、水害のときの排水能力が格段に違ってきます。また、管理組合の役員で「住人の避難誘導係」「土嚢の積み上げ係」「備品の移動係」など、水害時の役割分担を明確にしていると、さらに効果的です。あらかじめ「災害マニュアル」のようなものを作成しておけば、係の人がいなくてもスムーズに行動することもできるでしょう。

マンション住民で共通認識として持っておきたい心構えや、具体的なチェックポイントは、こちらの記事も参考にしてください。

これが生死の分かれ目に!今すぐ実践したい、マンション管理者のための防災対策
一昔前よりも高まりつつある防災意識。とはいえ実際に災害時に、スムーズ対処できる備えはできているでしょうか?今回はマンション管理者が対応すべき防災対策についてご紹介します。

このような対策を徹底しているマンションは、平時でも住み心地がよいものです。
普段からもしものことを想定して、いざという時には落ち着いて行動できるようにしましょう。


5. まとめ

マンション購入におけるハザードマップの重要性について紹介しました。
まずは、この3つをチェックしましょう。

  • 水害ハザードマップ
  • 土砂災害ハザードマップ
  • 避難経路、避難場所

2020年8月28日以降、マンション購入にあたっては、宅地建物取引業者より水害ハザードマップを使用した物件のリスクの説明がされるよう法律で義務付けられていますが、人からの説明を受けるだけでなく、ご自身でも災害リスクについて調べておけば、実際に災害が起こったときの行動に不安がなくなると思います。

「契約前に自分でもしっかりと調べておけばよかった…」と後悔をしないよう、マンション購入前には検討物件周辺のハザードマップを自身の目でもしっかりと確認しておきましょう。

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