台風や大雨の時期によくニュースで耳にする『避難所』と『避難場所』の違い、ご存知ですか?
『災害によって避難する場所が変わるかどうか』、『いつ』『どのように』『何を持っていくべきなのか』、すぐに答えられるでしょうか?
いつ発生するかわからない災害に備えて、避難所の確認や事前の準備をしておくことはとても大切です。
この記事では、知っておくべき『避難所と避難場所の違い・検索方法』、『避難のタイミングと方法』『避難所に向かうときの注意点』『事前に準備しておくべきこと』などをお伝えしますので、いざという時に備えての準備に取り組んでみてください。
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1.避難所・避難場所とは
災害によって避難をする場合、避難先は主に『避難所』・『避難場所』があります。同じ場所が指定されていることもありますが、この2つには違いがあります。
1-1 避難所(指定避難所)とは
避難所とは、洪水・内水氾濫・高潮・津波・土石流・崖崩れ・地滑り・大規模な火事などの災害の危険があり、居住場所を確保できなくなってしまった住民等が一時的に滞在することを想定した場所のことです。イメージは学校・体育館・公民館等の公共施設です。
また、避難所には自治体によって『福祉避難所』・『二次避難所』などが開設されることがあります。
1-2 避難場所(緊急指定避難場所)とは
避難場所とは、災害の危険から命を守るために緊急的に避難する場所です。イメージは堅牢な建物・大きな公園・校庭・駐車場などです。
この避難場所は、災害の種別ごとに指定されています。また、自治体によっては『一時集合場所』・『広域避難場所』などが指定されています。
1-3 避難場所は災害によって変わります
災害には色々な種類があり災害の種類によっては、指定されている避難場所が違うということがあります。災害対策基本法施工令では、災害の種類を『洪水』『崖崩れ、土石流及び地滑り』『高潮』『地震』『津波』『大規模な火事』『内閣府令で定める異常な現象(火山の噴火等)』の7つに分類しています。
避難場所ごとに、どの災害に対しての避難場所なのかが下図のような形で表されています。事前に最寄りの避難場所がどの災害に対応しているのかを調べておきましょう。
1-4 避難時の持ち物
実際に避難しなければならない場合には、下記のような持ち物が必要です。
非常用持ち出しバッグの内容の例(人数分用意しましょう)
- 飲料水、食料品(カップめん、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
- 貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
- 救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
- ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手
- 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
- 衣類、下着、毛布、タオル
- 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ
※乳児のいるご家庭は、ミルク・紙おむつ・ほ乳びんなども用意しておきましょう。
出典:首相官邸ウェブサイト「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」
また、上記以外でもこんなものがあるととても助かります。
- タップや延長コード
- カセットコンロ
- ガソリンと携行缶
- ラップ
- 乾電池 など
2.避難所・避難場所の検索方法
2-1 市区町村のホームページで検索する
市町村のホームページには、避難所・避難場所の一覧が掲載されています。
市町村名 避難所、市町村名 避難場所で検索して確認してみましょう。記載方法は市町村によって異なりますが、災害種別ごとの適・不適も記載されています。
2-2 国土地理院の『指定緊急避難場所データ』で検索する
国土交通省国土地理院のホームページ上では、国土地理院が管理するウェブ地図「地理院地図」で、避難場所を検索できるようになっています。
- 国土地理院の指定緊急避難場所データページを開きます(外部サイトを開きます)。
- 【指定緊急避難場所を見る】をクリックしてください。
- 免責事項・ご利用上の注意が表示されますので、確認して、同意する場合はOKをクリックしてください。
- 閲覧したい災害種別をクリックすると、指定緊急避難場所が表示されます。
- 表示される避難場所のアイコンをクリックすると、ポップアップに施設・場所の名称、住所、対応している災害の種別が表示されます。
2-3 国土交通省の『ハザードマップポータルサイト』で検索する
国土交通省では、ハザードマップと連動して避難場所を検索できるようになっています。ハザードマップポータルサイトには、【重ねるハザードマップ】【わがまちハザードマップ】の2種類のマップが用意されています。
- ハザードマップポータルサイトを開きます(外部サイトを開きます)。
- 避難場所を検索するには【重ねるハザードマップ】を使います。
- 地図や住所から調べたい地域を指定します。
- 希望の地点の災害リスクや避難場所などが表示されます。
- 表示される避難場所のアイコンをクリックすると、ポップアップに施設・場所の名称、住所、対応している災害の種別が表示されます。
【わがまちハザードマップ】では、全国各市町村のハザードマップを検索することができます。
2-4 ポータルサイトの避難場所マップで検索する
Yahoo!JAPANを始めとするポータルサイトでも避難場所を検索することができます。
<Yahoo!JAPANの場合>
- 天気・災害のページから避難場所マップをクリックすると希望の場所の避難場所を検索することができます。
- 表示される避難場所のマークをクリックすると、ポップアップに施設・場所の名称、住所、対応している災害の種別が表示されます。
避難場所に関する情報は全国で随時更新されています。
最新の情報は、自治体の公式サイトなどでも確認しておきましょう。
2-5 スマートフォンアプリで検索する
スマートフォン用のアプリでも手軽に検索することが可能です。
App StoreやGoogle Playで防災アプリと検索してみてください。たくさんのアプリが出てきます。
アプリの中には、自治体が提供元となっているもの(和歌山県・川崎市など)や、多くの自治体と防災協定を締結している企業が提供しているもの(全国避難所ガイド)、NHKが提供しているもの(NHKニュース・防災アプリ)など様々な種類があります。
代表的なものでは下記のような特徴のアプリがあります。
- 避難情報(避難準備・避難勧告・避難指示)を表示するもの
- 避難所・避難場所情報を表示するもの
- Lアラート情報を活用したもの
- 通知される情報が、自治体からのもの、Jアラートもの、気象庁からのもの
- ライブカメラの情報・オフラインでも利用できるもの など
自分に合ったアプリを探してみてください。
2-6 市区町村発行のハザードマップで確認する
ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲および被害程度、さらには避難経路、避難場所などの情報が既存の地図上に図示されています。
各地のハザードマップは前述の国土交通省「ハザードマップポータルサイト」の【わがまちハザードマップ】で閲覧できるものもあります。
このハザードマップも災害種別によって内容が変わることがあります。
インターネットが普及した時代ですが、災害でネットワークが不通になる可能性も考慮して、一通りのハザードマップを市町村窓口などで貰っておくことをおすすめします。
3.避難のタイミングと方法
3-1 普段の準備
災害はいつ発生するのかわからないものです。1・2章でお伝えした通り、災害種別による避難所・避難場所を調べておくのは勿論ですが、いざという時に持っていくものも普段から準備しておくことが大切です。1章でお伝えした持ち物も普段から準備しておきましょう。
また、避難所・避難場所へ避難する際に通る道順を確認しておくことも大切です。
3-2 早めの行動を心掛ける
こちらの図のように警戒レベルは1~5までの5段階あります。災害の発生が差し迫り避難が必要になった場合には、各自治体より、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示(緊急)などが発令されます。
早め早めの行動が自分や家族の命を守ることにもつながります。ここでは警戒レベルに応じてどのような行動をとればよいのかをお伝えします。
3-2-1 警戒レベル3:避難準備・高齢者等避難開始
警戒レベル3の『避難準備』は、避難勧告や避難指示(緊急)を発令することが予想される場合に発令されます。今後避難をすることがあると思い、準備を開始しておく必要があります。
避難に時間を要する人(ご高齢の方、障がいのある方、乳幼児等)とその支援者は避難を開始しましょう。
3-2-2 警戒レベル4:避難勧告・避難指示(緊急)
警戒レベル4の『避難勧告』は、災害による被害が予想され、人的被害が発生する可能性が高まった場合に発令されます。速やかに避難場所へ避難をしましょう。
ただし、外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内のより安全な場所に避難をしましょう。
『避難指示(緊急)』は、災害が発生するなど状況がさらに悪化し、人的被害の危険性が非常に高まった場合に発令されます。まだ避難していない人は、緊急に避難場所へ避難をしましょう。
ただし、外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内のより安全な場所に避難をしましょう。
3-2-3 警戒レベル5:災害発生情報
警戒レベル5は、既に災害が発生している状況です。『災害発生情報』が可能な範囲で発令されます。命を守る最善の行動をとらなければいけません。
これらの情報は必ずしも、この順番で発令されるとは限りません。また、警戒レベル5は必ず発令されるものではありません。
「自分は大丈夫」と考えず、警戒レベル3・4で早め早めに行動を開始し、安全に避難をする必要があります。
3-3 いざ避難するときの注意点
3-3-1 避難するときは原則徒歩で
避難する時は原則として徒歩で避難しましょう。車を使うと渋滞を引き起こし、避難の遅れや消防・救急活動などに支障をきたす場合があります。
ただし、普段歩いている道も混乱して、歩きにくくなっている恐れがあります。携帯品は歩きやすいよう背負える範囲のものにとどめ、服装は活動しやすいものにしましょう。また、頭を守るためにヘルメットや頭巾などを使用しましょう。
3-3-2 自動車で避難をせざるを得ない場合は特に注意
自動車で避難をするのは、避難場所までの距離や災害時要援護者の存在など地域の実情に応じ、やむを得ない場合のみです。前項でお伝えした通り、避難は徒歩が原則です。自動車で移動する場合は、緊急車両や徒歩で避難中の方の妨げにならないように特に注意する必要があります。
また、自動車で移動中に道路の状態や浸水により走行困難に陥ることも想定されます。やむを得ず自動車を利用する場合でもこれらのことにも注意することが必要です。
浸水深と自動車走行について
浸水深 自動車走行 0~10cm 走行に関し、問題はない。 10~30cm ブレーキ性能が低下し、安全な場所へ車を移動させる必要がある。 30~50cm エンジンが停止し、車から退出を図らなければならない。 50cm~ 車が浮き、また、パワーウィンドウ付きの車では車の中に閉じ込められてしまい、車とともに流され非常に危険な状態となる。 出典:国土交通省ウェブサイト「川の防災情報>浸水深と避難行動について」
3-4 こんな場合はどうする
3-4-1 高齢者がいる場合
前述の通り「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されたら、避難に時間を必要な高齢者は直ちに避難行動を開始しましょう。
高齢者は、持病があり薬を服用している方も多くいらっしゃいます。避難の際は、薬やお薬手帳を忘れないようにしましょう。
近年はご高齢者の一人暮らしやご夫婦のみの世帯が増え続けており、地域とのつながりはますます重要になります。特に災害のときは、ご近所同士の助け合いが欠かせません。
さらに高齢者は、災害時に意思を思うように伝えられないことがあります。日頃からご近所の方と交流を図り、災害のときに対処してほしいことを事前に伝えておくことも重要です。いざというときに備えて、できるだけ地域の防災訓練に参加しておきましょう。
また、市町村の『避難行動要支援者名簿』に予め登録しておくことをおすすめします。
全国の各市町村では『避難行動要支援者名簿』を整備することが義務付けられており、このような方が登録の対象となります。
- 介護保険で要介護認定を受けている方
- 障がいのある方
- 高齢者のみの世帯の方
- その他支援を希望する方 など
この名簿に登録しておくと、支援者(民生委員・消防機関・自主防災組織等)が災害時には避難連絡や避難誘導などの支援を行います。(※災害発生時に、職員や避難支援者が必ず避難支援に駆けつけることを約束するものではありません。職員や避難支援者も被災者です。)
詳しくは、お住まいの市町村に問い合わせてみてください。
3-4-2 乳幼児がいる場合
乳幼児がいる家庭も、「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されたら、直ちに避難行動を開始することが重要です。
乳幼児を連れて避難する際、ベビーカーでは瓦礫の段差や階段などで通行が難しいので避け、『抱っこ紐』を利用しましょう。また、抱っこの場合でも、何があるか分からないため「靴」は履かせておきましょう。
乳幼児がいる場合、お薬手帳・母子手帳を持ち出すのは必須です。
4.まとめ
発生する災害の種別や状況によって、どの避難所・避難場所に避難するべきなのかが変わってきます。
災害時の避難は一刻を争います。身の危険が迫っているなどの緊迫した状況で、正しい行動をするためには、普段からの準備と心構えが必要です。避難時の持ち物は勿論のこと、どのような状況になれば避難が必要なのか、避難時の行動経路なども考えておくといざという時にも役立つと思います。
また、実際に避難をした際には誰もが不安な気持ちを持っています。小さな音など、普段なら気にならないことでもイライラしてしまうこともあるかもしれません。お互いに助け合うという気持ち、雰囲気を作り上げることが大切になってきます。いざという時に少しでも心のゆとりがもてるよう、今から準備を始めておきましょう。
家庭内で避難するときの備蓄品や避難所で役立つ物など、備えておきたい防災用品はこちらの記事で詳しく解説しています。今一度、家内の備えを見直してみてください。
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