現在、日本では高齢化社会が進んでいます。
今後、年金がどうなるのか?社会保障がどうなるのか? 将来の不安も尽きない今、高齢者のための資金調達の方法として「リバースモーゲージ」が注目されています。
リバースモーゲージは、条件が合えば利用しやすい金融商品ではありますが、しっかりとした返済計画を作らなければ大変なトラブルになるリスクもあります。
今回は、リバースモーゲージの仕組みと注意する項目を、20年の不動産業界経験を持つ筆者が、分かりやすく解説いたします。
リバースモーゲージは利用しても大丈夫なのか? とお悩みの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
↓記事の内容を動画で分かりやすく解説しています↓
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リバースモーゲージとは、所有する不動産を担保に融資を受けること
リバースモーゲージとはお持ちの不動産を担保に金融機関より融資を受けることです。
不動産に抵当権を付けて融資を受けるという仕組みは住宅ローンやリフォームローンと同じですが、大きく異なる5つの特徴があります。
リバースモーゲージの特徴
- 毎月返済は原則利息のみ
- 「リコース型」と「ノンリコース型」がある
- 契約者死亡後は担保の不動産を売却し、その売却金にて返済
(相続人の方が一括返済し、担保不動産を手放さない方法もあります) - ご契約者は50歳以上の高齢者
(金融機関によって異なります) - 所有している不動産を担保に借り入れする
リバースモーゲージとは不動産担保融資の一つではありますが、大きく異なる点は上記リストの(1)(2)です。住宅ローンやリフォームローンは元金と利息を合わせて返済しますが、リバースモーゲージは(1)利息のみの返済となります。
また、住宅ローンにはない、(2)「リコース型」「ノンリコース型」の返済方法を選べるようになります。
売却金が借入金より上回っている場合には、差額分が相続人に相続されます。しかし売却金が借入金より低かった場合には、残った債務は通常、相続人に引き継がれます。
「ノンリコース型」は「リコース型」に比べて金利が高く設定されている場合があります。
借入金の資金使途(使いみち)に制限がある場合も
金融機関によっては、資金使途が決められています。
自由に使える金融機関が多いのですが、住宅関連(リフォームや住み替え等)あるいはサービス付き高齢者住宅の入居資金のみと限定している金融機関もあります。
リバースモーゲージのメリット
- 高齢者が利用できる
- 自宅を売ることなく、そのままの生活を送りながら資金を調達できる
- 返済は利息のみ
リバースモーゲージのメリットはご自宅に住んだまま資金を調達できることです。転居する必要がないので、引越し費用や仮住まいの費用がいりません。
リバースモーゲージのデメリット
死亡時に、残された配偶者の住居をどうするかの問題が発生する
契約者が亡くなると担保不動産を売却し、借金の返済に充てますが、例えば、ご主人(契約者)と奥様の二人暮らしで自宅を担保にした場合、契約者であるご主人が亡くなると自宅は売却されてしまうため、残された奥様は自宅で生活ができなくなります。
残された配偶者が返済を引継ぎ、継続して自宅に住めるようにしている金融機関もありますが、配偶者が引継ぎ可能かどうかは金融機関の審査により決定されます。引継ぎできなかった場合、配偶者は自宅で生活できなくなるというリスクがあります。
金利動向の影響が大きい
毎月、利息分を返済しますが、一般的に「変動金利」を採用している金融機関が多いため、金利が上昇した場合には返済額がUPするリスクがあります。このため、常に金利動向に注意する必要があります。
不動産価格の下落により、不足分の返済が発生する可能性がある
お持ちの不動産を担保に借入れをするのですが、将来、不動産価格が下落した場合、今の担保不動産では担保価値が不足してしまう可能性があります。
担保不足の補填のため、不足分を一括で返済しないといけないリスクがあります。
長寿化により、利息支払い期間が延びるリスクがある
超高齢化社会となっている現在、さらに平均寿命は上昇しています。
リバースモーゲージの毎月の返済は、利息のみとなっているため、長生きすればするほど支払う利息は増えます。
不動産の所在地や不動産の種類によっては利用できないことがある
担保不動産の所在地によっては対象とならないことがあります。さらに、対象不動産の種類(戸建てorマンション)が限定されている場合が多いです。
マンションは利用できる金融機関が現在のところ少なく、戸建てのみが対象となっているケースが多いです。
借入金額の上限設定がある
金融機関は担保となる不動産の査定をおこない、担保評価額という金額を設定します。
リバースモーゲージの場合、担保評価額の70%~50%の金額が借入金額の上限となります。
ご希望の借入金額まで達しないリスクがあります。
残された家族にその住まいを残せない
所有者が亡くなるとその住まいを原則売却されるため、残された家族にその住宅を資産として相続させることができません。
リバースモーゲージが利用できない場合の対策「リースバック」について
上記5番目のデメリットの通り、担保不動産の所在地や種類によっては、リバースモーゲージが利用できない場合があります。その場合に検討したいのが「リースバック」という資金調達方法です。
リースバックの内容について、より詳細な解説はこちら(外部サイトに移動します)
あなぶきのリースバック│【2024年版】リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく徹底解説
リースバックとは、売却した不動産に住み続けて資金を作ること
リースバックとは、民間企業(不動産会社が多い)に対象不動産を売却し、その不動産に賃貸として住む仕組みです。このような流れで、まとまった資金を作ります。
- 対象不動産を売却し、同時に賃貸借契約を締結
↓ - 売却資金が入ってくる
↓ - 毎月の賃料を支払う
リバースモーゲージと同じように、利用した場合のメリットとデメリットを見てみましょう。
リースバックのメリット
自由な使途の資金を手元に残せる
リバースモーゲージとは違い、自宅を売却した資金なので、当然ながら資金使途の制限はありません。
そのまま生活できる
対象不動産を売却した後、そのまま賃貸として住むことができますので、引っ越しをする必要がありません。
住宅を修繕する必要がなくなる
住宅を所有しているのはその不動産を購入した企業(不動産会社)になります。
住宅の修繕は所有者がおこなう必要があります。居住者が故意や不注意によって損傷を与えた場合は居住者が修繕しないといけませんが、経年劣化などそれ以外の原因の傷みは通常、所有者が修繕します。
固定資産税等の支払いが不要
住宅を所有していると毎年固定資産税と都市計画税がかかってきます。
売却して賃貸として居住しているため、毎年の固定資産税、都市計画税はかかってきません。
リースバックのデメリット
利用できない場合がある
住宅ローンが残っている場合、売却価格が残債より低く、抵当権の解除ができないケースや、また、新しく所有者となる民間企業(不動産会社)と賃貸借契約を締結する必要がありますが、民間企業ではその方の賃料の支払能力などの理由から締結を拒否される場合があります。
また売買価格や毎月の賃料がご希望金額と合わないケースなどもあります。
賃料の支払い及び賃料上昇リスクがある
通常の賃貸借と同様に、毎月の賃料払いが必要となります。またその賃料額は経済状況によっては将来上昇するリスクがあります。
また、リバースモーゲージと比較した場合、利息のみの支払いではないので、毎月の支払額が大きくなるのが一般的です。
死亡時に、残された家族に住まいを残すことができない
賃借本人が亡くなった場合、通常は賃貸借契約が終了となり、残された家族がその住まいに住むことができなくなります。またリバースモーゲージのデメリット(7)同様に、資産としてその住まいを残すことができません
ここで気をつけておいていただきたいのは、リースバックの場合は持ち家を売却してしまうので、住宅の管理が不要になる代わりに自分で工事をすることができないという点です。将来的に介護用のリフォームして持ち家に住み続けたいという方は、リースバックを使うのは避けておきましょう。
将来的に持ち家には住まずに、介護施設などを利用しようと考えている方であれば、リースバックを検討することをおすすめします。
リースバックについては、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、合わせてぜひご覧ください。
まとめ
リバースモーゲージとはお持ちの不動産を担保にお借入れをすることです。
必要な場合には利用しやすい金融商品ではありますが、高齢になっていけばなるほど、医療費が想定以上に必要となったり、病院等への移動交通費が増加したりと、毎月の生活費が大きく変わる可能性があります。そのため、しっかりとした、また安心できる返済計画を作らなければ大変なトラブルになるリスクがあります。
さらに、住宅という資産を家族に残せないことから、家族、親族に対する十分な説明も必要です。
トラブルになってしまってからでは取り返しがつきません。他の手段も含め、十分に考慮されてからのご利用をおすすめします。
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