新しい不動産の売買スタイルとして注目を集める「リースバック」。
リースバックは、売却した自宅を借りて、賃料を支払いながら住むという不動産取引で、筆者が勤めるあなぶき興産では大幅に利用が増加しています。
リースバックはどのような仕組みなのか?その特徴と利用するにあたっての注意点を、中古再生事業の中で実際にリースバック取引も担当している筆者が、主にマンションの場合の取引についてわかりやすく解説いたします。
これからお手持ちの不動産を使った資金調達を検討する方の参考となれば幸いです。
住まい購入に関わる税制・ローンの知識を深めたい方へ
税制や住宅ローンについて調べ始めると、聞きなれない用語にたくさん出会います。
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リースバックとは、売却した自宅に賃料を支払いながら住み続けること
リースバックとは、所有者が自宅を売却しますが、その売却した自宅を賃貸して家賃を支払いながらそのまま住み続けることです。
賃料は発生しますが、手元に売買代金が入るようになります。
このとき、自宅を購入する相手は、私たちあなぶき興産のような不動産業者となることが一般的です。
リースバックの内容について、より詳細な解説はこちら(外部サイトに移動します)
あなぶきのリースバック│【2024年版】リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく徹底解説
家の管理費が不要に。リースバックのメリット
管理費、修繕積立金が不要
マンションには管理費や修繕積立金が毎月必要ですが、リースバックの場合、所有者ではなくなるため、かかってきません。管理費・修繕積立金は支払う賃料の中から、所有者が管理組合に支払うようになります。
修繕積立金は一般的に5年毎の見直しをおこない、金額が上昇しますが、そのような心配がなくなりますので、安心した生活設計を立てることができます。
固定資産税・都市計画税が不要
不動産を所有している場合、固定資産税・都市計画税が毎年課税されますが、前記の管理費、修繕積立金同様に固定資産税・都市計画税は課税されず、支払不要となります。
室内の修繕費は所有者負担
通常の賃貸住宅同様に、居住者の故意や過失による室内修繕は自費となりますが、経年劣化や原因不明の不具合などは所有者負担となります。そのため、急な出費がなくなります。
引越し費用不要
売却後もそのまま住み続けるので、引越し不要となります。
面倒な荷造り作業も必要ありませんし、引越し費用も不要です。
住所変更手続き不要
引越しした場合に発生する、煩わしい住所変更手続きが不要です。
家を売却しても、住民票移転手続きやそれに伴う運転免許証、銀行などの届出変更などなど、手間のかかる作業が不要なのはありがたいですね。
物件を自由に取扱えなくなる点に注意。リースバックのデメリット
売買代金が通常相場より安くなる
リースバックでは一般的に不動産業者に売却することになるため、物件次第にはなりますが、一般的には通常相場より売買代金は安くなります。
ただし、引越し費用等が不要になりますので、一度退去し売却するか、リースバックにするのか十分に検討する必要があります。
所有者でなくなる
分譲マンションの場合、所有者全員で管理組合を組成し、マンション全体の運営をしていきます。売却した場合、売却時点で所有者ではなくなりますので、管理組合の運営に参加できなくなります。つまりマンション全体の運営に対し、自分の意見が言えなくなってしまいます。
また、所有者ではないので、物件に対して自分でリフォームなどを行いたい場合は所有者の承諾及び管理組合の許可が必要となります。
毎月の賃料が必要
毎月の賃料が必要になります。
賃料設定は不動産会社によって異なりますので、いくつかの見積もりを比較検討して無理のない賃料になる会社を選びましょう。
リースバックの注意点
リースバック取引をするにあたっては、契約時にいくつか注意しておきたい点があります。
見落としていると、リースバック後の人生設計に影響がでてくる注意点もありますので、必ず確認しておいてください。
賃貸借契約の内容:住み続けられる期間に特に注意
所有している不動産を売却し、新たに賃貸借契約を締結しますが、その賃貸借契約の内容を十分に確認する必要があります。不動産業者によって異なりますが、賃貸借契約に期限の定めがある「定期借家契約」になることもあります。定期借家契約の場合、賃貸借期間が定められており、その契約を更新することはできません。つまり、期間が満了すると出ていかないといけなくなります。
次の住まいが決定していれば良いのですが、決定していない場合には非常に困った事態になります。どのような条件で賃貸借契約を締結するのか、十分確認しましょう。
賃貸借契約を断られることがある
不動産業者によりますが、特に高齢者の場合、賃貸借契約の締結を断られることがあります。
賃貸借契約が締結できないということはリースバック自体ができないことになります。
駐車場を借りている場合に、継続ができないことがある
マンションの駐車場は多くが管理組合との使用契約を締結しています。所有者と管理組合との契約になりますので、所有者ではなくなった場合、駐車場を管理組合に返却する必要があります。
再度契約を希望される場合には、所有者が新たに管理組合と契約を締結することになります。そのときの状況によって、駐車場が利用できない場合がありますので、注意が必要です。
あなぶき興産では、期限を設けず安心して契約できる普通賃貸借契約にてリースバックをご利用いただけます。詳しくは「あなぶきのリースバック」webサイトをご覧ください。
自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」との違い
自宅を利用した資金調達の方法として、リースバックの他にもリバースモーゲージという取引があります。
リバースモーゲージとはどういうものか
リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けることで、「自宅を所有したままの状態」で資金を調達することです。
そのため、リースバックと違って以下のような費用負担が発生します。
- 固定資産税、都市計画税が必要
- 管理費、修繕積立金が必要
- 室内修繕費が必要
リバースモーゲージの注意点
リバースモーゲージの注意点として知っておいていただきたいのが、商品によって調達した資金の使途が「介護費用や老人ホームへの入居一時金」「住宅リフォーム」などに限定されたり、事業・投資に使うことを禁じていたりと、制限をかけられていることが多いことです。
つまり、調達した資金を自由に使うことができないことがあるのです。
さらに、金融機関によりますが、マンションはリバースモーゲージの対象外となっていることが多いです。
どちらがを利用するべきか
リバースモーゲージでは上記のような制約があるので、物件の条件や資金の使いみちが合わない方はリースバックを使うことをおすすめします。
ただしリースバックには、家を売却してしまうことから生じるデメリットや注意点もありますので、どちらがご自身のケースに適しているか、また利用できるかどうかを、しっかり検討して判断してください。
なお、リバースモーゲージでは融資を組むので金融機関に、リースバックは住宅の売却と賃貸契約を結ぶことになります。
[事例]リースバックを利用して住替えを成功させた例
ここで、筆者が実際に取り扱いした、リースバックの上手な使い方をご紹介します。
今のマンションの広さに不満を感じており、住替えを検討されているお客様がいらっしゃいました。ようやく希望に合う物件が見つかりましたが、お持ちのマンションの住宅ローンが残っていたため、住替え物件の住宅ローン手続きが進まずに、どうすれば良いかお悩みの様子でした。
その時考えていた方法は「今お住まいのマンションを売却し、一時的に賃貸住宅に引越し、住替え先の物件が完成後、再度引越し」という内容でした。
しかし、この方法には懸念点やデメリットがいくつもあります。
- タイミングよく売却できるかどうか?
- 引越し作業と費用が2回分かかる
- 仮住まい用の賃貸契約費用がかかる
- 住所変更手続きが2回必要になる
家族内で何度も検討しましたが、結論は出ませんでした。
そんな相談をいただいて、筆者はリースバック取引をご提案しました。
「今お住まいのマンションをリースバックで売却し、引越さずにそのまま賃借して暮らした後、住み替え先の物件が完成したタイミングで引越し」という提案内容です。
売却費用は若干安くなってしまうものの、引越しの手間とストレスを減らすことができるメリットは大きなものです。
メリット | デメリット |
---|---|
引越し作業・費用が1回で済む | 売却費用は流通価格よりは安くなってしまう |
仮住まいの契約費用を抑えられる | |
住所変更手続きが1回で済む |
この提案にご納得いただき、お客様はリースバックを利用して、無事お住替えをされました。
住替えは実際のお取引の場合、成立しにくいものです。というのも、希望に合う住替え先が見つかるかどうかもありますし、仮に見つかったとしても、現在の住まいがタイミングよく売却できるかどうか、仮住まいが見つかるかどうか、などの問題点があるからです。
リースバックをうまく活用することで、その問題点を解決することができます。
まとめ
リースバックはご自宅という不動産を利用した新しい方式ですが、内容自体はそれほど難しいものではありません。ただし、ご自宅を売却した相手が大家になることから、どのような相手に売却するのかは十分に確認しておきましょう。
あなぶき興産のリースバック商品については、ウェブサイトにて解説しております。ご検討の方は、お気軽にご相談ください。
リースバックを含め、中古マンション売却にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
リースバックは活用の幅が広い取引方法なので、今後もさらに利用者が増えていくと筆者は考えています。ただし、注意しておきたい点もありますので、十分に内容を理解したうえで取引に臨んでください。
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