介護のためのリフォーム。病気ごとの対応ポイントから介護保険まで

介護用リフォーム

ご親族の中で誰かが介護が必要な状況となった場合、

  • サービス付高齢者向住宅などの介護用施設に入所する
  • 自宅をリフォームし、ご家族内で介護する

といった対応方法が考えられます。

ご家族内で話し合い、いざ自宅をリフォームしようとなった場合でも、いったい何をどうすれば良いのか?と分からないことが多いのではないでしょうか。

介護のためのリフォームは、今の症状だけでなく将来を見据えた対策を考え、介護を受ける側だけでなく介護する側の状況も考慮に入れた幅広い対応が必要です。また、認定を受ければ介護保険で住宅改修費の給付を受けることができるので、その手続も必要になってきます。
自分ですべて対応するのは難しいので、まずは専門家に相談することをおすすめします。

今回は、日常業務でリフォームをおこなっている筆者が、高齢者、特に介護が必要となった場合のリフォームについて分かりやすく説明いたします。
これから介護用リフォームが必要だとお考えの方、代表的な病気に分けて解説いたしますので、ぜひともご参考にお読みくださいませ。

1.介護用リフォームを実施する前に

QOL向上のために

1-1.介護用リフォームをおこなう時に重要なことは4つ

リフォームをおこなうにあたり、私が考える大切なポイントはこの4つです。

  1. どこをどのようにすればQOL(生活の質)を向上できるか問題箇所を把握する
    どの箇所?をどのように改善するのか?優先順位をつけましょう。
     
  2. ADL(日常生活動作)がどこまで可能なのかを把握する
    できる限り介護の必要な方が一人で行動できるよう対策を考えることが重要だと思います。
     
  3. 今後ADL(日常生活動作)の低下があるかどうか、またある場合はどれくらいの期間でどのような低下をするのか把握する
    将来ADLが低下する可能性が高いのであれば、追加リフォームがしやすいリフォームを考える必要があります。
    担当医師と相談し、将来像を把握しておきましょう。
     
  4. 介護する側の体力やどれくらいの介護動作ができるかを把握する
    家族はどこまでの介護を対応するか、外部のサービスをどこまでお願いするかの介護プランを考える必要があります。
    介護疲れが起こりにくいよう、無理のない計画を立てましょう。

例えば、下肢に障害がある方の場合、QOLを向上させるためには、「一人で室内移動ができる」「トイレ、お風呂が介助無く使用できる」が日常生活の中で優先順位の高い項目になります。

QOL向上のため、まずはADL(日常生活動作)を理解、把握します。そして手すりを設置するだけで室内移動やトイレ、お風呂使用が可能かどうか?といった具体的な対策を検証し、その後、リフォームプランを作成します。この時に、近い将来ADLの低下が考えられる場合は、手すり設置工事に合わせて車椅子利用に配慮した廊下幅の拡張、滑りにくい床材に変更、電気スイッチの高さ変更などの追加工事を行うことで、無駄のないリフォーム工事が可能になります。

併せて、車椅子利用となった場合には介助が必要となることが多いです。ご家族が介助することができるかどうか?できない場合には外部ヘルパーに依頼するのかなどの介護プランも事前に検討する必要があります。

1-2.まずは専門家とチームを組もう!

上記のような専門的な知見を踏まえた介護用リフォームプランを、自分たちだけで考えるのは難しいものです。

そこで介護におけるリフォームを考えるときは、共に考えてもらう専門家とチームを組みましょう。
担当医師、ケアマネージャー、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員、設計士、施工業者等がこの専門家にあたります。

介護用リフォームの専門家は、介護に関わる各種窓口から紹介してもらうことができます。

1-2-1.病院から紹介を受ける場合

介護を受ける人が入院している間に、退院後の生活のためにリフォームをするのであれば、一般的には以下のような流れになります。

  1. 退院前に理学療法士、作業療法士や看護師が自宅を確認します。
    確保したい動線・リフォームが必要な場所、必要な福祉用具をチェックしてくれます。
     
  2. 退院までに必要な動作をリハビリで練習し、福祉用具やリフォームで必要動作を補えるか確認します。
    外泊訓練を行って実際の環境で練習することもあります。
     
  3. 家族に対して患者の訓練状況を伝達し、必要なリフォーム内容や福祉用具を案内します。

※上記は一般的な流れであって、詳細は病院によって異なります。実際にどんなフォローが受けられるかは入院している病院に確認しましょう。

1-2-2.ケアマネージャーから紹介を受ける場合

介護保険を受ける方が自宅で生活している中でリフォームが必要になった場合は、担当のケアマネージャに相談しましょう。
自宅を確認してリフォームプランをまとめてくれる専門家を手配してくれます。

1-2-3.その他各種窓口から紹介を受ける場合

介護に関する相談相手の無い方が介護用のリフォームを行う場合は、介護保険の申請と合わせて市役所の介護保険課にリフォームについて問い合わせたり、お近くや知り合いの居宅介護支援事業所・地域の社会福祉協議会に相談しましょう。

いずれの場合も、自分たちだけで難しい手続きや介護プランを考える必要はありません。
わからないところは専門家としっかり相談して、満足の行く介護用リフォーム計画を作ってもらいましょう。

2.【代表的な病気別】介護用リフォームで配慮しておきたいポイント

ここからは、在宅での介護が必要となる可能性のある代表的な病気と、考慮しておきたいリフォームのポイントを簡単に解説します。
概要をまとめると、以下のようになります。

病名(障害名) 症状 リフォーム時のポイント
脳血管障害
(脳梗塞など)
部分的な麻痺・障害など 自立した生活が困難になる危険性が高いので、動ける範囲に合わせて、動きの補助になる設備や福祉用具を取り入れる
認知症 記憶障害・判断力低下など わかりやすく、判断しやすい工夫を。混乱させないよう、家具の配置は変えない
進行性のある運動障害
(パーキンソン病など)
徐々に運動障害が発生する 症状が進行した後のことを考えたリフォーム計画を立てる
視覚障害 視力だけでなく、視野や明るさの見え方に影響があることも 段差の解消が必須。注意が必要な箇所がわかりやすいように配慮する
聴覚障害 聴覚の障害 静かな環境を確保する。視覚を妨げないリフォームも検討する

2-1.脳血管障害

脳血管障害(一般的に脳卒中とも呼ばれる)では主に3つの病気があります。

  1. 脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞/ラクナ梗塞/心原性脳塞栓症など)
  2. 脳出血
  3. くも膜下出血

【症状】

ダメージを負った脳の部位や範囲により異なりますが、多くの場合、半身麻痺、言語障害、視力障害、感覚障害、意識障害、高次脳機能障害などが生じます。また、脳のダメージが大きい場合には寝たきりとなることもあります。

【リフォーム時のポイント】

本人がどれくらい動けるかによって、配慮しておきたいポイントが変わります。

  1. 屋外の歩行が可能な状態
    半身麻痺の場合、活動範囲に手すりを設置し、移動しやすい環境をつくりましょう。
     
  2. 屋内での歩行が可能な状態
    立ち座りを容易にするため、テーブル、椅子、ベッドを使用。階段の上り下りは困難な場合があるため、生活基盤は1階にまとめましょう。
    入浴やトイレは一部介助が必要な場合があるため、介助スペースを確保します。
     
  3. 車いすを利用して移動が可能な状態
    室内の全ての段差を解消してバリアフリーに。廊下幅は移動しやすい有効寸法まで広げます。入浴は一人では困難なため、リフトなどの福祉用具を活用しましょう。
     
  4. 寝たきりの状態
    特殊寝台、リフトなどの福祉用具を活用し、介助者の負担を軽減する。

2-2.認知症

認知症

認知症には「アルツハイマー型」「レビー小体型」「脳血管性」などの型があります。

【症状】

まずは記憶障害が発生します。進行により見当識障害、実行機能障害、言語障害、判断力低下が出てきます。
また、妄想、幻覚、抑うつ、徘徊、多動、興奮、暴言、暴力といった病状が出現する方もいらっしゃいます。

【リフォーム時のポイント】

幻覚や精神混乱などを防ぐため、壁や床材には模様があるものより、無地のものを選びましょう。また、床と壁の色にコントラストをつけて見分けやすくするのも有効です。
トイレへの経路に矢印をつけたり、照明を明るくして、とにかくわかりやすくすることに気を配りましょう
家具の位置を変更すると落ち着かなくなったり、自分の部屋ではないと誤った認識をしてしまったりすることがあります。家具の位置は変更しないようにしましょう。

深夜徘徊が見受けられる場合には、センサーを設置し、家族や隣人に徘徊を知らせる対策が必要となります。

2-3.進行性のある運動(行動)障害

進行性のある病気では、先を見越したリフォームが必要です。このような病気に進行性が見られます。

  1. パーキンソン病
    様々な症状がありますが、代表的なものはこの4つです。
    ・手足の震え(振戦)
    ・筋肉のこわばり(筋固縮)
    ・転倒しやすい(姿勢反射障害)
    ・自発的な行動の減少(無動、寡動)
     
  2. 脊髄小脳変性症
    歩行時にふらついたり、ろれつがまわらず話しにくい、不規則に手が震え物をつかみにくいといった症状がでます。
    一般的に症状の進行は遅いのが特徴です。

この他、稀な病気ですが、これらの病気も進行性のある症状が出ます。

  1. 筋ジストロフィー
  2. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

【リフォーム時のポイント】

進行性のため、必要なリフォーム内容が段階的に変化します。

  1. 手すりの設置
  2. 車椅子移動に対応した環境整備
  3. リフト、特殊寝台の設置

先にまとめて対応しておくのか、都度対応していくか、先を見越したリフォーム計画が必要になります。
また、歩行障害がある場合には転倒リスクがあります。体をぶつけそうな箇所にはクッション材をつけることも対策の一つとなります。

2-4.視覚障害

視覚障害

視覚障害は大きく分ければ3つに分類されます。

  1. 視力障害
    • 全盲・・・視力が全く無い障害
    • ロービジョン・・・両目にメガネを装用した場合での視力が0.05~0.3未満(WHO基準)
  2. 視野障害
    • 狭窄・・・視野が狭くなる障害
    • 暗点・・・視野の一部が見えにくくなる障害
    • 半盲・・・視野の半分が欠損する
  3. その他視覚障害
    • 順応障害・・・暗順応障害(明るい場所から暗い場所に移った瞬間、殆ど見えない)、明順応障害(暗い場所から明るい場所に移った瞬間まぶしくて見えない)
    • 色覚障害・・・視細胞の錐体細胞にある、青錐体、緑錐体、赤錐体のいずれかに異常がある障害
    • 羞明障害・・・普通の光をまぶしく感じる障害
    • コントラスト感度の低下・・・色対比や明るさ対比を見分けることが難しい障害

【リフォーム時のポイント】

視覚障害がある方は段差の認知が難しくなることから段差解消対策が必要になります。階段にはスロープをつけたり、昇降機の設置を検討します。
また、段差回避が難しい場合には色テープを貼るなどの対策でそこに段差があることを認知させる工夫が必要となります。

2-5.聴覚障害

聴覚障害

聴覚障害は2つに分けられます。

  1. 伝音難聴・・・外耳から中耳までの音の振動を伝える器官の機能に異常がある障害
    中耳炎/耳硬化症/外耳道閉鎖症 など
     
  2. 感音難聴・・・内耳の蝸牛で音波電気信号に変え、聴神経から大脳に送るまでの器官で異常がある障害
    加齢性難聴/音響外傷性難聴/突発性難聴/メニエール病 など

【リフォーム時のポイント】

聴覚障害者には静かな環境を提供できるよう配慮しましょう。

  • 遮音性や吸音性の高い壁、窓を設置し雑音や反響音を少なくする
  • じゅうたん、ドアクローザーを設置し、衝撃音を解消する
  • 玄関のチャイムなどは光通知や振動で知らせるようにする

また、聴覚障害は視覚情報により障害を補っています。そのため、室内の視野範囲も重要です。視野範囲の確保のために、こんなリフォームをおすすめすることもあります。

  • 不要な壁、戸、扉を撤去する

3.【場所別】介護用リフォームをおこなうにあたり注意するポイント

続いては、介護のためにリフォームする場所ごとに、一般的に注意しておきたい点を紹介します。
ご検討中のリフォームプランで見落としているポイントがないかのチェックにご利用いただければと思います。

ただし、今回ご紹介しているのは、筆者が介護用のリフォームとして対応している一般的な内容です。
実際のリフォームプランは症状や元の家の状況に合わせて作られたものなので、こちらの内容と違う点があって不安になってしまったら、「どうして違うのか」をプランを立ててくれた専門家に確認して、説明を受けてください。

3-1.キッチン

【参考価格:メーカーカタログ価格 約1,000,000円~(※別途工事費が必要となります)】

キッチンの介護リフォーム

キッチンカウンターの高さは通常850mmに設定されていますが、車いすを利用する場合では利用しづらい高さです。
料理する人が車いすを使うことになるなら、カウンターの高さを740mm~800mm程度に下げる必要があります。
シンクの深さも通常は180~200mmですが、120mm~150mmに変更しましょう。
シンクも浅めに

また、シンクの下にある収納部分を膝や車いすのアームサポートが入るように変更する必要があります。
シンク下の収納部分を変更

換気扇スイッチは通常は換気扇部分に設置されていますが、車いすを利用している方には届かないので、リモコン式スイッチに変更しましょう。

また現在はI型キッチンが主流ですが、移動距離が長くなるため、L型キッチンが望ましいです。体の向きを変える頻度が少なく、移動距離も少ないため、車いす利用の方にはL型キッチンが最も利用しやすいキッチン配置となります。

3-2.浴室

【参考価格:メーカーカタログ価格 約2,000,000円~(※別途工事費が必要となります)】

浴室のリフォーム浴室出入り時の転倒を防ぐため、段差を歩行移動の場合は20mm以下、車いす移動の場合には5mm以下にしましょう。出入り口開口は通常600mm程度ですが、車いす利用の場合には1,000mm程度は必要になります。
扉も引き戸に変更し、開口部を広げましょう。

浴室寸法例
車いす移動かどうか、介助者が必要かどうか、また介助者が何名必要かによって浴室内寸法は異なります。介助が必要な場合や車いすを利用する場合は1,600mm×1,600mm程度のスペースが必要です。また、介助者が2名になる場合には1,600mm×2,100mm程度が必要となります。

浴槽のリフォーム
浴槽は高齢者がおぼれる危険性があるため、足が浴槽壁に届く寸法に変更する必要があります。また浴槽に入りやすくするため、またぎやすい高さのものを選びましょう。

3-3.トイレ

【参考価格:メーカーカタログ価格 約550,000円~(※別途工事費が必要となります)】

トイレ寸法は浴室同様に、歩行移動か車いす移動かあるいは介助者が必要かどうか、さらに車いす移動の場合、どの位置に車いすを設置し便器に移動するのかによって、寸法は大きく異なります。

車いす利用で便器前方からアプローチする場合には、奥行き1,800mm程度必要。
トイレの奥行きは1800mm以上できればトイレ両側にI型手摺を設置すれば、より出入りがスムーズになります。

便器横側あるいは斜め前方からアプローチする場合には有効寸法1,650mm×1,650mm程度の広さが必要となります。
横側からのアプローチなら1650mm×1650mm以上

また、介助者が必要な場合には便器横側あるいは前方に500mm程度の広さが必要です。
介助者がいるなら500mm四方の余裕が必要

床材は拭き掃除のしやすい床材を選択し、水に濡れたときでも滑りにくいものを選びましょう。
床材は滑りにくく掃除しやすいもので

冬場などではトイレと他居室との温度差により心筋梗塞や脳卒中などの血管障害が出る可能性があります。温度変化対策として暖房器具の設置も必要となります。
出入り口は転倒防止のため、段差は5mm以下、開口部は引き戸が望ましいですが、引き戸に出来ない場合には外開きの扉に変更しましょう。

3-4.洗面所

【参考価格:メーカーカタログ価格 約300,000円~(※別途工事費が必要となります)】

お風呂に入るときは洗面所で脱衣することが多いので、洗面所にも暖房器具の設置が必要です。

洗面化粧台は車いす利用の場合、洗面ボールの下部にはアームサポートや膝が入るような空間を作りましょう。
洗面所のリフォーム

また、鏡は車いす利用の方も見えるように大きくすることが望ましいです。
水栓はシングルレバー混合水栓のものを利用し、設置位置は洗面カウンター後方ではなく、横側に設置しましょう。

3-5.生活動線

リフォームの際には、可能であれば現在の間取り全体を見直しましょう。

介助用車いすを利用して廊下を直角に曲がる場合には有効寸法が750mm以上必要になります。自走用車いすの場合には850mm以上の有効寸法が必要です。
標準的な建具の有効寸法は720mm程度なので、建具の撤去及び開口部を広げる工事が必要となります。
さらに車いす利用の場合、廊下壁面に車いすのフットサポートが当たってしまい、壁面を壊してしまう可能性があります。クッション材や幅木(4~5枚分程度)を設置しましょう。

トイレと寝室の距離は4m以下に配置しましょう。高齢者の場合、4mを超えると遠くに感じられると言われています。

また、高齢者は夜間での移動回数も増加するため、廊下照明を多く設置するなどの工夫が必要です。さらに、廊下照明は点灯させるのを面倒に感じる方も少なくありません。感知式スイッチ(暗くなると点灯する)や人感式スイッチを利用するようにしましょう。

3-6.階段

階段がある場合には転落事故防止のため、できれば両側に手すりを設置してください。両側に手すり設置が難しい場合には下りてくる場合の利き手側に設置しましょう。手すりの直径は握りやすい直径32mm~36mm程度のものを選びましょう。
また、夜間では踏面が分かりにくくなることから足元灯を設置するといいでしょう。

3-7.床下地

電動用車いすやリフト、介助用ベッドを利用する場合、床への加重がかかるため、大引や根田などの下地があるかどうか、あったとしても下地が耐えられるかどうかの検証が必要です。

3-8.照明スイッチ

照明スイッチの設置高さですが、上肢に障害があり、腕や手を高く上げられない場合には床面から800mm~
900m程度、車いす利用の場合には900mm~1,000mm程度の高さに設置しましょう。

3-9.寝室

寝室

寝室の照明はベッドで横になった場合、光源が直接、目に入らないように間接照明の利用あるいは、取付け位置を変更するようにしましょう。
JISでは寝室の推奨照度は20ルクスとなっていますが、高齢者の場合、視力低下が考えられることから、居間と同様の50ルクス程度は必要になります。

床材はコルク材やカーペットなどの仕様にしましょう。弾力性と断熱性が高いことに加え、滑りにくい素材とすることで、高齢者や障害者の移動にも適するようになります。

ベッドで過ごす時間が長くなるようでしたら、家具の配置も気をつけましょう。ベッドの位置を直射日光は当たらない窓際にして、外の風景が見えるように配慮します。
その他にも、症状によっては使う寝具に注意点があることもあります。担当医師やケアマネージャー等からのアドバイスに従いましょう。

3-10.玄関

玄関のリフォームはとても重要です。外出することで本人の意欲の向上や閉じこもりを予防できるため、外出しやすい環境を作ってあげましょう。外出は介護を受ける方の精神的ストレスを解消させるための有効な対策です。

玄関ドアは開き戸より引き戸の方が高齢者や車いす利用者には適しています。
また介助用車いすと自走用車いすでは停止位置や開閉時の向きが異なります。どちらを利用するのかによって玄関内外の寸法が異なりますので注意が必要です。

引き戸の把手は棒状金具の方が開閉しやすく適していますが、引き残し部分が必要になるため、有効寸法は狭くなることに注意が必要となります。
玄関周囲に十分なスペースがなく、車いすでの出入りができない場合には寝室から直接出入りできる方法を検討してください。なお玄関土間に必要なスペースは場合によって異なります。

自立歩行できる場合 間口の有効寸法1,200mm程度
ベンチや式台の設置をする場合 間口の有効寸法1,650mm程度
車いす利用の場合(介助者無し) 間口の有効寸法1,650mm程度
奥行き有効寸法1,200mm以上
車いす利用の場合(介助者有り) 間口の有効寸法2,100mm程度
奥行き有効寸法1,200mm以上

4.最大20万円の補助を受けられる、介護保険は要確認

介護保険

介護用リフォームをおこなう前にご確認いただきたいのが、「介護保険」です。
介護保険とは介護が必要となった方に介護費用の一部を給付する制度です。介護用リフォームをおこなうにあたり、介護保険より最大20万円まで(うち1割~3割は利用者の自己負担となります)住宅改修費支給を受けることができます

4-1.給付を受けるには?

リフォーム時に給付を受けるには、まず要介護の認定を受ける必要があります。

まず要介護認定の申請を制度の運営窓口である市町村に提出します。
申請後、その方の状況(調査訪問)やかかりつけ医による意見書などから判断され、要介護認定を受けるようになります。
要介護認定は大きく分けると2つあります。

  1. 要介護:1~5
  2. 要支援:1~2

※数字が大きいほど重度になります

要介護認定を受ければ、「介護給付」を、要支援認定を受ければ「予防給付」を受けることができるようになります。要介護度、要支援度によって支給限度額等が変わります。

4-2.住宅改修費支給の流れ

支給対象工事や各手続きは行政により異なります。
下記にて大まかな流れを解説しますので、詳しくはお住まいの自治体の役所窓口にご相談ください。

例)「東京都港区」の場合

  1. リフォーム業者を決定
    2社以上の見積もりが必要になります。
     
  2. 港区へ事前申請、確認
    以下の書類が必要です。
    ・住宅改修費支給申請書
    ・工事費見積書(2社以上)
    ・住宅改修が必要な理由書
    ・改修部分の図面
    ・改修前の日付入り写真
    ・所有者の承諾書(改修利用者と住宅所有者が異なる場合には) など
    また場合によっては区の担当者が訪問調査に伺う場合があります。
     
  3. 工事を実施
     
  4. 工事完了
     
  5. リフォーム業者に工事費用の支払い
     
  6. 住宅改修費の支給申請
    以下の書類が必要です。
    ・住宅改修に要した費用の領収書(原本)
    ・工事費内訳書
    ・完成後の状態を確認できる日付入写真
      
  7. 住宅改修費の支給
    ※区から直接リフォーム業者に支払うこともできます。

また、要介護度が3段階以上重くなるもしくは、転居した場合は、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

まとめ

5.専門家の力を借りて、介護者も介助者も満足できる介護用リフォームを

介護者ができる限り一人で生活できるリフォームが最高

介護用のリフォームは、要介護者の状況や家族環境によりその内容は大きく異なります。
そして、介護者ができる限り、一人で生活できるような設計や住設機器、資材、仕様を選ぶことが望ましいと私は考えます。一人で生活することが難しく介助者が必要な場合は、介護者本人の意思尊重が最も大切ではありますが、介助する方の介護労働や介護ストレスをいかに軽減できるかということも重要です。

そのためには、1章で記載したように専門家チーム内での連携がとても重要になります。
簡単にリフォーム内容を決めるのではなく、様々な専門家の意見を聞き、リフォーム内容を吟味し、リフォームをおこなえば、きっと満足できるリフォームができると思います。

リタイア後の生活のために住み慣れた家をリフォームする上で注意したいポイントは、こちらの記事でも解説しています。合わせて参考にして、ご自身にとってベストなリフォームプランを検討してみてください。

リフォームで対応!老後も今のマンションで快適に過ごそう

医療監修

佐用院長佐用 義孝(さよう よしたか)
医療法人ウェルネスサポート理事長
高松紺屋町クリニック院長
日本内科学会専門医
日本糖尿病学会指導医・専門医
日本肥満学会指導医・肥満症専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医

平成28年11月より高松紺屋町クリニックにて、糖尿病を中心とした生活習慣病診療やプライマリケアに従事。疾病の早期発見・早期治療により、地域住民の健康寿命の延伸への貢献を目指す。

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