年を重ね、長くマンション生活をしていると、以前は気にならなかった段差や設備の古さが気になってくることがあります。「このまま、このマンションで老後を迎えて大丈夫だろうか」と心配になられる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、老後も今のマンションに住み続けるために解決しておきたいポイントをご紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。
マンションの住み替えではなく「リフォーム」をおすすめする理由
まずは、今のマンションのどこに不安に感じているのかを考えてみましょう。不安に感じる部分が住戸内にある場合は住み替えではなく、リフォームの手段もあるということをご提案したいと思います。
【その1】住み慣れた生活環境を変えなくてよい
長年住み慣れた環境を変えることに不安を感じる方も多いと思います。
かかりつけの病院もあると思いますし、友人やご近所づきあいも、住み替えによって変わってしまうかもしれません。生活環境をかえなくて良いところがリフォームの魅力のひとつです。
【その2】費用が住み替えほどかからない
新しい住宅を購入したり、賃貸住宅へ引っ越しした場合、コストがかかります。新しい家に合わせて家具を新調する必要もあるかもしれません。リフォームであれば、ご自身の資金に応じてリフォーム内容を決めることができます。
何かとお金がかかる老後に備えて、資金を手元に残しておくことができます。
ただし…立地や共用施設に不便を感じるようになったら”住み替え”も検討
「坂道が多い」「病院が遠い」など、マンションの場所や立地に不安を感じている場合には、“住み替え”を考えた方がいいでしょう。また、「エレベーターがない」などマンションの共用施設に不安がある場合にも、個人によるリフォームでは解決することができませんので、“住み替え”を検討した方がよさそうです。
マンションの立地・共用施設に不安を感じておらず、住戸内に不便を感じている方は、”住み替え”ではなく「リフォーム」をおすすめします。
老後にマンション住戸内で気になるポイント3つ
これまで住んできたマンションで引き続き老後も過ごすにあたって、よくお聞きする不安や要望を見ていきましょう。
1.設備が古い
マンションの設備も年を重ねるごとに古くなっていきます。
特に電気を使う設備は、10年~15年ほどで取り替えの時期がきます。まだまだ使えると思っている設備も急に故障することがありますので、早めに対処しておきたい部分です。
住宅の設備は年々新しい商品が出てきていて、使い勝手も機能も良くなってきています。エコ仕様にもなってきていますね。最新の設備は「ユニバーサルデザイン」といって、年齢・性別等に関わらず幅広い方に使いやすいデザインのものも増えてきていまます。
2.段差が気になる
老後にマンション暮らしをする上で気をつけておきたいのが「段差」です。
段差にも大小さまざまありますが、ひとつ例を挙げると浴室の段差。最近の新築マンションではバリアフリーで部屋の中に段差はほとんどありませんが、古いマンションには水回りや和室などに段差が見られます。
今の生活に支障はなくても将来的には日常生活の妨げになったり、転倒して骨折の危険性も出てきます。
段差につまずきにくい工夫をしておきたいところです。
3.光熱費を抑えたい
老後の生活資金は、ずっと快適に暮らしていくためにとても重要なもの。できる限り無駄をなくして節約しておきたいですよね。最新の住宅設備はエコ仕様のものが多く、光熱費を抑えることができます。
事故防止に備えるリフォームのポイント解説
ここでは前章の不安・要望を元に、事故を防ぐためにもやっておきたいリフォームを取り上げました。ひとつずつ見ていきましょう。
浴室のリフォーム
高齢者の住宅事故の中でも、大半を占めるのが浴室内で事故といわれています。代表的な例として、ヒートショックや浴室内のスリップ転倒が挙げられます。これらの事故も、リフォームすることで発生するリスクを少なくすることができます。
ヒートショックを未然に防ぐ浴室暖房
ヒートショックとは、冷え切った部屋から暖かい部屋に移動することによって、急激な温度変化による血圧の急変が起こることで、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす原因になることです。体の弱い高齢者の方に起こりやすく、特に冬場の入浴には注意が必要です。
浴室暖房があると、あらかじめ浴室を暖めることができ、浴室内との気温差をなくしてヒートショックを防ぐことができます。少し古いマンションでは乾燥機能のみが付いたものが多かったので(近年販売されている物件では、この浴室暖房器が標準仕様のことが多いです)もしご自宅に設置されていないのであれは、導入を検討しても良いでしょう。
浴槽の高さは自身の背丈にあったものに変更
高齢者にとって最適な浴槽の高さは40cm程度だといわれています。一方で、古いマンションの浴槽は床から60~65cmのものが多いようです。随分高さが違いますね。
浴槽をまたぐ際に転倒する事故もありますので、浴槽の高さにも注目して選ぶといいでしょう。
また浅すぎるものも転倒につながる恐れがあるので、実際にショールームなどで浴槽に入ってみて、ご自身の背丈にあったものを選ばれることをおすすめします。
安全を配慮した手すり・握りバーの設置
浴室を出る際の転倒を防止するため、浴室や洗面所(脱衣所)の出入り口付近への手すりの設置も検討しましょう。
手すりとは別に、浴槽内に握りバーを設置することもおすすめです。足腰の力だけでは立ち上がることが困難な場合、浴槽内に握りバーがあると立ち上がりやすくなり事故の防止につながります。
ただし設置の位置については注意が必要。特に握りバーは浴槽内に設置をすることになりますので、出入りや動作の妨げにならないようチェックする必要があります。
滑りにくく、冷たさを感じない床に変更
最新のユニットバスは、滑りにくく乾きやすい素材を使用した浴室の床材が主流となっています。
床だけでも、冬場に足元がひんやりしない機能や通常の床に比べて柔らかい踏み心地のもの、掃除がしやすいものなど、色々な機能があります。
見落としがちな部分ですが、浴室での転倒は非常に多い事故ですのでリフォーム時には床の機能にも注目して選びましょう。
お湯の温度が下がりにくい高断熱の浴槽
お湯の温度が下がりにくく暖かさを長もちする『高断熱浴槽』は、光熱費の節約におすすめです。
高断熱浴槽とは、ふたを閉めた状態で4時間後のお湯の温度の低下が2~2.5度以内の浴槽のこと。「サーモバスS」や「魔法瓶浴槽」など、メーカーによって名称は異なります。家族数の多い方や入浴時間が異なるご家庭には特におすすめです。
トイレのリフォーム
手すりの設置
築年数が20年以上前の物件ともなると、廊下とトイレの間にステップのような段差のついていることが多いようです。この段差があることで足腰に負担がかかり、バランスを崩して転倒してしまうこともあります。
配管の関係で段差をなくすことが難しい場合は、手すり設置するだけでも転倒を防ぐことができます。トイレから立ち上げる際にも手すりがあると便利ですね。
このようなL型の手すりは、手を置いて体重をかけることができるのでおすすめです。
ただし設置スペースに余裕がない場合は、体をぶつけてしまうなど、かえって怪我の要因になりますので動作を確認する必要があります。
節水タイプのトイレ
従来のトイレでは1回流すごとに約13Lのお水が使われていました。最新の節水型のトイレでは5L弱しか使わない商品も出てきています。1日に何度も利用するトイレ。節水タイプに変えると光熱費を抑えることができますね。
廊下のリフォーム
大きな段差ではないかもしれませんが、「くつずり」という戸を受けるためのものがあります。部屋の機密性を上げたり、音漏れを防ぐ目的もあります。
こちらはバリアフリーのために段差を小さくしたもの。くつずり自体をなくした設計のものもあります。
細かい部分ですが、くつずりのように小さな段差でも転倒や怪我の原因になります。老後のことを考えると、ほとんど段差のないものに変えてしまうか、取ってしまうことをおすすめします。
フローリングのリフォーム
築年数が経ったマンションでは、ワックスのはがれや日常生活での汚れなどからフローリングが滑りやすくなってきます。転倒から骨折などの大けがに繋がることもありますので、気をつけておきたい部分ですね。
日常生活で滑ったり転びそうになったら、滑りやすくなっているサイン。フローリングを滑りにくい床材に変更するか、滑り防止のコーティングをしましょう。
より快適な生活をかなえる間取り変更リフォーム
間仕切り壁をなくす
「子どもが大きくなり独り立ちをしたので、使っていないお部屋がある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなお部屋がリビング・ダイニングに面しているのであれば、間仕切りを取ってしまうのもひとつの手段です。
間仕切り壁を取ってしまうことで隣の部屋との境界がなくなり、隣の部屋からも光が差し込むので、より明るく広く感じます。また、介護などで車いすを利用される方であれば、スペース確保にもつながります。
引き違い戸で仕切る
狭く感じているお部屋を広くするために間仕切り壁を取ってしまうのは、もっともシンプルな方法です。
しかしご家庭によっては、県外で就職しているお子さまが帰るための部屋も必要、急な来客の際に使える部屋も必要だという方もいらっしゃるはずです。
そんな方には普段は開放的にスペースを使えて、いざとなればお部屋としても使えるように引き違い戸で仕切ることをおすすめします。
リフォームの注意点
これまで老後のマンション生活を快適なものにするための方法として、さまざまなリフォームについて紹介しました。
これからの生活に向けて様々なことを考えるのは、まるでもう一度新築マンションを購入するかのようなワクワクする気持ちもあるかもしれません。ですが、楽しく気持ちよくリフォームを行うためには、注意すべきポイントがいくつかあります。
リフォーム依頼時:仕上がりのイメージを伝える!複数会社で見積もりを!
仕上がりのイメージをきちんと伝える
たとえばお部屋の間仕切り壁を取ってひとつにつなげた場合、天井や床に工事跡が残る可能性があります。
「天井であれば壁紙を貼り替えて修復するのか。」「フローリングはどのような仕上がりになるのか。」工事完了後に「こんな仕上がりになるなんて聞いていなかった」とならないためにも、あらかじめ自分の持つイメージに対してどこまでできるのかを確認しておく必要があります。
複数の会社で見積もりを!
リフォームの際に気になるポイントとしてはやはり「金額」ではないでしょうか。
リフォーム会社を選ぶ際には、最低でも3社は見積もりをとり、比較できるようにすることをおすすめします。金額が他社より高い場合は、高級な資材を使っているだけかもしれませんが、極端に高い場合は悪質な業者である可能性もあります。安い場合も同じで、[本体価格+工事費込]の金額が安くても、別途諸経費や処分費などがかかり、結果的に高額になってしまうこともあります。
リフォーム内容が決まったら:管理規約を確認しよう
マンションにはみなさまが快適に生活をしていくために、管理規約やルールがあります。工事の内容によって管理組合への届け出内容が違う場合もありますので、リフォームを行う際は、必ず事前に管理組合や管理会社に相談しましょう。
また個人でリフォームできる範囲はあくまでも自分が所有している“専有部分”。マンションの所有者全員の持ち物となる”共用部分”に影響を及ぼすリフォームはできません。「専有部分と思っていたけど、共用部分だった」ということもあります。管理組合によってリフォームできる範囲を明記しているマンションもありますので、前もって管理規約を確認しておきましょう。
リフォーム直前:近隣とのトラブルを防ごう
間仕切りの撤去など大がかりな工事を行う場合、かなりの「音」や「ほこり」をともないます。
リフォーム工事をする際はマンションであればインフォメーションボードなどに事前に案内文が掲載されることもありますが、住民全員が目を通しているとは限りません。
工事を行う予定の1ヶ月以上前には、最低でも上下左右のお住まいには必ず自らあいさつをするようにしましょう。また、工事車両の駐車位置によるトラブルもあります。リフォーム会社と駐車位置についても事前に確認をしておきましょう。
まとめ
老後もマンションで生活をしていくうえで起こりうる問題の多くは、室内のリフォームで解決することができます。
今のお住まいで気になることがある方は、最新の設備などを実際に見ることのできるショールームに、見学に行かれてみてはいかがでしょうか。新築マンションのモデルルームもリフォームの参考としておすすめです。設備はもちろん、間取りや流行のフローリングカラーなどトータルでご確認いただけますので、リフォーム後のイメージが掴みやすくなります。
住み替えも含めて検討したいという方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
あんしんのリフォーム会社選び~リフォームのノウハウまで徹底ガイド
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