老後の資金として、あるいは資産形成のために、不動産への投資も一つの方法ではあります。
しかし不動産投資は、成功すれば大きなリターンを得ることもできますが、その一方で投資金額が高いためリスクが高い商品とも言えます。
東京都内では、近年不動産価格が高騰しているため「区分マンション投資」を検討される方も少なくないようです。区分マンション投資は分譲マンションの1部屋への投資のことで、マンション一棟を購入する場合と比べて低いコストで始めることができます。
そこで今回は、賃貸中の中古マンションを購入し、入居者の退去後に売却する「不動産買取再販ビジネス」に携わる筆者が「区分マンション投資のメリット・デメリット」について解説します。
これから区分マンション投資を検討してみようかとお考えの方、もしくは既に始めている方、ぜひ参考にご覧ください。
1.区分マンション投資は分譲マンションの1部屋に対する投資
区分マンション投資とは、マンション1棟ではなく、分譲マンションの1部屋を購入し賃貸に出す、あるいは賃貸中の分譲マンション1部屋を購入し、賃料を得ることです。
2.区分マンション投資のメリット・デメリット
区分マンション投資には、他の不動産投資とは異なるメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
|
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1つずつ解説していきます。
2-1.区分マンション投資のメリット3つ
[1]取り扱い件数が多いので、優良投資物件の選択肢もその分広い
1棟アパート・ビル・店舗に比べ、区分マンションの方が売却数が多く、エリア・価格などをじっくりと検討することができます。東京都港区の場合、1棟アパート、ビル、店舗の売却数が約20物件に比べ、区分マンションの賃貸中物件は500物件を超える数があります(2020年2月26日時点)。
多くの物件を比較検討して、リスクの低い物件を選ぶことができるのが特徴です。
[2]空室となった場合には売却しやすくリスクを軽減できる
賃借人が退去した場合、再度賃貸を募集することもできますが、場合によっては居住用として売却することもできます。
実住の需要にも対応しやすい区分マンションの方が、1棟アパート等に比べ売却しやすいと言えます。
[3]木造建築物より自然災害に強い
木造のアパートや木造戸建てに比べ、区分マンションは自然災害に強いのが特徴です。
投資の目的物が災害により滅失するリスクや毀損し甚大な修理費用が必要となるリスクを下げることができます。
2-2.区分マンション投資のデメリット4つ
[1]収益が安定しない
1室の投資となりますので、1棟アパートに比べて最初に投資する金額が低く抑えられますが、収入として入ってくる額も少なくなります。また、賃借人が退去し空室となった場合には賃料収入は0円となるリスクがあります。
[2]修繕積立金の値上がりリスク
区分マンションには毎月、管理組合に支払う管理費と修繕積立金があります。管理費が変動する物件は比較的少ないですが、通常、修繕積立金は一般的には5年毎に見直しがあり、少なくとも数千円程度は値上がりします。当初はある程度の実収入があったが修繕積立金の値上がりにより実収入が減額してしまうリスクがあります。
また、修繕積立金の値上がりは管理組合の中での決定事項となることから、値上がりの時期や値上がり額が一個人では決定できないというリスクもあります。
[3]大規模修繕による一時金リスク
区分マンションは約15年ごとに大規模修繕をおこなうのが一般的です。
大規模修繕には修繕積立金を利用して修繕工事をおこないますが、物件によっては修繕積立金では賄いきれず、各住戸の所有者に一時金の負担をお願いすることがあります。物件の状況や規模により異なりますが、数十万円程度の負担が発生するリスクがあります。
また、[2]同様に一時金徴収は管理組合での決議になるため、一個人では決定することができません。
[4]融資が利用しにくい
投資用の融資は一般的な住宅ローンに比べ金利が高くなります。
また、審査条件により異なりますが、ある程度の自己資金が必要になることが多いです。
3.投資物件の選び方5つのポイント
区分マンション投資物件の選び方で、特に注意すべきポイントはこの5つです。
- 築年数は築5年以上かつ新耐震物件がおすすめ
- 注目すべきはNOI利回り
- 売却しやすい物件かどうかを検討しよう
- 賃貸借契約書の内容を確認しよう
- 売却のタイミングが重要
3-1.築年数は築5年以上かつ新耐震物件がおすすめ
築年数は重要な確認ポイントです。築5年以上の物件でなおかつ、新耐震基準の物件がおすすめです。
新耐震基準の物件かどうかの判定方法は、こちらの記事をご覧ください。
区分マンション投資物件として、築5年以上の物件でなおかつ、新耐震基準の物件をおすすめする理由は3つあります。
【理由1】築5年を超えると固定資産税の変動リスクが下がる
一定の要件がありますが、要件を満たせば新築後5年間は固定資産税の建物部分の税額が1/2になる軽減措置があります。つまり築5年を超えると固定資産税が増額になり、必ず収支が悪化します。
軽減措置期間中の数値で判断すると収支を見誤ってしまうので、築5年以上の物件がおすすめです。
【理由2】耐震改修でのコストが発生しない可能性が高い
旧耐震と言われる1981年6月以前に建築確認の認可を受けた物件の場合、今後、耐震改修等がおこなわれる可能性があります。実施されることで、一時金の徴収や修繕積立金の値上げリスクがあります。
【理由3】将来売却しやすい
旧耐震物件を将来売却しようとした場合、耐震基準を満たしていないことにより金融機関によっては融資が難しくなります。融資が受けられない=売却がしづらくなります。
3-2.注目すべきはNOI利回り!
不動産投資の利回りには[1]表面利回り、[2]想定利回り、[3]NOI利回りという3つの利回りが用いられます。
なかでも広告等によく記載されているのが[1]表面利回り、[2]想定利回りです。しかし重要なのは[3]NOI利回りです。
それぞれの利回りについて説明しましょう。
[1]表面利回りは諸経費を考慮しない利回り
年間賃収入が販売価格の何%になるかを求めた利回りです。
購入する際の諸経費などが一切計算されておりません。
[2]想定利回りはあくまで想定値
1棟アパート等に多く利用される利回りですが、区分マンション投資にも稀に利用されます。
まだ賃借人が決まっておらず、相場での賃料収入を想定した表面利回りとなります。
想定利回りのため、実際と異なるケースがありますし、[1]同様に諸経費が計算されておりません。
[3]NOI(NetOperatingIncome)利回りは実収入からの利回り
営業純利益という意味で、購入時の諸経費及び年間の運営にかかる諸経費を含めた実収入からの利回りとなります。
実収入や諸経費を含めた計算のため、物件の見極めには[3]NOI利回りが重要となります。
NOI利回りを出すには、年間の諸経費や購入時の諸経費を調べる必要があります。販売されている不動産業者に依頼して調査してもらうといいでしょう。
ただし、利回りは不動産市況により大きく変動します。一概に何%だと安心というものではありません。
3-3.売却しやすい物件かどうかを検討しよう
賃借人が退去した場合には、物件の売却を検討する必要があります。そのため、物件選びには売却しやすいかどうかも大事なポイントになります。
売却しやすいかどうかは【駅距離】・【広さ】・【価格】が重要になります。
- 定義リストとは
- 定義する用語とその用語の説明を行うためのものです。文中で扱う用語を定義する際にご利用ください。
- 広さ
- 様々なターゲット層が検討しやすい1LDk~2LDKが良いと思います。
- 価格
- 周辺の近似物件の取引事例、特に成約となった事例を基に価格設定をするといいでしょう。
3-4.賃貸借契約書の内容を確認しよう
賃貸中の物件を購入する場合には賃貸借契約書の内容には注意が必要です。
賃貸借契約書の中で大事なのは、下記の項目です。
- 契約期間
- 敷金の額
- 特約が設定されている場合にはその内容 など
特に賃料滞納トラブルは対処が難しいため、契約書の内容をよく理解しておきましょう。
なかでも[1]保証会社に加入していれば、家賃の滞納があった場合は、賃料が保証会社より支払われます(支払われる額や条件は保証会社により異なります)。
3-5.売却のタイミングが重要!
どの時点で売却をするのかを見極めるのは非常に重要なポイントです。
長期保有をすれば、修繕積立金の上昇リスクも高くなります。また、物件の周辺環境が変わってしまい、物件価値に影響が出る可能性もあります。さらに、賃貸中にお部屋内の設備に不具合が発生した場合は、賃借人の故意や過失による損傷でない場合には所有者負担にて修繕する必要があります。長期間保有しておれば、室内の修繕費が多額にかかるリスクも増えます。
どのタイミングで売却するのか?タイミングの見極めは非常に重要です。
4.まとめ
区分マンションへの投資には様々なリスクがあります。不動産市況の変動リスク、区分マンションならではのランニングコスト変動リスク、賃貸中のトラブルなどご自身では対応できないリスクがほとんどです。
そのため、一棟アパートなどに比べて金額が低いからと言って、安易に投資すべきではありません。しっかりとした調査や確認をおこなうことは当然のことながら、ある程度のリスクは覚悟して始めるべきだと私は考えます。
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