国内で毎年のように頻発している自然災害。日頃から備えていても、いざという時に本当に大丈夫なのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
私は2018年に発生した北海道胆振東部地震で被災した経験があります。地震によって北海道全域が停電し、私の自宅は復旧まで丸3日かかりました。オール電化住宅だったため復旧までほとんど何もできず不便でしたし、何より当時小学生だった子どもの精神的なケアも必要でした。
現在は宮城県仙台市で暮らしていますが、東日本大震災で被災した方々から震災当時の壮絶な経験を数多く伺う機会があります。そんな実体験や耳にした経験談をもとに、私が必要だと感じて実行している防災対策をご紹介します。
1.調理に消毒に「カセットコンロ」は大活躍
私が被災して強く感じたのは「とにかく温かいご飯が食べたい」ということでした。
被災したのは9月でまだ暑さも残る時期でしたが、いつまで続くか分からない余震と停電。夜間から早朝にかけて少しでも冷えを感じると増す不安。そして、調理ができないため温かいご飯が食べられず、冷たい物を食べ続けるしかないという状況。これは想像以上に心身を疲弊させました。
カセットコンロがあれば、レトルト食品を温めたり、ごはんを炊いたり、麺をゆでたり、炒めるなどの簡単な調理ができます。温かい食事は体を温めてくれるので、緊張を和らげたり低体温症も防いだりしてくれます。
また、お湯を沸かすことができるので、赤ちゃんの哺乳瓶の煮沸消毒をしたり、顔や体を拭くための温かいタオルを作ることもできます。カセットコンロは非常時に調理だけでなく衛生面でも役立つ万能な商品です。
私は普段、カセットコンロとカセットボンベ3本入り1セットを備蓄しています。コンロ、ボンベともに使用期限がありますので、備蓄の際は注意が必要です。
2.電気のいらない「石油ストーブ」を用意する
被災した際に幸いだったのは、季節が冬ではなかったということです。「もしこの災害が冬に起こっていたら」、「一日中氷点下の気温の中、まったく暖を取れなくなったら」と考えたとき、その恐ろしさに背筋が凍る思いがし、冬の防災対策について真剣に見直す必要があると強く感じました。
そこで新たに用意したのがポータブル石油ストーブです。石油ストーブは素早く暖まる特性があり、寒冷地では特に有効な暖房器具です。電源がなくても使用できる製品があるので、冬の災害時には非常に役立ちます。
使用する際には灯油を自分で補充し、十分な換気を行う必要があります。灯油の取り扱いに不慣れな方は、石油ストーブよりもカセットガスストーブ(カセットボンベを使用するストーブ)の方が扱いやすいかもしれません。
※賃貸住宅や分譲マンションでは石油ストーブの使用を規約で禁止されている場合もありますので、事前に確認が必要です。
3.「粉末タイプのスポーツドリンク」はかさばらず大量ストック可能
日頃から水は十分に備蓄することを心がけていたので、水分補給に関しては心配せず過ごすことが出来ました。ただ、いざ被災して実感したのは、水分だけでなく塩分や糖分も摂取することが必要だということです。
そこで改めて用意したのがスポーツドリンクです。スポーツドリンクは体液に近いイオンバランスの飲料なので、成分が体内に吸収されやすく、非常時には大変重宝しました。非常時だけでなく、普段から体調不良の際にも役立ちます。
私はペットボトルと粉末タイプの両方を常備していますが、粉末タイプはかさばらないので大量にストックしておくことができます。備蓄品としては特におすすめです。
4.「好きなお菓子」をローリングストックで備蓄
普段よく食べる食品を少し多めに買っておき、消費期限が迫ったものを消費しながら消費した分をまた買い足して一定数の備蓄を保つ「ローリングストック」。すでに取り組んでいる方も多いかと思いますが、私が特に意識して備蓄しているのが「お菓子」です。
お菓子は手軽に糖分補給ができますし、甘いものを口にすることで「幸せホルモン」ともいわれるセロトニンやエンドルフィンが脳内で生成されやすくなり、ストレスを軽減する効果も得られます。
先ほど触れましたが、私が被災した際に必要となったのは子どもの精神的なケアでした。当時小学生だった子どもは、余震や停電が続くという状況に恐怖を感じ、精神的に非常に不安定になりました。大人でも怖かったので、子どもはなおさら怖かったのだと思います。そんな中、普段から食べ慣れているお菓子を食べることで、日常を思い出すことができ、安心感を得られたようです。
ローリングストックを無理なく続けられるように、普段は自宅の廊下収納にまとめて保管しています。
お菓子のラインナップは子どもの好物です。おいしく食べながら取り組めるので、夏場に溶けやすいチョコレートも備蓄しておけます。備蓄ボックスは乾物・クッキーとチョコレートに分けており、自分なりに消費期限を把握しやすい状態にしています。
5.防災セットに「普段使いの衛生用品」をプラス
非常時に向けた備蓄をする際、食料や水などに意識が向きがちですが、衛生用品も忘れずに準備しておくと安心です。ライフラインが止まってしまうと、トイレ、入浴、洗濯など普段当たり前にできていることが思うようにできなくなります。
特に女性は、生理用品など女性特有の衛生用品も必要となります。避難所生活を経験した方から伺ったお話によると、これらの用意を忘れてしまい、困っている方も多かったそうです。
私もいざという時に困らないように、女性用の衛生用品、使い捨てのインナー類、歯磨きセット、水のいらないシャンプー、スキンケア用品など自分にとっての必需品を防災セットに追加して入れています。
6.徒歩での帰宅に備えて「職場にも備蓄」
仕事中に万が一の事があった場合に備えて、職場にも備蓄品を用意しています。デスクにはモバイルバッテリーや衛生用品など、冷蔵庫には保冷剤、玄関にはスニーカーを備えています。
職場での備蓄を始めたのは、東日本大震災で被災した方々から震災発生時に帰宅困難者となった状況などを教えていただいたのがきっかけです。
震災時、公共交通機関の運行停止により、観光客を含む1万人を超える帰宅困難者が発生し、最寄りの指定避難所に殺到したため、地域住民が避難所に入れないなどの混乱が生じました。(引用:防災環境都市・仙台)
被災するのは自宅にいるときとは限りません。仕事中に被災して自宅へ帰宅するのが困難という状況に陥る可能性も大いにあります。公共交通機関や自家用車が使えなくなった場面を想定した備蓄もしておくと安心です。
ちなみに私は職場での備蓄と併せて、職場から自宅まで徒歩で帰る練習もしています(体力の限界があるため、頻繁には練習できていませんが…)。現在の職場から自宅までは約6km、徒歩では約1時間30分かかる計算です。
先日、天気が良く暖かい日に徒歩で帰宅してみましたが、普段からよく歩いているにもかかわらず、家にたどり着いたときにはクタクタでした。気象条件によってはかなりしんどくなるだろう思います。また、街灯が付いていても暗いと感じる道が多かったので、万が一停電していたらちゃんと帰れるか不安でしたし、スマホのライトや懐中電灯は必須だとも痛感しました。
こういったことは実際に歩いてみないと分からなかったので、やはり練習しておいて良かったです。
まとめ
今回は私の経験に基づいた防災対策をご紹介しました。いつ起こるか分からない災害に100%完璧に備えるというのは非常に難しいものです。私も実際に経験するまで気付かなかったことの方が多くありました。
この記事でご紹介した経験談が、皆さまの防災対策にひと役買うことができましたら幸いです。
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