マンションの寿命は管理状態で決まる。住み続けられる「健康寿命」を確認しよう

マンションの健康寿命とは

「健康寿命」という言葉が注目されて久しい昨今。
高齢化が進み人生100年時代といわれる中、この「健康寿命」をいかに延ばすかが私たち日本人の課題となっています。

では、マンションについてはどうでしょうか?
マンションでは、きちんとしたメンテナンスがなされていれば、100年を超える耐久性があるとも言われています。しかしながら、

  • 外から見えない躯体の老築化が進んでいるのでは?
  • 耐震性は大丈夫?
  • じきに取り壊しになったらどうしよう、いつまで住めるのだろう?

そんな不安は残ります。

この記事では、マンションに住み続けることができる期間を示す「マンションの健康寿命」について考え、健康寿命をチェックするためのポイントを解説します。

1.マンションの寿命は3種類

マンションの寿命と呼べる年数には、3つの種類があります。
このうち1-2、1-3は特殊なケースなので、必然的におこる1-1の「経年劣化による寿命」を「健康寿命」として、次章以降で詳しく解説します。

1-1.経年劣化による寿命……物理的にみた「健康寿命」

経年劣化による寿命

いわゆる物理的な寿命で、今回最も注目したい「健康寿命」にあたります。
マンションのような堅牢なコンクリート建築も長い間風雨や日差しにさらされるうちに少しずつ劣化していきます。また、設備についても使用しているうちに自然と色あせたり、錆付いたり、故障したりします。当然のことながら、同じ築年数のマンションでも、手厚いメンテナンスを施したマンションとそうで無いマンションとでは大きな差が生じます。
しっかりしたメンテナンスが無いと、この寿命は短命となります。

マンションの健康寿命をはかるチェックポイントは、次章以降でご説明します。

1-2.立地特性から見た寿命……周辺環境から見た寿命

立地による寿命

寿命とは少し異なりますが、マンション自体はまだ住めるにも関わらず、立地が将来有望な土地等で区画整理や再開発等により取り壊しまたは建て替え等になる場合があります。主に利便性の高い立地(駅周辺等)にある築年数の古いマンションでは、少なからずある話です。

この場合は、まだマンションとして機能するのに取壊しや建て替え等が余儀なくされ、寿命が尽きてしまいます。

1-3.天災からみた寿命……地震、火災等の外的要因による寿命

災害による寿命

もし、大きな地震等の天災により建物に被害があった場合は、被災度区分判定調査により損傷の程度に応じて「軽微」「小破」「中破」「大破」または「倒壊」の判定が出ます。そして判定により、取壊し・建て替えの対応が決められます。

このケースで尽きてしまう寿命は、下記の2つの基準で長いかどうかを推測することができます。

耐震基準

1981年5月以降に着工されたマンションは「新耐震基準」(定義:震度5強程度の中規模地震では殆ど損壊せず、震度6~7の大規模地震でも倒壊、崩壊しない)のマンションなので「旧耐震基準」(定義:震度5強程度では倒壊せず大きな損傷を受けない)に比べ強固なマンションとなります。

進化する耐震基準を学んで地震に強いマンションを知ろう

 

住宅性能表示

また、新築住宅では2000年10月から始まった「住宅性能表示制度」を利用しているマンションも近年多くなりました。
これは設計段階と竣工段階の2段階審査でマンションの安全性を調査し、その結果を示すもので、この表示が付けられたマンションは、一定の強度を保っているため天災での寿命も比較的長いといえます。

住宅性能表示制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
合わせて参考にしてください。

住宅の性能を目に見える形にした「住宅性能評価書」その内容とは?

「マンションの寿命は47年」は税法上の耐用年数のこと
実際に住める年数とは異なります
マンションの耐用年数
「マンションの寿命は47年」という話を聞いたことがある方もいるかも知れません。この「47年」は税法上の耐用年数のことです。
税法から見た耐用年数(※)とは「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められた年数の事です。国税庁のwebサイトでは、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは築47年となっています(出典:主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備))。
この年数は、築47年過ぎたら住めなくなるというものではなく「減価償却」の目安になる年数です。あくまでも税法上のものであり、実際に住める年数である「健康寿命」とは全く異なるものです。
※耐用年数とは
耐用年数とは減価償却資産が利用に耐える年数をいう。長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものの使用又は所有の価値の減価を各年度に費用配分していく場合の計算の基礎となる。

2.マンションの健康寿命を決めるのは構造の強度と日々のメンテナンス

マンションの寿命の長さを左右する要因は、外壁そのものの強度と各種設備の修繕状況の2つです。

2-1.外壁編

外壁の強度

マンションの中で最も寿命が長いのは鉄筋コンクリート造りのマンションです。
国土交通省がまとめた「鉄筋コンクリート造の寿命に係る既往研究例」によれば「鉄筋コンクリート造の物理的寿命を117年と推定」、また「建築の維持管理」では「鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として一般建物(住宅も含まれる)の耐用年数は120年、外装仕上げにより延命し150年」となっており100年以上の耐久性はあると考えられています(出典:国土交通省「「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介」 P9「RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」)。

正しい工法と材料できちんとしたメンテナンスで行われると、コンクリートは100年以上の寿命があるとされているのです。

続いては、コンクリートの劣化についてご説明します。
一般的な劣化はコンクリートの中性化です。中性化とはアルカリ性のコンクリートに酸性雨が侵入し内部の鉄筋などを腐食させ体積が膨らんで「爆裂」しコンクリートがひび割れたり剥離を引き起こし耐力が低下する現象のことです。

中性化の進行はコンクリートの質や待機中のCO2の濃度によって大きく変わります。また、外壁のタイルや塗装にひび割れや亀裂があると酸性雨が侵入し、中性化を加速させてしまう可能性もあります。そのため、外壁の仕上げや立地条件の環境も、マンション躯体の耐久年数に影響してくるのです。

2-2.設備等の修繕編

設備の修繕

修繕項目は主に以下の箇所です。

  • 外装塗装、壁の塗り替え
  • 屋上防水の補修
  • 共用部照明の交換
  • ポスト等の器具
  • 給水、配水、ガス管等、設備の取替え、メンテナンス など  

この中でも、国土交通省が実施した「建築後30年超のマンション管理組合又は相談のあるマンション管理組合への調査結果」によると建替えの1番の理由として「配管や給水設備の劣化」が挙げられています(出典:国土交通省「マンションの新たな管理方式の検討」P10 マンションの築年数が経過した場合の課題)。

この項目が挙げられるのは、配管が鉄管で壁や床のコンクリートの中に埋め込まれている古いマンションのケースが多いようです。最近のマンションではこのような工法はあまり利用されませんが、こういった配管は交換となると多大な費用がかかるため、交換するよりはマンション自体建替えた方が良いと判断されることがあります。

これらの修繕費用はマンション管理組合が所有者から預り、積み立てられた「修繕積立金」から支払われるものです。
マンションの修繕についてはこちらの記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

マンション住まいなら知っておくべき!大規模修繕工事を徹底解説

 

2-3.マンションの管理状態、修繕状況の確認方法

修繕状況の確認情報

マンションの耐久性を考える上で最も重要なのが維持管理、修繕の状況です。
定期的に大規模修繕が行われているかどうか、修繕資金が十分で、必要なメンテナンスが行われているかがマンションの状態に反映されます。

修繕の状況はマンションの「長期修繕計画書」で把握することができます。
「長期修繕計画書」には様々な推定修繕項目、修繕周期等が記載されています。マンションの管理組合は修繕積立金改定案も含め、今後の状況を踏まえながらそれぞれの修繕を計画、実行していきます。

また、中古マンションの購入を検討している方は築年数と共に、それまでの修繕履歴など記録している「重要事項調査報告書」等をしっかり確認するようにしましょう。

重要事項調査報告書
重要事項調査報告書

 

3.マンションの「健康寿命」は、適正にメンテナンスされていれば60年以上

前章で解説したとおり、マンションの寿命は管理の状況で左右されるのは間違いありません。
構造や規模、立地特性、管理状態、全ての項目が関わりを持つため、マンションの寿命を簡単に算出するのは容易ではありません。
ただし、日本でマンションを一般供給しはじめたのが「1963年~1964年」であり、現存している日本の最古のマンションは築60年。つまり、マンションは、メンテナンスを適正に行っていれば、少なくとも60年以上は住めるのです。

メンテナンスが適正に行われていたかどうかは、マンションの築年数が古ければ古いほど管理状態に現れます。
少しでも長く住みたいなら、前章を参考に、マンションの管理状態をチェックしてみてください。

4.まとめ

マンション寿命

国土交通省の調査によると日本の分譲マンションは2018年末時点で全国で約654.7万戸(出典:国土交通省「分譲ストックマンション戸数」)。
このうち、築30年未満が57.4%と半数を超え、40年を超えたマンションは全体のわずか12.4%(出典:国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」)。
そのため、マンションの健康寿命の問題が各地で表面化するのはこれからです。

マンションの健康寿命も法的耐用年数のように○○年と具体的にわかればいいのですが、実際、住めなくなるその時になってみてないとわかりません。
ただ、マンションの管理組合がきちんと運営され、日々のメンテナンスが適正に行われていれば、マンションの健康寿命は延ばせます。よく言われる「マンションは管理を買え」という言葉は、暮らしやすいマンションの基準というだけでなく、長く住めるマンションの基準という意味もあるのです。

とはいえ、マンションの寿命は管理状態だけでなく様々な要素で増減します。
この記事をもとにマンションの健康寿命が決まる要素やチェック方法を確認して、マンションが長く住めるかどうかの判断にお役立ていただければ幸いです。

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