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借地権付きマンションのメリットデメリット
マンションの基礎知識

借地権付きマンションのメリット・デメリットとおすすめ条件

住宅価格が高騰している昨今、筆者が注目しているのが「借地権付きマンション」です。
その理由は、駅前などの好立地で比較的安く購入できる物件があるからです。

  • 賃貸感覚で設備の整った分譲マンションに住みたい方
  • 将来は実家に帰ることが決まっている方
  • とにかく便利な場所に住みたいとお考えの方

このようなご希望のある方には、もしかすると「借地権付きマンション」が合っているかもしれません。

ただ、借地権付きマンションと言っても種類は様々。
借地ってどうなの?と不安を感じる方もいると思います。

そこで今回、実際に中古マンションの取引を行っている筆者が今回、この「借地権付きマンション」のメリット・デメリットについて解説させていただきます。


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1.借地権の種別

借地権は借地契約をいつ締結したかによって以下の2つに分かれます。

  • 旧法が適用される借地権(以下旧法借地権といいます)
  • 新法が適法される借地権

新法と旧法についてですが、「借地借家法」が1992年8月1日に施行され、それ以前に締結された借地権は旧法が適用、それ以降締結された借地権は新法が適用となります。
また、後者は借地権の設定・内容によってさらに以下の2つに分かれます。

  • 定期借地権
  • 普通借地権

図にすると、このような関係です。
3つの借地権

この3つの借地権にはそれぞれメリット・デメリットがあり、この種別によって物件を選ぶときの注意点が変わってきます。一旦この3つの種別を覚えておいてくださいね。
詳しくは第3章にて説明いたします。


2.3つの借地権、その違いは?

3つの借地権の大きな違いは以下の3点です。

  • 借地契約期間
  • 借地契約期間満了後、更新できるかどうか?の有無
  • 借地契約更新後の期間

表にすると下記のようになります。

マンションの場合

 旧法借地権普通借地権定期借地権
契約期間30年以上30年以上50年以上
更新有り有り無し
更新後期間30年以上1回目20年以上

2回目以降
10年以上


3.契約期間満了後はどうなるの?

3-1.旧法借地権・普通借地権の場合

契約期間満了後は、土地を借りている方が更新を希望すれば、原則契約は更新されます
逆に、双方合意の上で契約更新をしないとなれば当然に借地契約は終了となります。

そして借地終了時には、原則、土地を借りる前の状態に戻す必要があります。
また、地主が借地を自身で使用する必要がある等、例外として、土地を借りている方が更新できない場合には、土地を借りている方は地主に対して建物を時価で買い取るよう請求することができます。この権利を「建物買取請求権」と言います。土地を借りている方がこの「建物買取請求権」を行使すれば、原則、地主は拒否できず建物を時価で買い取るようになります。

3-2.定期借地権の場合

定期借地権の場合は、土地を借りている方が更新を希望しても契約は更新されません。また、「建物買取請求権」を特約で排除できます(旧法・普通借地権の場合は契約時当事者間で合意しても排除できません)。
通常は、この「建物買取請求権」を特約で排除しており、契約期間満了後「建物買取請求権」が行使できません。


4.借地権付きマンションのメリット・デメリット

4-1.借地権付きマンションと所有権マンションとの比較によるメリット・デメリット

メリット

  1.  土地代がかからないため、物件価格が安い
  2.  固定資産税・都市計画税は建物のみのため安い

デメリット

  1. 金融機関によっては住宅ローンが利用できない
  2. 住宅ローンが利用できたとしても、借り入れできる金額が少ない場合が多い
  3. 毎月の地代及び更新料が必要

借地権付きマンションの最大のメリットは物件価格が安いことですが、土地を所有していないため、住宅ローンが利用しにくいというデメリットが一番の特徴になります。

4-2.3つの借地権、それぞれのメリット・デメリット

借地権付きマンションには3つの借地権があり、それぞれ性質が異なるため、メリット、デメリットにて比較してみました。

旧法借地権メリット
  • 契約期間満了後、借地契約を更新することが可能
  • 契約期間満了後、借地契約を更新される場合は、新法より契約期間が長く設定できる
デメリット
  • 契約期間満了後、地主が更新を拒絶する場合には訴訟になる可能性がある
普通借地権メリット
  • 契約期間満了後、借地契約を更新することが可能
デメリット
  • 2回目以降、更新期間が短いため、いつまでその物件に住めるかが不透明
定期借地権メリット
  • 契約期間が確定しているので、事前に計画を立てることができる
デメリット
  • 契約期間満了後、建物を解体する必要がある為、月々解体積立金等が必要になる
  • 契約期間満了まで残りわずかとなった時に、建物の修繕が必要となった場合、修繕するかしないかの協議に時間がかかるケースがある
  • 契約期間が残りわずかの場合、売却や賃貸に出すことが難しくなる (長く住めないため)

5.借地権付きマンションの確認すべき事項

ケース別必要書類
借地権付きマンションのお取引の場合、必ず確認いただきたいのが以下の2点です。

  • 土地について地上権設定契約が締結されているか?
  • 登記簿謄本に「地上権」の登記があるかどうか?

この地上権登記は、土地の登記簿謄本の乙区欄に記載されます。

「地上権」設定契約が締結されている(地上権の登記設定がされている)ということであれば、地主の承諾無しでそのマンションの売買をすることができますが、「地上権」設定契約が締結されていない場合(賃貸借契約である場合)には地主の承諾(譲渡承諾)が必要となります。
一般的には譲渡承諾書と言われる書面に地主の署名、捺印をいただくようになります。この書面をいただく際に、地主に別途、譲渡承諾料として数万円~数十万円程度をお支払する場合があります。

販売価格とは別に必要となる費用になり、いくらが適正なのか、また、売主が支払うものか、買主が支払うものかの決まりが無いため、トラブルになる可能性もあります。地上権設定契約ではない場合(賃貸借契約の場合)、いくらの譲渡承諾料が必要になるか、その支払は誰が支払うのか?事前に不動産会社に確認しましょう。


6.まとめ

以上のことから借地権付きマンションの中で最もリスクが低いのは

「旧法借地権」+「地上権設定契約有」

の借地権付きマンションではないかと思います。
また、私の経験上、旧法借地権の物件は比較的駅前立地に多いと思います。
このことから、

「利便性が高く、借地のため価格が安い」

という非常に魅力ある物件ではないかと思います。
さらに、借地権物件では地主が「神社、寺院」というケースも比較的多く存在します。個人や法人の場合と異なり、「神社、寺院」の場合では相続や倒産という将来リスクも低いことから、絶対ではありませんが、より安心できるのではないかと思います。

所有権マンションをお探しの方でご希望の物件がなかなか見つからない方は、借地権付きマンションも一度ご検討してみてはいかがでしょうか?

間取りや管理状況など、中古マンション選びでチェックしておきたい一般的な注意点は、こちらの記事も参考にしてください。

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