1日の疲れを取るためにも安らげる空間にしたい寝室。お気に入りの寝具やフレグランスなどを使う方法もありますが、照明を変えるのもひとつの手です。なぜなら照明は、部屋の雰囲気を変えるための重要な要素のひとつだからです。
そのためにダウンライトの導入を考えている方もいるのではないでしょうか。ホテルやマンションのモデルルームでも多用されているので、おしゃれな寝室へのイメージチェンジも期待できます。
しかし、一度設置してしまうと、簡単に付け換えることが難しいのがダウンライト。後々失敗したと後悔しないためにも、寝室にダウンライトを設置するメリットやデメリット、注意点をお伝えします。
ダウンライトの特徴と種類
ダウンライトは天井に埋め込むタイプの照明器具です。スポットライトのように、必要な箇所だけに絞って照らす役割で使われることが多く、部屋の中で明るさの違いが出る特徴があります。部屋全体を明るくしすぎず、あえて適度な暗さを演出する特徴のおかげで、リラックスし安眠しやすい空間をつくることができるので、体を休める寝室には最適です。
ひとくちにダウンライトといっても、光束・調色・調光機能の有無や、球交換ができるもの・できないもの……と、メーカーや機種によって様々な特徴があります。
光束 | 拡散型(比較的、全体を明るくするタイプ) | 集光型(一点を明るくするタイプ) |
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球交換 | 自分で電球を交換できる | 自分で電球が交換できない |
調色 | 調色(光色の調整)可能 | 調色(光色の調整)不可能 |
調光 | 調光(明るさの調整)可能 | 調光(明るさの調整)不可能 |
※調色とは「電球色」「温白色」「昼白色」等、電球の色を調整すること
※調光とは、明るくしたり暗くしたりと明るさの調整をすること
ダウンライトの特徴をもっと知りたい方はこちらもご覧ください。
寝室にダウンライトを取り入れる4つのメリット
メリット1|就寝時間が違ってもお互いの睡眠を邪魔せず安眠できる
部屋全体を明るくしないというダウンライトの特性を活かす使い方です。
例えば夫婦2人の寝室の場合、夫の足元側と妻の足元側にひとつずつダウンライトを設置します。そして、それぞれのダウンライトスイッチを別にしておけば、必要な箇所だけが照らされ、眠っている人の睡眠を阻害しにくい寝室ができあがるというわけです。
こんな方におすすめ
- 夫婦で就寝時間や起床時間が違う
- 夜中に授乳やおむつ替えをする
- 書斎スペースを作りたい
- 化粧スペースを作りたい
メリット2|照明器具に埃が溜まらず掃除が簡単になる
ダウンライトは天井埋め込み型の照明なので埃が溜まらず、お掃除の頻度を減らせます。
お布団やシーツなどのリネン類は埃が発生しやすく、その埃は照明器具にも溜まり定期的な掃除が必要になります。天井近くにある照明器具の掃除はなかなか大変ですね。ダウンライトなら、その掃除の手間が省けます。
こんな方におすすめ
- 掃除頻度をなるべく減らしたい
- 清潔に保ちたいが、忙しくて掃除の時間が確保しづらい
メリット3│天井すっきり!開放感と安らぎのある空間作りができる
ダウンライトは天井に埋め込まれているため、天井がより高く、お部屋自体も広い印象になります。お布団を片付ける際に照明器具が邪魔にならない点も嬉しいポイントです。
こんな方におすすめ
- 圧迫感を感じたくない
- 天井を高く見せて、開放的なお部屋にしたい
- 地震で照明が揺れたり、それが落ちたりすることに不安がある
- すっきりとしたシンプルなお部屋に仕上げたい
メリット4│おしゃれで安眠できる癒しの空間づくりができる
ダウンライトは部屋の中で明るさの違いが生じるので、雰囲気のある、おしゃれな空間をつくることができます。部屋全体が明るくなりすぎないので、落ち着いた安眠しやすい環境とも言えますね。
就寝前に読書をする方は読書灯を使うなど、用途別に他の照明器具と併用することでより落ち着いた雰囲気を演出できますし、節電にも繋がります。
こんな方におすすめ
- ホテルやモデルルームのようなおしゃれな寝室にしたい
- シックな雰囲気の寝室にしたい
- 程よく暗くして、落ち着いた寝室にしたい
落ち着いた雰囲気の寝室を作りたい方はこちらの記事もおすすめです。
ダウンライトの4つのデメリットと回避策
デメリット1│一度設置すると変更が難しい
ダウンライトを取り付けるためには、電気工事士の資格を持っている方に工事してもらう必要があります。したがって一度設置した後に場所を変更するとなると、業者を手配する手間や工事費用がかかるなどの負担があります。
デメリットを回避するには
- ダウンライト設置工事前に、ベッドや寝具を配置する場所を決めておく
- 明るさの調整ができる調光式のダウンライトを使う
デメリット2│イメージ通りに仕上げることが難しく、配置を間違えると眩しくて眠れないこともある
ダウンライトは全体ではなく一点を明るくする特徴があることは既に説明したとおりです。そのため設置に当たっては照明計画を充分に練ってからでないと、照らしたい箇所が上手く照らせなかったり、逆に意図しない場所が照らされて眩しくて眠れなかったりと、不便・不満が生じる可能性があります。
特に注意したいのが、注文住宅や新築マンションの変更工事の時。どこに家具を置いて、そしてどこにダウンライトを配置するかは、すべて図面からイメージして考えるしかないからです。
デメリットを回避するには
- 最低限、ベッドの配置場所だけでも決めておく
- 横になったとき、頭上にダウンライトがこないようにする
- 引掛けシーリングも併せて付けておく(イメージ通りでなかった場合に他の照明器具を取り付けることが可能)
デメリット3│交換時は業者に依頼する場合もある
ダウンライトには、自分で球が交換ができるタイプとできないタイプがあります。自分で交換ができないタイプは、電気工事士の資格を持っている方に交換してもらう必要があり、手間がかかることがあります。また寝室に人を入れることに抵抗がある方は、球の交換のたびに人が入ることになるので、心理的な負担にもなりそうですね。
デメリットを回避するには
- 自分で交換できるタイプを選ぶ
デメリット4│初期費用が高くなる場合がある
ダウンライトは1つでは十分な明るさが取れないので、複数設置することが一般的です。したがって設置数が増えれば増えるほど、費用がかさみます。また調色や調光ができるタイプは、別途リモコン代が必要となる場合があります。
(試算)8帖の寝室に6台の調光機能付きダウンライトを設置する場合
調光機能付きダウンライト(@18,000円):18,000円×6台=108,000円
調光機能に対応したリモコン:約5,000円~約15,000円
初期費用として約113,000円~123,000円程度が必要
※部屋の広さ・必要な明るさによって設置する台数は変わります
※クロスの貼替えなど、設置する箇所や建物の状況によって別途施工費が発生する場合があります
デメリットを回避するには
- 自分で球交換できないタイプ(できるタイプに比べて安価な傾向にある)を選択する
- 他の照明器具と併用し、ダウンライト設置台数を減らす
寝室にダウンライトを設置するための6つのポイント
取付け可能な位置を確認する
ダウンライトは天井に穴を開けて設置するため、梁などがある場所には一般的には設置できません。設置できる場所を把握してから家具の配置決めをし、その後にダウンライトの設置場所を考えるとスムーズです。
設置位置を決めるときは慎重に
天井埋め込みのダウンライトは一度設置すると別の場所に移すことが難しい照明のため、設置前の位置決めは非常に重要なステップです。真上から照らされてまぶしくて眠れない、というような失敗を避けるためにも、以下の順序で配置を考えると良いでしょう。
- ダウンライトを配置できない箇所を把握する
梁などがある場所は配置できない可能性があるので、住宅メーカーの方等に確認してみましょう。 - 寝室のレイアウトを考える
ベッドや布団の配置だけでも決めておきましょう。可能であれば、寝室に置く予定の家具の配置も考えておくとなお良いです。 - 足元や導線となる箇所に配置する
就寝時間や寝るまでの行動が異なる場合は、相手に配慮した配置にしましょう。
全体を明るくするには「拡散タイプ」 雰囲気を出すには「集光タイプ」を選ぶ
ダウンライトには大きく分けて、集光タイプと拡散タイプがあります。光の広がり方・部屋の照らし方が異なりますので、ご自身のニーズに合ったダウンライトを選びましょう。
- 集光タイプ
- 照らす範囲が狭く、より強い光で照らす特徴があります。壁に飾った絵画を照らすといった、強調したい一点を照らす為の役割として使用されることが多いです。より明暗の差が出る為、シックな雰囲気になります。
- 拡散タイプ
- 比較的広い範囲を照らすタイプ。ダウンライトを設置した周辺がやわらかく明るくなりますので、落ち着いた雰囲気になります。部屋全体を明るくしたい方や寝室を眠る用途以外にも使う場合には、拡散タイプがおすすめです。
用途に合わせて必要な台数を設置する。 困ったときは調光式がおすすめ
就寝するまでに、読書や仕事など作業をされる方とすぐに眠りたい方とでは、必要な明るさが異なります。自分のスタイルに合った明るさになるようにダウンライトの個数を調整しましょう。
一般的に、寝室全般では20ルクス、読書や化粧をする場合は500ルクスの照度が必要とされています(JIS照明基準総則)。ただ、実際に体感してみないと明るさが分からない方も多いと思います。お近くに照明のショールームがある方は、実際に体感してみるのもおすすめです。
ショールームってどんなところ?
企業が自社製品を展示し、お客様に製品を知ってもらうために設けられた場所です。照明のショールームの場合、明るさの違いを比較できるスペースや調光・調色タイプの製品を体感できるスペースがあることが多く、中にはダウンライトの配灯計画、照明器具による違いを案内してくれるショールームもあります。
寝室の使い方が未定の方は、光量を調整できる調光式のダウンライトがおすすめです。調光式を使うことで、そのときに合った明るさに調整できるので、のちに後悔する可能性は低くなるでしょう。
明るさについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
スイッチはリモコン式を選ぶ
忘れてはいけないのが、スイッチの設置場所です。枕元にスイッチを配置するか、リモコン式のダウンライトを選びましょう。
多くの場合、部屋の出入り口に設置されることが多いスイッチ。でも寝室の場合、布団にいながら消灯したいと思ったときに、わざわざ出入り口まで移動してスイッチを消すのは使い勝手が悪いですね。枕元にスイッチを配置するかリモコン式のダウンライトを選ぶことをお勧めします。
最近では、照明とスマートフォンやタブレットが連動した商品もあります。よりシンプルに、より使い勝手が良いようにとお考えの方は、対応のダウンライトをぜひご活用ください。
電球を交換するときのことを考えておく
最近では寿命の長いLED電球が使われるため、交換する機会は少なくなりました。しかし交換が必要になる可能性はゼロではありません。また、設置完了後に電球色や明るさを変えたい場合、調色・調光機能が付いていないダウンライトであれば電球の交換が必要になります。
自分で電球交換できるタイプは、こんな人におすすめ | 自分で電球交換できないタイプは、こんな人におすすめ |
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よくあるQ&A
Q1:ダウンライトって明るいの?暗いの?
A1: 選ぶ種類や設置台数によって異なります。
ダウンライトは部屋全体をまんべんなく明るくする照明ではないので、部屋全体を明るくするシーリングライトと比べる暗く感じる方が多いかと思います。明るくしたい場合は、拡散タイプのダウンライトを選ぶと良いです。
(右)6.2畳の部屋にシーリングライト1台設置
Q2:設置後に設置箇所を変更できるの?
A2:電気工事士の資格を持った方であれば工事が可能です。ただ梁などの関係で設置できない箇所もありますので、専門家にご相談ください。
Q3:賃貸や現在住んでいる持ち家でダウンライトが使用できない場合、何か方法はないの?
A3:引掛けシーリング対応のレール式照明を使うと、スポットライトのように照らすことが可能です。個数や照らす方向も変えられる商品があるので、自由に照らす場所を調整できます。
Q4:必要な設置台数は?
A4:ダウンライトの必要台数は、以下の式に当てはめるとおおよその台数が分かります。
お部屋の広さ×求める(必要な)明るさ÷使用するダウンライトのルーメン(lm)
一般的に寝室全般では20ルクス、読書や化粧をする場合は500ルクスの照度が必要とされています(JIS照明基準総則)。例えば7畳の寝室で読書ができる程度の明るさを確保するために、760lmのダウンライトを使う場合なら
7畳×500ルクス÷760ルーメン=4.605台
四捨五入して5台設置すると求める(必要な)明るさが確保できることになります。
※家具の配置や天井の高さによって異なります。参考程度にお考えください。
Q5:調光式を選んだ方がいいの?
A5:生活スタイルに合わせてお好みの明るさに調整できるという面では、使いやすいと思います。
しかし寝室を眠るだけの用途で使う方は、初期費用も増えるので、あえて調光式を選ぶ必要はないです。
Q6:ダウンライトとシーリングライト、どちらがいいの?
A6:初期費用をおさえたい方や寝室の使い方・レイアウトについて全く決まってない方は、シーリングライトの方が良いかと思います。夫婦で就寝時間が違う方や、お掃除を楽にしたい方、おしゃれな雰囲気を演出したい方はダウンライトをおすすめします。
Q7:ダウンライトだけ使う?それとも他の照明も併用する?
A7:ダウンライトだけだと暗いと感じられる場合は、必要な箇所に他の照明を併用して使うと良いです。
シーリングライトを併用して使う可能性がある場合は、引掛けシーリングを設置しておきましょう。
Q8:球を交換するときはどうしたら良い?
A8:自分で球交換できないタイプを使用している場合は、電気工事士の資格を持っている方を手配する必要があります。自分で交換できるタイプであれば、規格内の電球を購入すればご自身で交換可能です。
Q9:電気代は高いの?安いの?
A9:電気代は電球の種類によって異なります。以前は白熱電球が使われていたダウンライトも最近ではLEDが主流となっています。そのため、節電効果が高く従来のものに比べ電気代はかかりません。しかし、複数台ダウンライトを設置している場合や、スイッチのオンオフの回数が多い場合は費用が嵩みます。
まとめ
ダウンライトを寝室で使うメリット・デメリットを紹介いたしました。
就寝時間の違うご夫婦や天井をすっきり見せたい方、お掃除の頻度を減らしたい方にはおすすめです。取付けの際の注意点を参考にしていただき、ご自身の生活に合ったダウンライトはどれかお考えください。快適で落ち着ける寝室づくりにお役立ていただけたら幸いです。