住宅ローンは何歳で借りるのが良いのでしょうか?
住宅ローンを借りる為にはいくつかの条件があり、多くの方が資金面(収入や自己資金など)を重要視されているようですが、「年齢」はそれ以上に重要な条件です。
実際、国土交通省「住宅局」の調べた『令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』でも証明されています。金融機関が 融資を行なう際に考慮する項目では、「所有資産(17.1%)」「年収(95.7%)」といった項目を抑え「完済時年齢(99.0%)」がもっとも高い結果となり、続いて「健康状態(98.5%)」となっています。「借入時の年齢」も96.8%の金融機関が審査項目としてあげています。「年齢」は審査をするうえで重要な位置づけであると言えるでしょう。
(完済〈カンサイ〉・・・借りているお金をすべて返済し終えること)
データ元:令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書|国土交通省
今回は住宅ローンを借りるために知っておきたい年齢の条件や考え方をお伝えします。
住宅ローンを借りるうえでの参考にしてみてください。
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目次
1.住宅ローンを借りる年齢について
意外と知らない方が多いようですが、住宅ローンを借りるのには年齢制限があります。
住宅ローンを借りるために必要な年齢をまずは理解しておきましょう。
1-1.何歳からローンを借りられるのか
一般的には借入時の年齢が満20歳以上から71歳未満 が多いようです。
中には66歳未満までといった年齢制限のある金融機関や、三大疾病やがん特約などの保険付きのローンを借りる場合には50歳以下までといったローン商品があるなど、借入年齢の上限を低くするものもあります。
1-2.完済時の年齢には上限がある
完済時の年齢は満80歳までとしている金融機関がほとんどです。
住宅ローンの利用には団体信用生命保険への加入が必須条件である場合が多く、その保険へ加入できる年齢が80歳までであることが上限のある理由です。金融機関によっては75歳までを完済年齢としているところもありますので、すでに検討している金融機関がある場合はチェックしておくことをお勧めします。
1-3.「年齢」以外に気をつけること
完済時年齢が80歳までとなると、年齢60歳の人が返済期間20年で80歳までの住宅ローンを簡単に借りられるかというと、そうでもありません。住宅ローンを借りる際には年齢以外にも気をつけるべき条件がありますので、必ず押えておきたいポイントを3つ 紹介します。
- 一定の収入があること
- 安定した収入があることはローンを借りる上で大事なことです。一般的には年収150万円以上としている金融機関が多いですが、金融機関によってはそれ以上の基準としている場合もありますので確認が必要です。
- 勤続年数
- 短い勤続年数では安定収入があるとは判断されないようです。基準としては1年以上もしくは3年以上としている金融機関が多いようです。
- 借入状況
- 現在のカードローンや車のローンといった借入状況やこれまでの借入履歴・返済状況を確認することでちゃんとローンを返済してくれるのか判断します。そのため延滞履歴があると住宅ローンを断られる場合があります。
2.住宅ローンを借りる平均年齢
住宅ローンを借りる年齢を考えるうえで、住宅ローンを利用している人の平均年齢に注目してみます。
住宅金融支援機構が調べた『フラット35利用者調査データ(2020年度)』によりますと平均年齢は40.3歳 。
ライフスタイルの変化から以前に比べ結婚や出産時期が高齢化傾向になりつつあり、住宅ローンを借りる年齢も上昇傾向にあるようです。
ただ、年代別だと30歳未満が約15.3%、30歳台が約39.8%、40歳代が約25.4%、50歳代で約12.1%、60歳以上が約7.4%という結果となり、55%もの人が40歳になる前に住宅ローンを借りている ことが分かります。
(データ元)「2020年度フラット35利用者調査」|住宅金融支援機構
3.「45歳以上」でローンを借りる注意点
一般的に最長といわれる35年返済でローンを借りる場合、完済時年齢の80歳が上限となることを踏まえると45歳が借入をするリミットといえます。もちろん45歳を超えても住宅ローンを借りることは出来ますがいくつか注意すべきことがあります。
3-1.借入期間が短くなるデメリット
借入期間が短くなることは月々の返済額が高くなることや、借入できる金額が少なくなってしまうといったデメリットにつながります。
具体的な事例で考えてみます。
借入金3,000万円、返済期間35年、借入金利1%の場合、月々の返済額は84,685円となりますが、返済期間が25年だと借入金も金利も同じ条件で試算した場合の月々の返済額は113,061円となり、35年返済と比較して約3万円近く高い支払い になります。
また、月々の返済額を9万円に設定した場合(金利は1%)の借入額を試算してみると、返済期間35年の場合では借入額は約3,180万円、それに対して25年返済の場合では約2,380万円と800万円も少ない借入 となってしまいます。
高すぎる返済額や借入できる金額が少なくなれば検討できる住宅の選択肢を少なくさせることにも繋がってしまうのです。
3-2.団信加入のリスク
住宅ローンを借りる為には団体信用生命保険(以下、団信)に加入できることが条件となる場合が多く、健康状態によっては団信に加入できない場合もあります。
4.「完済年齢65歳」で考える
定年後の収入は年金のみとなる場合が多く、ローンの支払いをしながらの生活を不安に感じることは当然です。
最近では雇用延長制度も普及していますので60歳を超えても仕事をして収入が見込めます。35年返済で年金受給前の65歳までに完済を計画した場合は30歳までに住宅ローンを組むことが理想的です。特に自己資金を用意せずに住宅ローンで購入計画を考えている場合は早めの住宅ローン利用を検討すべきです。
4-1.「30歳を超えてから」借りる場合
最長35年という返済期間を短縮して65歳までの完済計画を立てることが考えられます。ただ、返済期間を短くすることは月々の返済額をアップさせる要因にもなりますので注意が必要です。自己資金を貯めている、夫婦ともに収入があるなど収入面に余裕のある方は検討してもよいでしょう。
自己資金がない場合では 、無理に短い返済期間に設定するのではなく月々の返済額が負担の少ない額になるよう返済期間を伸ばす方法が良い でしょう。なぜなら返済中に返済期間を延長することは金融機関の審査を受けることや様々な条件があるため非常に困難ですが、返済中に返済期間を短くすることは繰上げ返済をすることで自分のタイミングで返済期間を短縮することが出来ます。仮に当初の計画では完済年齢75歳になったとしても「完済させたい年齢」に返済しながら借入期間を短縮させる計画を立てることが重要です。
アットホームさんが調べた「住宅ローン完済」の実態調査によると、繰上げ返済の方法として「節約」「ボーナス」「退職金を充てた」といった項目が上位になっていました。「ボーナス」や「退職金」といった資金面については勤続年数が長いほうが計画しやすいため、年齢を重ねたからこそ出来る方法ともいえます。
まとめ
住宅ローンを借りるための条件はいくつかありますが、年齢については借入時満20歳以上で満70歳まで、完済時の年齢は満80歳までという制限があるため、金融機関によって若干違いはあるものの年齢によって何年借入できるのかが異なります。住宅ローンを借りるのであれば団信加入などの健康面や、定年後の支払い不安を軽減させるため65歳までに完済できるよう早めに住宅ローンの返済を始めることが理想的です。
また、収入面での目安としては日本の平均年収でもある「400万円(個人の年収もしくは夫婦とも働いている場合は二人の合計年収で)」を超えているようであれば住宅ローンを借りることを優先的に考えても良いでしょう。もちろん年収を多くしてから住宅ローンを借りるという選択肢もありますが、完済年齢が高くなってしまうリスクもでてくるからです。
まずは収入が多く見込める内(定年退職前)にローンを完済させることを基準に検討してほしいですが、返済中でも借入期間を変更することはできます。ご自身の年齢と収入にあった無理のない返済計画を考えてみましょう。