マンションの間取りで最も目にするのが「田の字型」と呼ばれる間取り。
- 玄関を入ってすぐに奥にまっすぐ伸びる廊下があり
- その両サイドに洋室が1部屋ずつ配置
- 廊下の突き当たりにはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)+もうひと部屋
という間取りのことです。間取り図を見たときに、漢字の「田」の字に見えることが「田の字型間取り」と呼ばれる理由。
おのずと部屋の配置が決まってくるので、どれも同じような間取りに見えるかもしれません。しかし実はちょっとした違いによって住み心地が格段に変わってくる間取りでもあるのです。
この記事では、分譲マンションの販売に長年携わる筆者がその知見を踏まえて、田の字型間取りの基礎知識、さらにライフスタイルに合わせた間取りの選び方を紹介していきます。
ありふれた間取りにだからこそ、多彩なライフスタイルに寄り添える田の字型間取りのメリットを発見してみてください。
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田の字型間取りとは、どんな間取りなのか
田の字型間取りの基本レイアウト
冒頭でもご説明したように、田の字型間取りは玄関から奥に伸びる廊下の左右に洋室、突き当たりにはLDKと洋室または和室ひと部屋が配置された、マンションでは最もよく目にするタイプの間取りです。
玄関からバルコニーまでの縦のライン、お部屋の真ん中にある水回り(キッチン・バスルーム)が配置される横ライン、その2つのラインで仕切られた形で居室とリビング・ダイニングが配置されているのが基本のレイアウトとなります。
廊下が長いのは面積がもったいない?
田の字型間取りは、玄関から突き当たりのLDKまでの長い廊下があるのが特徴。したがってほかの間取りと比べると、どうしても廊下が占める面積が大きくなりがちです。
その分実際の生活で使うお部屋や収納が狭くなってしまうことから、廊下部分はもったいないし、デメリットであるという意見もあります。
しかし廊下はお部屋とお部屋の緩衝帯の働きをしており、独立した空間をつくりだしています。無駄なスペースとか何だか味気ないと感じているのであれば、例えば壁面に絵を飾ってみるなどして、彩りをもたらしても良いかもしれません。
絵を飾ることは単なる彩りというだけでなく、住まう人の趣味や嗜好を映したギャラリーとして、空間に奥行きや深さをもたらす効用もあります。
外廊下型マンションの中住戸に多く採用されている間取り
外廊下とは、外気に解放された共用廊下のことです。田の字型間取りは、この「外廊下型」マンションの中住戸に採用されていることが多く、住戸の間口が6メートル程の長方形をしています。バルコニー側と外廊下側が開口部となります。
田の字型間取りは供給量が多く、また部屋の配置がほぼ決まっていることから、良く言えばシンプルな間取り、悪く言えばありふれた間取りでバリエーションが少ないという評価を受けがちです。そのため、間取りへのこだわりが強い方にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
しかし価格を抑えて間取りはシンプルに、家具や家電といったインテリアにこだわってお金をかけることができる間取りと考えることもできます。
各居室が外部に面していて自然採光が取り入れやすく、換気しやすい
各々のお部屋に窓があるので自然採光が取り入れやすく、また通風も良くなっています。
しかしその一方で、外廊下側のお部屋のプライバシー問題があります。つまり窓の外を人が通るため、廊下に面したお部屋の窓が開けにくいという問題です。
分譲マンションの場合、共用廊下を使うのは基本的にマンションの住民だけとはいえ、どうしても気になってしまいますよね。窓を閉めてエアコンで調整する手段もありますが、私はウッドブラインドを取り付けることをオススメします。
ウッドブラインドならお部屋のインテリアとも合わせやすく、隙間を調整することで室内は見えず、風の通りも確保できます!
画像で紹介!ライフスタイル別に見る、田の字型間取り事例
今は部屋数が多く欲しいが、将来的には家族構成が変わるかもしれない人向けの間取り例
家族の人数が多いので現在は部屋数を確保したいが、近い将来に子供が独立するなどして家族構成が変わる可能性が高い、といった人にこそ田の字型間取りは最適です。
LDK隣接のお部屋の扉をスライドドアやふすまにしておけば、閉めれば独立した部屋、解放すればリビングルームと一体になった部屋と、家族構成に合わせて使い分けることが可能です。
このようにLDK隣接のお部屋を、家族構成やライフスタイルに合わせて変形・活用できるのが田の字型間取りの強みです。
リビングの広さを重視したい人向け間取り例
LDK横のお部屋(赤線部分)をつぶしてリビングルームのスペースに充てることで、広々としたLDK空間を生み出すことができます。
部屋数をそれほど必要としない単身世帯の人や、家族の団欒をはじめとする、日常のほとんどの時間を全員がリビングルームで過ごす家族におすすめです。
広いリビングルームが欲しいが、和室も欲しい人向けの間取り例
広々したLDK空間は欲しいけれども、和室も捨てがたい。そんな人にこそ田の字型間取りはおすすめかもしれません。
LDK隣接の和室を開放して、一続きのリビングルームとして使うこともできます。
フローリングと畳を近い色に揃えて、差を付けないことで統一感のある空間を実現します。畳を琉球畳にしてモダンさをプラスすれば、ソファを置いても違和感のないインテリアに。
夫婦それぞれの書斎を確保したい人向けの間取り例
自宅で仕事をすることが多い、主に子供のいない共働きの夫婦なら、玄関に近いふたつのお部屋(青線部分)をそれぞれの書斎として確保し、LDK隣接のお部屋(赤線部分)を寝室にするプランもおすすめです。LDKから離れているお部屋なら、生活音を気にすることなく作業に没頭できますね。
この場合は、LDK隣接のお部屋が和室ではなく洋室のタイプを選ぶと、ベッドなどの家具が置きやすく使い勝手が良いです。
田の字型以外の間取りと、その違い
マンションの代表的な間取りは田の字型以外にも、南面3室・センターイン・2面採光(横長リビング)が挙げられます。特徴と、田の字型間取りとの違いを紹介します。
南面3室プラン
南面3室プランは、バルコニー側の間口が広く(構造物を支える柱と柱の間の距離が広い)、一般的に間口が7~8メートル以上あるワイドスパンに見られる間取りです。廊下を短くすることで室内の有効面積を広げたり、採光面積が広く日当たりのよいバルコニー面に3室を配置することができ、バルコニーを広く確保することができるのが特徴です。
田の字型と比較すると、南面3室プランはリビングとつながっているお部屋配置となるため、居住の独立性が低く、プライバシー性を重視される方は少々気になるのかもしれません。
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センターインプラン
センターインプランとは、住戸の中央部分に玄関を設けたタイプのことです。玄関から左右にお部屋とリビングが振り分けられていて、両面バルコニーが設けられていることが多く、通風や採光に優れているのが特徴です。
また、パブリックスペース(リビング・ダイニング・キッチンや客間など公的な空間)とプライベートスペース(寝室や浴室、洗面所など私的な空間)を分離しやすいメリットがあります。
田の字型と比較すると、センターインは玄関を住戸の中央部分に配置するため、リビングやお部屋から玄関が見えにくいため人の出入りが不透明です。また、建築費が高くなることから価格も高くなる傾向があります。
2面採光(横長リビング)プラン
2面採光(横長リビング)プランは、マンションの住棟の両端に位置する住戸にみられます。
角にあるため、2面あるいは3面に開口部をつくることができ、通風・採光面で優れているほか、間取りの自由度が高くなる、バルコニーが2方向または3方向についていたり、隣り合う住戸が少ないためプライバシー性が高いなどのメリットがあげられます。
田の字型と比較すると、2面採光、横長リビングは居住性の高さから人気があり、専有面積も広くなることから一般的に価格も高めに設定されます。また、住戸の三方の壁が外気に面していることから気温の影響を受けやすく、場合によっては冷暖房の光熱費がかかることもあります。
まとめ
「田の字型間取り」は、ライフスタイルの変化に柔軟に対応しやすい間取りのひとつではないかと思います。
この記事がマンションの間取りをご検討されている方に、少しでもお役に立てれば幸いです。
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