マンションの間取りといえば、あらかじめ用意されたタイプの中から希望に近いものを選ぶもの。だから多少は妥協しなくてはいけない——そんな風に考えている人が多いかも知れません。でも、新築マンションなら「収納スペースがもっと欲しい」「リビングを広くしたい」「和室があるといいのに…」といった希望を間取り変更工事によって叶えることが可能です。
しかし、販売会社や施工会社によっては間取り変更自体を受け付けていないこともありますし、工事受付の締切を過ぎていた場合も変更できません。また条件によって変更工事が不可能な場合もあるなど、留意しておくべき点がいくつかあります。
そこで今回は、現役マンション営業スタッフの筆者が「新築マンションの間取り変更」について解説いたします。当社のこれまでの施工事例(一部)も写真で紹介しつつ、できるだけ分かりやすくお伝えしてまいります!
間取り変更でできること
間取り変更ができると、自分や家族のライフスタイルにお部屋を合わせることができ、より生活しやすい住まいを手に入れることが可能です。新築マンションにおいてはどのような間取り変更ができるのか、当社施工例を参考に確認していきましょう。
画像はすべて過去の施工の一例です。物件によって仕様等は異なりますのでご了承ください。
間仕切りを撤去する
例えば3LDKのうちのひと部屋をなくして2LDKにするなど、間仕切り壁を撤去して間取りのレイアウトを変える工事です。

代表的なものが、リビングに隣接した部屋の間仕切りを撤去し、リビングダイニングのスペースを広くするというものです。
図面左側(3LDK)だとこのようなお部屋になります。
洋室(3)の間仕切りを撤去した場合はのお部屋はこちら。
広々としたダイニングキッチンスペースが確保できます。部屋数よりもリビングの広さを重視したい人にはおすすめの変更です。
和室を洋室に(または洋室を和室に)変更する
元々あった和室を洋室(または洋室→和室)に変更する工事も、間取り変更工事に含まれます。

左図面通りの和室があるお部屋はこちら。
右図面のように洋室に変更した場合はこちら。ふすまで仕切られるよりも、より独立したお部屋を確保することができました。
扉を変更する
扉の種類を変更することもできます。
代表的なものは、リビング横の洋室の間仕切りを撤去して引込戸や引違戸に変更する工事。普段は開けておいてリビングの一部として、閉めれば独立した部屋として使い分けるのが魅力です。

左図面通りのお部屋がこちら。
右図面のように、引き違い戸に変更した場合がこちら。扉を開け放てばリビングルームの一部として広々と使うことができます。
扉を閉めれば、独立したお部屋としても使用OK。
好みに応じた間取り変更(設計変更)
いままで紹介した3パターンの間取り変更は、販売会社が「メニュープラン」として、基本となる間取りとは別に選択できるようにあらかじめ用意していることもあります。
そういった間取り変更以外、例えば収納棚や本棚を造作するなど、自分で好きなように設計を変更する工事も間取り変更に含まれます。ただしこのような設計変更は、構造等の理由から対応可能なこと・不可能なことがあります。まずは担当者に相談してみましょう。
【あなぶき興産の施工例】間取り変更実例集
この章では、設計変更を含めた当社の間取り変更の実例を紹介します。
お部屋を思い切ってウォークインクロゼットに。大きな収納を作った例

4LDKの間取りを3LDKに変更しました。
洋室3・4を撤去し、大きなウォークインクロゼットを新たに増設。さらにリビングがより広くなるように、洋室3の位置も変更しています。その結果、リビングの形が長方形に近づいて、家具の配置もしやすくなりました。
このように洋室や和室を撤去し、収納を新たに造作することも間取り変更工事では可能です。
広々リビングで家族団らん。リビング収納も付けた例

家族が集まるリビングのスペースを広く取りたいという希望から、3LDKの間取りを2LDKに変更しました。
あわせて、クローゼットも可動棚2つに変更しています。子供がまだ小さいので、おもちゃや応急用品、おむつなどがすぐに取り出せるようにするためです。
和室をモダンにチェンジ。リビングルームと一体感を出した例
和室を自分好みに変更できるのも、間取り変更の魅力です。
和室を仕切る襖を撤去し、小上がりの和室の造作・畳を琉球風畳に変更したプランです。
小上がりの和室の魅力は、段差に座ってくつろぐことができること、またリビング全体に立体感をもたらすことができるところです。
また施工例のように、段差部分に収納を設けても便利です。琉球風畳も、様々な柄や種類・色があるのでインテリアのイメージに合わせてアレンジすることも可能です。
間取り変更の費用に関するFAQ


木村
例えば間仕切り撤去工事の場合、コンセントやスイッチの移設が必要か不要かだけでも費用は大きく変わります。また、施工会社や販売会社によっても異なります。
まずは見積りを依頼しましょう。


間取り変更をするにあたって、図面の変更や住宅性能評価書等の申請書類の再提出、他の部屋とは別の工事をすることによる施工管理などの経費が発生し、その経費が工事費用とは別にかかってきます。
これらの経費は、1つずつ具体的に記載されていることもありますし、総じて「諸経費」などの項目でまとめて記載されている場合もあります。また間取り変更の内容によっては経費が発生しない場合もあります。
費用の詳細は依頼した会社の担当者に確認することをおすすめします。
住宅性能評価書とは
国に登録された第三者評価機関が全国共通ルールのもと、住宅の性能を公平な立場で評価し、その結果を表示した書面です。従来はバラバラだった性能や仕様の表示方法が統一され、さらに住宅性能が等級・数値で表示されるので、住宅購入者が判断しやすいメリットがあります。
詳細はこちらの記事から。
住宅の性能を目に見える形にした「住宅性能評価書」その内容とは?


木村
材料費
建材や建具、壁紙など、選ぶものによって、費用がぐっと跳ね上がることがあります。
例えば片開きドアを引き戸に変更しする場合、通常の扉を選ぶかガラス戸を選ぶかで、金額は大きく変わります。
ドアには耐久力が求められるため、強度の強いガラスを採用しなければなりません。したがって通常の扉よりもガラス戸の方が費用は高くなるのです。
扉が規格外のサイズになる場合
クローゼットの造作や、サイズを広くするなどの変更をすると、扉の大きさが変わってきます。扉にも規格のサイズがあるので、変更によって規格外サイズが必要になると、特注品となり費用がかかります。
規格のサイズは、マンションに採用されている扉のメーカーによって異なるので、見積もりの際に担当者に確認してみましょう。
間取り変更時に注意すべきポイント
販売会社や施工会社によっては、工事自体を受け付けていないことがある
工期・工程など理由は様々ですが、販売会社や施工会社によっては、間取り変更をそもそも受け付けていない場合があります。
間取り変更を前提に新築マンション購入を考えている人は、最初に変更可能かどうかを確認しておきましょう。
変更可能なのは「専有部分」だけ
マンションは「専有部分」と「共用部分」に大別されます。専有部分とはお部屋の中(左図の赤枠部分)のことを指し、その他の部分、つまりエレベーターや階段・廊下・バルコニー・玄関扉の廊下側は共用部分となります。
間取り変更(変更工事)が可能なのは、原則として「専有部分」のみです。したがって、例えば玄関扉の色を変えたいと思っても、廊下側は共用部分となるので変更はできません。
専有部分に関する詳細はこちらの記事から。
マンションの専有部分を徹底解説!実例で見るトラブル回避法
変更工事の受付には締切がある
マンション全体の工程や部材の発注の兼ね合いで、間取り変更工事を受付できる期間は決まっています。一般的に新築分譲マンションは下の階から内装関係の工事が進んでいきますので、下の階のお部屋ほど締切は早く設定されていることが多いです。締切後に工事を希望しても、全体(他のお客様の部屋など)の工期がずれてしまうので、受け付けていない会社がほとんどでしょう。
水回りの位置(キッチン・トイレ・浴室など)を変更するのは難しい
水回りの位置の移動は、配管(排水)を通す空間の確保が必要です。床コンクリートに直接フローリング等の仕上げ材を貼りつける「直床」の構造の物はその空間の確保ができないので移動は基本的に難しいです。
フローリングと床コンクリートの間に空間を設ける「2重床」の場合はスペースの確保が可能ですが、変更対応できるかはマンションの構造や販売会社によって異なります。
売却や賃貸に出すことを前提に購入する場合は、大きな変更をしない方が良いことがある
将来的に売却や賃貸をすることを前提に、購入を考えている方もいると思います。
その場合には、特殊な間取り変更(例えば4LDKや3LDKを1LDKに変更するなど)は避けましょう。特殊な間取りはニーズが少ないので、買い手・借り手がつきにくい可能性があります。
まとめ
新築マンションの間取りは、それぞれの家族のライフスタイルに応じで変更できるのが魅力です。受付期間やできること・できないことに注意し、住みやすいお部屋にしていただければと思います。
また間取り変更を考えているけれど、良いアイデアが浮かばない・イメージがわかない方は、営業スタッフに相談してみることをおすすめいたします。