マンション購入の検討を始めると、必ず目にすることになる間取り図。特に新築マンションの場合は、実際のお部屋が完成する前に契約を完了することが多いので、間取り図を見て購入するかどうかを判断することになります。
したがって間取り図の見方を知ることは、マンション購入検討における重要なステップのひとつと言えるでしょう。
そこで今回は、初めてマンションの間取り図を見る方に向けて、見方と読み解き方を解説します。間取り図の見方が分かれば、実際のお部屋のイメージが膨らみ、マンション探しが楽になりますよ。お手元に図面集をお持ちの方は、実際に見比べながら読み進めてみてください。
マンションの部屋選びでお悩みの方へ
マンションの部屋選びでは、間取りや方角、階数など悩むポイントがたくさんあります。
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・生活スタイルから考えるお部屋の向き
・家事動線のよい間取りの選び方
間取り図を見るときに覚えておきたいこと
間取り図を見る際に、覚えておきたいことが2つあります。どの間取り図でも共通した表示のルールですので、最初に覚えてしまいましょう。
間取り表記と略語
間取り図を見る時に必ず知っておきたいことは、間取りの表記方法です。例えば2DKや3LDKといったように、数字とアルファベットの略語を組み合わせて間取りの構成を表現します。
数字 | 居室の数 |
L | リビングルーム(居間) |
D | ダイニングルーム(食事室) |
K | キッチン(台所) |
S | サービスルーム(納戸) |
つまり2DKなら「居室2つとダイニングキッチンがあるお部屋」、3LDKなら「居室3つとリビングダイニングキッチンがあるお部屋」ということになります。
S(サービスルーム)は別の表記になることもある
サービスルームは建築基準法で定められたた採光・通風の基準を満たしていないため、居室ではなく納戸として扱われる部屋のことで、「3LDK+S」(3つの居室、LDK、サービスルーム1つ)「1LDK+2S」(1つの居室、LDK、サービスルーム2つ)という風に表記されます。
また販売会社によっては「N(納戸)」や「DEN(書斎)」等と表記されることもありますが、基本的には同じものです。
S(サービスルーム)以外の略語
間取り図には、S以外の略語も見受けられます。代表的なものはこちら。
WIC | ウォークインクロゼット |
SIC | シューズインクロゼット |
CL | クロゼット |
STO | ストレージ(倉庫・納戸) |
PS | パイプスペース |
MB | メーターボックス |
基本的に間取り表記には登場しない略語ですが、クロゼットなどの収納スペースに関しては、広告などで「3LDK+WIC」(ウォークインクロゼット付きの3LDK)という風に記載されることもあります。またその会社独自の設備が+のあとに表記されている場合もあるので、分からない略語があれば不動産会社に問い合わせてみましょう。
LDK・DKは、リビング・ダイニング・キッチンがそれぞれ独立していない
LDKやDKという表記は、リビング・ダイニング・キッチン(またはダイニング・キッチン)の機能を備えた居室という意味ですので、実際にはそれぞれが独立した居室になっているわけではありません。
「リビング・ダイニング・キッチンとして活用できる機能と広さがある居室」という風に読みましょう。
居室の数 | DK | LDK |
---|---|---|
1部屋 | 4.5畳 | 8畳 |
2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
広さを表す単位(㎡数・帖数)
次に広さを表す単位について押さえておきましょう。
㎡(平方メートル)数
マンションの間取りの広さ(住居専有面積)は㎡(平方メートル)で表されます。メートルを日本の表記で「米」と書くことから、平方米という表記であったり、または平米と省略して表記されることもあります。
1平方メートルは「横縦1mの正方形の面積」と定義されますので、例えば70㎡のお部屋であれば、ざっくりと横が7mで縦が10mあるお部屋をイメージしてください。ちなみに私がお客様に説明する際は、一般的な学校の教室が約63㎡、バトミントンのシングルコートが約70㎡と案内しています。
マンションの間取りは壁芯(へきしん)計算といって、壁の中心から計測し、お部屋の広さ(住居専有面積)を計算します。平たく言うと壁の厚みもお部屋の広さに含まれているので、実際のお部屋の広さとは異なることに注意が必要です。
帖(畳)数
居室やリビング、ダイニングの広さは帖(畳)数で表記されます。
不動産広告のルール(不動産の表示に関する公正競争規約)で「畳1枚あたりの広さは1.62㎡以上(壁芯面積を畳数で割った数値)」と定められていますので、ほとんどの間取りにおいて1帖(畳)1.62㎡で計算されたものと考えて良いでしょう。
帖(畳)数 | ㎡数 | 参考 |
---|---|---|
1 | 1.62 | 100cm×160cm |
4 | 6.48 | 240cm×270cm |
5 | 8.10 | 270cm×300cm |
6 | 9.72 | 300cm×324cm |
10 | 16.20 | 300cm×540cm |
12 | 19.44 | 300cm×648cm |
15 | 202.5 | 405cm×500cm |
STEP1│マンションの全体像を把握する
間取りの見方の基本を押さえたら、実際に間取り図を見ていきましょう。
しかしいきなり検討する間取り図を見るのではなく、まずはマンションの全体像を把握することから始めます。検討中のお部屋がマンションの中でどの辺りに位置しているのかを知ることで、間取りの理解度が上がります。
マンションの階数・総戸数・間取りプランの数
マンションが何階建てなのか、全体で部屋がいくつあるのか、間取りの種類はいくつあるのかをざっくりで良いので把握しましょう。
特に間取りプランの種類が多いマンションでは、どの間取りがチェック済みなのかが混乱しがちになります。立面図や平面図を利用してマンション全体を把握します。
このマンションは15階建て、同じ階にAタイプからHタイプの計8部屋が並び、全体では112戸の部屋があります。なお1階はエントランスと駐車場で、住戸は2階以上になります。
立面図ではマンションの全体像や階数が確認できます。
平面図では1フロアに部屋が何戸あるのか、エレベーター・階段の場所を確認できます。
マンションの建っている方角・部屋の向き
続いて方角を確認します。マンションにおけるお部屋の方角とは、一般的にバルコニーがある方角を指します。南面にバルコニーがあれば南向き、東面にバルコニーがあれば東向きのお部屋、というわけです。
方角によって日当たりや眺望が変わるので、マンション購入を検討するにあたっては重要な項目。部屋の間取りを見る前に必ず確認しておきましょう。
確認には、図面の中に記載された方位図を見ます。方位図の矢印が指しているN(north)が北。
必ずしも図面の上側が北で、下側が南ではないことに注意が必要です。
その部屋がマンションのどの場所にあるか
最後に、これから見る間取りのお部屋がマンションのどの位置にあるのかを確認します。間取り図の号数表を見ながら探しましょう。
今から見る間取りが角部屋なのか中部屋なのか、また端から何戸目のお部屋なのかを把握してください。また平面図でエレベーターや階段までの距離がどれくらいあるのかも確認しておきましょう。
STEP2│お部屋の間取り図を見る
マンションの全体像が把握できたら、いよいよ間取り図を見ていきます。検討中の間取り図がお手元にある方は、見比べながら読んでみてください。
お部屋の面積を確認する
まずは広さ(面積)の確認をしましょう。間取りに記載している面積には(1)住居専有面積(2)アルコーブ面積(3)バルコニー面積 の3つがあります。マンション購入を検討する上で、お部屋の広さを比較する時は住居専有面積を見ていきましょう。
なお最初に解説したとおり、住居専有面積は壁芯計算されていますので、図の赤線のように壁の厚みも含まれます。
覚える必要はありませんが、図面集の最初のページや間取り図の下に記載された凡例を確認し、なにがどこにあるかを把握できるようにはしておきましょう。
玄関を見つけよう
実際にお部屋に入ったイメージを膨らますために玄関を見つけましょう。「玄関」と記載がある箇所を探してください。
LDK・居室・設備の場所と広さを把握する
次にLDKと居室、設備の位置を見ていきます。
居室(洋室または和室)の合計が間取り表記の数字と同じになっているかと、各居室の広さを確認しましょう。その後、トイレ・バスルーム・パウダールーム(洗面所。マンションによってはサニタリーの表記の場合があります)の場所を場所と広さをチェックします。
- シューズボックスやキッチン、洗面台等の設備のサイズは、間取り図中に「L=XXXX(数字)」と表記されます。Lはlength(長さ)、イコールから右の数字がサイズです。
例えばキッチンカウンターにL=2400と書かれていれば、2,400mm=240cm=2.4mのカウンターということになります。 - ユニットバスの大きさは、「1416」「1418」(例)と表記されます。「1416」なら1,400mm×1,600mm、「1418」なら1,400mm×1,800mmという意味。
扉の形状と位置を確認する
扉の種類には、大きく分けて開き戸・引き戸・折れ戸があります。各居室の扉は開き戸もしくは引き戸、クロゼットや収納庫への扉は折れ戸が採用されることが多いです。
窓の形状と位置を確認する
窓は大きさによって名称が変わり、「掃き出し窓」と「腰窓」のふたつに分けられます。
掃き出し窓は人が出入りできますが、腰窓は名前の通り腰の高さまでしかありませんので人の出入りはできません。腰窓の場合は間取り図中に「腰窓」と記載があるか、窓の姿図が載っています。掃き出し窓の場合は特に記載はありません。
窓の開き方も確認しておきます。開き方には「引き違い窓」と「開き窓」のふたつがあります。
開けることができない窓には「FIX」と記載されているので注意しましょう。
収納スペースの形状と大きさを確認する
収納スペースは、部屋を決める上で重要視される要素のひとつです。ひとくちに「収納」といってもクロゼットや可動棚等、形状もサイズも様々ですので、よく間取り図を確認しておきましょう。
クロゼット
各居室にある一般的なクロゼットです。間取り図の2重の点線箇所はハンガーパイプを表します。
ウォークインクロゼット
中に人が入れる広めのクロゼットです。スペースが広いので、お洋服以外の物も収納することが可能です。
シューズボックス
靴を収納するスペースです。棚の高さが変えられる可動式なら、ブーツや長靴等も収納可能です。
シューズインクロゼット
外履きのままで中に入れる広めのシューズボックスです。靴だけでなく。スポーツ用具やアウトドア用品の収納も可能です。
物入れ(可動棚)
家電や雑貨、日用品のストック等をまとめて収納できるスペースです。
収納(パウダールーム)
タオルやトイレタリー用品等を収納できるスペースです。
パントリー
食品や飲料、または調理器具や日用品を保管するスペースです。
天井の高さ・形状を確認する
天井の高さが均一ではないマンションもあります。「下がり天井」といって、梁などで天井の一部が下がっていることがあるのです。
下がり天井は、間取り図中で点線で示されます(点線を境に「梁型」や「下がり天井」の記載がある場合もあります)。
また横長のシーリングライトを設置する場合、下がり天井部分に当たる可能性があります。事前に細かな寸法を不動産会社に聞いておきましょう。
STEP3│日常生活と照らし合わてみる
一通り間取り図を見終えたら、入居後の生活を想像してみましょう。
居室の使い方を考える
日当たりが良い居室は子ども部屋に、広い居室は夫婦の寝室に……など、イメージを膨らませてみましょう。
生活動線の確認
日常生活を想像しながら、動線を確認しましょう。例えば、帰宅して玄関から洗面台に行くまで、洗濯物を洗濯機からバルコニーで干すまで、部屋のどこを通っていくのかといったことです。
間取り図に出入りできる箇所を書き込むと分かりやすくなりますよ。
家具の配置を考える
間取り図に記載された寸法を見ながら、家具の配置を考えていきましょう。
間取り図の寸法は壁芯計算です。実際の部屋のサイズとは異なりますので少し余裕をみておきましょう。
もちろん寸分違わぬシミュレーションというわけにはいきませんが、ザックリとでも間取り図に家具を配置すると、入居後の生活のイメージがより具体的になります。
幅 | 長さ | |
---|---|---|
シングルベット | 100cm | 200cm |
セミダブルベッド | 120cm | 200cm |
ダブルベッド | 140cm | 200cm |
ダイニングテーブル(2人掛け) | 80cm~100cm | 80cm~100cm |
ダイニングテーブル(4人掛け) | 120cm~150cm | 80cm~100cm |
ソファ(2人掛け) | 110cm~160cm | 60cm~80cm |
ソファ(3人掛け) | 200cm~220cm | 60cm~80cm |
テレビボード | 120cm~240cm | 35cm~45cm |
学習机 | 90cm~100cm | 50cm~60cm |
まとめ
図面の見方については、まずは間取り表記と間取りの広さを表す単位を理解すること。そしてマンションの全体像を把握したうえで、間取りを見ていく事が大切です。
しかし間取り図を見るだけで全ての特徴を把握できるわけではありません。実際に展示場やモデルルームへ足を運んで、間取り図と実際のお部屋を見比べながら住宅検討をしていきましょう。
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