※本記事は2018年5月時点の住宅ローン控除制度について解説しています。 |
1.住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は、個人の方が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等をされた場合に、その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後10年間にわたってローン残高に応じた金額が所得税等から差し引かれる(還付される)というものです。
正式には「住宅借入金等特別控除」といいますが、「住宅ローン減税」と言われることもあります。
この「住宅ローン控除」は、平成26年4月からの消費税率の引上げにあわせて、下表とおり大幅に拡充されています。
適用期間 | ~平成26年3月 | 平成26年4月~平成33年12月 |
---|---|---|
最大控除額 (10年間合計) | 200万円 (20万円×10年間) | 400万円 (40万円×10年間) |
控除率・控除期間 | 1%、10年間 | 1%、10年間 |
住民税からの控除上限額 | 9.75万円 / 年 | 13.65万円 / 年 |
【平成30年5月現在】 |
住宅ローン減税の控除額イメージは、下の表をご覧ください。
ポイントは、(1)or(2)or(3)の一番小さい額がその年の控除額となることです。

- 「住宅ローン控除」は、平成33年12月までに購入した住居に入居された方が対象となります。
- 「住宅ローン控除」は、給付金ではなく還付金です。
- 皆様が負担された税額以上は控除されませんのでご注意ください。
2.住宅ローン控除の条件は?
- 自ら居住すること
- 住宅ローン控除を受けられるのは「居住の用に供した場合」とされています。
住宅の引渡しから6ヵ月以内に、控除を受けようとするものが自ら居住する必要があり、居住の実態は各年の12月31日の住民票にて確認することとなります。
つまり、セカンドハウス・別荘・賃貸用住宅は対象外となります。 - 床面積が50㎡以上であること
- 対象となる住宅の床面積が50㎡以上であることが要件となっております。
この床面積の測定方法は不動産登記上の床面積と同じであり、戸建住宅の場合は壁芯、共同住宅の場合は内法により測定することとなっています。 - 住宅ローン償還期間が10年以上であること
- 債務者の年収が3,000万円以下であること
- 3,000万円を超える年は住宅ローン控除が利用不可。年収は給与の方は給与所得控除後の金額、確定申告をされる方は合計所得金額となります。
(中古住宅の場合)
次のいずれかに該当する住宅であること。
- 家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年以下であること
- ただしマンションなどの耐火建築物の建物の場合には建築された日からその取得の日までの期間「25年以下」が条件となります。
- 耐震性能を有していること
- 新築住宅の場合は、現在の建築基準法に基づき設計され、建築確認を受けていますが、中古住宅の場合、建築年代によっては現行の耐震基準を満たしていない場合があります。
このため中古住宅を購入する場合に住宅ローン控除を受けるためには、耐震性能を有していることを別途確認する必要があります。
- 耐震性能を満たす住宅にすること
- 耐震基準を満たしていない住宅は、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、居住の用に供した日までにその耐震改修により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされれば対象となります。

中古住宅の場合、上記のどれかに該当することが必要となります。
3.住宅ローン控除いくらもらえる?
皆様が一番気になるのは、実際いくらお金が返ってくるかという点だと思います。
まずは、下の表をご覧ください。

【平成30年5月現在】
年収と扶養人数別の所得税と住民税の納税額です。
この表より、おおよその納税額が分かるかと思います。
そこで、1章にある表を再度ご確認ください。その年の控除額は、1・2・3のうち一番小さいものになります。
ここで大切なのは、
- 所得税は還付
- 住民税は減税
である点です。
所得税は、そのまま指定した口座にお金がもどってきます。
住民税は、住民税は前年の所得に応じて翌年の6月以降に課税されるため、還付とはならず減税という事になります。つまり指定した口座にお金がもどってくるのではなく納める税金が少なくなるという事です。
では、いつお金がもどってくるのでしょうか?
初年度に関しては、確定申告が必要です。確定申告後の1ヵ月から2ヵ月の間に還付されます。
2年目以降は、会社の年末調整にて還付されますので12月か翌年1月の給与にて清算という企業が多いようです。
5.住宅ローン控除手続き方法は?
この章では必要書類と実際の手続き方法をお伝えします。
まずは必要書類です。下の表を参照ください。
必要書類 | 入手・依頼先 | 確認事項 |
---|---|---|
住民票写し | 市区町村 | 自ら居住(6ヵ月以内) |
残高証明書 | 金融機関等 | 住宅ローン残高 |
登記事項証明書 | 法務局 | 取得年月日 |
売買(請負)契約書 | 本人 | 住宅取得の対価の額 |
給与等の源泉徴収票 | 職場 | 所得税額等 |
(中古住宅の場合)以下のいずれか | ||
耐震基準適合証明書 | 建築士等 | 耐震性を有する |
既存住宅性能評価書 | 登録住宅性能評価機関 | |
既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書 | 住宅瑕疵担保責任保険法人 | |
【平成30年5月現在】 |
手続きに関しては、以下のとおりです。
住宅ローン控除を受けるためには、最初の年に確定申告が必要です。
マイホームを購入した翌年3月15日までに上記の必要書類をそろえて税務署へ提出します。
給与取得者の場合は、2年目以降は勤務先の会社が年末調整の際に計算してくれます。
毎年金融機関から送られてくる「残高証明書」や確定申告後に税務署から送られてくる「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出してください。
自営業の方は、毎年確定申告をする必要があります。
まとめ
マイホームを購入することで、このような優遇措置が受けることができます。
低金利恩恵、住宅ローン控除を上手に活用して、マイホームの検討を開始される方が増えてきています。
皆様のきっかけのひとつになれば幸いでございます。
2019年10月1日からの住宅ローン控除新制度については、こちらの記事をご覧ください。