春の味覚のイチゴ。最盛期を終え、旬の名残りとなる4月下旬から5月上旬は価格も落ち着き、甘味のギュッと詰まった小粒なものが出回ります。
そのままでも美味しいイチゴですが、小粒なイチゴは手仕事にももってこい。おうちでひと手間加えて楽しんでみませんか?
今回は基本のジャム作りから、その副産物を活用した簡単美味しいアレンジスイーツレシピをご紹介。余すところなく、イチゴを味わい尽くすアイデアをお伝えします。
イチゴの準備
美味しいイチゴの見分け方
せっかくいただくなら、美味しいイチゴを選びたいですよね。
美味しいイチゴの見分け方のコツは……
- ヘタが反っている
- 果皮のつぶつぶが赤い
- ヘタの下まで実が赤い
この3つ。実はこれ、イチゴの完熟のサイン。
イチゴは追熟しないうえ、鮮度が高いほど香りが強いので、手にする際はすでに完熟した新鮮なものを選ぶのがオススメです。
- ヘタが反り返っている
- 果皮のつぶつぶが赤い
- ヘタの下まで実が赤い
- つやつやとしてハリがある
- ヘタが下向きだったり、しおれている
- 果皮のつぶつぶが黄色or黄緑色
- ヘタの辺りが白い
- 表皮がくすんでいてハリがない
また、イチゴは非常にデリケート。果皮に傷がつくと、そこから痛みやすくなってしまいます。取り扱いにも注意しましょう。
下準備(洗い方)
美味しいイチゴが手に入ったら、次に重要なのは洗い方。
特にヘタと実の間には、花弁や毛羽などの細かな汚れが付着しています。
イチゴに対してなるべく大きな容器を用意し、たっぷりの水を張った中にイチゴをそっと入れ、手のひらで軽く押してイチゴを泳がすようにして汚れを落とします。
ポイントは、先に水を張っておくこと。
空のボウルにゴロゴロと入れて水道から水を注ぐと、水圧で実が潰れたり水流でイチゴ同士がぶつかって傷がついてしまうことが。傷がついた状態で洗浄すると、浸透圧で水が入り込み、実がグズグズになってしまいます。
洗ったあとは、両手でやさしくすくい、軽く振って水気をはらってから、ザルやキッチンペーパーを敷いた器で水切りをします。
基本のいちごジャムの作り方
イチゴの手仕事といえば、ジャム!
保存もでき、アレンジも利くので、ぜひ作っておきたい一品です。煮詰めているときに甘い芳香が部屋いっぱいに広がるのも、手作りの醍醐味のひとつ。
材料も少なく、簡単な手順で作れますが、真っ赤に色よく仕上げるには、ちょっとしたコツがあります。今回は鍋で作る方法を紹介します。
材料(200mlビン 2本分)
- イチゴ……2パック(約600g)
- 砂糖……イチゴの重量の60%(約360g)※イチゴの甘みが強い場合は50%程度に減らしても可
- レモン汁……大さじ2杯分
準備するもの
- 大きめの鍋(小鍋だと沸騰時に吹きこぼれるので、イチゴを入れても10cmほど高さに余裕のあるもの)
- ヘラ
- お玉
- 消毒したビン(保存用)
- 口の大きなビン(アク取り用)
作り方
- 洗ってしっかりと水気の切れたイチゴのヘタを取りって鍋へ入れる
砂糖を入れて軽く鍋を振りイチゴに砂糖を全体的にまぶしたら、一晩置く(時間がない、あるいは、粒感の少ないジャムがお好みの場合は、手やマッシャーでイチゴを潰してから砂糖を加えて、一晩置かずに(2)の手順に移ってもOK) - 果汁が出た(1)を強火にかけ、焦げないようにヘラで混ぜ続ける
- アクが出てきたら汁気ごとお玉ですくい、アク取り用のビンに移す
- とろみがつき艶が出るまで煮詰まったら、レモン汁を加えてよくかき混ぜ、火を止める
- 消毒したビンに9分目まで入れて硬く蓋をし、ひっくり返して荒熱が取れるまで置く
色よく仕上げるコツは「分量」と「強火で一気に煮詰める」という2点。
煮詰めるというと、じっくりコトコト……というイメージが強いですが、ジャムの場合は別です。
また、一気に大量に作ろうとすると、煮詰まるまでに時間を要してしまい、茶色がかった仕上がりになってしまいます。少量のイチゴで、水分を手早く飛ばすのが、鮮やかな赤いイチゴジャムにするポイントです。
そのアク捨てないで! 副産物いちごシロップ
ジャムを作る工程で出るアク(前項手順3)ですが、そのまま捨てるのはもったいない!これがアレンジ自在のシロップとして活用できるんです。
準備するもの
- カレースプーン
- ジップロック
作り方&保存方法
- ジャム作成工程3の液を、瓶の口を開けたまま荒熱が取れるまで放置する
- 蓋をして冷蔵庫で3時間ほど冷やす
- 浮いている固まったアクを、スプーンの底面でなでるように吸い付けて捨てる
出来上がったシロップは、かき氷にかけたり、炭酸水で割っていちごソーダにしたりと、活用法がたくさん!
保存は冷蔵庫に入れて1ヵ月程度可能。長期保存したい場合はジップロックに入れて平らに凍らせておき、使うときに必要量を割るようにすると便利です。
こどもと一緒に作ろう! 自作ジャム&シロップを使った簡単アレンジいちごスイーツレシピ3種
パンに塗ったり、パンケーキに添えたり、ヨーグルトの味付けに……といった王道の食べ方もいいですが、ひと手間加えてスイーツにするのもオススメ。
お子様に人気で、かつ親子で作れる簡単なアレンジをご紹介します。
いちごミルク
材料(1杯分)
- 自作シロップ……大さじ1(15cc)
- 牛乳……150cc
- イチゴ……適量(飾り用)
作り方
- グラスにシロップを注ぎ、牛乳を加え、よく混ぜる
- イチゴに切れ込みを入れ、グラスの淵に差して飾る
自然なイチゴの香りが美味しい、とっても簡単なドリンクです。タピオカを入れても◎。
ストロベリーアイスクリーム
材料(450mlビン1本/2人分)
- 生クリーム(乳脂肪分45%以上のもの)……200cc
- 手作りシロップ……大さじ2
- 手作りジャム……大さじ2
- イチゴ(小粒)……3~5個
作り方
- イチゴはヘタを取り、ビンに材料をすべて入れ、蓋をしっかりと締めてよく振る
- 全体が混ざったら、冷蔵庫で3時間冷やす
フリフリとシェイクするのが楽しくて簡単なアイスクリームです。シロップ、ジャム、生の3種のイチゴを使うことで、イチゴの芳香が際立ってシャリッと爽やかな味わいに。
固まりが緩やかであれば、再度かき混ぜて1時間ほど凍らせる時間を増やしてみてください。
いちごミルクプリン
材料(100cc容器6個分)
- 牛乳……500cc
- 手作りシロップ……50cc
- アガー……8g
- 砂糖……30g
- イチゴ……3粒(ヘタを取って縦2つに切る)
作り方
- アガーと砂糖を混ぜる
- 鍋に牛乳とシロップを入れて混ぜ、(1)をダマにならないようにかき混ぜながら少しずつ入れる
- 弱火にかけて、かき混ぜながらゆっくり煮溶かす
- 軽く沸騰したら火を止めて、容器に注ぎ、スライスしたイチゴを浮かせて、ラップをして冷やし固める
混ぜて火にかけ、固めるだけ。アガーを使うことで固まるのが早く、サッパリとした口当たりに仕上がります。
個分けにせず大きな容器で作ると、インパクト大!パーティーのデザートにも最適です。
ステップアップ編 自作ジャム&シロップを使ったアレンジいちごスイーツレシピ3種
今度はレベルを上げたイチゴスイーツレシピです。道具や手順が増えますが、満足感◎間違いなしですよ。
いちごヨーグルトムース(直径15cmケーキ型1台分)
材料
<土台>
- ビスケット……15枚(約80g)
- 無塩バター……40g
<ムース生地>
- 自作イチゴジャム……大さじ3
- 自作イチゴシロップ……50cc
- 無糖ヨーグルト……200cc
- 生クリーム(乳脂肪分35%前後)……150cc
- 砂糖……30g
- 粉ゼラチン……13g
- 水……大さじ3
- イチゴ……好きなだけ ※飾り用
- ホワイトチョコレート(板状)……好きなだけ ※飾り用
作り方
下準備
- 粉ゼラチンに水を加えふかやしておく
- 型に合わせてクッキングシートを切り、セットしておく
- イチゴは大きめに刻む
- ホワイトチョコをスプーンで削っておく
- バターは溶かしておく(電子レンジ600wに50秒かけてかき混ぜる)
- 湯煎用のお湯を60℃程度に沸かす(水を入れた鍋を火にかけて、鍋底に小さな気泡が出てきた頃が適温)
- ビスケットをポリ袋に入れて、麺棒で叩いて細かくする。均一になったら溶かしたバターを加えてよくもみ、まとまるようになったら型底に押し固める。底が平らなグラスで均すと楽。できたら冷蔵庫で休ませる
- ゼラチンを湯煎にかけて溶かす
- イチゴジャム、イチゴシロップ、ヨーグルトをボウルに合わせ、ムラがなくなるまでよく混ぜる
- 生クリームと砂糖を合わせて8分立てに泡立てる。
- (3)のボウルに(2)を入れてよく混ぜ、(4)を入れて手早く混ぜる。
- 容器に(5)を注いだら、冷蔵庫で2時間ほど冷やし固める。仕上げに刻んだイチゴ、ホワイトチョコレートを飾る
ふわっと爽やかなムースです。イチゴとヨーグルトの酸味にホワイトチョコレートのコクと甘さがいいアクセントになります。
4~6の作業は生クリームの泡が消えないよう、スピードが命。
クレームダンジュ
材料(4人分)
- 無糖ヨーグルト……1パック(約300g)
- クリームチーズ……200g
- 生クリーム(乳脂肪分35%前後)……200cc
- 砂糖……35g
- 塩……ひとつまみ
- 自作イチゴジャム……ティースプーン8杯分
作り方
下準備
- ヨーグルトは一晩水切りをしておく
- クリームチーズは常温に戻す
- クリームチーズをボウルに開けて泡だて器で練り、なめらかになったら水切りしたヨーグルト、塩を加え、よく混ぜる
- 別のボウルに生クリームと砂糖を入れて10分立てまでしっかり泡立て、(1)と合わせ、4等分にする
- 直径10cm程度の器にキッチンペーパーを被せ、(2)で作った4等分の1個分の2/3量をペーパーに載せ、真ん中をくぼませる。その穴にジャムをティースプーン2杯分注ぎ、生地の残り1/3量を被せ、ガーゼをねじってビニールタイで留める。残りも同様に作る
- 網をのせたバットに並べて2時間ほど置く
クリームチーズのコクとヨーグルトの酸味が美味しいクレームダンジュ。中を割ったときのジャムが出てくるサプライズが楽しいデザートになっています。
完成までに時間要しますが、作業自体はシンプルなので、意外と簡単にできますよ。
ダブルいちごシフォンケーキサンド
材料(19cmシフォンケーキ台/6個分)
- 自作イチゴシロップ……50cc
- 玉子(L玉)……4個
- 砂糖……40g
- 薄力粉……80g
- サラダ油……大さじ2
- ホイップクリーム……適量
- イチゴ……適量
作り方
下準備
- 玉子を黄身と白身に分けておく
- オーブンを170℃にあたためておく
- 卵黄の入ったボウルに砂糖の大さじ1程度を取り、ザラつきがなくなるまでホイッパーで混ぜる
- (1)にサラダ油を細く注ぎながら混ぜ、白っぽくとろみがつくまでしっかり混ぜる
- (2)にイチゴシロップを入れ混ぜ、薄力粉をふるい入れ、粉っぽさがなくなるまで手早く混ぜる
- 別のボウルで卵白を泡立てる。残りの砂糖を3回に分けて入れ、ピンとツノが立つまでしっかり泡立てる
- (4)をひとすくいして(3)に混ぜ、均等になったら(4)に一気に入れ、ゴムベラで卵白の泡を潰さないよう切るようにして、均一になるまで手早く混ぜる
- 型に流し込み、表面をならしてから型を2~3回軽く落として空気抜きをし、予熱済みのオーブンに入れて30分焼く。
- 焼き上がったら、ワインの空きビンなどに刺してひっくり返して冷ます
- 中まで冷えたら型から外し、6等分に切り分け、内側に切れ目を入れたところにホイップクリームとイチゴを挟む
卵黄の色が強いため一見普通のプレーンに見えますが、口に含むとシュワッと弾ける食感とともにイチゴの香りが広がるシフォンケーキです。そのままでも美味しいですが、サンド風にデコレーションすることで、贅沢スイーツに大変身。
焼き縮みを防ぐため、型はアルミ製か紙製のものが最適です。
生クリームはわざわざ泡立てなくても、冷凍ストックを利用すれば手軽にできます。
まとめ
ひとつの食材から、たくさんのバリエーションで堪能できるイチゴ。ベースとなるジャムを手作りすることによって、さらに使いやすくお料理の幅が広がるはずです。また、なかなか外出がままならないこの時世に、旬の手仕事は、おうちに居ながらにして歳時を感じられる楽しさも。
みんなに人気のいちごスイーツ、ぜひ試してみてくださいね。
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