気温や湿度が上がり食べ物が傷みやすい季節、この時期に便利な食材の保存方法が「冷凍」。日々の余ったおかずや買い過ぎた食材はとにかく冷凍しているというご家庭は多いと思います。
なんとなく実践している食材の冷凍保存には、時短・風味アップ・保存期間を伸ばして使い切りできるようになるなど、実はメリットがいっぱい!忙しい毎日の強い味方です。
今回は、食材の便利な冷凍ワザをご紹介します。
食材の鮮度を保つだけでなく、時短やラクで美味しいメニュー作りに冷凍保存を活かしてみましょう。
1.食材の冷凍ワザ、これが大原則
食材を冷凍保存する際、一番大事なことは空気をシャットアウトすることです。食材は空気にふれると酸化が始まり、乾燥してしまいます。例えば、肉や魚はパックに入っていますが、そのまま冷凍しては空気にふれてしまうのでNG。必ずパックから出して、ぴったりとラップで包み、フリーザーバッグなどに入れてできるだけ空気を抜いて冷凍しましょう。「冷凍焼け」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは食材が乾燥してしまうことで劣化してしまうことを言います。冷凍焼けを防ぐためにも密閉することを心がけましょう。
冷凍した食材を美味しく食べることができる期限は約1ヵ月と言われています。日持ちは食材によりますが、変色してしまったり、霜がついている場合は、味も悪くなっている可能性があるので注意してください。また、一度解凍した食材を再冷凍することはおすすめしません。菌が増える可能性があり、味も落ちてしまいます。再冷凍を避けるためにも、小分けにして冷凍を心がけ、食べきるなどの工夫をしましょう。
2.あると便利!メイン食材の「肉」の冷凍ワザ
買い物に行けない日でも、ボリューム満点な肉を使ったおかずを作ることができるよう、冷凍保存でストックしておくと便利です。肉の冷凍ワザをマスターしておけば、時間があるときや安いときにまとめ買いをしても美味しく保存することができます。
2-1.肉の冷凍保存は「とにかく使いやすい!」が大事
肉を冷凍するときは、とにかく使いやすい形で冷凍することが大事です。その為には、それぞれの肉に合った冷凍保存の方法を覚えておくと良いでしょう。
ミンチ(挽き肉)
ハンバーグや餃子など、子どもが大好きなメニューに欠かせないミンチ。使い切ることを考えると、小分けにしておくと便利です。おすすめの冷凍保存方法は、フリーザーバッグにまとめて入れ平らにした後、上からお箸などを押し付けるようにしてブロック状に分けておきます。こうしておけば、使うときに折るようにして少しずつ使うことができるので使い勝手が良いです。
鶏ささみ
ささみの筋は冷凍すると固くなり、解凍して調理しても口当たりが悪くなってしまうので、予め筋はとってから冷凍しましょう。
豚こま
豚こまのような細切れ肉は間に空気が入りやすいので、なるべく薄くしてラップで密閉してから冷凍しましょう。
ブロック肉
かたまりのブロック肉は厚みがあり、どうしても均一に解凍するのが難しくムラになりがちです。使いやすくしておくために、予めゆでてから冷凍するのがおすすめ。香味野菜(生姜やネギなど)と一緒にゆでておくと臭みもとれます。
レバー
傷みやすく臭みも強いレバーは冷凍保存できないと思われがちですが、調理してから冷凍すれば大丈夫!臭みをとるために、水洗いしてから30分~1時間ほど牛乳に浸けましょう。下処理をしたら、フライパンでさっと焼いて。こうして冷凍しておけば解凍しても臭みがなくすぐに食べられます。
2-2.肉をレベルアップさせる冷凍保存ワザ
ひと手間かけて冷凍保存することで、肉をレベルアップさせることもできます!
マイタケと一緒に冷凍
お肉をやわらかくする肉を冷凍保存するときに、マイタケを一緒にいれると安い肉をやわらかくすることができます。これはマイタケに含まれる酵素が肉のタンパク質に作用するため。マイタケの香りが移ってうまみもアップします!
下味をつけてから冷凍
保存期間を長くする冷凍保存した肉は2週間ほどで消費するのが理想ですが、まとめ買いなどで保存期間を長くしたいときは下味をつけてから冷凍保存して。1ヶ月は美味しく食べることができます。下味が染み込み、解凍後も味付けの手間なく使えるので便利です。
3.「魚介類」の冷凍ワザでメニューのバリエーションを増やそう
鮮度が気になる魚介類は、まとめ買いを敬遠してしまいがち。時間がないとその都度買いにも行けず、食卓に上ることが減ってしまいます。まとめ買いをしても美味しく冷凍保存でき、魚介類を使ったメニューをさっと作ることができれば嬉しいですよね。栄養豊富な魚介類を子どもに食べさせることができ、メニューのバリエーションも増えて、一石二鳥です。
3-1.鮮度が大事な魚介類こそ冷凍保存ワザに注目!
冷凍保存した魚介類はどうしても臭みが気になり、味が落ちるような気がしてしまうもの。家庭ではお店のように急速冷凍することができないのである程度は仕方ないのですが、それぞれの魚介類にあった下処理をしてから冷凍保存することで鮮度や味を保つことができます。
魚の切り身
魚の切り身を解凍した時に感じる生臭さは、冷凍する際にドリップと呼ばれる水分が出てしまうためです。これを解消するためには塩が効果的。切り身に塩をふって、しばらく置いたのち切り身から出た水分を拭き取って冷凍しましょう。
魚を一尾まるごと冷凍
一尾まるごとで買うことも多いアジやイワシなどは密閉できる容器に一尾まるごと浸かるくらいの水と一緒に入れて冷凍してしまいましょう。氷漬けにするイメージです。
エビ
エビも魚を一尾まるごと冷凍するときと同じように、密閉容器に水と一緒に入れて氷漬けに。一尾ずつラップに包む手間が省け、乾燥も防げるので鮮度を保つことができます。
まぐろ
まぐろは変色が目立つので、漬けの状態で冷凍保存がおすすめです。漬けにしておけば酸化や乾燥も防げるので傷みにくく、解凍してすぐに食べることができます。
しらす、じゃこ
しらすやじゃこは酸化するスピードが速く、冷蔵庫の中で劣化しがち。買ったその日のうちに使わない分はすぐに冷凍してしまいましょう。空気をしっかり抜くことができるフリーザーバッグなどを使えば、ラップに包まなくても大丈夫です。
海苔、昆布
海苔や昆布といったものは湿気で風味が落ちてしまうので、長期保存したい場合は冷凍保存が向いています。
3-2.冷凍保存ワザのひと工夫で魚のメニューもあっという間
冷凍保存する際にひと工夫しておくと、晩御飯作りの大幅な時短も可能です。応用が利くのが、下味をつけてから冷凍保存する方法。ブリやカジキ照り焼き、サバの味噌煮も、下味をつけて冷凍しておけば、あとは食べる時にそのまま煮たり焼いたりするだけ。解凍する手間もないのであっという間に食卓へ。
また、魚のフライならパン粉をつけた状態で冷凍保存しておくと、解凍せずにそのまま揚げることができるので便利。同じように、ムニエルなら小麦粉をつけたところまで下処理をして冷凍して。パン粉や小麦粉をつけた状態で冷凍することで、乾燥が防げてうまみも逃げにくくなります。
こうして冷凍保存の際にひと工夫しておくと、平日の忙しい夜も魚のメニューを作ることができます。魚料理のハードルもぐっと下がりそうですね。
4.子どもに食べさせたい野菜は冷凍ワザで使いやすく常備
できれば子どもに毎日食べさせてあげたい野菜。これも鮮度が気になります。野菜ごとの正しい冷凍ワザを覚えて、野菜を上手に保存しましょう!
トマト
トマトはラップで包めばまるごと冷凍できます。煮込み料理やスープにそのまま使えてとても便利。凍ったままの状態ならすり下ろすこともできるので、トマトの冷製パスタもすぐに作れます。
キャベツや白菜などの葉モノ
葉モノ野菜は、カットしておけば冷凍保存しても鮮度を保つことができます。キャベツや白菜はなかなか一度に使い切ることができませんが、残った分はざく切りにしてフリーザーバッグに入れ冷凍庫へ。こうしておけば変色を防ぐことができます。
ほうれん草、いんげん
ほうれん草やいんげんはそのまま冷凍保存すると色が悪くなってしまいます。冷凍保存するときは、軽く下ゆでしてから冷凍しましょう。下ゆですることで、食感や風味も保つことができます。小松菜やチンゲン菜は下ゆでせずそのまま冷凍保存しても大丈夫。
キノコ類
キノコは冷凍することでうまみが増す野菜!解凍することなく、そのまま調理できる冷凍保存に向いている野菜です。キノコのかたまりをほぐし、いしづきを取ったら、フリーザーバッグへ。数種類のキノコを混ぜて冷凍しておいてもOK。使い勝手が良いので、冷凍庫に常備しておきたいですね。
アボカド
気がつけば熟れすぎて黒ずんでしまうアボカド。これは冷凍ワザで防ぐことができます。おすすめは丸ごと(皮のまま)冷凍する方法。ポイントは食べごろの状態で冷凍することです。冷凍庫から出して数分置くだけでカットできるので解凍の手間もありません。
玉ねぎ
玉ねぎはみじん切りにして冷凍保存しましょう。冷凍することであめ色の炒め玉ねぎも簡単に作ることができます!冷凍することで玉ねぎの繊維が壊れるため、生のままの玉ねぎを使うよりも短い時間であめ色に仕上げることができるのです。炒めた玉ねぎは使い勝手が良いので、みじん切りにして冷凍庫に常備しておきたい野菜です。
もやし
すぐに傷んでしまうのが悩みのもやしも冷凍保存すれば長持ちします。一度水洗いをした後、しっかりと水気を切ったらそのまま冷凍保存できます。しっかりと水切りをしておけば、冷凍した状態でもほぐれるので、まとめて冷凍しても大丈夫。解凍せずにそのまま調理できます。
大根
大根はそのままではあまり冷凍保存に向きませんが、すりおろしておけば問題なく冷凍保存できます。鮮度が良いうちにすりおろしたら、水気をきってラップで包みフリーザーバッグへ。大根おろしは時間がかかるので、少量ずつ冷凍保存しておくととても便利に使うことができます。
ネギ
ネギは小口切りにしてそのまま冷凍保存できます。少量ずつ使うことができる便利な野菜なので、冷凍保存がおすすめ。
5.こんな食材も冷凍保存できる!
「こんなものまで!」と思うような食材も冷凍できることも。覚えておくと便利な冷凍ワザを紹介します。
卵
卵は殻のまま丸ごと冷凍することができます。ポイントは丸一日以上冷凍すること。解凍するときは水にさらすだけで、つるりと剥くことができます。冷凍することで黄身の味が濃厚になるメリットも!
漬物
漬物は基本的にどれも冷凍保存できます。たくさん余ってしまったときなど試してみて。
生クリーム
余りがちな生クリームも泡立てておけば冷凍保存することができます。冷凍しておけば、コーヒーやスイーツに添えて使うことができて便利。そのまま冷凍してしまうと泡立たなくなるので注意してください。
フルーツ
種があるものは種をとり、大きいものはカットしてから冷凍しておくと良いでしょう。これからの季節、解凍せずそのまま食べるのもおすすめです。冷凍することで酸味が抑えられるので、ヘルシーなデザートに。その他にも、ミキサーにかけてジュースにしたり、お菓子やジャムに使うことができます。
お弁当
冷凍に向いた食材なら、お弁当に詰めた状態でそのまま冷凍することもできます。解凍した時に水気が出ないように、しっかりと食材の水気を切ってから詰めることがコツ。解凍は電子レンジでOK。
6.冷凍保存ワザでお弁当のおかずも充実
忙しい朝、お弁当に使えるおかずが冷凍で常備してあれば、大助かり!おかずはまとめて作り、熱が冷めてから仕分けカップに小分けにして冷凍しておきます。仕分けカップは冷凍に耐えられる素材のものを選んで。シリコンカップは冷凍することもでき、洗って何度も使えるので便利です。
ここでは、冷凍保存できるお弁当にぴったりのおかずレシピを紹介します。どちらのレシピも解凍は電子レンジでOK。これからの季節は半解凍のまま入れても保冷剤代わりにもなっておすすめです。
【豚肉と大根の煮物】
豚肉が入ってボリュームも感じられる1品。お弁当の主役にもなりそうです。
<材料>
- 豚バラ肉 約350g
- 大根 約350g
- しょうゆ 大さじ2杯
- 砂糖 大さじ1.5杯
- みりん 大さじ2.5杯
- オイスターソース 大さじ1杯
<作り方>
- 大根はいちょう切りに、豚バラは食べやすいように切る。
- フライパンに油をひき、豚バラを炒める。余分な油をキッチンペーパーで吸い取りながら炒めると良い。
- [2]に大根と調味料を入れる。大根は豚肉の上に乗せるように入れ、蓋をして、中火~弱火で15分ほど煮る。焦げ付かないよう注意しながら、途中でかき混ぜて。
- 火が通ったら、蓋を取り、強火で余分な水分をとばしたら完成。
- 冷めたら仕分けカップへ。
仕分けカップごと保存容器に入れ、冷凍保存します。
【きんぴらごぼう】
ちょっとした隙間にあると嬉しいきんぴらごぼう。冷凍保存で約1ヶ月日持ちする嬉しいおかずです。ポイントは味を濃いめに作ること。
<材料>
- ごぼう 1本
- にんじん 1/2本
- しょうゆ 大さじ1杯
- 砂糖 大さじ1杯
- だしの素 少々
- 白ごま 大さじ1/2杯
- ごま油 少々
<作り方>
- ごぼうとにんじんは、5cmほどの細切りに切る。
- ごぼうをザルに移し、流水でさっと水にさらし、水気を切っておく。
- フライパンにごま油を入れ熱したら、ごぼうとにんじんを入れ約3分炒める。
- [3]に砂糖を加えたら約2分炒める。
- [4]に醤油とだしの素を加えたら汁気をとばす。
- 白ごまを加えて混ぜたら完成。
- 冷めたら仕分けカップへ。
仕分けカップごと保存容器に入れ、冷凍保存します。
7.冷凍した食材の解凍方法のコツ
冷凍保存した食材を美味しく食べるためには、解凍方法のちょっとしたコツを知っておくことも大切です。時間があるときは前の晩に冷蔵庫に移してゆっくり解凍しましょう。すぐに使いたいときは、フリーザーバッグごと氷水につけて解凍するのがおすすめ。電子レンジで解凍するとうまみが逃げてしまうことが多く、あまりおすすめできません。常温で解凍する方法は時間がかかり、菌が増えてしまう可能性が。暑い季節はNGです。
まとめ
それぞれの食材にぴったりの冷凍ワザを使えば、長持ちさせるだけでなく、うまみをアップできるなどいいことがたくさん。時短や節約もバッチリです。
これを機会に冷凍ワザを覚えて、より便利に食材を管理してみましょう。
冷凍保存した食材を使ったレシピは、こちらでも紹介しています。
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