家のエアコンの冷房・暖房・除湿の電気代をご存じですか?エアコンの電気代をきちんと把握しておくと、節電意識が高まったり、エアコンの買い替え時期の目安がわかったりします。
そこでこの記事では、電気代の計算方法から冷房・暖房・除湿の違いを解説。あわせて、エアコンの使用頻度が増す、夏や冬におすすめの冷房・暖房の節約術を14つをご紹介します。
ステイホームにより、在宅時間が長くなった今だからこそ気になるエアコンの電気代や節約術。無理なく取り組めるもののみをまとめましたので、ぜひこの機会に参考にしてみてください。
エアコンの電気代はいくら?
電気の明細書ではエアコンに限定した電気代がわかりません。
通常、電気代を知るためには、消費電気量から計算します。しかし、エアコンの消費電気量は冷房600w(110~1,990)などと記載され、幅があります。
これは、『標準機能で部屋を冷やしている間は600wの電気を消費し、部屋の温度によって消費電力が110~1,990で変動すること』を意味します。
このように、エアコンは常に同じ電力を消費して動いているわけではないので、消費電力から正確に電気代を計算するのは難しいのです。
一方、エアコンの電気代を把握しておくことで、節電意識が高まったり、買い替え時期の目安がわかったりします。
ここでは、大まかにエアコンの電気代を計算する方法を解説します。
電気代の計算に必要な基礎知識
電気代は「消費電力量(kwh)」と「1kwhあたりの電気料金」で計算できます。まずは、電気代の計算に必要なそれぞれの言葉の意味を確認しましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
消費電力(w) | 電化製品を1秒間使用するのに必要な電力のことです。 カタログや電化製品にw(もしくはkw)で記載されています |
消費電力量(kwh) | 〇kw(〇w)の電化製品を〇時間使用したときに実際に消費する電気の量のことです。 〇kw(電力)×〇h(時間)で計算され、「〇kw h(キロワットアワー)」で消費した電力が表されます。電気代の計算にはこの消費電力量が使用されます。 例) 0.5kw(500w)のエアコンを1時間使用した場合、0.5kw×1hで「0.5kwh」の電気を消費したことになります。 10時間使用した場合は、0.5kw×10hで 累計「5kwh」の電力を消費したことになります。 |
エアコンの電気代の計算方法
消費電力量(kwh)× 1kwhあたりの電気代 × 稼働時間
エアコンの電気料金の計算式は上記の通りです。
まず、エアコン本体やカタログに記載されている消費電力を確認しましょう。「w」で表記されている場合「kw」に直します。ちなみに1kw=1000wです。消費電力を確認したら、上記の計算式に当てはめて電気代が計算できます。なお、1kwhあたりの電気代はプランや地域によって異なりますので予めおさえておきましょう。
仮に、エアコンの消費電力が0.5kw(500w)、電気代が27円/kwhの場合、1時間あたりの電気代は0.5kwh×27円/kwhで13.5円/時となります。
もし、このエアコンを1日5時間使用していれば、1日の電気代は13.5円/時×5時間で67.5円/日。同じ条件で31日使用すれば67.5円/日×31日で2,092.5円/月となります。夏場におけるエアコン(冷房)の消費電力の割合
実は、夏であれば、昼間に使われている消費電力のうち、エアコンだけで全体の50%以上を占めています。つまり単純に考えると、エアコンを使わなければ半分以下の電気代ですむということです。
しかし、電気代がかかるからといってエアコンを使わないのはたいへん危険です。
外の気温が40度近くになる日もある中、室内の熱中症も心配です。扇風機だけで部屋の温度を下げるには、限界があります。
暑すぎる夏を快適に過ごすには、どうしてもエアコンに頼らざるをえないのです。
ということは、夏の節電は「エアコンの消費電力をいかにおさえるか」が最大のポイントになると言えます。
冬場におけるエアコン(暖房)の消費電力の割合
冬は夏に比べて暖房器具の選択肢がたくさんありますよね。
エアコンではなく、ファンヒーターやオイルヒーターなどを使われる方も多いと思います。
各暖房器具の電気代の比較と冬場におけるエアコンの消費電力の割合を紹介します。
各暖房器具の消費電力の比較
上図を見てわかりますように、数ある暖房器具の中で、最も省エネなのは実はエアコンなのです。
冬の節電を成功させるためには、まずメインの暖房器具にエアコンを選びましょう。
エアコン(暖房)の消費電力の割合
次に、エアコンを主な暖房として使っている家庭の、消費電力の内訳をみてみましょう。
最も消費電力が高くなる冬の夕方は、全体の30%がエアコンに使われています。
全体の30%といわれると、さほど影響がないように思いますよね。しかし、全体にしめる割合は低くても、冬のエアコンはかなり電気をつかっています。
つまり、暑い夏も寒い冬も、エアコンの電気代を上手に節約することが、家庭全体の電気代を引き下げることにつながるというわけです。
冷房、暖房、除湿による電気代の違い
論からいうと、「冷房<暖房」「弱冷房除湿<冷房<最熱除湿」で電気代が高くなります。
ここでは、冷房・暖房・除湿による電気代の違いについて解説します。
暖房と冷房の電気代比較
夏はエアコンの設定温度と室温の差は10℃ほどですが、冬は20℃近く空気を暖めないといけません。冬の方が高出力での稼働時間が長くなるため、エアコンの消費電力は夏の約3倍といわれています。氷点下になる地域にお住まいの方は、さらに暖房の消費電力が多くなるでしょう。
そのため、暖房は冷房よりも電気代が高くなります。
エアコンの電気代を把握したい方の多くが、今よりも抑えられるかどうかという点が気になるかと思います。
暖房・冷房の比較でわかる通り、エアコンの電気代を節約するのであれば、夏場の対策も欠かせませんが、意外にも冬場の意識が重要なのです。
冷房と除湿の電気代比較
除湿には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があります。
- 弱冷房除湿
- 湿った空気を冷やして除湿し、乾いた空気を放出する
- 再熱除湿
- 湿った空気を冷やして除湿し、再度暖めてから乾いた空気を放出する
弱冷房除湿は湿度を下げるのが目的の運転モードのため、部屋を冷やすのを一番に考えた冷房よりも消費電力が少なくなります。表にもある通り、蒸し暑い時期での使用がおすすめです。
一方、冷やした空気を再び暖める過程が必要な再熱除湿は、冷房よりも消費電力が多くなりますが、湿度が高くジメジメするが温度を下げたくない梅雨の時期での使用には最適です。
使用するエアコンの除湿の種類を確認して、目的に合った機能を使い分けるといいでしょう。
「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の見分け方
基本的に「弱冷房除湿」のエアコンが多く、「再熱除湿」は価格が高い高機能エアコンや複数の除湿機能が搭載されているエアコンで採用されています。
メーカーによって異なりますが、エアコンのリモコンで「カラッと除湿」などで表示されている除湿は再熱除湿のことが多いようです。詳しくはエアコンのカタログや取扱説明書で確認できます。
エアコンの電気代を安くする14の節約術
ここからはエアコンの節約術を合計で14種類ご紹介します。
基本の節約術 6つ
夏季・冬季問わず、年間通して気を付けておきたい節約術はこちらになります。
[節約術1] 設定温度を1℃変える
「夏の冷房は室温28℃、冬の暖房は室温20℃」という言葉、一度は耳にしたことがあるかと思います。環境省が、省エネの1つの目安としてうたっているものです。
冷房の設定温度を1℃上げると約13%、暖房の設定温度を1℃低くすると約10%の節電になるといわれています。
ついつい、お部屋の冷やしすぎ、暖めすぎになっていませんか? 設定温度は、環境省がすすめる28℃と20℃を少し意識してみましょう。
[節約術2] 1時間以内の外出ならつけっぱなし & 1時間以上であれば絶対に切る
エアコンは「つけっぱなし」の方が、省エネになるケースもあります。しかし、外との気温差やエアコンの年式など、条件や環境が整わないといけません。
多くの家庭では、部屋の温度が安定してから1時間以内の外出であれば、「つけっぱなし」が節電になると考えられています。
実は、こまめなオンオフにエアコンは向いていません。
通常、エアコンは電源を入れてからの約10分、フル稼働で室温を上げたり下げたりしているため、最初の立ち上がりに最も電力を消費しています。そのため、ちょっとした外出でエアコンを消してしまうと、最初からやり直しになり、また膨大なエネルギーが必要になってしまうのです。新しいエアコンであればあるほど、室温が安定してからの消費電力は小さくてすみます。
とはいえ、1時間以上家をあけるときはエアコンを切った方がいいでしょう。
以下は1日1時間エアコンの利用を減らした場合の省エネに関するデータです。わずかではありますが、電気代の節約につながります。
[節約術3] フィルター掃除をする
フィルター掃除を月に1~2回清掃するだけで、年間で電気31.95kwhの省エネになります。
わかってはいるけれど、なかなかできないのがフィルター掃除。フィルターをはずしている間、エアコンが使えないとなると掃除のタイミングを失ってしまいますよね。高いところにあるフィルターの取り外しを面倒に思う気持ち、わかります。
しかし、フィルターが埃でつまってしまうと、冷暖房の効きが悪くなり無駄な電気を使うことになります。
掃除の目安は、2週間に1度です。
エアコンの掃除方法については、こちらの記事を参考にしてください。
[節約術4] 室外機の掃除をする
室外機も掃除すると、エアコンは効率的な運転ができます。フィルターと同じように、室外機に埃やゴミがついていると、余分なエネルギーを使ってしまいます。定期的に、室外機に汚れがたまっていないかチェックしましょう。
また、室外機の日よけも節約につながります。特に、夏の日差しは室外機の動きを悪くしてしまいます。直射日光があたると室外機自体が熱くなり、放熱ができなくなるからです。
室外機のまわりを片づけたり、日よけをつけたりして室外機の環境を整えるといいでしょう。
[節約術5] エアコンを買い替える
エアコンの省エネ性能は年を追うごとに進化し、消費電力も年々低くなっています。2009年と2019年のエアコンを比べると、約17%の差が出ます。
また、先にお話ししたように、暖房は冷房に比べて約3倍の電力がかかるといわれています。エアコンを最新機種にすれば、冬の節電効果をより感じることができるはずです。10年以上前のエアコンを使っているのであれば、買い替えを考えてみてもいいかもしれません。
[節約術6] クールシェア&ウォームシェア
「クールシェア」「ウォームシェア」という言葉があります。これは、冷暖房にかかるエネルギーをみんなでシェアしようというものです。
お家の中にエアコンが必要な部屋がたくさんあれば、それだけ電気代はかさみますよね。家族がリビングに集まったり、寝室を1つにしたりすることも立派な節約になります。
夏場の節約術 4つ
[節約術7] 換気をしてからエアコンをつける
夏にエアコンをつけるときには、まず閉め切った部屋の蒸し暑い空気を換気しましょう。
エアコンは、設定温度と部屋の温度に差があればあるほど、電力をたくさん使って運転します。
ひと手間加えて、できるだけ温度差をなくしておくと、消費電力が少なくてすみます。
[節約術8] 扇風機やサーキュレーターで風をコントロールする
人は風を受けると体感温度が下がるため、風をコントロールすることでエアコンの設定温度を変えずに、快適な空間を作りだすことができます。
暑いと思ったときは、エアコンの風向きを自分に向けるか、風量を強くしましょう。扇風機を使うのも効き目があります。
実は、エアコンの消費電力の大部分は温度の上げ下げのために使われます。それに比べて、風量を強くするのは、比べものにならないほど少ない電力ですむのです。
この話につけくわえると、風量設定はエアコンにまかせるのが賢いやり方です。省エネを気にして最初から微風や弱風を選択してしまうと、なかなか設定温度に届かず、余計なエネルギーを使うことになります。自動運転であれば、効率的に風の量を調整してくれます。
[節約術9] 冷気を逃さない工夫をする
エアコンの空気を部屋に閉じ込めることも省エネのポイント。扉をきちんと閉めて、エアコンが必要な空間を小さくしておくことが基本です。
冷房の場合は、冷気を逃さない工夫とあわせて、家を熱くさせないように意識してみてください。家が必要以上に熱くなると、エアコンの効きも悪くなります。
窓の内側から、遮熱カーテンなどで部屋に入る日差しを防いだり、オーニングやすだれを使って外側から太陽の光を遮断したりするのが効果的です。また、カーテンをおろしておけば、部屋の窓から冷気が逃げるのを防ぐことができます。
[節約術10] 薄着をする
夏は、お家でもクールビズを実践し、通気性のいい素材、ノースリーブや短パンといった熱を逃しやすい服を選ぶようにしてみましょう。涼しい服装をしていれば、冷房の設定温度を下げなくても快適な空間を作れます。
冬場の節約術 4つ
暖房の電気代を節約するには、暖めた空気を逃がさない・循環させる工夫が重要です。
このほか、エアコンの暖房で併用して暖かく感じる工夫をすると電気代の節約となります。
[節約術11] 空気の循環を良くする
冬はエアコンをつけていても足元が寒くなりがちです。それは、暖かい空気が天井にたまってしまい、床まで届いていないからです。
そこで、風の力を利用します。エアコンの風向きを下にしたり、扇風機やサーキュレーターを上向きに回したりして、暖まった空気を部屋全体に届けるようにしてみましょう。暖かさを感じれば、設定温度を上げずに過ごすことができるはずです。
サーキュレーターの賢い使い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
[節約術12] 暖気を部屋に閉じ込める
暖房を使用する際は暖気を逃さない工夫が必要です。
冬の暖かい空気の約半分は、窓から出ていってしまうといわれています。暖め逃さないよう、厚手のカーテンを窓より少し長めにつけると、室内の暖気を閉じ込めることができます。布より断熱効果の高い、ブラインドを取り付けるのもいいでしょう。
カーテンやブラインドは、外の冷気が窓から部屋の中に入ってくるのも防いでくれます。
[節約術13] 厚着に着替える
冬は、1枚多めに着てみたり、ひざ掛けやストールを使ったりしてみてください。また、太い血管のある部分(首・手首・足首)を暖めると体温が上がって、寒さをしのぎやすくなります。
[節約術14] 加湿器を使用して体感温度を上げる
エアコンと加湿器を併用することで、普段よりもの設定温度を1℃~2℃下げることでき、消費電力を削減できます。
空気が乾燥しやすい冬の時期は、皮膚にある水分が蒸発しやすくなり、より体温が低下するとされています。そこで、エアコン使用時に加湿器などを用いて湿度を高めて体感温度を上昇させることでエアコンの使用を抑えることができるのです。
できることをやりきって、納得できる電気代に
エアコンを使う季節、電気代が上がることは覚悟しているのに、請求に驚いてしまうのはどうしてでしょうか? それは、具体的にいくらになるか分かっていないことに加え、なんとなく考えていた金額より高いからではないかと思います。想定内におさまれば、悩むことはないはずです。
しかし、エアコンにかかる電気代を正確に予想するのはとても難しいことです。
契約している電気料金プランの違い、外気温と室温の差、使用するエアコンの機種、部屋の広さなど、様々な要因で消費電力は変動するからです。
だとすると、「もっと節約できたのでは」という気持ちをなくすだけでも、一喜一憂しなくてよくなるのではないでしょうか。
今回ご紹介した節約方法を全てやってみたうえでの電気代であれば、「家族が快適に過ごすために必要な電気代」と、納得できるかもしれません。
どうか身体に無理のない範囲で、エアコンの電気代を上手に節約していただければと思います。
まずが節電の第一歩となるエアコンのお掃除について、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
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