人生を80年とした場合、睡眠時間は約25年間分あるといわれています。
睡眠の質はイコール健康の質であり、美の質であり、人生の質そのもの!
今回は、毎日ぐっすり眠れる快眠ルームの作り方と、正しい快眠グッズの選び方を、睡眠の専門家が伝授します。また、睡眠の質が落ちがちな夏と冬に、ぐっすり眠るためのコツもご紹介。
住まいの工夫と快眠を助けるアイテムで、一年を通して健康に過ごしましょう!
暗め&暖色系の照明で、快適な眠りを導く寝室に
睡眠を取る場所である寝室は、快眠を目指すためにまず整えておくべき空間です。
深い眠りにつくために、寝室ではキャンドルや温かい色の照明を使いましょう。
睡眠・覚醒リズムを司る生体時計は光に依存してリズムを刻んでおり、蛍光灯のような明るい光が目に入ると脳は昼間と認識して交感神経が優位になり、活動モードがオンになります。逆に、暗くなるとリラックスの副交感神経が優位になり、脳も身体もおやすみモードへと切り替わるのです。
また、明るい光は、別名「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの分泌を抑制する作用があるため、就寝前に見てしまうと深い眠りの出現を妨げてしまいます。
寝室の照明はやや暗め、そして色温度の低い暖色系のものを使うようにしましょう。
正しい快眠グッズの選び方
朝までぐっすり眠るためには規則正しい生活や快眠を促す習慣と併せて、快眠アイテムを活用するのが賢い方法です。
毎日の睡眠時間を健康とキレイを育む有意義な時間に変えるためにぜひ活用したいアイテムと、その選び方をご紹介します。
パジャマは「睡眠美容」を叶えるマストアイテム
就寝時にジャージやスウェット、ワンピースタイプのルームウェアなどパジャマ以外のものを着用してしまうと、寝具と身体、衣服の間に強い摩擦が起こり、寝返りが妨げられて睡眠の質が低下してしまいます。
就寝中は季節問わず寝汗をかくので、パジャマは吸水性や吸湿性があり、柔らかく肌触りの良いものを選びましょう。また、体温が下がることも就寝時の特徴なので、可能であれば長袖、長ズボン、夏であれば七分袖、七分丈であることが理想的といえます。
パジャマの生地は、使い心地と耐久性で考えるとコットン、美容面で考えるとシルクがおすすめです。
嗅覚と視覚から、リラックス効果を高めるアロマグッズ
近年、精油の人体への有効性が科学的に証明されるようになりました。
ラベンダー、セドロール、ネロリ、イランイランなど、就寝前にリラックス効果を高める香りを用いることで、自分自身で「おやすみスイッチ」を入れることができるようになります。
手軽にできる芳香浴は、精油を2~3滴、ティッシュペーパーやお湯を入れたマグカップに垂らす方法。布団に入るときには枕元に置いて眠りましょう。
アロマウォーマーやアロマポット、アロマライト、アロマディフューザーを使えば部屋のアクセントにもなって、香りだけでなく目で楽しむこともできます。
手首などにつけるロールオンタイプのものや、お風呂上がりにパフパフできるボディパウダーなども手軽に続けられるのでおすすめです。
朝の目覚めを楽しみにする、理想の枕の選び方
昔から「枕が変わると眠れない」といわれますが、実際、枕が合っていないと頭痛や肩こり、イビキ、むくみ、さらには不眠の原因にもなるのでしっかりと選ぶことが大事です。
枕選びで大切なのは、「自分に合った高さであること」と「寝返りがしやすいこと」の2点。併せて肌触りや感触が自分好みに合っているかどうかも大切です。
理想的な高さは、7つの首の骨、頚椎が自然なSカーブを保てている高さと形状であること。これができていると上向きが楽で、枕をしている感覚がない感じになります。また、かた過ぎない、柔らか過ぎない、軽過ぎないといったところも大切なポイントになるので、それらを踏まえ、自分に合ったものを選びましょう。
ぐっすり眠れる枕を見つけると朝の目覚めの気分が変わりますよ。
- お気に入りのパジャマを見つけ、就寝時には必ず着用するようにしましょう。
- 香りの力を使ってリラックスをし、眠りのスイッチをオンにしましょう。
- 自分に合った枕を使って睡眠の質を高めましょう。
睡眠を取りにくい季節にも快眠を。夏と冬の睡眠対策
夏の快眠には、温度管理とムレ防止が必要
日本の夏は高温多湿で蒸し暑く、睡眠には厳しい季節です。日照時間が長くなることで睡眠時間が短縮される傾向が高まる上に、暑くてなかなか寝付けず、やっと寝付いてもすぐに暑さで目が覚めてしまうという人も多いと思います。
この時季、睡眠の量も質も確保が大変ですが、「夏の睡眠対策」はズバリ「暑さ対策」です。
エアコンの使い方は「就寝1時間前に壁を冷やす」
夏の室温は25~26℃が1番眠りやすいといわれています。
快眠を得るためには、就寝1時間前からエアコンを25~26℃&風量強めでスイッチを入れ、部屋の壁や天井まで冷やすことがポイント。これは、室内の壁や天井から発せられる輻射熱の影響を防ぎ、室内の温度上昇を抑えるために大変有効な手段です。
いざ寝るときになってからエアコンを入れたのでは部屋の空気しか冷やすことができません。そのため、夜中にタイマーが切れた途端、壁にこもっていた日中の太陽の熱が室内に発し続けられ、部屋を暑くしてしまうのです。
壁を冷やした後、就寝するときになったらエアコンの設定温度を27℃まで上げ、3時間のタイマーをセッティングするようにしてください。
扇風機やサーキュレーターで部屋全体を快適な温度に
熱い空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすいなど、室温にはムラがあります。
空気を循環させ、寝室全体を快適な温度に保つためには、エアコンと併せて扇風機やサーキュレーターを活用すると良いでしょう。
ただし、風が直接身体に当たらないように気をつけてください。睡眠中は汗をかいて体を冷やしていくので、そこに風が当たると体温が下がり過ぎてしまい危険です。ゆるい気流が動くように、扇風機は天井や壁側にむけて部屋全体に風を回すようにするのが賢い使い方です。
風量を「強・中・弱・微」でセットできるなら「微」が良いでしょう。また、輻射熱の影響を最小限にするためにも、ベッドを壁から10cm程度離すこともおすすめです。
敷き寝具を見直して、背中のムレを防いで朝までぐっすり
寝床内の湿度は季節によって大きく異なりますが、夏には背中の湿度が80%以上に達することがあるといわれ、この背中の湿度上昇が原因で眠れなくなってしまう方も多くいらっしゃいます。眠りが深い状態に達するには、大きな寝返りがない状態が20~30分以上続くことが必要ですが、背中がムレているとゴロゴロ不要な寝返りをうってしまい睡眠が妨げられてしまうことも。
熱伝導に優れ吸湿放湿性に富む麻のシーツや、通気性のある立体メッシュ、吸湿性のあるいぐさのシーツなどは、背中のムレを防いで夏の快眠をサポートしてくれる心強い敷き寝具です。
抱きまくらの使用も背中があいて、わきや膝の間にも隙間ができるので、体感が涼しく、同時に安心感も得られます。
- 就寝1時間前になったら25~26℃&風量強めでエアコンを入れ、壁を冷やしましょう。
- 扇風機やサーキュレーターを活用し、空気を循環させましょう。
- 夏は敷き寝具を見直して、背中のムレを防ぎましょう。
冬の快眠は、冷たい空気への対策と保温が大事
夏と並んで、冬も寒さから質の良い睡眠が取りにくいものです。
体の表面だけでなく、中にも冷えが入らないよう工夫をするといいですよ。
シルクマスクで美容と睡眠サポート
就寝中は無防備に口呼吸になってしまっている方が少なくありません。
特に、冬の冷たい空気が口から入ると肺を冷やし眠りの質低下を招くといわれているので、眠るときにはマスクを着用するのがおすすめです。
シルク素材であれば天然繊維の中で最も人の皮膚に近く、肌にも優しいので安心して一晩中身につけられます。また角質ケア作用もある素材なので、「寝ながらスキンケア」の効果も期待でき、まさに一石二鳥です。
羽毛布団と毛布で、朝まであったかキープ
掛け布団は適度に軽くて圧迫感がなく身体に馴染み、保温機能と吸放湿機能があることが必須条件です。
この条件を全て満たしているのが羽毛布団。ドレープ性も高く、寝返りをうっても身体のラインに合わせてフィットしてくれるので、肩口などに隙間ができず朝まで快適な暖かさを維持できます。
また、羽毛布団の上に毛布を1枚かけることで体温が逃げにくくなり温か度がぐっとアップ。毛布にはカシミア、ウール、アクリル、綿などの素材がありますが、羽毛布団との相性は綿が抜群です。使い勝手も良く、オールシーズン使える万能毛布なので、1枚持っておくと便利です。
好きな色で寝具を揃えると、お部屋のイメージチェンジにもなりますよ。
- 就寝にシルクアイテムをプラスワンして快眠美人になりましょう。
- 羽毛布団と毛布のタッグで温かな寝床を確保しましょう。
まとめ
睡眠コンサルタントの視点から、快適な睡眠を実現するためのポイントをご紹介しました。
朝までぐっすり眠ることで、日中を元気に・健康に過ごせるだけでなく、美容にも効果アリ!
この記事を参考に寝室の環境を整えて、快眠で暮らしの質を向上させてくださいね。
友野なお
株式会社SEA Trinity代表取締役
睡眠コンサルタント/産業心理カウンセラー
睡眠研究に携わり、科学的な知見に基づき睡眠改善を叶える眠りのプロフェッショナル。企業のコンサルティングや商品開発など多方面で活躍。
著書に「やすみかたの教科書」(主婦の友社)など多数。
※この記事は、2017年2月~6月に公開されたアルファあなぶきStyle内コンテンツ記事を再編集したものです。
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