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マンション計画
マンションの基礎知識

マンション計画はどうやって決まる?開発企画担当者が分かりやすく解説します

皆さんが新築マンションの購入を考える時には、完成済み「計画図」をもとに、自分たちにあっているかどうか等を検討しますよね。
今回はその前の段階。「そもそもマンション計画は、どのようにして決まっているのか」について、あなぶき興産で新築マンションの開発企画に6年間携わった筆者が解説します。

何度も試行錯誤を重ねて決められるマンション計画の裏側、現在マンション購入を検討中の方はもちろん、これからマイホームを検討しようという方も覗いてみてください。

新築マンション検討時に知っておきたい5つの注意点と対策

建物の大きさを決める:重要な5つのポイント

まず最初に行うのが「建設予定地に対してどれくらいの建物が建築できるのか」の検討です。
建物の大きさを決めるためのポイントは以下の5つ。それぞれが法律による規制なので、全ての基準を満たす必要があります。

  1. 建蔽率
  2. 容積率
  3. 斜線制限
  4. 日影制限
  5. 各行政による条例

1.建蔽率

敷地面積に対して、どれだけの大きさまで建築ができるかの上限を設定したのが建蔽率です。
建蔽率60%の場合、敷地面積が1,500㎡なら建築面積は900㎡が上限となり(下図参照)、この建築面積を超えての計画はできなくなります。

 

2.容積率とは

敷地面積に対して、建物の延べ床面積の上限を設定したのが容積率です。
容積率200%の場合、敷地面積1,000㎡に対して1階〜4階までの2,000㎡が上限となります(下図参照)。

容積率

3.斜線制限

建築物の高さを制限するのが斜線制限です。隣の敷地に対し、通風や採光などを確保するために設けられた制限で、建築する場所によって制限の有無や内容が決まっています。
制限がある場合は、建築予定地を横から見た時に、斜線内に建物を設計しなければいけません。

4.日影規制

日影規制とは、冬至の日を基準に建築予定地の周辺にどれくらいの時間、影を落とすのかを計算し、一定時間以上の影を落とさないように規制することです。この規制もマンション建築予定地の場所により規制内容が異なります。

5.その他の条例

場所によっては、以下のような細かな条例により建物が制限されることがあります。

  • 駐車場附置条例・・・建物の大きさによって駐車場の設置台数を規制されるもの
  • 景観条例・・・建物の高さの制限

敷地内のどこにマンションを建てるかを決める(マンション計画で最も重要)

建物位置
次に敷地のどの部分に建物位置を計画するのかを決定します。これはマンション計画で最も重要なポイントです。
前章で説明したような法規制によって、建物位置はある程度制限されますが、その中で最も適した位置を決定するために様々な角度から検証します。

建物の向きを決める

一般的には南向きが良いと言われていますが、敷地の形や周辺環境によっては違う向きも検討します。
例えば、南隣にすでに大きなビルが建築されている場所で南向きのマンションを計画すると

  • 採光が取れない
  • 眺望がない

などのマイナス要素が多く発生するため、東向きなどを検討します。
このように、長くお住まいになられる住宅だからこそ「どの向きに建築すれば、より入居者様に快適な生活をお送りいただけるのか」ということを念頭に、十分な検討の後に建物の向きが決定されます。

建物の大きさを決める

法規制による制限内までめいっぱい建物を計画するかどうかは、周辺の環境により決定します。

例えば、郊外の住宅地の中にマンション建築を計画する場合には、駐車場や駐輪場、バイク置き場の台数が非常に重要な要素になります。郊外の住宅地では駅や商業施設までが遠く、移動手段として自家用車や自転車を頻繁に使用する可能性が高くなります。また市街地中心部に比べて周辺の貸駐車場が少ないことも多く、車移動が必要な環境であるにもかかわらず、車が置けないケースも発生するので、敷地の中に駐車・駐輪する場所を確保することはマストなのです。

にもかかわらず建物を最大限大きく作ってしまっては、残り敷地を利用した駐車場や駐輪場の台数が少なくなってしまいます。したがって建物を最大限まで大きく作って戸数を増やすよりも、駐車場や駐輪場の台数を確保できる残り敷地を考えた大きさが決定されます。

このように周辺の環境によってマンションの大きさ、戸数を決めていきます。


間取りを決める

建物の位置と建物の大きさが決まったら、ようやく間取りを考えます。

間取りには流行があり、バブル期は広々リビングや広々寝室が人気でしたが、現在は収納量や家事導線が確保された間取りが注目されています。限られたスペースの中でいかに効率的な間取りが設計できるかを、設計士や社内スタッフと打ち合わせて決定します。

あなぶき興産では、過去に販売した物件の間取りについて、実際にお住まいになられている方のご意見などを定期的に調査しています。いただいたご回答内容は、よりお客様にご満足いただける間取りの計画にフィードバックされています。


敷地内の細かな計画・デザインを決める

エントランス
最後に敷地内の植栽計画やエントランス内のデザインなどを決めていきます。
季節の移り変わりを感じられる植栽計画や、開放感のあるエントランスデザインなど、入居者様に満足いただける設計を考えます。


私の記憶に最も残るマンション計画

シダレザクラの移植

私の記憶に最も残るマンション計画は、あなぶき興産のコーポレートサイトに掲載されている「シダレザクラ」との共存を実現したマンション計画です。

マンション計画地の中央にあった推定樹齢300年のシダレザクラは、マンションの建設に伴って、当初は残念ながら伐採するしかないと考えていました。しかし古くから地域住民の皆さまに愛されているシダレザクラです。「なんとか残すことはできないか」というお声もたくさんいただいていました。

もちろん私たちも、地域の皆さまの気持ちにもお応えしたい。
そこでマンション計画の再検討を始めましたが、どうしても建物位置を変更することができません。それでも何とかして皆さまから愛されているシダレザクラを残すことができないか。悩みに悩んだ結果、移植を検討してみることになりました。

様々な樹木医に相談しましたが、回答は「移植は不可能」。諦めかけていた頃、唯一「何とかなる」という樹木医に巡り合うことができます。
こうしてシダレザクラの移植計画が始まりました。

ここで問題になったのが、移植後のシダレザクラが生き続けてくれるかどうかです。
移植するには大きく張っている根と枝葉の伐採が必要です。根と枝葉を伐採すれば、生きていくのに必要な水分を吸収できる量が大幅に減ってしまいます。移植後、どのようにすれば以前のような大きな根と枝葉を生やすことができるかを何度も協議しました。
最終的に根元だけでなく、様々な方向から根元に水分を廻すことができるように移植計画を変更して、無事に移植作業を完了することができました。

この移植作業からすでに10年が経ちますが、シダレザクラは地域の皆さまのシンボルのような存在となって、今でもきれいな花を咲かせてくれています。

新築マンション検討時に知っておきたい5つの注意点と対策

まとめ

マンションの計画には、様々な法令の制限を満たすことが必要です。広い敷地があるからといって簡単に計画ができるものではありません。また、計画をするにあたり、そこにお住まいになられる方がどのような生活スタイルを望んでいるのかということを考えながら設計されています。
今後もあなぶき興産では、「住んで良かった」と思っていただけるマンションの供給を継続しておこなって参ります。ぜひご注目ください。

これからマンション購入を検討されている方へ

初めてのマンション購入。
たくさん手続きがあって不安になることがあると思います。
マンションという大きな買い物だからこそ、ミスなく・不安なく・効率よく、そしてお得に、購入手続きを進めたいですよね。

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