昔はどの家にも「仏間」があり、「仏壇」があるのが当たり前でした。
しかし、最近は住宅事情も変化し、一戸建てではなくマンションにお住まいの方も多いのが実情です。
私は新築分譲マンションの販売に携わっていますが、マンションでは和室がない間取りもあり、お客様から『仏壇を置きたいけど、分譲マンションだとどこに置いたらいいですか?』とご質問をいただくこともしばしばあります。
そういった時代背景から、最近では仏壇のサイズや種類もとても豊富になりました。
そこで今回は、分譲マンションにおける仏壇の場所や、考え方についてお伝えします。
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分譲マンションにも手軽に置ける仏壇の3つの形
分譲マンションを購入する時に、部屋に仏壇を設置することが決まっている方は、仏間を作る・補強工事をするなど初めに変更工事を予定しておくことも出来ますが、必ずしもそういうわけにはいかないのが現状かと思います。そこで、分譲マンションにも手軽に置ける移動が可能な仏壇の3つの形をご紹介します。
台付きタイプの仏壇
「台付きタイプの仏壇」とは、床に置くタイプの仏壇で、床に直接安置するように下台と一体型になったものです。たっぷり収納が出来るので、仏壇に必要な道具や小物をスッキリ片付けてお参りすることが可能です。
また、経机や椅子付きなど、便利な機能を備えたものもあります。高さを抑えた台付きタイプの仏壇や、椅子付きの仏壇だと、着座してゆっくりと仏壇に手を合わせることが出来ます。
台付きタイプだと、地震などに備えて下台と仏壇を固定出来るので、安心です。
上置きタイプの仏壇
「上置きタイプの仏壇」とは、専用の別台やチェストやサイドボードなどの上に置くタイプの仏壇です。
コンパクトなため、狭いスペースにも置くことが出来、簡単に移動も出来る仏壇です。コンパクトでシンプルなものが多いので、お手入れがしやすいというメリットもあります。
ただ、チェストやサイドボードをお持ちでない方は、わざわざ専用の別台や家具を購入するのであれば、先ほどご紹介した「台付きタイプの仏壇」のほうが色味や雰囲気も合いますし、費用も抑えられるようです。
壁掛けタイプの仏壇
「壁掛けタイプの仏壇」は、一般的には通常の仏壇よりも薄型で、壁があれば基本的に設置可能な仏壇です。床に安置しないので、場所をとりません。薄型ですが、膳引きという手前に出てくる板があるものがほとんどなので、仏具やお供え物を置くスペースは十分確保出来ています。また、高さも自由に出来る仏壇なので、立ったままお参りがしやすい仏壇です。
ただ、買い替えで検討されている方は、今までのご自宅にあった仏壇と比較してしまうので、「小さすぎる」と思う方が多いようです。
尚、分譲マンションの壁には設置出来ない場所もありますので、注意が必要です。あらかじめ販売スタッフ等にご相談ください。
※『マンションの専有部分』について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→マンションの専有部分を徹底解説!実例で見るトラブル回避法
購入する仏壇の種類を決めましょう
仏壇を選ぶ際に忘れてはならないことは、宗派によって仏壇の種類が決まっているということです。
金仏壇
金仏壇は、主に浄土真宗に推奨されている仏壇です。白木を素地に漆やカシューなどで仕上げ、金箔や金粉で装飾を施しています。扉を開けると、金箔の輝きが真っ先に目に入ってくる豪華絢爛な仏壇です。
唐木仏壇
唐木仏壇は、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)、鉄刀木(たがやさん)などを素材とした仏壇です。全ての宗派に対応出来、美しい木目を生かした落ち着いた重厚な風合いと格調の高さと、掃除のしやすさが特徴です。
モダン仏壇
モダン仏壇は、現代の部屋に合わせやすいようにデザインされた仏壇です。おしゃれなデザインやサイズが豊富で、洋風のインテリアにも馴染みます。モダン仏壇も全ての宗派に対応出来ます。
分譲マンションにおける仏壇の購入時期と設置場所の基本的な考え方
仏壇の購入時期
意外に思われるかもしれませんが、仏壇はいつ購入しても問題ありません。昔は、仏壇は受け継がれていくものでしたが、昨今は核家族化や住宅事情の変化により仏壇のない家庭も増えてきました。その結果、身近な人が亡くなってから購入することが増えています。また、それ以外にも新しく家を購入した場合や、リフォームなどをきっかけに購入されることが多いようです。
仏壇の設置場所
新しく仏壇を設置する時や移動する時に、仏壇を置く場所や、向きなどについて気になるところです。「北向きはよくない」など、よく耳にすると思いますが、宗教や宗派などにより考え方は様々です。
特に分譲マンションでは、和室がないことも多く、仏壇の設置場所から考えなくてはなりません。住宅の様々な事情で、向きや設置場所に制限があることもしばしばです。そこで、仏壇を設置するための基本的な考え方をまとめてみました。
仏壇は“毎日お参りしやすい場所”に置くのがベスト
仏壇の設置場所に重要なことは、家族みんなが“毎日お参りしやすい場所”に置くことが一番適しています。なぜなら、仏壇は設置することそのものよりも、『供養する心と感謝の気持ち』を持って毎日お参りすることに意義があるからです。なので、家の中で落ち着いて礼拝でき、家族が毎日お参りできる場所がベストです。家族が集まりやすいリビングや、ご家庭によっては寝室という方もいらっしゃると思います。
お部屋の使い方も十人十色のこの時代、正しい設置場所にこだわるよりも、日々の故人を想う気持ちが一番なのではないかと思います。
仏壇を設置するのに適さない2つの場所
とは言え、仏壇を設置するのに適さない場所もあります。『直射日光が当たる場所』・『湿気が多い場所』の2つです。
これは直射日光や湿気により、仏壇が傷む原因になるからです。仏壇はそうそう買い替えを頻繁にするものでもありませんので、長持ちさせるためには、この2つの場所は避けて設置するようにしましょう。
設置場所の採寸、コンセントの位置などで気をつけたい事
だいたい、この部屋のこの辺りという設置場所が決まったら、設置スペースの高さ、幅、奥行、を測ります。この時に考えておきたいのが、プラスαのスペース。仏壇は通常、開いた状態でお参りをします。
また、仏壇の前にはお給仕や礼拝をするためのスペースも必要です。仏壇には灯篭を吊るしたり、ダウンライトが付いているものも多く、背面のコードをコンセントにさして使用します。そのため、コンセントがあるかどうかも確認しましょう。
お参りをする際には、座った時に目線が仏壇より上になると良くないとされていますので、設置する高さにも注意しましょう。
仏壇を買い替えする時の3つのポイント
仏壇の買い替えにおいても、「良い時期」というのは特にありません。引越やリフォームなどで購入を検討する方もいれば、破損や汚れが目立ってきたり、ご実家の仏壇を引き継がれる時にスペースの問題等で検討される方もいらっしゃいます。
『買い替えよう』と思った時がタイミングだといえます。
仏壇の買い替えの時に注意するポイント
分譲マンションへ住み替えをする場合、コンパクトな仏壇へ買い替えをされる方がほとんどだと思います。その際に忘れがちなのが、位牌や仏具のサイズです。仏壇自体を買い替えてコンパクトなものになっても、位牌はそのままにされる方が多いと思います。
位牌のサイズを考えずに買い替えをすると、うっかり新しい仏壇に入らないことも。新しい仏壇に入れる位牌や仏具のサイズを考慮したうえで、買い替えましょう。
仏壇を買い替えるときに行う儀式と流れ
仏教のほとんどの宗派では、『仏壇から魂を抜く、お性根を抜く。』『仏壇に魂を入れる、お性根を入れる。』という考え方をしています。仏壇を処分する時は、魂抜き(お性根抜きや、閉眼供養とも言います)という儀式を行います。そして、買い替えた仏壇には魂入れ(お性根入れや、開眼供養とも言います)を行います。
私たちは、“仏壇に仏様や先祖の魂が宿っている”と信じているからこそ、仏壇に手を合わせています。これは、仏壇を購入した時にお坊さんにより、魂を入れてもらっているからです。
したがって、仏様やご先祖様の魂が宿ったままの状態で、仏壇を処分することはもちろん、移動することも基本的にタブーとされています。なので、仏壇を買い替えた場合には、お坊さんにお経をあげてもらい、今持っている仏壇から一旦魂を抜いて供養をしてもらいます。魂を抜くことによって、仏壇はただの入れ物に戻り、その後、古い仏壇は処分してもらいます。
ちなみに浄土真宗では、『魂・お性根』という考え方がありません。その代わりに『入仏法要・遷仏法要』という考え方があり、仏壇の買い替えの際には、同じように読経の儀式が行われます。
宗旨宗派が違っても、仏壇の処分や移動する場合には、お坊さんにお経を上げてもらうことが必要になります。詳しくは、菩提寺に相談してみるといいでしょう。
仏壇の買い替えの供養と流れ
- お坊さんに魂抜き、魂入れを依頼する。
- 現在のお仏壇から魂を抜いてもらう。
- 位牌や本尊などを新しい仏壇に入れる。
- 新しい仏壇に魂を入れる。
- 古い仏壇を処分する。
仏壇の処分の方法
魂を抜いた仏壇は、通常の家具と同じ考え方でかまいません。主な引き取り先は、『菩提寺』・『仏具店』・『自治体の粗大ゴミ』・『専門の引取り業者』の4つです。
菩提寺にお願いすると、魂抜きや魂入れまで全てを執り行ってもらえますが、お布施という名目の費用が必要になります。
仏具店では、購入の相談に乗ってもらうことが出来、処分と購入の日程調整などもしやすいでしょう。反対に、購入をしない場合には、処分だけの相談はしにくいかもしれません。
費用だけで考えると、自治体の粗大ゴミが一番安価に処分出来ます。また、パーツごとに細かくすると通常のゴミとしての処分も可能になるので、無料で処分が出来ます。専門の引き取り業者の場合には、運ぶ手間も省けますが、粗大ゴミよりは費用がかかります。
なお、仏壇の引出しは、あまり開け閉めする機会がありません。処分する際には、故人の思い出の品などが残っていないかを確認しておきましょう。
【実例】お部屋の一部を改装して仏間を製作する場合の3つのステップ
新築の分譲マンションへお引越をする場合、今のご自宅にある仏壇を持っていくことが出来るケースもあります。例えば、変更工事という方法で仏間を製作する方法です。私が担当したお客様で、洋室のクロゼットの一部を仏間へ変更した一例をご紹介します。
ステップ1)必ずお手持ちの仏壇のサイズを測りましょう!
まずは、今のご自宅の仏壇のサイズ(幅・高さ・奥行)を測ります。その際に扉を開けた場合のサイズも測っておきましょう。
ステップ2)仏壇の周辺に何を置きたいか、どのように置きたいか、考えましょう!
仏具はもちろん、遺影や位牌など、仏壇の周辺に何を置きたいか、置きたいもののサイズも確認して仏壇を収めた時に必要なスペースを検討しましょう。
また、仏壇の下に収納できる下台が必要なのか、必要な場合は、どのくらいの高さが必要なのかも検討しましょう。
ステップ3)コンセントを設置しておきましょう!
最後に忘れがちなのがコンセントです。お盆など灯篭を灯すこともありますので、コンセントを設置しておきましょう。
※変更工事には、期限や制限がありますので、詳しくはマンションギャラリーで担当の営業マンにご確認ください。
どうしても仏壇が置けない場合には…手元供養という方法も
現代では、様々な事情によりどうしても仏壇を置くことが出来ない場合もあります。そもそも仏壇は何のためにあるのでしょうか?
仏壇には仏様がいて、故人や先祖への感謝の気持ちを表す場として、仏壇があります。しかし、必要なものは仏壇そのものではなく『感謝の気持ち』ではないでしょうか。
そこで、最近では形にとらわれず“手元供養”という方法を選択する方も増えています。ライフスタイルや住環境にあわせて、「手を合わせる場所」を自由に作り、供養する方法です。具体的には、遺骨や遺灰の一部を自宅に置いて供養したり、ペンダントなどにして身につけたりして供養する方法です。手元供養には『故人が近くに感じられる』、『遠くのお墓に出向くことなく供養出来る』というメリットもありますので、どうしても仏壇が置けない場合は、手元供養もひとつの方法です。
まとめ
仏壇を置くことになるケース、どうしても置けないケース。様々なライフスタイルや家庭の事情で供養の仕方も異なると思います。しかし必要なことは、形ではなく、やはり気持ちだと私は思います。あなたなりの供養の仕方を見つけてみてはいかがでしょうか。
【写真提供】
永田仏具店 〒850-0064長崎市銀屋町5-11(寺町通り)
TEL:095-825-0006 FAX:095-821-8767
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