マンションの専有部分を徹底解説!実例で見るトラブル回避法

分譲マンションの契約書に必ず出てくる「専有部分」。どの部分か知っている方も多いと思いますが、共用部分との違いや境界となると疑問に思う方も多いのではないでしょうか?マンションを所有し、快適に過ごしていくためには専有部分について、詳しく知っておくことが大切です。
ここでは、よくある事例を紹介しながら、専有部分について詳しく説明していきます。

※ここでは平成29年11月末時点での「マンション標準管理規約(単棟型)」をもとに執筆しています。法律や判例により内容が変わる可能性がありますので、最新の情報は国土交通省ホームページ等にてご確認ください。
マンション標準管理規約(単棟型) ~国土交通省ホームページより~

1.「専有部分」の基礎知識

1-1.分譲マンションの「専有部分」って何?

マンションのように1つの建物の中に独立した複数の住居等がある建物を「区分所有建物」と言い、その区分所有建物での所有権を「区分所有権」と言います。その区分所有権の対象となる部分が「専有部分」、簡単に言えば「お部屋の中」のこと。専有部分以外の部分は、すべて「共用部分」として、マンションの区分所有者全員で共有することになります。

分譲マンションのチラシやパンフレットに記載されている間取り図をみると、「専有面積」の記載があります。この広さが専有部分の広さです。専有面積の他に、「生活空間面積」とか「総面積」という記載もあるかもしれませんが、これらは共用部分であるバルコニー等の広さが含まれていることが多いですので、注意しましょう。
ちなみに、チラシやパンフレットに記載されている面積は「壁芯(へきしん/かべしん)面積」と言い、コンリート壁の中心部分から測った広さです。一方、登記をする際は「内法(うちのり)面積」と言って、コンリート壁の内側を測った面積を登記しますので、パンフレットに掲載されている面積から若干小さくなります。実際にお部屋の広さが狭くなる訳ではありませんので、ご安心ください。

1-2.「専有部分」とはこの部分

専有部分とは、「壁・床・天井に囲まれた空間」のことを言います。もっと具体的に「専有部分」と「共用部分」の境界を知りたい場合には、管理規約を確認するといいでしょう。
国土交通省が分譲マンションの管理規約のモデルとして作成し、多くの管理組合で参考としている「標準管理規約(単棟型)」というものがあります。この標準管理規約に、具体的な専有部分の範囲が記載されています。

マンション標準管理規約(単棟型)

第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。

2  前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
 一 天井、床及びは、躯体部分を除く部分専有部分とする。
 二 玄関扉は、及び内部塗装部分専有部分とする。
 三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3  第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。

◇国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」より

聞き慣れない文言も多いと思いますので、分かりにくいかもしれませんね。次の章では、具体的な事例をもとに、専有部分か共用部分かについてご紹介します。

2. 事例からみる「専有部分」か?「共用部分」か?

分譲マンションでは「専有部分か?」「共用部分か?」、さらには「その部分の管理は誰がするのか?」ということが重要なポイントになる事例が多く見られます。実は、これは各マンションの管理組合での取り決め(管理規約や管理総会での審議内容)によって異なります。 ここでは多くの管理組合がモデルとしている『マンション標準管理規約(単棟型)』をもとに、「専有部分か」「共用部分か」についてご紹介していきます。

2-1.扉の色を変えたい!玄関扉は専有部分?共用部分?

扉の色を変えたい場合、扉自体を交換したり、共用廊下側の面を塗装するのはNGですが、室内側の色を変えることはできます。
玄関扉は、1枚の扉の中で「共用部分」と「専有部分」とに分かれていて、錠と室内側の塗装部分“専有部分”、それ以外は“共用部分”とされているため、室内側のみ塗装等によって色を変更することが可能となります。

玄関扉は、美観・防火・防音を考えるうえで非常に重要な役割を果たしていますので、個人で自由に扱うのではなく、共用部分として管理組合で管理をする方が統一性を図ることができ、安心です。
この玄関扉、共用部分ではありますが、特定の人(主にその住戸の居住者)が独占して使用できる権利専用使用権があります。扉が老朽化により交換が必要な場合には管理組合の負担で一斉に交換となるマンションが多いようですが、日常生活を送る中でできた破損の修繕費は個人で負担 するようになりますので注意しましょう。

また、”錠は専有部分”とはいうものの鍵はエントランスにあるオートロックの鍵と住戸の鍵の両方を兼ねていることがほとんどですので、勝手に交換することはできないことが多くなっています。交換したい場合には必ず管理会社や管理組合に問い合わせ ましょう。

2-2.老朽化による水漏れ!原因となる配管は専有部分か?共用部分か?

水漏れが発生すると原因となった配管の修繕費だけでなく、下の階の天井やクロスの貼り換え、故障した家具家電の賠償と高額な費用がかかるケースもあり、どこが負担するものなのか気になる方も多いと思います。実はこれには明確な答えはなく、発生した原因部分の場所に加え、それぞれのマンションの管理規約や構造によって異なります。

水漏れが起こった場合、その発生場所が専有部分・共用部分どちらに該当するのかを確認する必要がありますが、この「専有部分か」「共用部分か」の判断がマンションによって異なります。
「普段目にすることがない配管や配線が“専有部分”なの!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、『標準管理規約(単棟型)』では「専有部分の専用に供される設備のうち、共用部分内にある部分以外のものは ”専有部分”」(同7条)とされています。専有部分で使用するための『配線・配管』で、専有部分内にあるものは“専有部分”ということです。しかし一方で、床スラブ(コンリート部分)に配管・配線があるマンション構造のため“共用部分”と判断されるケースや、マンションの管理規約で明確に専有部分と共用部分の境界を明記しているマンションもあるなど、さまざまな要因により判断が異なってきます。

水漏れが発生した際には、まず水漏れの発生している場所と原因を特定しましょう。管理会社か管理組合に連絡をし、専門業者に調査を依頼、水漏れしている場所をつきとめます。そのうえで、管理会社や管理組合を交えその後の対応を協議するようにしましょう。

区分所有者が負担することになったとしても、火災保険等の特約として「個人賠償責任保険」を付加している場合には保険でカバーされるケースもあります。加入している保険の内容はあらかじめよく確認しておきましょう。

水漏れの責任の所在はケースごとに判断が異なりますが、重要なのは「区分所有者が賠償する可能性がある」ことを念頭に置いておくことです。急なトラブルにも対処できるよう、事前に管理規約や保険の内容を確認するとともに、マンション全体で実施する排水管洗浄等のメンテナンスや建物の修繕計画には積極的に参加し、予防を心がけましょう。

2-3.破損した窓ガラスの修繕費を請求された!窓ガラスは共用部分ではないの?

標準管理規約(単棟型)では、マンションの窓枠や窓ガラス”共用部分”としています。これは共用部分とすることで、勝手に変更・交換ができないようにし、外観や主要構造部分の統一性を保つためです。しかし、窓枠・窓ガラスには専用使用権(特定の人が独占して使用できる権利)があるため、破損があった場合にはその区分所有者の“個人負担”となります(標準管理規約21条)。大規模修繕等でマンション全体で窓枠や窓ガラスを交換する場合には管理組合の負担で行うことになりますが、それ以外での修繕・交換は個人負担となるので注意しましよう。

なお破損以外で変更・交換をしたい場合、標準管理規約(単棟型)では、防犯上や断熱性の向上などの理由で必要性が認められれば、区分所有者の責任と負担において窓ガラス等の変更工事を実施できるとしています(同22条)。その際にも管理組合への届け出が必要になることが多いですので、管理規約の内容を確認しておきましょう。

2-4.サンルームを作りたいけど、バルコニーは専有部分?

バルコニーは住戸に付帯していて自分たちが専用で使用できるので、「専有部分」と思う方も多いかもしれませんが、実は“共用部分”。ルーフバルコニーや専用庭も同じように“共用部分”です。ただし 専用使用権により、その住戸の入居者が独占して使用できるようになっています。共用部分ですので、バルコニーにサンルームを作ったり、お部屋を広くするため増築することはできません。 また物干し金具を増設したい、物干し金具の位置を移動したいといったときにも、注意が必要です。簡単に持ち運びできるような物干しを置くことは可能ですが、コンクリートに固定する物干しを増設・移動は勝手にできません ので、希望の場合には管理組合や管理会社に相談しましょう。

バルコニーはマンション全体の避難経路にもなっています。禁止されていないガーデニンググッズや鉢植えなども、通路の妨げとならないように、日頃から注意しておきましょう。

2-5.「どこまで間取り変更できるか?」も、ポイントは専有部分か?共用部分か?

間取りが決まっている分譲マンションでも、希望に合わせて間取りを変更することができます。ただし、どんな希望でも変更できる訳ではありません。
まず、隣の住戸との戸境壁“共用部分”とされており、壁を削ったり、撤去したりすることはできません。ですので、隣り合う2つの住戸を購入し、1つの住戸にするといったことは原則できないようになっています。一方で、「1住戸内のリビングダイニングと和室の壁を取り、リビングダイニングを拡大する」のは、専有部分内の変更であるため可能です。また戸境壁でも、壁の表面部分は専有部分としているマンションが多く、クロス(壁紙)を変更することも可能です。

3.専有部分にもルールあり!こんなことに気をつけよう

所有権がある専有部分にも管理規約によってルールが定められています。マンションごとに内容が異なりますので、個別に管理組合や管理会社に確認をしましょう。
この章では意外と知られていない、だけど結構多い専有部分のルールをご紹介します。

  •  ペットの飼い方

    ペットの飼育が可能なマンションが増えてきました。新築の分譲マンションでは、最初から管理規約にペットに関するルールが細かく記載されているところも多いようです。
    まず注意しておきたいのは、飼育するペットの頭数・種類についてペットの大きさ(サイズ)の制限があることをご存じの方は多いかもしれませんが、飼育できる頭数 にも制限を設けているマンションも多いようです。いくら専有部分とはいえ分譲マンションでは、多くのペットを飼うことは難しい場合がありますので確認してみましょう。また毒を持つ危険動物を禁止 しているマンションも多く見受けられます。その他、専有部分内であっても体毛のブラッシングや汚物処理の際には窓を閉める などのルールを設けているマンションもあります。飼いたいペットがある場合には、ペット飼育が可能かどうかだけでなく、飼育のルールも事前に管理組合へ確認するようにしましょう。

  • コンクリート壁に絵を飾る

    2-5でもお話したように、外壁や隣の住戸との戸境壁は共用部分とされています。ですので、こちらの壁にクロス(壁紙)のうえから絵を貼るのは問題ありませんが、釘などでコンクリート壁に穴をあけるのはNGです。コンクリート壁に絵を飾りたい場合にはホームセンターで販売されている強力な両面テープを利用するか、絵の代わりにウォールステッカーで代用するなどしましょう。
    一方、住戸内の間仕切り壁は専有部分ですので、ピン等で穴をあけても問題ありません。ただし、下地がないとピンやネジが抜けてしまいますので、専用のアンカーを使用することをおすすめします。心配な場合はホームセンターなどで相談するといいですよ。

  • リフォーム工事は事前に届け出が必要

    リフォーム工事をする際は、工事内容が専有部分内だけだったとしても事前の届け出が必要です。これは工事に伴う騒音や水回りの配管工事による水漏れなどトラブルが多いため。標準管理規約(単棟型)では専有部分の修繕等について「あらかじめ理事長に、その旨を申請し、書面による承認を得ないといけない」(同17条)としています。設計図や工程表の提出が必要な場合もありますので、あらかじめ手続きの内容を管理会社に確認するようにしましょう。

  • 事務所や店舗など住宅以外での利用には確認が必要

    標準管理規約(単棟型)では、専有部分の用途を「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない 」としています。(同12条)
    これに基づき、専有部分の用途を「住宅」と限定している管理組合が多いですので、まずはこの記載があるか、マンションの管理規約を確認しましょう。
    この規約がある場合でも、住居兼用で塾を開いたり、少人数の事務所としての利用だったりとさまざまなケースがあり、トラブルも絶えません。知らずに事務所として利用していたものの、違反行為として利用の差し止めを請求されることもあります。その一方、「住居兼用に限り」や「少人数で不特定多数が出入りしないこと」などを条件に、許可制で認めているマンションもあるようです。
    住宅以外で利用する場合には、管理規約で認められているか、もしくは管理組合の総会で審議され、認められた内容なのかを管理会社等に必ず確認をしましょう。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。ここでは、多くのマンションのモデルとなっている標準管理規約(単棟型)を例にしてご紹介していきました。専有部分についてあらかじめよく理解をしておくと、将来のトラブルに備えることができます。お住まいのマンションの規約に詳しい取り決めがない場合には、管理組合で話し合ったほうがいいでしょう。
まずは、お住まいのマンションの管理規約を確認してみませんか?

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