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マンションライフ

物ではなく「やること」を配置!動線から考える一人暮らしの部屋作り

お部屋作りは、楽しいけれど難しい作業です。
おしゃれな家具を買ったから、雑誌のおしゃれなコーディネートを参考に模様替えして、素敵なお部屋が完成! ……したはずなのに、なぜか生活しにくい。ものをなくしたり、食器をひっくり返したりしてしまうことが増えた、なんて話をよく聞きます。
かくいう筆者も、ワンルームの狭い部屋に家具を置きすぎて、扇風機を置ける場所がドアの正面しかなく、通るたびに扇風機にぶつかっていた経験があります。

部屋をどんな行動に使うかを考えず、手元にある家具をただ配置するだけでは、生活がしにくい部屋になってしまいがち。部屋作りは「家具を置く」のではなく「やることを部屋に配置する」ように考える  と、生活動線を邪魔しない効率的な部屋をつくることができます。

そんなお部屋の作り方を、今回はシンプルな1LDKの一人暮らしのお部屋を例にご紹介します。


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・生活スタイルから考えるお部屋の向き
・家事動線のよい間取りの選び方

 

自分の行動を分類する

まず、自分の生活を見なおしてみましょう。
「朝やること」「家事」「夜・休日などの余暇時間にやること」に分類して、いつもやっていることを思いつくだけ書き出します。

そのとき、合わせて記載しておくことが2つあります。
キッチンで行う食事の準備、浴室で行う入浴など、行う場所が間取り上で決まっていることは、場所も合わせてメモしておきましょう。

また、その行動の優先度も記載しておきます。
優先度が高いかどうかは、その行動を行う頻度が高いかどうか で考えましょう。
優先度が高い行動は、生活動線上便利な場所に配置したり、いつでもその用途で使える場所を確保したりと「その行動のための部屋作り」を考えます。逆に優先度が低い行動は、他の優先度の高い行動のために場所を譲ることになります。

朝やること

生活動線を考える上で、一般的に最優先するのが朝の行動の生活動線です
朝起きてから出勤までの時間は少しでも短縮したいもの。この時間の行動をスムーズに済ませることができるよう、家具のレイアウトを考えます。
朝の行動には順番がありますので、まずは希望の順番を記載しておきましょう。

家事

洗濯・掃除などの日常の家事も、できるだけ動線を短くして、効率よく済ませてしまいたい行動です。
自分の生活スタイルに合わせた形で、家事を列挙しましょう。

洗濯を例に上げると、「洗濯~洗濯物干し」まで、「洗濯物取り込み~洗濯物たたみ~アイロン掛け~片付け」のように、一度の家事で行う動作ごとに記載するようにします。
このとき、アイロン掛けは数回の洗濯分をまとめて行うという方もいると思います。その場合はアイロン掛けは別の動作として記載しましょう。
毎朝洗濯~洗濯物干しを行うという方は、「朝やること」の中に「洗濯機を回す」「洗濯物を干す」を入れておきましょう。

余暇時間にやること

「テレビを見る」「読書をする」といった帰宅後の時間や休日にすることを記載します。
趣味の動作をはじめ、毎日することのうち、入浴や就寝前にストレッチをする習慣など、時間に追われる必要がない動作はすべてここに含まれます(毎日朝に入浴するという方は、入浴は「朝やること」に組み込んでください)。

作成例

■朝やること

行動優先度場所家具
 1.起床 高 寝室 
 2.鉢植えに水やり  バルコニー 
 3.朝食を作る  キッチン 
 4.顔を洗う・歯を磨く 高 サニタリー 
 5.朝食を食べる   
 6.朝食の片付け  キッチン 
 7.着替え 高 寝室 
 8.化粧・外出の支度 高  
 9.外出 高 玄関 

■家事

行動優先度場所家具
 洗濯~洗濯物干し 高 サニタリー→バルコニー 
 洗濯物取り込み~片付け 高 バルコニー→寝室・サニタリー 
 アイロン掛け~片付け  →寝室 
 靴の手入れ  玄関 
 掃除機かけ 高  
 浴室掃除 高 浴室 
 トイレ掃除 高 トイレ 
 食事の用意~食事 高 キッチン→ 
 ベッドメイキング 高 寝室 

■余暇時間にやること

行動優先度場所家具
 テレビ・DVDを見る   
 PC前で作業・書類整理 高  
 本を読む   
 来客対応   
 入浴 高 浴室 
 髪を乾かす 高 サニタリー 
 ボディケア・ストレッチ 高 広い場所 

必要な家具を考える

次は、作ったリストにそれぞれの行動に必要な家具を追記します。手持ちの家具が使える場合は、それもメモしておきましょう。
動線を考えるためのリストなので、大きな家具が挙げられていればOK。とりあえずものが置ければ良い場合など、どんな家具が必要になるかはっきりと分からないときは、どんなものが必要かをおおまかにメモしておきます。

作成例

■朝やること

行動優先度場所家具
 1.起床 高 寝室 ベッド(手持ち)
 2.鉢植えに水やり  バルコニー 
 3.朝食を作る  キッチン 冷蔵庫(手持ち)・レンジ(手持ち)
 4.顔を洗う・歯を磨く 高 サニタリー 
 5.朝食を食べる   ダイニングテーブル
 6.朝食の片付け  キッチン 
 7.着替え 高 寝室 ハンガーラック(手持ち)
 8.化粧・外出の支度 高  ドレッサーかメイクボックス
 9.外出 高 玄関 

■家事

行動優先度場所家具
 洗濯~洗濯物干し 高 サニタリー→バルコニー 洗濯機(手持ち)
 洗濯物取り込み~片付け 高 バルコニー→寝室・サニタリー 洗濯物をたためる場所(台)
 アイロン掛け~片付け  →寝室 アイロン台(手持ち)
 靴の手入れ  玄関 
 掃除機かけ 高  掃除機(手持ち)
 浴室掃除 高 浴室 
 トイレ掃除 高 トイレ 
 食事の用意~食事 高 キッチン→ ダイニングテーブル
 ベッドメイキング 高 寝室 ベッド(手持ち)

■余暇時間にやること

行動優先度場所家具
 テレビ・DVDを見る   テレビ(手持ち)・ソファ
 PC前で作業・書類整理 高  デスク・デスクトップPC(手持ち)
 本を読む   本棚(手持ち)・ソファ
 来客対応   テーブル・椅子かソファ
 入浴 高 浴室 
 髪を乾かす 高 サニタリー 
 ボディケア・ストレッチ 高 広い場所 

間取りの中で行動リストを考える

一般的な1LDKの間取り

いよいよ実際のお部屋で、どこで何をするかを考えていきましょう。
簡単なものでいいので、間取り図を数枚用意します。

今回は右の1LDKの間取りに、ここまでの行動リストの作例を当てはめてみましょう。
一人暮らし向きの広さで、水回り設備が右上に集まり、リビング・ダイニングと洋室の南側が掃き出し窓になった一般的な間取りです。

場所が決まっている家具を配置して、空きスペースを確認する

間取り内で空きスペースを確認する

まずは、「必ずそこになければならない家具」を配置します。

冷蔵庫はキッチンに置くのが一番便利ですし、個室を寝室に使いたいと決めているならベッドは個室内に置くことになります。
自分の生活しやすい配置が決まりきっている家具やこだわりたい置き方、手持ちの家具でそこにしか置けないものがあるなら、先に配置しておきます。

この作成例の場合、ベッドと冷蔵庫の他に、手持ちの衣類がクロゼットに収まらなかったので、寝室内にハンガーラックを置くようにしました。

そうすると、このお部屋での空きスペースはA・B・Cの3箇所 になります。
ここからは、生活動線を見ながら、まだ場所が決まっていない行動をこの3箇所のどこで行うのかを決めていきます。

朝やること

朝の行動の動線

まず最初に「朝やること」の動線を考えます。

場所が決まっている行動の番号を間取りの中にプロットし、それを線でつないでみましょう。これが朝の行動の生活動線です。

新たに場所を決めたいのは以下の2点です。
 5.朝食を食べる場所
 8.化粧・外出の準備の場所

朝の行動はできるだけ動線を短く、余分な移動を省きたいので、これらの場所は動線の近くに設定したいところです。
5番の場所となるダイニングスペースは4番と6番の近くに配置できるのがベストだと考えると、Aの場所が最適ですね。
8番の身支度スペースは、7番と玄関の間に配置したいので、AまたはBに設定するのがいいでしょう。

いずれにしろ、朝の動線から外れるCの場所は朝の行動以外に使うよう考えたいですね。

家事

次に、家事動線を考えましょう。

家事動線は、できるだけ短く、そして曲がり角が少なくするよう考えます。
家事の途中では、食事や濡れた洗濯物、汚れた掃除用具を持ち運ばなければならない場面が出てきます。できるだけ生活動線を単純に・短くして、水や汚れを部屋に落としてしまうリスクを軽減しましょう。

「家事動線」について詳しく知りたい方はこちらも記事もご覧ください。

家事動線の良い間取りの選び方
家事を行うための移動線「家事動線」を最適化して、家事ルーティンの時間的・体力的負担を少なくすると同時に、理想的な間取りを選ぶためのコツを伝授!

洗濯動線を考える

家事の中で移動がある、洗濯関連の動線を間取りに記入しました。
サニタリー→バルコニーへの洗濯物を干す動線と、バルコニー→寝室・サニタリーの洗濯物を取り込む動線です。

まずここから見えてくるのが、動線の邪魔にならないよう、リビングダイニングは右側のスペースをできるだけ空けた方がよさそうだということです。
そして、洗濯物を取り込む動線の途中に、洗濯物を畳んだりアイロンをかけたりする場所を設定したいですね。BかCに設定するのが適当でしょう。

合わせて、家事の道具をどこに置くのが便利かも考えておきましょう。
洗濯用具はサニタリー内の収納に収まるかどうか、アイロンをかけるBかC周りに、アイロン台の収納場所を作りたいといったことです。
収納場所が足りないようなら、家事を行う場所の近くに収納家具を配置する ことを検討します。収まらないものが複数出た場合は、優先度が高い家事の道具の場所を優先し、優先度が低い家事の道具は、少し離れた場所になっても他の収納場所を使うよう考えましょう。

浴室掃除などの場所移動がない家事については、動線の検討はありません。道具をどこに配置するのかのみ考えておきます。
掃除を行う場所を考える際に気に留めておきたいのが、ゴミ箱の場所です。ゴミを落として掃除の手間を増やしてしまわないよう、浴室・トイレとキッチンからアクセスしやすい場所にゴミ箱を設置するようにしましょう。

余暇時間にやること

家に帰ってからの夜時間や休日などの余暇時間にやることは、それほど動線を意識する必要はありません。
リラックスしたり集中したりするための活動なら、生活動線に触れない、動線上のデッドスペースを有効活用できる配置を考えましょう。

今回の作例では、Cの場所を主に使うことになります。


空きスペースの使い方を考える

以上の考察から、行動リストはこんな形になりました。

■朝やること

行動優先度場所家具
 1.起床 高 寝室 ベッド(手持ち)
 2.鉢植えに水やり  バルコニー 
 3.朝食を作る  キッチン 冷蔵庫(手持ち)・レンジ(手持ち)
 4.顔を洗う・歯を磨く 高 サニタリー 
 5.朝食を食べる  A ダイニングテーブル
 6.朝食の片付け  キッチン 
 7.着替え 高 寝室 ハンガーラック(手持ち)
 8.化粧・外出の支度 高 AまたはB ドレッサーかメイクボックス
 9.外出 高 玄関 

■家事

行動優先度場所家具
 洗濯~洗濯物干し 高 サニタリー→バルコニー 洗濯機(手持ち)
 洗濯物取り込み~片付け 高 バルコニー→BまたはC→寝室・サニタリー 洗濯物をたためる場所(台)
 アイロン掛け~片付け  BまたはC→寝室 アイロン台(手持ち)・BまたはCに収納棚
 靴の手入れ  玄関 
 掃除機かけ 高  掃除機(手持ち/玄関物入れに収納する
 浴室掃除 高 浴室 
 トイレ掃除 高 トイレ 
 食事の用意~食事 高 キッチン→A ダイニングテーブル
 ベッドメイキング 高 寝室 ベッド(手持ち)

■余暇時間にやること

行動優先度場所家具
 テレビ・DVDを見る  C テレビ(手持ち)・ソファ
 PC前で作業・書類整理 高 C デスク・デスクトップPC(手持ち)
 本を読む  C 本棚(手持ち)・ソファ
 来客対応  C テーブル・椅子かソファ
 入浴 高 浴室 
 髪を乾かす 高 サニタリー 
 ボディケア・ストレッチ 高 広い場所(C) 

ここから、A・B・Cがそれぞれどんな場所かを考えていきましょう。
場所ごとの行動を、優先度の高い順に並べてみます。

<A>

  • 食事をするところ。ダイニングテーブルが必要。
  • 化粧・身支度をする。ドレッサーを置くか、メイクボックスを使う。

<B>

  • 化粧・身支度をする。ドレッサーを置くか、メイクボックスを使う。
  • 洗濯物をたたむ場所。洗濯物を置ける場所が欲しい。
  • アイロンをかけるところ。アイロン台を収納できる場所が欲しい。

<C>

  • 洗濯物をたたむ場所。洗濯物を置ける場所が欲しい。
  • アイロンをかけるところ。アイロン台を収納できる場所が欲しい。
  • PCを使うったり書類整理するところ。デスクを置きたい。
  • ストレッチができるように床面を広くしたい。
  • テレビを見るところ。テレビとソファを置きたい。
  • 来客対応するところ。テーブルとソファを置きたい。
  • 本を読むところ。本棚を置きたい。

「食事をするところ」とあるのはAだけなので、Aに食事のためのダイニングテーブルを置くのは確定です。

PCデスクは壁際に

Cには要素が集まりすぎて、両立できない要望が出てきています。他の場所でも上がっている行動や、優先度の低い行動を別の場所に移すことを考えましょう。

今回の作例では優先度が「PC・書類整理とストレッチの場所」>「テレビを見たり来客対応する場所」なので、Cはデスクを壁際に置いて床面を空け、ストレッチができるようにしましょう。
床面を使いたい場所でも、フロアクッションや小さな座卓などの簡単に動かせる家具なら置くことができるので、読書スペース程度ならCを使うことができるでしょう。本棚がPCデスクの横にあれば、PC作業時の書類を置く場所にも使えますね。

テーブルが必要な来客対応はAに移してダイニングテーブルを兼用するようにしましょう。このとき、どうしてもソファを置きたいなら、ダイニングテーブルを低いものにして、椅子の代わりにソファを置くといいでしょう。
テーブルと椅子(またはソファ)があるので、テレビを見る場所もAに設定できそうです。このとき、テレビ自体はBに置いてA側にもC側にも向けられるようにしておいて、Aの食事スペースとCの読書スペース両方から見られるようにしてもいいかもしれませんね。

残ったBは、アイロン作業や化粧をするための作業台スペースになります。アイロン台や身支度用品を収納できるスペースを兼ねたものにしましょう。

以上を踏まえて、今回の作例の、最終的な家具配置はこのようになりました。

今回の家具配置

今回は余暇時間のうちPC作業や毎日のストレッチの優先度が高かったので、リビングの一番広いスペースをデスクスペースとして使うことになりました。

これが、テレビを見たり来客対応をしたりという行動の優先度が高いなら、この場所にはソファセットを置いて、PC作業の場所はダイニングと兼用することになったでしょう(モデルハウスやモデルルームでよく見られる一般的な配置はこちらです)。

このように、最適な家具配置は、自分の生活で「やること」によって変わってきます。 万人に最適なレイアウトというものはありません。
自分に合った部屋を作るには、自分自身の行動から家具の配置を考えるようにしてみましょう。


人を呼べる部屋にするための一工夫

ここまでは効率重視の部屋作りを考えてきましたが、機能性のみを考えて部屋を作ってしまうと、来客があったときにおしゃれな部屋に見せられないのでは、という心配も出てくると思います。
また、自分の生活分の家具しか考えてないと、お客様に勧める場所が確保できないということもあるかもしれません。
来客時に対応できるよう生活感を抑えたり、お客様用の家具をうまく普段も使うアイデアをご紹介します。

生活感の出るものを隠せるスペースを作る

お客様には、普段の生活が見えるようなものは、できるだけ見せたくないものです。
来客スペースそばに、一時的に物を隠せる場所を作っておきましょう。
こちらは、棚の一部を普段ドレッサーとして使っているところに、DIYの蓋を付けられるようにした例です。

来客時のために、ものを隠せる場所を作る

複数の来客に対応するための、折りたたみ椅子の使い方

 

一人暮らしの部屋では、普段必要な椅子は2~3脚といったところでしょうか。
そんな部屋にたくさんの来客があると、お客様に座ってもらう場所に困ることがあります。
来客に備えて臨時の椅子を用意しておきたいところですが、場所をとる椅子を無駄に抱えておくのは避けたいところです。

そんなときに活用したいのが折りたたみ椅子。
普段は座るためではなく、一時的にかばんや服を置く場所にしたり、見せる収納に使いましょう。小さめのシンプルなものなら場所を取らず、普通の台を置くより見栄えもします。使いみちがないときは、たたんで壁に立てかけておいてもさまになります。
来客時には、この折りたたみ椅子を自分用の椅子として使うようにしましょう。


まとめ

今回は一人暮らし・1LDKのお部屋を例に、効率的な部屋作りの考え方をご紹介しました。
一人暮らしではなく家族がいる場合や、マンションではなく一戸建ての場合でも、項目が増えて複雑にはなりますが、基本的な考え方や手順は同じです。

  1. 自分や家族の「やること」をリストアップ、優先度を決める
  2. 間取り上で空きスペースを確認する
  3. 重要な動線、優先したい行動を確保できるよう、空きスペースの使い方を考える

最も大事なのは、部屋は家具を置く場所ではなく、自分が生活する場所 だという考え方。
したがって、生活習慣や趣味など、自分の「やること」が変わったら、お部屋の使い方も変わってきます。作ったときと同じ考え方で家具の配置を再検討してみましょう。
快適に生活するために、自分のための効率的な部屋をブラッシュアップしていきましょう。

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