松阪市は行政の中心である県都・津市と並ぶ中南勢エリアの中心都市。
県都・津市に近く、さらに鉄道網や高速道路を使って、名古屋・大阪の二大経済圏にたやすくアプローチできることから、松阪市はこれらの都市圏を行き来する人々の拠点として人気が高いようです。
今回は、松阪市の中でも玄関口と言える松阪駅の南側一帯に注目。周辺環境を探るだけでなく、一歩踏み込んで、地元の顔ともいえる方々に「松阪の人のこと」についても伺ってみました。
※掲載の情報はすべて2022年9月現在のものです。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止対策などで、店舗・施設の営業時間や休日、イベント開催などが記載のものと異なる場合があります。おでかけの際は事前に確認ください。
東西の特色から松阪市を知る
「平成の大合併」を経て、面積が県都・津市に次ぐ県内2番目の広さとなった松阪市。
市域は東西にわたって広域で、大まかにいえば、松阪駅をはじめ都市機能が集まる東の平野部と豊かな自然に恵まれた西の中山間地域にゾーニングできます。
東西それぞれの特色が相まって、松阪市の大きな魅力になっているようですね。
(市の東部)都市機能が集まる平野部
松阪市の東部は、松阪駅など都市機能が集まる街の中枢で、文化遺産や史跡が数多く残っています。
伊勢湾にも面していて、市内中心部から「松名瀬(まつなせ)海岸」へは車で20分ほど。車を停めて海を眺めたり、砂浜を散歩したり。遠浅で波が穏やかであるためカイトサーフィンを楽しむ人もいます。
また、伊勢自動車道(近畿自動車道伊勢線)を当て込む都市計画もなされていて、その周辺において、産業用地の開発・分譲や、都市と農村の交流拠点を目指す「松阪農業公園ベルファーム」の整備などが行われています。
(市の西部)豊かな自然に恵まれた中山間地域
松阪市の西部は飯南・飯高エリアを中心とする中山間地域。霧氷の美しさで知られる高見山に源を発する櫛田川沿いの渓谷「香肌峡」の幻想的な景趣は「人に教えたくない」といわれるほどです。
四季折々の景観だけでなく、カヌー体験などの雄大な自然を生かしたアクティビティも充実していて、例えば、道の駅「飯高駅」では、旧和歌山街道を歩きながら神話や歴史に触れられる「珍布(めずらし)峠ウォーキングコース」のマップが配布されています。
産物はお茶やしいたけ、アユなど。「香肌峡」の地名は、それらが上質で香り高いものであったことに由来するとされています。
松阪駅・南側エリアについて
松阪市の魅力の一部をなすのは城下町としての歴史でしょうか。松阪市の玄関口である「松阪駅」の南側一帯には、今もその趣が色濃く残っています。
やや広範囲ではありますが、この一帯を松阪駅・南側エリアとして、その歴史に触れつつ、駅の周辺を中心にご紹介していきます。
ロケーション
では、「松阪駅・南側エリア」をマップでみてみましょう。
前述のとおり、このあたりはかつての城下町。この地を「松坂」(*1)と名づけた南伊勢12万石の領主・蒲生氏郷は、城普請とともに、海寄りを通っていた伊勢街道筋を城下に引き入れたり、神社や寺院を移したりといったまちづくりを行いました。そのため、この辺りには、文化遺産や史跡が数多く残されています。
(*1)明治22年(1889年)の町制施行で「松阪」に統一された。
アクセス
松阪駅・南側エリアであれば、鉄道やバスも車も便利です。ひとつずつチェックしましょう。
鉄道・バス・車いずれも便利な松阪駅・南側エリアは交通アクセスの良さも大きな魅力の1つです。
鉄道利用の場合
松阪駅には近鉄線・JR線が乗り入れています。それぞれの特徴をまとめるとこのような感じです。
|近鉄線
- 特急列車の座席は全席指定。乗車券と特急券が必要。デラックス席は特別車両券も必要。
- 急行は乗車券のみで利用できる。
- 特急券がチケットレスで購入できる「インターネット予約・発売サービス」では、登録会員を対象に、チケットレス特急券の購入でその金額の10%のポイントを還元。貯まったポイントは特急券に交換できるので、定期利用者などにメリット
近鉄名古屋方面
- 近鉄名古屋方面の特急・急行が充実。松阪駅発着も多い
- 松阪−近鉄名古屋間は特急でおよそ70分、急行でおよそ90分
- 松阪−近鉄名古屋の通勤定期運賃(1か月)は大人:24,890円(2022年9月現在)
大阪難波・京都方面
- 大阪難波または大阪上本町行きの特急が充実
- 松阪から乗り換えに便利な鶴橋まで、特急でおよそ90分
- 京都行きは本数が少ないながらも直通運行あり
時刻表は「近畿日本鉄道ホームページ」で確認できます。
|JR線
- 松阪駅にはすべての旅客列車(特急・急行・普通)が停車する
- 特急は乗車券と特急券(自由席・指定席)が必要
- 快速は乗車券のみで利用できる。指定席の利用は乗車券と指定席券が必要
名古屋方面について
- 快速「みえ」はおよそ1時間に1本運行。
- 松阪−名古屋間は快速「みえ」でおよそ70分
- 快速「みえ」の自由席がおトクに利用できる4枚セットの回数券(4,200円)あり。通常、1,690円(自由席)のところ、1枚あたり1,050円で利用できる(2022年9月現在)
時刻表は「JR東海ウェブサイト」で確認できます。
松阪駅・南側エリアで暮らすとなると、駅までの近さは大きなメリット。鉄道を使えば、県内の津市や鈴鹿市、四日市市への通勤・通学はラクになりそうです。
バス利用の場合
松阪駅南口側には、バスターミナルとしての機能をもつ「松阪駅前」バス停があります。ここを拠点に、市内各地に向けた路線バスが運行されているので、バスを利用するならとても便利です。
鈴の音バス(三重交通が運行するコミュニティバス)による「市街地循環線(右回り・左回り)」なんかも発着しており、地元の方の”足”として重宝されています。
車利用の場合
市の東西をつなぐ国道166号が走っていたり、伊勢湾沿いを走る国道23号へ出やすかったり、松阪駅・南側エリアにおける車での行き来は申し分ありません。
伊勢自動車道(近畿自動車道伊勢線)の松阪ICへも車で15分ほどです。
|note|松阪駅ならリニア中央新幹線への乗り換えが便利になるかも!?
最短で2037年に予定されるリニア中央新幹線の名古屋−大阪間の開業。全線開業により、東京・名古屋・大阪をつなぐ広域交通ネットワークが形成できるとして大きな期待が寄せられています。
三重県内では亀山市内が駅の候補地に。これが実現すると、JR亀山駅とアクセスがいい松阪駅からリニア中央新幹線への乗り換えは便利なものになりそうです。
生活環境
松阪駅・南側エリアとその周辺にはこのような生活利便が整っています。
駅前の商店街
松阪駅南口側の駅前に広がる商店街。食品、生活雑貨、グルメやサービスなどの店があります。100年以上も続くお店やイマドキのカフェなんかが混在する味わいのある街並みは歩いていても楽しいですね。長くお付き合いしていくお店をみつけたくなります。
銀行・郵便局
駅のそばには「三十三銀行 松阪本店営業部」と「百五銀行 松阪駅前支店」があります。また、駅前の通りの商店街には「松阪駅前郵便局」も。松阪駅舎内にはセブン銀ATMや百五銀行ATMが設置されています。
医療
松阪駅から2.5km圏(*2)に3つの総合病院があります。駅北口側の「済生会松阪総合病院」へは徒歩で、市役所近くの「松阪市民病院」や「松阪中央総合病院」へは路線バス(系統番号「02」や「市街地循環線」など)の利用が可能です。
※(*2)松阪駅からの地図上の概則直線距離
|note|松阪市の「こども医療費助成制度」
満18歳までの子どもを対象に、自己負担した医療費を助成金として振り込みで払い戻しする制度があります。
詳しくは松阪市ホームページ「こども医療助成制度について」で確認できます。
その他の生活関連施設
松阪市役所は松阪駅から徒歩圏内の距離にあります。
コンビニは、駅から5分ほどのところに「セブンイレブン 松阪駅南店」が、駅から7分ほどのところには「ファミリーマート 松阪湊町店」があります。
地元の方に訊く「松阪の人のこと」
江戸時代になると、蒲生氏郷により開かれた城下町「松坂」は、商都として大いに繁栄します。それにはこんな時代の流れ・背景があったようですね。
氏郷が安土桃山時代に礎を築く
楽市楽座を推進したり、故郷の近江日野や商業や海運が盛んであった伊勢大湊から有力な商人を呼び寄せたり。商業の発展に意を注いだ氏郷によって商都としての礎が築かれる。
伊勢街道の宿場町としてのにぎわい
庶民の間でも一般化しつつあったお伊勢参りが「一生に一度は行ってみたい」あこがれの旅としてブームに。伊勢街道の宿場町としてにぎわうようになる。
豪商と呼ばれる大商人の台頭
紀州徳川家の統治下で街道の要衝としての役割をもつようになる。殿様がおらず、武士も少ない飛地領ゆえ、商人が活躍しやすい自由闊達なムードが高まり、豪商とよばれる大商人が台頭していく。
[参考]松阪市ホームページ「松阪市観光プロモーションサイト」
日本中から集まってくるヒト・モノ・情報を、人々はおおらかに受け入れてきたはず。商都としての歴史は、松阪の人をかたちづくったかもしれない。——ふと、そんなようなことが思い浮かびました。
そんな仮説(!?)が立ったところで、松阪の「人」についての実際を、地元の顔ともいえる方々にインタビューしてみましたよ!
Interview1:丸中本店 オーナー中村 太さん
初めにお話を伺ったのは、丸中本店 オーナー 中村 太 さん。 「お肉を買うなら、丸中さん」といわれる老舗、松阪牛・黒毛和牛専門店の御大将です。
松阪牛・黒毛和牛専門店「丸中本店」 オーナー 中村 太 さん |
名古屋もけっこう人情に厚いところだけど、松阪はもっとあったかさが全面に出ている感じかな。誰にでも優しいし、親切。たまに「くどいな」ってときもあるかもしれないけどね(笑)。会えばみんなあいさつするし、小学生も登下校のときに「おはようございます」「ただいま」って。そんな感じであったかい。
松阪って街は、海があって山があるから食べるものが美味しい。まして松阪牛もね。食べるものが美味しいから心が満たされているんだと思うよ。だからいつも人がニコニコしているんじゃないかな。
【松阪牛・黒毛和牛専門店】 丸中本店(まるなかほんてん) エリアMAP[1]
丸中の松阪牛は、自然豊かな松阪市飯南町の自社牧場で飼育されたもの。
清らかな水と地元・松阪産の麦やわらを飼料に大切に育てているため、細かく入ったサシの美しさや火を入れたときに溶け出す脂の香り、柔らかな口触りと深い味わいは「どこにも負けない」という。ハレの日に食したい松阪牛のすきやき肉も、今日の晩ごはん用のお値打ちのものも、お肉を買うときはここを頼りにしたい。
店内はショーケースごとに松阪牛・牛肉・おみやげ品・惣菜といった売場があり、惣菜の売場はコロッケなどの揚げ物が充実。粗挽き肉の食感がすごい「ミンチカツ」は、カレースパイスのほのかさが食欲をそそる。ラードで揚げているため冷めてもカリッとした食感で実に美味。
[住所]松阪市中町1843-6
[電話]0598-21-1121(代)
[営業時間]8:00−18:00 ※祝日は17:00まで。
[店休日]日曜 ※祝日は営業。
[P]8台
[決済]クレジットカード可
[Web]http://www.marunakaniku.com
[info]贈答に最適な「松阪牛 焼肉ヒレ」や「丸中和牛すきやき肉 特ロース」など注文承ります。松阪牛には血統書が添付されます。/惣菜は「肉入りコロッケ」や「牛串かつ」など多数。その場で揚げることも生のまま持ち帰ることもできます。/丸中下村店およびオンライン販売あり。
※昨今の社会情勢により営業時間の変更や店休となる場合があります。最新の情報はホームページで確認できます。
Interview2:MERRY ENGLAND ゼネラルマネージャー奥出あゆみさん
続いてお話を伺ったのは、MERRY ENGLANDゼネラルマネージャー 奥出 あゆみ さん。
英会話スクールとカフェ、アンティークショップを展開するMERRY ENGLANDの市内2か所の拠点の柱となる方で、英国人オーナーの右腕でもあります。
なんとspecialなことに、スクール講師のMilaさんにもご登場いただきました!
MERRY ENGLAND 講師 |
(奥出さん)
松阪は「豪商のまち」ですから、2号店として本町校・CAFE KNULPを出すときに、厳しい部分はあるかもしれないと考えていたんです。でも、そんなことは全くなくて、みなさん本当に親切。人とのつながりを大事にしたり、困ったときに手を差し伸べ合ったり。実際に商売をしていると、そういった方がたくさんおられることに気がつきますね。
(Milaさん)
松阪に10年住んでいます。みなさん優しいし、いつも助けてくれる。countrysideらしいあたたかさもあって、「人」はすごくいいですね。自然が好きなので、海も山も全部あるところが気に入っています。街中なら「松坂城跡」の散歩とか。心が落ち着きますよ。
【英会話スクール・カフェ】 MERRY ENGLAND 本町校・CAFE KNULP(カフェクヌルプ) エリアMAP[2]
メリーイングランドは「リアルで使える英会話を、最高に楽しく習得する」がモットーの英会話スクール。ここ本町校は、2Fで英会話スクール、1Fでカフェを営むその2号店となる。スクールの講師はみな「日本が大好き!」な外国人の方で、教え導くことに信念をもったプロフェッショナルばかり。
カフェは、友達とのおしゃべりにも、ひとりでの読書にもぴったりな落ち着いた空間。例えば、仕事の帰りに半個室のロフト席でワインを一杯なんてこともいい。
本店(丹生寺町)の1Fではアンティークショップも展開。英国在住のスタッフによる買い付けや配送の工夫で、現地の年代物の品々をリーズナブルに提供している。
[住所]松阪市本町2099
[電話]0598-67-2757
[カフェ営業時間]【月曜〜金曜】11:00−22:00(L.O.21:30)/【土曜】10:00−22:00(L.O.21:30)/【日曜】10:00−19:00(L.O.18:30)
[カフェ店休日]不定休 ※祝日は17:00まで。
[店休日]日曜 ※最新の情報はInstagram(@cafe_knulp)で確認できます。
[P]20台
[決済]クレジットカード可、電子決済(交通系・PayPay・LINE Pay)可
[Web]https://www.merryengland.com
[info]カフェはテイクアウトメニューあり。/英会話体験レッスンあり。/いつからでも、どんなことからでも始められるレッスンは、大人を対象にマンツーマン、グループ(少人数)、クラス制(10名まで)を用意。また、キッズレッスン(年齢に応じて3つ)および中学生・高校生向けのレッスンもあり。/オンラインレッスン対応。/留学(ショートステイ・ロングステイ)相談できます。
※昨今の社会情勢によりカフェについて営業時間の変更や店休となる場合があります。最新の情報はInstagramで確認できます。
Interview3:旧長谷川治郎兵衛家・旧小津清左衛門家・原田二郎旧宅 館長 松本 吉弘 さん
最後にお話を伺ったのは、旧長谷川治郎兵衛家・旧小津清左衛門家・原田二郎旧宅 館長 松本 吉弘 さん。
旧長谷川家・旧小津家は江戸時代に開花した松阪特有の「商人文化」を伝える歴史的文化遺産。原田旧宅は松阪の武士の文化を象徴する建物です。松本さんはその3施設の長としてさまざまな活動を行っておられます。
旧長谷川治郎兵衛家・旧小津清左衛門家・原田二郎旧宅 館長 松本 吉弘 さん |
「宿からあふれた参宮客に粥や握り飯を振る舞った」という豪商らのエピソードにみられるように、松阪の商人には、伊勢信仰を受けてのことか、「思いやったり、もてなしたりは当たり前」という文化があったようです。気候も温暖で、海のものも山のものも採れるという豊かさの中で培われたのでしょう。こうした文化は昔から連綿と続いているように思います。
松阪は歴史と文化のある街で、例えば、この建物は340年もの間ここにありますが、江戸から昭和初期のものが共存していて、それが見る者を楽しませてくれる。「人」においても、歴史や文化を重んじつつ新しいものを取り入れようとする寛容さや、変化を楽しもうとする心をもっていると感じますね。
【文化遺産】旧長谷川治郎兵衛家(きゅうはせがわじろべえけ) エリアMAP[3]
当時、大伝馬町(現・日本橋大伝馬町)は木綿問屋が軒を連ねる江戸きっての流行の街。質が良く織りも見事な「伊勢(松坂)木綿」は人気を博し、天然藍の先染め糸を使って織り上げる「松坂嶋」はお洒落な江戸っ子の心を鷲掴みに。
その一角に店を構えた「長谷川」は中心的な存在で、松坂商人たちの江戸店(えどだな)の繁盛ぶりがわかる『東都大伝馬街繁栄之図』(歌川広重 筆)には長谷川の店が4軒描かれているほど。
ここ旧長谷川治郎兵衛家では、当時、主人が江戸などに展開した店の経営の指揮を取っていたという。その住まいであった大きな屋敷では、随所に、質素倹約でありながらも茶の湯や香道、絵画、和歌、俳句を嗜む洗練された松坂商人こだわりの意匠を観ることができる。蔵や回遊式の庭園、創業以来大切に保管されてきた商売の資料や道具なども必見。
[住所]松阪市魚町1653
[電話]0598-21-8600
[営業時間]9:00−17:00 ※最終入館は16:30。
[休館日]水曜、年末年始 ※水曜が祝日の場合は営業。翌平日は振替休。
[入館料]400円(6〜18歳は200円) ※旧小津家・原田旧宅との共通券は570円。
[P]1台 ※土曜・日曜・祝日は松阪市役所駐車場が一般開放されています。
[Web]https://matsusaka-rekibun.com
[info]三井・長谷川と並ぶ屈指の豪商・小津の本家であった「旧小津清左衛門家」(きゅうおづせいざえもんけ)は、建物は三重県有形文化財、敷地は松阪市史跡に指定されています。/3施設それぞれのイベントなどはWebサイトで確認できます。
※昨今の社会情勢により開館時間の変更や休館となる場合があります。最新の情報はホームページで確認できます。
人のあたたかさや度量の広さを知って、すっかり松阪が好きになってしまいました。 中村さん、奥出さん、Milaさん、松本さん、ありがとうございました!
松阪駅・南側エリアから街を歩いてみる
いよいよ松阪駅の南側エリアを歩いてみましょう!
“庭”のように駅の近くをぶらり
思い立ったら立ち寄れる、駅を起点にした「ぶらり歩き」のルートです。 素敵なお店にも寄り道しちゃいますよ!
松阪駅南口。ここから駅前の通りの商店街へ。
「松阪駅前」の交差点の右手に「百五銀行 松阪駅前支店」があります。
直進していくと「ベルタウン」の交差点に。この交差点から右が「職人町通」。氏郷が整備したとされる通りのひとつです。
この画像は「職人町通」を入ったところ。通りには鰻の名店もあります。
今日のところは「ベルタウン」の交差点を「職人町通り」と反対の路地へ。
少し進むと左手に「みろく院善福寺」があります。お邪魔してみましょう。
みろく院善福寺は、開運・厄徐の行事「節分星祭り」(2月3日)が有名なお寺です。
当日は、祈祷や神事、鬼ばらい(豆まき)、古いお札のお焚きあげが行われます。例年、市長さんも鬼ばらいに駆けつけてくださるそうです。
右の画像は「松阪まちなかお雛さま祭り」の様子。
みろく院善福寺では、江戸の頃からの雛人形が70体ほど並ぶとのこと。雛飾りといえば、3段・5段・7段飾りが一般的ですが、こちらでは、柿本人麻呂と小野小町、菅原道真の雛人形を加えた8段飾りも観られるそう!作家・高橋みゆきさんが手がける「つるし飾り」も必見です。
境内は街中とは思えないほどの静寂な空間。
こちらは、ご本尊の薬師如来と毘沙門天王が祀られる本堂(正面)とお大師さまが祀られる大師堂。薬師如来は諸病平癒や厄除祈願、諸願成就に、毘沙門天王は商売繁盛や合格祈願に御利益があるとされています。
大師堂の屋根の要所には立派な鬼瓦が葺かれていました。
みろく院善福寺は、境内に水掛不動明王が安置されていることから、悪縁を断ち切り良縁を結ぶ「悪縁切り」でも知られています。不動明王が「病気との縁を右手の剣で切ってくださる」ことからつながっているようですね。
不動明王は、心の迷いや身に降りかかる災難を取り除き、すべての人を分け隔てなく救って御利益を与えてくださる慈悲深い仏さまです。
「悪縁切り」は、「誰か」や「何か」とのことだけでなく、自身の悪癖などとの縁切りをもお願いできます。
お札を石鉢の水に浮かせてお祈りし、お札が溶け切ったら石鉢の水を不動明王の像にかけます。
最後は、護摩木に「病気平癒」「健康増進」「良縁成就」「お願いごと」を書きましょう。護摩木を受けていただく木箱もそばにありますよ。
書いておくと、毎月28日の不動明王のご縁日に、ご住職さまが不動堂で護摩を焚いて(護摩木を供物として焼く)祈願してくださいます。願いが成就したら、どうぞお礼参りをお忘れなきように。
さまざまな仏さまが祀られているのは、仏さまが物事の多様な状況や異なる側面に合わせて現れてくださるからだそう。
手入れがなされた境内では、桜やつつじ、紫陽花、百日紅、紅葉、山茶花、梅、椿など四季折々の景観も楽しむことができます。
【寺院】金生山 善福寺 弥勒院(きんしょうざん ぜんぷくじ みろくいん) エリアMAP[4]
「みろく院善福寺」の通称で知られる。弘法大師(空海)の師僧である勤操(ごんそう)僧都が宝亀四年(773年)に再興したとされる由緒ある寺院。それゆえ、境内には、ご修行中の大師さまの像や遍路と同じ御利益をいただける「お砂踏み」、お大師さまご誕生の地からお迎えした「善通寺桜」が置かれている。
蒲生氏郷の国づくりにより現在の地に。明治の神仏分離令までは、全国的に浸透していた神仏習合の考えのもと、隣接する「牛頭天王社」(現・八雲神社)の管理を行う別当寺としての役割も担っていた。そのため、隣り合う敷地はそれぞれに細長い。
[住所]松阪市日野町701
[電話]0598-26-0369 ※FAXは「0598-21-5737」へ。
[参拝時間]いつでも ※24時間参拝できます。
[P]参道に駐車可 ※入口横は月極駐車場のため利用できません。
[Web]https://www.facebook.com/mirokuinzenpukuji
[info]主な年間行事に、節分星祭り(2月3日)、青葉祭(6月15日)、夏不動祭(7月28日)などがある。/6月に人形供養を行っている(古くなった人形の受け付けは12月〜3月)。/隣接する町屋(松阪商人の家)は檀信徒会館。季節ごとにさまざまなイベントを実施している。
※昨今の社会情勢により行事が中止または内容が変更となる場合があります。最新の情報は問い合わせください。
それではみろく院善福寺を後にして、お隣の「八雲神社」へ向かいます。
実は「八雲神社」としての名はここ1世紀半のこと(*3)。それまでは、祇園精舎の守護神である牛頭天王(ごずてんのう。須佐之男命の化身とされる)を祀ることから「牛頭天王社」「祇園社」などと呼ばれ、弥勒院(みろく院善福寺)と一体的な運営が行われていたようです。いわゆる神仏習合ですね。
(*3)神道と仏教を明確に切り分け、神社から仏教的な要素を排除した明治新政府による神仏分離政策による。徳川幕府が国策としていた仏教国教化を否定し、王政復古・政祭一致を掲げ神道の国教化を目指した
寺社の入口が隣り合う様子に、仏教の伝来以降、神さま・仏さまへの信仰を隔てることなく大切にし、おおらかに調和させてきた昔の日本人の姿が窺えます。
八雲神社の参道は桜並木。春はとっても綺麗でしょうねぇ!
なるほど、楼門にある「天王門」の扁額は牛頭天王に由来するのですね。
境内へ進みましょう。お社は高尚で、しみじみとした味わいが感じられます。
感神殿(拝殿)では奉納された御神馬の絵を拝見することができました。
感神殿の扁額や本殿の吊り提灯には三つ葉葵の御紋が。この扁額は紀州徳川家第10代藩主・徳川治宝により授けられたものだそうです。
手水舎の隣には「神馬舎」があります。かつて、豊受大神宮(伊勢神宮外宮)よりここに御神馬が遷されたことによるそう。中には木造の御神馬が置かれています。
ところで、八雲神社の創建には、今の時勢と少し似た背景があったようです。
当時、首都・平安京では流行病が蔓延。祇園信仰(*4)の総本社とされる京都祇園社(現・八坂神社)は、御霊会(*5)を執り行い疫病退散を祈願します。これが貞観11年(869年)のこと。祇園祭の起こりといわれています。「松阪祇園まつり」はこの御霊会に由来するものです。
(*4)須佐之男命(素戔嗚尊)の化身とされる牛頭天王を祀る信仰。牛頭天王は行疫神(ぎょうえきしん)として疫病を鎮める強い力をもつとされた。(*5)霊を鎮める祭事。政治的な陰謀などで悔いを残して死んだ人々の御霊(ごりょう)が天災や疫病をもたらすと考えられていたことによる。
その翌年には、諸国にまで広がった流行病を鎮めるために、全国の主要な7つの土地に「祇園社」の勧請(*6)・創建がなされます。その一つが八雲神社です。弥勒院への勧請に始まり、八雲神社の前身となる「牛頭天王社」が創建されたというわけです。
(*6)根源となる寺社から神仏の霊を招請し奉安すること。
八雲神社では、まさに今も、須佐之男命の力強い神威によって、一日も早い社会の安寧と、人々の健康が祈られています。
【神社】八雲神社(やくもじんじゃ) エリアMAP[5]
御祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)と櫛名田比売命(くしなだひめのみこと)。蒲生氏郷の国づくりにより、みろく院善福寺とともに現在の地に移された。旧城下(現在の松阪市松ヶ島町)の頃からから続く、松阪の地の「総産土神」。氏神や地域で運営することが困難になった社を引き受けているため多くの末社が祀られている。
地元の人々に愛されている神社で、「初詣はここ」「子どもの命名の相談に行く」という方も。市の指定有形文化財である「八雲神社神輿」は元禄15年(1702年)頃に製作されたとされている。
[住所]松阪市日野町690
[電話]0598−21−0861
[参拝時間]いつでも ※社務所は9:30から16:30までです。
[P]境内に駐車可
[Web]https://inory.jp/yakumo
[info]主な年間行事は、歳旦祭(1月1日)、左義長神事・どんど焼き(1月15日)、松阪祇園まつり(7月)、夏越の祓(7月)など/「初宮参り」「厄除け」「家内安全」「交通安全(車祓)」などさまざまなご祈願の祈祷を承ります。/境内に神宮遥拝所があります。/御朱印は通常のものと月替わりのものがあります。神職の方が不在の場合、御朱印は書き置きとなります。
※昨今の社会情勢により行事などが中止となる場合があります。最新の情報は問い合わせください
八雲神社の参道を出たらそのまま真っ直ぐ進みます。
道なりに進むと伊勢街道に出ました。
「松阪駅前」の交差点から伊勢街道のちょっと先までのこの一帯は「日野町」という地名で、氏郷が故郷の近江日野から呼び寄せた商人たちが住んだ街だといわれています。
向かいに何やらオシャレなお店が!寄ってみましょう。
【サンドイッチ・カフェ】小麦香る男(こむぎかおるおとこ) エリアMAP[6]
店名の「男」とは裏腹に、素敵な女性店主とスタッフの方が切り盛りする手づくりのサンドイッチの店。折々に入れ替わるメニューは、例えば、「切り干しマサラと焼きなすのパニーノ」や「アップルカマンベールのホットサンド」といった具合。揚げパンやマフィンなどの“甘いもの”やドリンクも豊富なので、カフェとしての利用も。服や雑貨もぼちぼちと販売されているので、行ったときに気に入ったものを見つけられればラッキー!
どことなく不思議な佇まいの店だが、店主曰く、「実は、どんなかたちに展開するとか、どんなふうに変えていくとか、これからのことはまだ決めていないんです」とのこと。あの「アオゾラ食堂」が手掛けているだけに、これからどんな試みがなされていくのか楽しみだ。
[住所]松阪市日野町569-1
[電話]0598-67-9087
[営業時間]【月曜〜金曜】7:30頃−16:00頃/【金曜】9:00頃−16:00頃/※ときどき延長営業あり、ときどき夜営業あり。
[店休日]土曜・日曜 ※最新の情報はInstagramで確認できます。
[P]3台 ※店舗向かって左側。店舗側に沿った右側のスペースです。
[喫煙]不可
[決済]現金のみ
[Web]https://www.instagram.com/komugi_kaoruotoko
[info]モーニングあり。/全メニューテイクアウトOK。/徒歩5分のところに、手づくりのおかずから主菜・副菜を選んでごはん・お味噌汁といただく「アオゾラ食堂」(平生町34-1)あり。
※昨今の社会情勢により営業時間の変更や店休となる場合があります。最新の情報はInstagramで確認できます。
その近くにはこんなお店も。グラノーラの専門店とはなかなか珍しいですね。
【グラノーラ専門店】CABANON(キャバノン) エリアMAP[7]
栄養価の高い有機オーツ麦を店舗奥のファクトリースペースで焼き上げる「自家製グラノーラ」が自慢。香ばしく風味豊かなグラノーラは、レシピによって、有機メープルシロップや蜂蜜、ココナッツ、伊勢茶などを混ぜ合わせて焼き上げ、ドライフルーツやナッツを加えて仕上げられたもの。控えめな甘さもいい。キューブ状のグラノーラはちょっと何かをつまみたいときにぴったり。よく噛んで食べればひとつで満足できるのでダイエット中の方にもオススメ。
店頭では、ストロベリーやピスタチオココナッツなどのグラノーラを大内山酪農のアイスクリームにトッピングしたオリジナルメニューも販売されている。
[住所]松阪市日野町575
[電話]0598-67-5854
[営業時間]10:00−19:00
[店休日]日曜 ※祝日は営業。
[P]近隣にあり ※お気軽にお尋ねください。
[決済]クレジットカード利用可
[Web]https://www.cabanon.biz
[info]オンライン販売あり。/各種ギフト注文承ります。/11月〜3月は冬季限定メニューの「チョコレートグラノーラバー」の販売あり。
※昨今の社会情勢により営業時間の変更や店休となる場合があります。最新の情報は問い合わせください。
こんなお店に寄り道できるなら、ぶらりと歩きもご機嫌です。
さあ、伊勢街道と駅前からの通りが交わる「日野町」の交差点まで来ましたよ。
角の薬局の前に、「右 わかやま道」「左 さんぐう道」と刻まれた道標がありました。ここが和歌山街道の起点です。
あとはこのまま伊勢街道に沿って進んだり、駅方面に戻ったり。気分に合わせてぶらぶらと歩いてみてくださいね!
少し足を伸ばして「松阪らしさ」を感じる
文化遺産や史跡があちこちにみられる松阪駅・南側エリアやその周辺。
先にご紹介した「ぶらり歩き」のルートだけでなく、例えば、こんな名所や古くからある街路を行き先に選んで歩いてみてはいかがでしょうか。
|松坂城跡(国指定史跡)
|御城番屋敷(国指定重要文化財)
|原田二郎旧宅(市指定有形文化財)と旧同心町の通り
|大手通周辺 旧長谷川治郎兵衛家(国指定重要文化財)
|大手通周辺 旧小津清左衛門家(建物:県指定有形文化財、敷地:市指定史跡)
|大手通周辺 街路の様子
松阪駅・南側エリアやその周辺には、ほかにもたくさんの名所があります。歴史ある街を歩くのは風情があっていいものです。ぜひ、試してみてくださいね。
松阪駅・南側エリアMAP
さて、このエリアの周辺環境や「松阪の人のこと」を知っていただいたり、このエリアでの暮らし方のイメージをもっていただいたりできたでしょうか?
松阪駅・南側エリアなら、松阪を拠点にしながら他都市まで生活圏にする“いいとこどり”のライフスタイルが叶えられると思いますよ。
三重エリアでの生活に興味があるあなたへ
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