結婚3年目の主婦がつづるマンション勉強記Vol.4では、マンションの「施工管理に携わる人たち」にスポットをあててお届けします。
マンション勉強記Vol.3~設計企画編~では、あなぶき興産のマンションにこめられたコンセプトや災害対策設備の充実に興味をもった筆者。今回は、さらに一歩踏み込んでアルファシリーズマンションの「品質」と「安全」を建設部がどのように支えているのかについて、お話を聞くことにしました。
1年半以上のプロジェクトで建設されるアルファシリーズマンション。マンションができるまでの施工工程と検査ステップをはじめ、あなぶき興産が採用している「マンション構造」についても詳しくご紹介します。
※記事の内容は2019年10月取材時点の情報です。
施工時期やエリア、商品企画によって、内容が異なる場合があります。
穴吹興産株式会社
奥野 昇
今回の登場社員
建設部 施工管理グループ 不動産開発本部 建設部 関東建設グループ
アルファシリーズマンションに入居されるお客様の「住み心地の良さ」も考えながら、厳しい目で検査を重ねあなぶき興産として自信を持ったマンションを提供していきたいと奥野さんは語る。
マンションの「品質」と「安全」は本当に信頼しても大丈夫?アルファマンションができるまでの施行工程を調査!
マンションができあがるまでの工事のスケジュール管理をはじめ、定められた検査項目に基づき建設段階のマンションの厳正なチェックを行うのが、建設部の施工管理の仕事です。
建設会社、建材メーカー、住宅設備メーカーなど関係各所との連携も図りながら、縁の下の力持ちとなってあなぶき興産のマンションの品質を支えています。
うえだ 一つのマンションができあがるまでに、たくさんのストーリーがあると思うのですが、私たちが施工中のマンションの舞台裏を知る機会はほとんどありません。
工事が始まり、「どんなマンションが建つのかな」とワクワクしながら外から眺めることもありますが、気がついた時には建物が完成しているスピード感なので、どのようなステップを経てマンションがつくられているのか?という点も気になります。
施工工程はもちろん、私たち建設部が携わっているマンションの検査風景は、うえださんには見えていない「マンションづくりの舞台裏」にあたります。
アルファシリーズマンションの施工は、委託先である建設会社によって行われますが、起工式から竣工まであなぶき興産の建設部が責任をもって管理し、営業担当や開発担当等も出席する建設現場定例会では、工事の進捗や施工状況の確認を行っています。
※物件により施工の詳細は異なる場合がございます。
1.起工式(地鎮祭)
起工式には、あなぶき興産の開発、営業、建設部の担当者も出席します。工事が安全に滞りなく行われ無事にマンションが完成することを祈願し、工事が始まります。
2.杭工事
深い穴を掘るアースドリル機で固い地盤まで掘削します。堀削した穴には、杭筋(鉄筋を組んで円筒状にしたもの)を設置し、コンクリートを流し込んでいきます。マンションを建設する地盤のボーリング調査は、あなぶき興産がボーリング業者に依頼し、地盤の安全性を調べた上で地中の構造を決定しています。
3.基礎工事
建物全体を支える土台となる基礎は、鉄筋の配置が耐震強度に関係してくるとても重要な部分です。配筋(※)された鉄筋の回りを型枠で囲み、型枠の間にコンクリートを流していきます。
※配筋…設計図通りに鉄筋を配置すること
4.登録住宅性能評価機関検査(基礎)
構造や災害時の安全性、環境の配慮などの住宅性能を国が登録した第三者機関が検査し評価します。
ここでは、鉄筋の間隔や太さ等々が基準を満たしているか、検査員が項目ごとに確認していきます。この他にも工事管理者・設計監理者による検査も行われます。
5.コンクリート打設
2階の柱や床の部分のコンクリート打設中の様子です。この後、基礎から1階部分を造る際と同様に、配筋→型枠→コンクリート打設を繰り返し、徐々にマンションを造っていきます。
6.柱配筋工事
マンションを支える大事な「柱」には、たくさんの鉄筋を配筋し、周りをコンクリートで固めます。
7.登録住宅性能評価機関検査(特定工程)
国が指定する第三者機関による検査が定期的に行われます。最終的に、工事が適合していることを証明する「検査済証」やその住宅の性能を表わした「建設住宅性能評価書」が発行されます。
8.サッシ取付
いよいよ内装工事が始まりました。写真は、アルミサッシを取付けしているところです。アルミサッシは、寸法に間違いがないよう、建設現場で溶接し固定します。その後、ガラスを入れて室内に風や粉塵が入り込まない作業環境を作ります。
9.断熱吹付
写真は、2階発泡ウレタン吹付け工事状況です。発泡ウレタン(※)を吹付けることで断熱効果が得られます。
※発泡ウレタン…ウレタン樹脂に発泡剤を加えてつくられ、断熱材や充填剤として用いられます。
10.造作工事(間仕切壁施工状況)
軽量鉄骨で各間取り通りに枠組みを組み立てしていきます。この軽鉄下地に、プラスターボードという石膏ボードを貼ることでお部屋の形がより見えてきます。
※画像は木軸ですが、アルファシリーズマンションは軽量鉄骨で施工する場合もあります。
11.造作工事(遮音間仕切り軸組み状況)
トイレやお風呂等の水周りの壁には、下地の間に吸音材のグラスウール(※)が充填されています。
※グラスウール…軟らかくなったガラスを極細に伸ばして重ね合わせたもの。内部に空気を多く含み、高い吸音性能をもっています。
12.タイル工事
共用廊下外側部分のタイルを貼っています。このタイルがマンションの外観となっています。
13.防水前 屋根躯体
上から見ると、マンションの屋根はこのようになっています。これから防水工事が行われていきます。
14.竣工
すべての工事が完了し、マンションができあがります。
続いて、私たちあなぶき興産建設部が独自に行っているアルファシリーズマンションの「検査体制」についてご紹介します。
アルファシリーズマンション、あなぶき興産“独自”の検査体制
上図が、マンションができるまでに建設部が主に携わっている検査の流れをまとめたものです。
法律で定められた基準をクリアするのは当然ですが、それに加えてあなぶき興産では、独自の厳しい社内規準や検査体制を設けており、マンションの施工段階に合わせて検査を実施しています。
下地検査
建物全体を包むのに重要な役割を担っているのが「壁」です。この壁に「ボード」、「クロス」と呼ばれる素材を貼って仕上げていきますが、これらの作業を行う前に実施しているのが「下地検査」です。
設計事務所、設備業者のスタッフも立会いのもとで床配管の勾配や、配管と配線同士の接触確認を行います。万が一接触していることがあれば、緩衝材を入れる等の対策を指示します。また、断熱材の厚みをチェック、スイッチ・コンセントの位置の確認等仕上がってから確認の出来ない部分のチェックを行います。
中間検査
マンションの2階部分が出来上がったタイミングで実施しているのが「中間検査」です。上層階の工事が進んでいくにつれて問題点が見つかった場合、造り直しにかかる工事の難易度も高くなります。後々の工期にも影響が出てきますので、この段階で徹底して建物の検査を行います。
中間検査で使用される「着工・中間検査シート」には、マンションの専有部、共用部、電気設備、給排水設備などそれぞれの場所ごとに細かく検査項目が設定されています。
発注した建設会社の施行が、あなぶき興産が定めた設計図面通りに行われているか、想定しているマンションの使い勝手の良さがきちんと反映されているかどうかも踏まえて確認します。
着工・中間検査シートとは?
着工・中間検査シートの項目(検査項目から抜粋)
【専有部】クロゼットドア開閉時に扉がカーテンレールやクーラースリーブに接触する箇所がないか確認します。(接触してドアが開ききらず使えない場合を注意)
【共用部】マンションのアプローチ(※)から階段(段差)がある場合、段差でのつまずきを考慮した段鼻タイルの色の検討が視覚的に分かりやすくされているかどうか、床タイルの選定においては、滑りや清掃性が考慮されているかどうかを確認します。
※アプローチ…敷地の入口からエントランスまでの部分
【構造】杭の全数に対して、支持層(※)に届いているかの確認をゼネコン職員および杭施工業者の両者で実施。杭全数の写真を撮影し、検査をします。
※支持層…建物を支える地盤または地層のこと
【電気設備】調理の油などで発火の恐れがあるのを防ぐため、ガスコンロとキッチン用コンセントは設計通り150㎜以上の間隔がとれているかを確認します。
上棟検査
マンションの屋上にあたる部分の検査が「上棟検査」です。マンションの建物の骨組みである「躯体」が出来上がったあとに、下地およびアスファルトの防水作業を行います。
これらを行う前に、下地がきちんと仕上がっているかどうかの検査を実施します。
竣工検査・竣工検査是正確認検査
最後に「竣工検査」です。あなぶき興産の建設部のスタッフはもちろん、営業、開発担当のスタッフも交えてマンションのすべての部屋のチェックを行います。
室内にキズや汚れなどの不具合がないかどうかを重点的に確認し、万が一不具合が見つかった場合には修繕を行い、後の「竣工検査是正確認検査」にて再度チェックを行います。
この検査を無事にクリアしたマンションだけが「内覧会・引渡」へと進んでいきます。
建物の安全を支えるあなぶき興産としての取り組み
マンション災害対策編
あなぶき興産が採用しているマンションの構造についても、このあと詳しくご紹介します。
マンションの建設現場においては、杭施工安全確認表明書と構造スリット確認報告書を杭工事、躯体工事が完了した後、すぐに建設会社にて作成・提出をしてもらうことによって問題点の早期発見と施工業者へ責任を持った建物造りへの指導を行っています。
マンション構造編
※採用される構造は、物件により異なります。
基礎(杭基礎方式)
マンションの基礎工事には、「杭基礎方式」を採用しています。地盤調査で探し出した支持基盤となる地層まで杭を打ち込み、杭全体の摩擦抵抗力と先端抵抗力によって建物をしっかりと支えます。
戸境壁の厚さ
戸境壁は、鉄筋を格子状に組み上げる工程において、さらに鉄筋を二重に組むダブル配筋を標準施工とすることで強度と耐久性を高めています。厚さを充分持たせ、住戸間のプライバシーにも配慮しています。
外壁
建物全体を包む外壁は厚みのあるコンクリートと耐久性のあるタイルで快適性を高めています。
ボイドスラブ
床スラブは、ダブル配筋を施した鉄筋コンクリート造で、設計審査基準を上回る厚さ最大275mm(フローリング材は遮音等級LL-45)としています。審査基準よりも厚くすることで、上下階の日常生活から発生する音にも配慮しています。
柱
建物全体をしっかりと支える柱は頑丈な鉄筋コンクリート造。異形鉄筋を縦方向に配し、その回りに鉄筋のフープを約100mm間隔で巻きつけ固定します。
その上に型枠を組み込み、コンクリートを打ち込んで固め、頑強な鉄筋コンクリートの柱に仕上げます。
地震対策
地震で建物に影響が及んでも、一定レベルまでは玄関扉が開き、避難通路を確保できるように配慮しています。
共用部のエレベーターは、地震時にただちに最寄り階に停止させ、ドアを開く自動着床装置を採用しています。
モデルルーム見学時には、内装や住宅設備についての関心が高かったですが、住まいを検討する際には、マンションの構造について知っておくこともポイントになりそうですね。
マンションの「変更工事」とは?アルファシリーズマンションではどのように対応しているの?
※変更工事を希望される場合は追加費用が必要となります。
お客様が希望されている変更工事を行うことによって、隣接している他のお客様のお部屋への影響や、構造上・建築基準法上の問題がないかなどをチェックします。
その他にも、お客様から変更工事に関するお問い合わせがあれば建設会社・設計事務所・支給品業者にも確認をとり、お客様に迅速な回答が出来るよう、対応しています。
変更工事では、具体的にどのようにお部屋の変更を希望されるお客様が多いのですか?
同業他社のマンションと比較しても、変更工事を柔軟に対応しているケースは珍しく、アルファシリーズマンションの特徴の一つでもあります。
あなぶき興産の施工管理担当がめざす今後の展望とは?
取材後記
私たちが普段目にすることのない「マンションをつくる舞台裏」では、一つ一つの検査に真摯に向き合いながらお客様の住まいを造りあげていく建設部の地道な取り組みがありました。
マンションが建設される各地域のことを考え寄り添うあなぶき興産の姿勢は、アルファシリーズマンションに入居されるお客様の暮らしの満足度を高めることにも繋がっているのだと感じた筆者。
では、「マンションの建設地」に選ばれている「土地」や「環境」は一体誰が、どのように決めているのでしょうか。次回マンション勉強記Vol.5では、マンションの「土地取得」を支える【開発】のセクションにスポットをあててお届けします。
※記事の内容は2019年10月取材時点の情報です。
これまでに公開された勉強記はこちらからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。
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