いきなりですが、「地方都市」に住む魅力とは何でしょうか?
地方の都市部に住むイメージとして一般的に、都心部と比べると「不便」ということが大きいかと思います。
かといって大自然の豊かさを日常的に享受できるわけでもなく、都会と田舎のどちらにも振り切れない、言ってしまえば中途半端なイメージを持たれがちです。
では、地方都市に住むメリットはなくデメリットばかりなのでしょうか?
この記事では地方都市の魅力について、後半では筆者が住む高松市を例に挙げて、地方都市での住まい方をご紹介したいと思います。
地方都市に住むメリットとは?
家賃が安く、物価も安い
まず生活コストを安く抑えられることが挙げられると思います。
家賃は都心と比べると格段に安く、食料品などの物価も安い場合が多いです。
HOME’Sサイトの家賃相場比較によると1Kの家賃相場が、港区は11.85万円、23区の中でも比較的安い葛飾区では6.21万円。一方、筆者の住む高松市は4.03万円といったところです。月の収入が20万円だとすると、都心では一人暮らしで生活するだけでやっとのところが、地方ではある程度余裕のある暮らしができます。
また、地方は仕事が少ないと言われがちですが、今はリモートワークなど様々なワークスタイルがある時代です。職種によっては都心と同じように仕事ができる環境を地方に作ることも可能です。
通勤時間が短い、通勤ラッシュがひどくない
通勤時間の平均は、関東圏の男性で79.2分、地方都市(10大都市圏外)の男性で30.6分となんと50分近い差があります(総務省平成 23 年社会生活基本調査より)。
また、都心のように満員電車にすし詰め…ということは地方ではあまり聞かない話です。通勤ラッシュがさほどひどくないというのは都心の人にとっては非常に魅力的ではないでしょうか。
自然が近くにある、時間の流れがゆったり
日常的に大自然の中で過ごせるかといえば、地方でも都市部となると難しい話ですが、割と身近に、少し足を延ばせば触れられる、ほどよい距離にあると言えるでしょう。特にキャンプ・釣り・サイクリング・スキーなどのアウトドアを趣味にしている人にとっては、気軽に趣味を楽しめるという点で大きな魅力ではないでしょうか。
同じ四国の高知県に住んでいる筆者の友人でサーフィンが趣味の人がいるのですが、毎朝出勤前に波乗りしてから仕事に行くそうです。 また、情報量や雑音が都心と比べると少ないため、時間の流れをゆっくり感じるという人が多いです。
地域の人とのつながりがある、子どもがのびのびと育つ
都心では地域の人とのつながりというものが希薄になりがちです。隣にどんな人が住んでいるのかまったく分からないといったことも珍しくありません。もちろん、その方が性に合っているという人もいるでしょう。しかし、付き合いがどうしても同年代に偏りがちな都心に比べ、幅広い年齢層の人と関わりが持てるということは、都会では得にくい知恵や考え方の刺激をもらえると言えるのではないでしょうか。
また、子育てに置いてもメリットが多いように思います。地域の目があるということは防犯の観点からも良いですね。自治体によりますが、保育園の待機児童数が都心よりは比較的少ないことも共働きを考えている夫婦には魅力ではないでしょうか。
地方は本当に不便か?地方の利便性について考える
冒頭で、地方都市は「不便」というイメージを持たれがちという話をしましたが、ここで地方都市の利便性について考えてみたいと思います。
地方都市は本当に不便でしょうか?
都心には確かに何でもあります。しかし生活圏としては、実は地域が広すぎるとも言えるのです。
都心はファッションなら渋谷、芸術は上野、家電量販店なら新宿…といったように、非常に高い専門性を持つ地域がそろっていますが、その地域間は徒歩で行ける距離ではなく、電車などで移動しなければなりません。
これが地方都市では、さまざまな機能を中心的なエリアに集める形をとっていることが多いのです。
地方都市のコンパクトシティ構想
多くの地方都市は都市の中心部に機能を集めた「コンパクトシティ構想」を導入していっています。
コンパクトシティ構想とは、商業地や行政サービスといった、住宅、職場、店舗、病院など、生活に必要な機能を中心部に集めることで、地方では必須と言われがちなマイカーに頼らず、主に徒歩圏内で暮らせる街にする生活・行政を目指す政策のことです。先進的に取り組んでいる例としては、青森市や富山市などがあります。
これは非常に効率的な生活を実現していると言えます。
つまり、地方の都市部ほど実は利便性が高い地域 と言えるのではないか?ということです。
筆者の住む高松市もこのコンパクトシティ政策に取り組んでおり、「高松中央商店街」の再生を成功させ、この商店街を中心に百貨店、医療、行政機関、文化施設等が徒歩圏内に集まる都市計画を目指してきました。
次章では、この高松市をモデルケースに地方都市での住まい方をご紹介していきます。
地方都市での住まい方/事例:香川県高松市
筆者の住む香川県高松市は、人口約50万人の都市で、気候は瀬戸内気候のため年間を通して温暖で災害も少なく、非常に住みやすいと言われています(温暖すぎて十数年に一度の頻度で水不足に陥ることがありますが…)。
また県外大企業の支店や国の出先機関が集積しているため支店経済が発達しており、都心部から高松市に移住する人も多くみられます。
「高松中央商店街」の再開発
高松市のコンパクトシティ政策の一環として、「高松中央商店街」の再開発が進められてきました。
高松市の中心部に位置する高松中央商店街は高松丸亀町商店街、兵庫町商店街…などの全部で8つの商店街からなり、全長2.7kmのアーケードは日本一の長さと言われています。
数年前までは、近年の他の地方都市と同様に郊外型の大型店に圧され、空店舗が目立ちはじめ、いわゆるシャッター街となっていました。
しかし今ではみごとに復興を成功させ、市街地再開発のモデルとして全国から注目されています。
街をAからGの7つの街区に区切って各区に役割を持たせ、 A街区は「高級ブティック街」として高級ブランド店誘致などを図り、商業施設を充実。B、C街区は「美・健・ファッション街」などするなど各街区が特徴を持っています。また、診療所などの医療モールや市民広場の設置など住みやすさを意識した街づくりをすすめました。
2006年に完成したA街区では、開発前の3.3倍に相当する年商33億円を達成。商店街の通行量は平日一日約12万人、休日約14万人に増えました。
現在では、住宅整備、医療、介護施設、食、町営の教育施設など、インフラ整備の整った中心市街地に機能を集積させ、「人が集まる」高松のランドマーク的存在となりました。
高松市中心部での住まい方
高松中央商店街の再開発よって、中心部に人が集まる都市構造となり、また再開発の計画においては「住む人が増えれば放っておいてもお客さんは増える」という発想で、居住施設を充実させることに重点を置かれました。近年では、「商店街直結の分譲マンション」や、医療施設や百貨店などの利便施設が徒歩圏内にある「高齢者専用賃貸住宅」等、商店街の利便性という特長を十分に活かしたさまざまな居住施設が建てられています。
県内の人はもちろんですが、県外からUターン、I、Jターン目的で購入する人も多いようで、このような新しい地方都市での住まい方が今注目を集めています。
人気の高いG街区の再開発時に併設されたマンションは、特に「まちなか居住」を推進しているためカーシェアリング付きであったり、 また商店街の近くに建てられている高齢者専用賃貸住宅では、24時間いつでも介護職員が常駐、ホテルより派遣された厨房スタッフが作る食事が朝・昼・夜食べられる、徒歩圏内に提携医療機関がある、等の理由があったりして非常に人気です。こちらの高齢者住宅の入居者の方の中には「高松三越に雨に濡れずに歩いていける。周りにはお店もたくさんあるし、入居する前よりたくさん散歩に出掛けるようになった。」という声も聞かれます。
まとめ
今回は「高松編」をお伝えしましたが、アルファジャーナルでは、さまざまな地方都市の魅力を今後もご紹介していきます。
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