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お金・住宅制度

住宅ローンを完済したら:必要な手続きと、自分で行う方法を解説します

長期におよぶ住宅ローン返済。長年コツコツと返済し続けて、ようやく完済したときの達成感や安心感はいかほどのことかと思います。
しかし住宅ローンは、返済してそれで終わりではありません。最後にもうひと頑張り、やらなければならない手続きが残っているのです。それが

  • 抵当権の抹消手続き
  • 火災保険の質権消滅手続き

の2つです。なんだか難しそうな手続きですが、必要な書類と流れさえ理解すれば自分でも行うことができます。

この記事では住宅ローン完済後に必要な2つの手続きと、自分で手続きをするための方法について解説してまいります!


抵当権の抹消手続き

抵当権抹消とは、不動産についている抵当権という担保を抹消する手続きのことです。手続きは司法書士にお願いできますが、自分でも手続きができます。

抵当権とは
住宅ローンなどの借入の際に生じる銀行側の権利で、住宅ローン等でお金を銀行等が貸すときに、家や土地等の不動産を借金の担保として確保するためのものです

手続きの流れ

金融機関から手続きに必要な書類受け取る

住宅ローンを完済すると、登録されている住所(通常時)に金融機関から手続きに必要な書類が届きます。以下の4点が入っているか確認しましょう。

1.抵当権設定契約証書(登記済証)または登記識別情報

金融機関が抵当権を設定した際に発行される書類です。
登記済証には「登記済」の赤い印判が押されています。登記識別情報は、抵当権設定登記申請にともなって銀行に発行される“抵当権”登記識別情報です。

2.抵当権解除証明書

法務局に抵当権抹消登記申請をする際に、抵当権を抹消する原因を証明する書類です。金融機関により書類の名称が違い、弁済証書、抵当権放棄証書という名称のこともあります。

3.金融機関の会社法人番号

金融機関から送られてくる抵当権抹消書類に同封されている案内書や、委任状に会社法人番号が書かれていることがあるようです。会社法人番号は国税局の法人番号公表サイトから検索することもできます。
※2015年10月までは金融機関の資格証明書が必要でしたが、2015年11月以降は金融機関の会社法人番号の記載が必要となっています。

4.委任状

金融機関が抵当権抹消に関する登記を委任するための書類です。

抵当権抹消登記申請書を作成する

申請書の様式は法務局のホームページで公開されています。また記載例も掲載されていますので、参考にしてください。

申請書はすべて手書きでも大丈夫です。書きかたが分からないところは空けておいて、提出前に法務局の相談コーナー(窓口によっては予約制のこともあるので要確認)で確認してから記入するのが安心です。

 

法務局に申請する

書類が揃ったら法務局の窓口に提出します。この時に注意したいのは、自宅の最寄りの法務局ではなくその不動産を管轄する法務局に提出することです。あらかじめ管轄の法務局を調べておきましょう。
窓口に行く時間がない人は郵送で提出することも可能ですが、書類に不備があった場合は窓口に出向いての修正作業が必要になります。

感染症拡大防止のため、2020年5月現在では郵送による申請が推奨されているようです。詳細は各法務局・地方法務局のサイトをご確認ください。

抹消登記が完了する予定日は、窓口に表示されています。郵送で申請した人や見落とした人は、提出した法務局のサイトで確認しましょう。
抹消登記が完了したら、完了した旨の書類が郵送されます(申請時に返信用封筒を同封した場合)。これは登記簿謄本ではないので、別途必要な場合は取得する必要があります。

手続きに必要な費用

登録免許税が必要です。

土地1筆・・・1,000円(土地が複数筆に分かれている場合は、その筆数分必要です)
1家屋・・・1,000円

この費用は抵当権抹消登記申請書に収入印紙を貼って納付します。

抵当権の抹消が必要となる場合

抵当権抹消登記を行わなくても罰則はありません。また完済から何カ月以内にしなければならないというような期限も決まっていません。手続きの期限も罰則もなのなら、「このまま手続きはしないで放置しても大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。
しかし抹消手続きが必要となることがあります。
必要になってから初めて手続きをすることも可能ですが、時間と手間がかかります。また長い期間のうちに、金融機関から送付された書類を紛失してしまうことも考えられます。
今すぐ必要ないと考えている方でも、後々困ることがないように完済時には早めに抹消手続きを行いましょう。

新たに抵当権を設定してローンを組む場合

不動産を担保にして新たなローンを借りる場合は、原則として抵当権を抹消しておく必要があります。
住宅ローンを完済しても登記簿上に抵当権が残っていると、抵当権抹消を求められることがあります。

住宅を売却する場合

不動産を売却する際には抵当権の抹消が必要です。
売却の際にはその売買契約において「所有権移転までには抵当権を抹消すること」が約定として定められます。一般的には「売主の責任と義務において所有権移転までに抵当権等所有権の権利を阻害する権利を抹消すること」が契約条件になります。
抹消手続きに時間がかかり所有権移転までに抹消手続きできない場合は、契約違反となる可能性がありますので注意が必要です。
売却の考えが少しでもある人は、早めに抵当権を抹消しておきましょう。


火災保険の質権消滅手続き(必要な場合)

住宅ローンの契約の条件とされている火災保険。住宅ローン完済後は、火災保険の手続きも必要になることがあります。

質権が設定されている場合は抹消手続きが必要になります

近年では一般的ではありませんが、以前は金融機関から火災保険に質権設定を求められることがありました。
質権が設定されている場合は、住宅ローンの完済時に金融機関から質権消滅承認請求書が送られてくるので、保険会社に連絡をして質権消滅の手続きを行いましょう。
質権消滅の手続きを行っても、火災保険を解約しなければいけないというわけではありません。満期を迎えるまでは火災保険の契約は続きます。

火災保険の質権設定とは
担保物件である住宅が火災にあった時に、質権者(金融機関等)が保険金を受け取る権利を設定することです。
質権設定されているかどうかを忘れた人は、金融機関に確認しておきましょう。

まとめ

長年の住宅ローン、コツコツと返済を完済した時は達成感や安心感から「すべて終わった」と思いがちです。忘れずに抵当権抹消手続きと、火災保険の質権消滅手続き(必要な場合)をしておきましょう。
手続きは自分で行うことも可能ですが、手続きが難しい人はお近くの司法書士に依頼するのも良いでしょう。

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