四季折々の年中行事は、草木花と共に季節の味覚を飾る習慣としても生活に息づいています。
秋の年中行事といえば「お月見」。中秋に月を見る十五夜と、そのひと月後の十三夜の2回あります。単に月を眺めるだけでなく、すすきや旬の作物をしつらえて、その年の豊穣に感謝する意もあるとか。
今回は、十五夜と十三夜、2回のお月見に合わせた美味しい季節のレシピを紹介します。収穫の喜びをお料理に込めて、食欲の秋を楽しんでみませんか?
秋の夜長に愛でる「2回」のお月見 それぞれのお月見にお供えする食べ物
名月を眺めるお月見は、実は2回あるのをご存知ですか?ひとつ目のお月見は十五夜。そしてもうひとつは、十五夜のひと月後に迎える十三夜です。
古来よりお月見は、豊穣の喜びと、実りをもたらしてくれた天への感謝の気持ちを表す習慣だったといわれています。それぞれのお月見の所以と、それにまつわる食べ物について触れてみましょう。
中秋の名月 十五夜・別名「芋名月」
中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。秋の中日、旧暦(太陰暦)八月十五日に昇る名月の意から、「中秋の名月」「十五夜」という名称になったのだとか。
ちょうどこの時期は里芋の新物が出回る頃。旬のものとしてお供えとしていたのが慣習化されたことから、十五夜は「芋名月」とも呼ばれるようになったそうです。ちなみに、お月見の定番である月見団子は、里芋に形を似せた名残りなんですよ。
後(のち)の月 十三夜・別名「栗名月」
十三夜は日本独自のお月見の習慣。十五夜からおおよそ1ヵ月後の旧暦九月十三日のため、後の月とも呼ばれています。
十五夜の芋名月同様、十三夜の頃は栗や大豆の収穫時期のため、「栗名月」や「豆名月」の異名も。
こうしたお供え物をお下がりにいただくことによって健康や幸せを得られる、という考え方があります。月見の支度で終わらせず、美味しい料理に変身させて、秋の恵みを存分に味わってしまいましょう!
芋名月・十五夜を楽しむ和のレシピ3選
煮っ転がしやけんちん汁に欠かせない里芋の、イチオシなお料理をご紹介。老若男女問わず好かれるレシピです。
アレンジ自在 里芋の竜田揚げ
茹でて、まぶして、揚げるだけ。サクッとに続いてねっとりが現れる、食感も楽しいひと皿です。きぬかつぎにして余ったときのアレンジとしても活用できます。
材料(3人分)
- 里芋……食べたいだけ
- 片栗粉……適量
- 揚げ油……適量
- 塩……少々
作り方
- 里芋はよく洗って泥を落とし、鍋に入れてたっぷりの水とともに強火にかける。沸騰したら弱めの中火に落とし、15~20分茹でる。
- 中まで火が通ったらザルに上げ、粗熱が取れたら皮をむく。
- 2に片栗粉をまぶし、180℃に熱した油で揚げる。
- 皿に盛り、塩を添える。
シンプルに塩味でご紹介しましたが、たっぷりの小口ねぎと鰹節をのせて醤油を回しかけたり、あたたかい麺つゆと大根おろしを合わせた中に浸してみぞれ煮風にするのも美味しいです。ボリュームおかずとしても大活躍しますよ。
とろりと煮汁が絡む イカと里芋の煮物
イカの強い旨味で出汁いらず! 水と調味料で煮込みます。塩分控えめながら、味わい深い一品です。白いごはんや日本酒と一緒にどうぞ。
材料(2人分)
- 里芋……8個
- インゲン……4本程度
- イカ……1杯
- 水……400ml
- 薄口しょうゆ……25ml
- みりん……50ml
作り方
- イカはワタを抜き、足と胴に分ける。胴は1cmの輪切りに、足は吸盤を取っておく。鍋に湯を沸かし(分量外)、さっとイカを湯通しして冷水にとり、ザルに上げる。
- 里芋は皮をむき、インゲンは筋を取って5cmに切り分ける。鍋に里芋と多めの水(分量外)を張って強火にかけ茹でる。沸騰したらインゲンを入れて10秒ほどしたらザルに上げる。
- 鍋に里芋、イカの足、水、薄口しょうゆ、みりんを入れて落し蓋をして中火にかける。沸騰したら弱火に落として煮汁が半分くらいになるまで煮る。
- イカの胴とインゲンを入れて落し蓋をし、2~3分煮込む。皿に盛る。
3の工程以降はグラグラ煮立ててしまうとイカが固くなってしまうので、火加減に注意してくださいね。
ねっとりとした食感が相性抜群 里芋ごはん
芋の入ったごはんというとサツマイモが代表格ですが、里芋もオススメ。里芋の粘りがごはんを包んで、もっちりとした舌ざわりとツルリとした喉ごしの味ごはんになります。
材料(3人分)
- 白米……2合
里芋……小8個 - 出汁……130ml
- 酒……大さじ1
- 薄口しょうゆ……大さじ1
- 塩……小さじ1/2
- 青柚子……少々
作り方
- 白米を磨ぎ、30分吸水させる。
- 里芋の皮をむき、塩を振って10分ほど置く。
- 2を水で洗い流してザルに上げ、炊飯器に米、里芋、出汁、酒、薄口しょうゆの順でセットし、通常モードで炊く。
- 炊き上がったら底から混ぜ、茶碗に盛ったら青柚子を擦って散らす。
里芋のぬめりは、水溶性食物繊維。腹持ちがよくなって食べすぎを防いだり、便秘の解消や血糖値の急激な上昇を抑えたりといった、身体にうれしい効果があります。
栗名月・十三夜を楽しむ洋のレシピ3選
和で栗料理というと、栗ご飯や和菓子になりがち。ちょっと趣向を変えて、洋風で楽しんでみませんか?
パンにもお餅にも 栗ジャム
栗・砂糖・水だけの、シンプルなジャムです。スプーンでほじくるので子どもと一緒に作れますよ。バタートーストに合わせると思わずにやける美味しさ。お餅やお月見団子のお供にもピッタリです!
材料(500mlの容器1個分)
- 茹で栗……500g
- 砂糖……170g
- 熱湯……50ml
作り方
- 茹で栗を半分に切り、スプーンで渋皮が入らないように身を掻き出す。
- 鍋に1と砂糖、熱湯を加え、中火にかける。焦げないように混ぜ続け、艶が出て鍋底が見えるようになったら火を止める。
- 熱いうちに耐熱容器に移す。
水分が多いため、あまり日持ちがしません。冷蔵で3日以内に食べきるようにしてください。
ドイツの秋の味 栗のスープ
栗がスープに!?とビックリのメニューですが、ほの甘さと、栗と香味野菜のやさしい香りが美味しい、ポタージュのようなスープです。どっしりとしたパンを添えてぜひ。
材料(5人分)
- グラニュー糖……50g
- 白ワイン……80ml
- 茹で栗(渋皮までむいた状態)……100g
- 玉ねぎ……2個
- セロリ……150g
- コンソメスープ……800ml
- 生クリーム……200ml
- サラダ油……大さじ1
- オレガノ……1つまみ
- 塩……少々
- パセリ……適量
作り方
- フライパンにグラニュー糖とワインを入れ、中火で2分ほど加熱しながら溶かす。
- 栗を入れ、3~4分煮たところでオレガノを加えてさらに1分ほど煮る。火を止めたら、栗を別皿に上げておく。
- 玉ねぎを粗みじんに、セロリは筋を取ってみじん切りにする。
- 大き目の鍋にサラダ油、玉ねぎとセロリを入れ、中火で焦がさないように炒める。半透明になったら、飾り分を残して栗を加える。
- 4にコンソメスープを加え、弱火で15分ほど煮込む。
- 火を止めたら、生クリームを加え、ハンドブレンダーでなめらかになるまで1~2分ピューレにする。
- 弱火で温め、塩で味を調える。
- 皿にもり、4で残した栗とパセリを飾る。
ハンドブレンダーがない方は、ミキサーで数回に分ければOK。大量ですが、たっぷり作ったほうが失敗しづらく、美味しいのであっという間になくなるのでご心配なく!
イギリスの母の味 栗と豚ひき肉のパイ
塩気の利いたお肉にゴロゴロとした栗の食感と甘酸っぱいクランベリーソースが合わさった素朴なパイ。意外な組み合わせですが、クセになる美味しさですよ。
材料(4人分)
- 冷凍パイシート……4枚
- 豚ひき肉……400g
- 茹で栗……50g
- 生セージ……3~4枚
- クランベリーソース……大さじ2
- 塩……小さじ1
- 卵……1個
作り方
1.オーブンを190℃に予熱し、パイシートは冷凍庫から出しておく。栗を7mm程度に刻む。卵は溶いておく。
2.生セージを細かく刻み、豚ひき肉、塩と合わせて粘り気が出るまでよく混ぜ、刻んだ栗を入れて均等になるように混ぜる。
3.パイシートをめん棒で2~3mm程度に薄く伸ばし、長方形の長辺片側2cm部分を残して全体にクランベリーソースを塗る。残り3枚分も同様に。
4.3のソースを塗っていない側を上にして、2の1/4量を棒状にし、手前にのせる。クランベリーソースを塗っていないところに溶き卵を塗り、巻き寿司の要領で巻く。パイ生地が重なったところを下にしておく。残り3枚分も同様に。
5.4をそれぞれ4等分に切り分け、上に刷毛で溶き卵を塗る。
6.オーブンで20~25分焼く。
タネの量はパイシートの大きさに合わせて適宜調節してください。ひき肉やパイシートは温かくなりすぎるとダレてしまうので、冷たいうちに作業を進めるのが、サクッとジュワッと仕上げるコツです。
まとめ
十五夜と十三夜の「二夜の月」。空気が澄んで1年で最も月が美しく見えるこの季節、せっかくですから、両方のお月見を楽しんでみては?
そして翌日には、旬の味を家族でいただく。感謝の気持ちとともに健やかに、豊かな時間を感じてみるのもいいかもしれませんね。
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