お正月は新しい年を迎える特別な節目であり、日本ならではの風習が数多くあります。正月飾りもその一つで、年神様を迎え入れるための縁起物として、古くから親しまれています。
マンションで正月飾りをする際は、スペースの問題や利用規約による制限など戸建てと比べて制約があります。今回は、マンションでも工夫次第で楽しめる正月飾りの飾り方と、お正月らしいインテリアのアイデアをご紹介します。お正月を迎える準備を整え、素敵な新年をスタートさせましょう。
正月飾りの基本アイテムとマンションでの飾り方
正月飾りには様々な種類がありますが、代表的な正月飾りである「しめ縄・しめ飾り」「門松」「鏡餅」の3つを取り上げます。それぞれが持つ意味や由来を解説しながら、マンションでのおすすめの飾り方をご紹介します。正月飾りの基本がわかると、お正月のインテリアをもっと楽しむことができるはずです。
しめ縄・しめ飾り
しめ縄・しめ飾りは、神聖な場所を示し、邪気を払う意味を持つ飾りです。特に、年神様(としがみさま)を迎える玄関には必ず飾りたいアイテムとされ、神様が訪れる際の目印となります。
しめ縄は、縄に「紙垂(しで)」という白い稲妻型の紙を垂らした飾りです。その縄は天と地を結ぶ神聖な境界線を象徴しており、不浄なものが神聖な場所に侵入しないようにする役割を持っています。神社の鳥居や本殿などでも見られるしめ縄は、ご家庭では玄関や神棚などに飾られることが一般的です。
しめ飾りは、しめ縄をアレンジして華やかにしたものです。稲わらに、縁起物の橙(だいだい)や裏白(うらじろ)、ゆずり葉などを添えて、豊穣や家内安全を祈願します。橙は代々の繁栄を、裏白は心の潔白を、ゆずり葉は家系の継承を象徴しています。
マンションでの飾り方
マンションの場合、しめ縄・しめ飾りは玄関ドアに飾るのが一般的です。ただし、ドアの外側は共用部分となるため、外側に飾ることを管理規約で禁止しているマンションもあります。その場合は、専有部分である玄関ドアの内側に飾りましょう。マンションで飾るならば、コンパクトなデザインやリース型のしめ飾りが便利です。場所を取らず、玄関をおしゃれに演出できます。
門松
門松は、松と竹を組み合わせた伝統的な正月飾りです。神様を迎えるための目印とされ、年神様が降臨する依り代(よりしろ)としての役割を持っています。
松は常緑樹で一年中青々としていることから「長寿」や「繁栄」を象徴しています。一方、竹は真っ直ぐに伸びる姿が「成長」や「純潔」を表し、また節目が多いことから人生の節目を祝う意味も込められています。また、松と竹に梅を加えた「松竹梅」の組み合わせは、おめでたいものの象徴として親しまれています。
門松を飾ることで、新年に家族や住まいが神様に守られ、豊かな一年を迎えられるよう祈願する日本の伝統を感じられるでしょう。
マンションでの飾り方
一般的に、門松(松飾り)は玄関や門の両脇に設置します。しかし、マンションなどの集合住宅では共用部分への設置が管理規約で制限されており、ドア外側には設置できないことがほとんどです。
そのような場合には、小型のミニ門松や竹、または松のモチーフを使ったリース型の装飾を玄関ドアの内側に飾るのがおすすめです。あるいは、卓上用の小さな門松をシューズボックスの上に置くといった方法もあります。
大きな門松を玄関に飾ることが難しい場合は、松の枝を飾ることでも代用できます。松の枝は、年末年始シーズンにスーパーや花屋で購入できるでしょう。小さな松の枝でも、玄関内や棚に飾れば、立派にお正月らしい雰囲気を演出できます。
鏡餅
鏡餅は、年神様をお迎えするための供物です。丸い形をした2段重ねの餅が基本で、これに、橙(だいだい)や昆布、干し柿などが飾られることが多く、地域や家庭によって違いがあります。鏡餅の形は古代の鏡を模しているとされ、神聖なものとして扱われてきました。2段重ねの餅は「月」と「太陽」を表すともいわれ、円満や繁栄を象徴しています。また橙は「代々」とかけて、家系が長く続くことを願う縁起物です。
鏡餅を飾ることで年神様が宿り、新年の家族の健康や幸福を祈願するという日本の伝統文化が感じられます。
鏡開き
鏡開きは、お正月に飾った鏡餅を下げて食べることで、新年の無病息災や家族の繁栄を願う日本の伝統行事です。「鏡開き」の「開く」という言葉には、運を切り開く、縁起を良くするという意味があります。そのため、「割る」という表現ではなく「開く」と言い、刃物を使わず木槌などで砕くのが一般的です。
鏡開きを行うタイミングは、一般的には正月飾りを飾る期間である松の内が明けた後になります。地域により異なりますが、関東では1月11日、関西では1月15日または20日に行われることが多いです。
日本の伝統を感じながら家族の絆を深める機会でもあり、お正月の締めくくりとして多くの家庭で大切にされています。
マンションでの飾り方
床の間に飾るのが伝統的ですが、マンションのように床の間がない場合は、リビングや玄関など、神様をお迎えしたい場所に置くのがおすすめです。キッチンカウンターや玄関などに飾るのも良いでしょう。鏡餅は大小さまざまなサイズが売られているので、飾る場所のスペースに合わせて選んでください。
また、個包装の切り餅が入った飾り用の鏡餅も、スーパーやホームセンターで販売されています。サイズも豊富で、小さなものはトイレなどの小さなスペースにぴったりです。こういった商品は、特にマンションで飾るのに向いています。
なお、鏡餅は複数飾ってもOKです。台所や寝室、トイレなど、場所ごとに祀られている神様のために配置しても良いでしょう。以下の表も参考にしてください。
場所 | 祀られている神様 | 意味 |
---|---|---|
キッチン | 荒神、竈神 | 荒々しく祟りやすい神様、家内安全 |
トイレ | 厠神 | 女性のお産を守る神様、安産祈願 |
寝室 | 納戸神 | 主婦の守り神様、私的なものを守る |
洗面所 | 水神 | 水を司る神様、日常生活に大切な水の供給 |
正月飾りを飾る期間と処分方法
正月飾りは神様を迎えるための縁起物のため、飾る期間や処分方法を正しく理解しておくことが大切です。以下に解説していきます。
正月飾りを飾る期間
正月飾りを飾る期間は「松の内」と言われています。一般的に、松の内は正月事始めと呼ばれる12月13日から始まり、終わりは関東・東北・九州では1月7日、関西では1月15日までとされています。
飾り始めるのは「末広がり」とされる12月28日か、キリの良い数字である12月30日が縁起が良いとされています。ただし、神様を迎える準備として、大掃除を終えてから飾るのが望ましいでしょう。
避けるべき日は12月29日と12月31日です。29日は「苦」を連想させ、31日は一夜飾りとしてお葬式と同じになるとことから、この2日間は避けるのが一般的です。
正月飾りの処分方法
正月飾りは、処分する際も慎重に行いましょう。もっとも望ましい処分方法は、神社やお寺での返納や「どんど焼き(どんと祭)」に持ち込み、お焚き上げしてもらうことです。地域によっては、自治体がどんど焼きを開催していることもあります。不燃性の素材(針金やプラスチックなど)が含まれる場合は分別し、可燃物のみにして持ち込みましょう。
どうしても神社やお寺での処分が難しい場合には、感謝の気持ちを持って丁寧に包み、可燃ゴミとして処分される方もいらっしゃいます。
マンションでお正月を演出するインテリアアイデア
マンションの限られた空間でも、お正月を演出するインテリアを充分に楽しめます。以下に、おすすめのアイデアをご紹介します。
しめ縄をおしゃれに飾る
伝統的なしめ縄を飾り、厳かな雰囲気を演出するのも一つの方法です。しかし、洋室が多いマンションでは、しめ縄の形を活かしつつ現代風のアレンジを加えたデザインを選ぶと良いでしょう。
最近では、ドライフラワーやアートフラワーを使ったモダンなしめ縄が人気です。このようなデザインは、マンションの玄関にも調和しやすく、洗練された印象を与えてくれます。ブルーやパープルなど、最近ではしめ縄の色のバリエーションも豊富なので、ご自宅のインテリアのテーマカラーに合わせて選ぶこともできるでしょう。
マンションの規約で玄関ドアの外側に飾れない場合は、玄関ドアの内側や壁にリース型のしめ縄を掛けるのがおすすめです。マグネット式や粘着式の壁掛けフックを使えば、穴を開けることなく簡単に設置できます。
また、しめ縄作りのワークショップも人気です。ご興味があれば、お住まいの地域で開催されているか調べてみてください。自分でアレンジを楽しむのなら、市販のシンプルなしめ縄にリボンやフェイクフラワーなどを加え、個性的に仕上げる方法もあります。おしゃれなしめ縄は、和の伝統と現代的なデザインを融合させ、お正月の雰囲気をよりスタイリッシュに演出してくれるでしょう。
お正月らしい生花や植物を置く
生花や植物を飾ることで、マンションの室内や玄関を華やかに演出できます。代表的なものは、南天や松など縁起の良いと言われる植物です。南天は「難を転ずる」とされ、災厄を避ける意味が込められており、赤い実が彩りを添えます。また、松は長寿や不老不死の象徴として知られ、お正月の定番アイテムです。
松と南天に加えて、葉牡丹を組み合わせると華やかさがアップします。葉牡丹の重なる葉は「吉事が重なる」という意味があり、縁起がよいとされています。そのほかにも、和の雰囲気を演出するものとして、菊や胡蝶蘭といった気品ある花を選ぶのもおすすめです。
飾るスペースが限られている場合は、ミニ門松風のフラワーアレンジメントや、生花・プリザーブドフラワーを使用したフラワーボックスも良いでしょう。もっとシンプルに植物を取り入れたいのであれば、枝ものやトクサ、ミリオンバンブーを花瓶に挿すだけでも十分に効果的です。ご自宅のインテリアに合わせて、モダンな陶器やガラスの花器に生けると洗練された雰囲気になります。小さなスペースでも取り入れやすく、お正月らしい彩りを楽しめるはずです。
テーブルウェアや食器を変える
お正月の雰囲気を楽しむなら、テーブルウェアや食器を工夫するのも良い方法です。
食器を和風デザインのものに変えるだけで、簡単にお正月らしい雰囲気を演出できます。例えば、朱色や金色、松や梅の模様が入った器や箸置きを取り入れると、一気に華やかな印象になるでしょう。重箱を使った盛り付けなら、シンプルな料理でも特別感が増します。おせち料理で使用した重箱を、もう少しの間活用してみてください。
また、テーブルランナーやクロス、ペーパーナプキンをお正月カラーにするのも効果的です。赤や白、金を基調としたデザインを選ぶと、上品でおめでたい雰囲気を演出できます。さらに、テーブル中央に南天や松のアレンジメントを飾れば、空間全体が引き締まるでしょう。小さな和食器に水を張り、南天の葉を添えるだけでも立派な装飾になります。
グラスやカップは、竹をイメージした細身の器や日本酒を楽しむためのぐい呑みなど、和を感じさせるものがおすすめです。カトラリーも、漆塗りや民芸品のものに変えると統一感が出ます。
食器などの細かなアイテムを変えるだけでも、季節感を楽しむことができます。スペースの限られたマンションでも手軽にお正月のインテリアを取り入れられますので、ぜひ試してみてください。
縁起ものやお正月にちなんだ小物を飾る
縁起物として親しまれている招き猫やだるま、干支の置物、コマや凧など、お正月らしい小物を飾るのもおすすめです。玄関やサイドボードにコンパクトに飾れるので、気軽にお正月の雰囲気を演出できます。
また、干支をモチーフにした置物もおすすめです。陶器や木彫りの小さな干支飾りを棚やテーブルに置けば、控えめながらもお正月らしさをプラスできます。
そのほかにも、コマや凧など、昔ながらの日本の正月遊びを象徴するミニチュアも人気です。インテリアショップや雑貨店には、このような季節のデコレーションアイテムを販売しているところも多いので、お出かけの際には好みのものがないか探してみてください。
和のアートを飾る
「和のアート」を取り入れると、お正月の雰囲気を一気に盛り上げてくれるでしょう。例えば、水墨画や版画などの伝統的な日本美術は、お正月の格調高い空気感にぴったりです。
とはいえ、お正月のためだけに水墨画や版画を準備するのは大変です。より手軽な方法として、絵葉書やポスター、手ぬぐいを額装するという方法もあります。梅や松、鶴亀など縁起の良いモチーフが描かれた絵葉書や、神社仏閣の写真、デザイン性の高い手ぬぐいを壁掛けとして飾ってみてはいかがでしょうか。飾る場所を選ばず、簡単に取り入れられるのが魅力です。
また、和紙を張ったアートパネルや、折り紙を活用した立体的な装飾もおすすめです。アートに含まれている色やデザインと、ご自宅のインテリアの色やデザインをリンクさせれば、お正月らしい華やかさを演出しつつ、統一感のある素敵な空間になります。
まとめ
お正月は、家族や親戚が集まって豊かな時間を過ごせる貴重なひととき。正月飾りの由来や意味を知ることで、年神様への感謝や家族の健康・繁栄を願う日本の伝統文化を深く理解できます。また、飾り方や片付け時期を知ることで、風習への敬意を示しながらマンションでもお正月のインテリアを楽しむことができます。
玄関ドアの内側に飾れるしめ縄や小さな門松や、リビングなどに置く鏡餅は、マンションの限られたスペースでもお正月の風情を演出してくれます。
またインテリアを工夫することで、自分らしくお正月のムードを演出することもできます。しめ縄のアレンジや縁起物の置物、生花や植物、和のアートの活用など、自分流にお正月インテリアを楽しんでみてください。家族や親戚が集まる食卓では、テーブルウェアをお正月仕様に変えることで、季節を感じることができます。
お正月ならではの伝統的なアイテムや縁起の良い植物、小物などを組み合わせ、新年を迎える準備を整えましょう。
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