長崎県内に住むことになった場合、住んだ経験のある人なら検討しやすいですが初めての人はどうでしょうか。調べようにもどこから情報を得て、何を基準に考えればよいのか疑問に感じたり不安になる方もいるかと思います。
今回は長崎市内で「住む場所」を探すことになった場合に事前に知っておきたい住まいの情報についてご紹介します。多くの転勤生活をしている私が他県と比較して感じた長崎市内のマンション事情にも触れていますので、住まい探しの参考にぜひご覧ください。
長崎ってどんな街?
世界遺産に登録されたことでも有名な端島炭坑(通称:軍艦島)や、学校教育でも有名な平和公園など歴史的な遺産や観光名所が数多く存在する長崎県は九州の一番西側に位置しています。人口がもっとも多い長崎市は江戸時代には西洋との貿易があった唯一の港として栄え、特にポルトガルやオランダ、中国などの海外文化の影響もあってか街の雰囲気は異国情緒にあふれた鮮やかな街並みを形成しています。観光地としてもたいへん人気でオランダ坂やグラバー園など歴史と文化を感じる名所が多数存在しています。
地形の特徴として長崎市内は「坂」が多い街としても有名で、四方を山と海に囲まれた地形で且つ平地の少ない地形という条件により山の斜面に張り付くような状態で住宅地が形成されています。私も経験したのですが、長崎駅をでてから周囲の景観をご覧いただければその特徴的な風景をまずは感じていただけるはずです。
また、個人的に驚いたことですが、長崎市内では自転車を利用している方をほとんど見かけることがありません。学校が坂や階段を登った先にあることが多く基本的に自転車通学が許可されていないため利用率も低いことが理由といわれています。そのため公道で自転車に乗ることに抵抗感を感じる長崎県民もいるようです。
食べ物では「ちゃんぽん」や「カステラ」が有名ですが、「トルコライス」も有名です。トルコライスとは一皿にピラフ・ナポリタンスパゲティ・豚カツが盛り付けられたものが一般的ですがこれ以外にもいくつか種類があります。スーパーのお弁当コーナーにも数多く陳列されていたり、長崎市内の飲食店のなかには数十種類のトルコライスがメニューにあるお店もあります。知らなかった方も機会があれば是非食べに行ってみてください。
1)知っておきたい交通機関
長崎市内は山と海に囲まれた地形であるため、南北の行き来には市内中心部を繋ぐ大きな道路(国道)を利用することが多いのですが、迂回するような道がほとんどありません。そのため、時間帯によってはかなりの渋滞に巻き込まれることがよくあります。そこで普段の生活に大活躍してくれるのが公共交通機関の存在です。
長崎市内ではJR以外にも路面電車が走っていることや、長崎バス・県営バスという2種類のバスが運行していますので車を運転しない生活でも安心です。ただ、交通の利便性が良いとその分、住宅にかかる費用は高くなる傾向にありますので注意が必要です。
1-1)路面電車を利用する
長崎市内を走る路面電車はどの電停に行くのも120円(子供は60円)で利用できるため安くて便利な交通手段です。本数も平日は約5分~8分の間隔で運行していますので使い勝手もよく学生からご年配の方や、観光客まで幅広く利用されています。この電停は長崎北部エリアの一部から長崎駅周辺エリア内に向かって設置されており、なかでも長崎駅周辺エリアであればJRもバスもすべて利用できることから駅周辺エリアは便利がよくたいへん人気です。
ただ、住宅価格は市内で一番高額になります。なお、路面電車を利用できる地域はその運賃の安さと便利さもあってか人気が高く、「電停徒歩5分圏内」の物件はそうでない物件に比べて高い価格設定になっています。
1-2)JRを利用する
長崎市内には「長崎駅」「浦上駅」「西浦上駅」「道ノ尾駅」と4箇所の駅があります。なかでも「長崎駅」と「浦上駅」は博多方面に向かう「特急かもめ」号への乗り降りができるなど遠方に出かける際にも利用できるため出張の多い人には特に人気のある駅です。そため住宅の価格設定もこの2つの駅が利用できるエリアは高めの設定になっています。
さらに、長崎市内の道路は迂回できるコースが少ないため渋滞が発生しやすいというデメリットがありますが、JR線は信号待ちといった渋滞の影響をうける心配がないため、通勤・通学でJRを利用する方には駅から徒歩圏内の物件に人気が高まります。運行する本数は路面電車やバスに比べると少ないのが難点ですが、渋滞といった時間の遅れを心配せずに移動できる便利な交通手段です。
1-3)バスを利用する
バスは他県でも親しまれている交通機関のひとつとは思いますが、長崎市内では運行している本数が非常に多く、路面電車やJRよりも乗り降りできる場所が細かく設置されているため普段の生活で幅広く利用されている交通手段です。特に長崎市内では県営バスのみではなく民間企業が運営する長崎バスという2つの路線が幅広いエリア内で利用できるため待ち時間も少なくとっても便利です。
バス停によって本数が違っていたり、目的地によっては乗り換えが必要になるなど慣れていないと使いづらいイメージもあるバスですが、長崎市内では本数が多いので非常に人気です。バス停まで徒歩圏内の物件は路面電車のそれに比べると価格設定は抑えられていますので、お勤め先や普段の生活エリア内にバス停が利用できる距離にあるのであれば検討してみることをお勧めします。
2)他県と比較した長崎事情
長崎市内では平地が少ないことや、勾配の関係でそもそも住宅を建てるのに不向きな土地が多い為、他県の賃貸住宅事情と比較すると「部屋は狭いが賃料は高め」 な物件が多いのも特徴です。「平地にある」ということはそれだけで好条件になる場合が多く、同じ町名にある物件でも賃貸住宅の賃料やマンション価格の金額に大きく差がある(比較して低料金である場合)場合、築年数や構造以外の地形的な条件(坂の上にあるなど)が影響している可能性があります。実際にご自身の目で確かめることが大事ですが、遠方などで見に行くことが困難な場合は物件を取り扱っている不動産業者さんに確認することを忘れないでください。
また、急勾配な坂や狭くて細い道で移動がし難い道路も多く、抜け道がすくない道路事情でもあります。そのため時間帯によっては渋滞が発生することもよくあります。長崎市内では車以外の移動手段としてバイク利用の人気がありますがその利用数はかなりの数です(バイクの登録番号が5桁というほど)。長崎市内の地形を考慮するとバイク移動はたいへん便利ではありますが注意点もあります。それはバイク置場です。住む場所にバイク置場が設置されているかどうかはもちろん、スペースは十分な広さかどうかも大事なポイントになります。
駐車場に関しても狭い敷地内に区画を設置したり勾配のある地形に駐車場が設置されているなど、車の運転が得意ではないかたには利用しづらい場合もありますので合わせて気をつけたいポイントになります。
3)長崎市内のマンション販売事情
長崎市内で売れているマンションの戸数は年間約300戸前後。ただ年々その戸数は減少傾向で、供給される戸数も減少している状況ですが、在庫として残るマンションの戸数も少ない市場です。そのためマンションを検討したくてもそもそも選べる物件の数が少ない場合 や、物件評価が高く販売開始から数ヶ月で完売してしまう などゆっくり検討することが難しい状況でもあります。購入に向けて時間をかけて情報を集めたりする行動も大切ですが、長崎市内では販売されている物件の情報をいち早く取得し、その販売されている物件の中に検討したいものがあるか早めに見極める「柔軟な判断力」も必要になってきます。特に平地が少ないという立地の特性からか平地に建てられるマンションは希少価値も高く人気があるため、販売情報を取得した場合はまずは見学してみることをお勧めします。
新築マンションの情報を取得する場合はインターネットから検索して調べる方法もありますが、ネット会員などに登録しておくことで最新の情報をいち早く取得することができるのでたいへん便利です。年会費がかかるケースはほとんどありませんのでゆっくり検討したい方や仕事などで情報収集の時間が取りにくい方にもお勧めです。
4)エリア別にみる住まい情報
今回は長崎市内でも交通利便の整っている【長崎駅周辺エリア】から平和公園や長崎大学のある【中部エリア】、長崎市の北側に位置する西彼杵(にしそのぎ)群や諫早(いさはや)市へのアクセスもし易い【北部エリア】の3つのエリアに絞ってご紹介します。
4-1)長崎駅周辺エリア
長崎市内では一番有名な浜町アーケードを有する「浜町」や市役所のある「桜町」など長崎駅周辺エリアは数多くの商業施設や公官庁が集まる市内中心地です。地形も平坦なところが多く、路面電車やバス、JRの利用も可能な便利な立地環境であるため市内でも人気の高いエリアです。たいへん便利な立地ではありますが住宅にかかる費用も一番高くなってしまうのもこのエリアの特徴で、2LDK~3LDKの家賃相場は7万円台~10万円台と高めの設定になります。さらに駐車場がない物件も多く、あったとしても相場価格は2万円台と高いため車移動が多い方には向かないエリアと言えます。ファミリータイプの住宅であればかかる費用は高めですが、単身者や単身赴任で生活する場合には6万円以下に抑えることも可能ですので検討してみることをお勧めします。
4-2)中部エリア
長崎大学付近に位置する「平和町」や「本原町」、市営陸上競技場や野球場を有する「松山町」などがある長崎中部エリア。「平和公園」に来る観光客も多いので長崎市内でも訪れる方が一番多いエリアのひとつではないでしょうか。公共交通機関としては路面電車とバスの利用が可能で長崎駅付近エリアに次いで便利なエリアと言えます。この中部エリアは文京地区としても有名で、長崎大学付近には長崎大学教育学部附属の教育施設や、純心女子学園の幼稚園・保育園を含めた教育施設など数多くあるため教育環境を優先したい場合は検討してみることをお勧めします。長崎駅周辺エリアに比べると2LDK~3LDKの家賃相場は7万円台~8万円台と抑えることができますが、駐車場料金は15,000円前後かかるため車を所有される方は8万円台からの検討となります。
4-3)北部エリア
サンモール商店街を有する「中園町」「住吉町」や長与町方面へのアクセスもし易い「葉山町」「赤迫」などがある長崎北部エリア。住吉町から赤迫のエリアまでは路面電車に加えてJR「西浦上駅」・「道ノ尾駅」を利用した電車移動もできるので人気の高いエリアの一つです。赤迫より北側方面では交通機関はバス便がメインのエリアとなります。そのため北部エリアは他エリアに比べると2LDK~3LDKの家賃相場は6万円台~7万円台と抑えることができますので費用を抑えたい方にはお勧めのエリアです。さらに北部エリアからのアクセスがし易い市内北側に位置する時津町エリアには大型商業施設も複数あるため車移動がメインにはなりますが若いファミリーにもお勧めです。
まとめ
観光地としても有名な長崎では、平地が少なく坂が多いことで駐車場事情などは恵まれた環境とは言い難い面もありますが、公共交通機関の便利さが普段の生活を支えています。特に路面電車の電停沿いなど利便性の高いエリアは住宅の価格も高くなりがちですが、JRやバスも普段使いにはたいへん便利なため住まい探しの際には目を向けてみることをお勧めします。
今回は3つのエリアに絞ってご紹介しましたが、長崎市内にはいろんな魅力あるエリアがまだまだたくさんあります。私も長崎市内での生活はまだまだ未熟者ですので、これからもっと長崎の魅力を知って楽しい生活を過ごしたいと思います。
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