和食に欠かせない調味料「みりん」。実はお酒として美味しく飲めるってご存知ですか。
調味料を飲む!?
「みりんは飲んでも美味しいよ」と言うと、必ずそう驚かれます。でもみりんは室町の昔から(諸説あり)甘口の高級酒として親しまれてきたもの。特に江戸時代には、暑気払いや夏バテ防止のための定番飲料でした。
そう。みりんは夏こそ飲みごろ。そのまま飲むだけでなく、フルーツやハーブ、他のお酒と組み合わせてカクテルにしても◎。夏を爽やかに、そして元気に乗り切る、日本古来の和カクテルレシピを紹介します。
美味しい「みりん」の選び方
じゃあ、さっそくカクテルにして飲んでみようか、と思った人。少し待ってください。実は飲んで美味しいみりんと、そうでないみりんがあるんです。レシピを紹介する前に、飲んで美味しいみりんの選び方について解説します。
和カクテルを楽しむためのみりんは、必ず「本みりん」で
店頭に並んでいるみりんは、大きく分けると2種類あります。
- アルコール分1%未満の「みりん風調味料」
- アルコール分14%前後の「本みりん」
買うべきは2の「本みりん」。
1の「みりん風調味料」はお酒ではなく、水あめなどの糖分や塩・化学調味料等で味を調えた調味料なんです。したがって、アルコールも含まれていません(1%未満)。スーパーなどでは売り場が違う(調味料コーナーとお酒コーナー)ことが多いので間違う心配は少なそうではありますが、念のために注意を。
「本みりん」を選ぶ時はラベルに注目
では「本みりん」ならどれを選んでも美味しく飲めるかというと、そこにも注意が必要です。見分けるには、ラベルに書かれた原材料に注目。
飲んで美味しいみりんは もち米・米麹・米焼酎 だけで作られたもの。もしここに続けて醸造アルコールや糖分・塩の名前が並んでいたら、お酒として楽しむためのみりんではありません。
もち米リキュールとしての「みりん」
もち米・米麹・米焼酎だけでじっくり糖化熟成して作られる「みりん」は、謂わばもち米のリキュールです。どことなくシェリー酒を思わせる複雑で芳醇な甘さは、麹菌がもち米のデンプンを糖化してできたもの。お砂糖のストレートな甘さとは違う、余韻のある味わいです。
こういった本みりんは、熟成度によって色や味が変わってきます。熟成期間が長いほどより深い琥珀色で、もったりと丸く甘味の強い味に。逆に熟成期間が短いものは、黄水晶のような透明感ある水色で、スッキリした味わいのものが多いようです。
筆者は、例えばソーダ水で割るときには熟成期間の短い本みりんの方が合う気がしますが、これはもう完全に好みの問題。どちらが良いというものではないので、ご自身の好み、飲み方やレシピに合わせて選んでみてください。
夏に美味しい「みりん」ベースの和カクテルレシピ
江戸時代の定番レシピ「柳蔭」
みりんと焼酎を1:1の割合で混ぜたもの。
これが江戸時代の定番レシピです。上方では「柳蔭(やなぎかげ)」、江戸では「本直し」と呼ばれました。暑い時期に川の水や井戸水で冷やして、ちびりちびりと飲むのが当時のスタイルだったよう。
合わせる焼酎は、みりん醸造にも使われる米焼酎が無難かと思いますが、風味が強すぎると感じる人は甲類焼酎にしても良さそうです。また甘みが強すぎると感じるときは、みりんと焼酎を1:2程度にまで増やしてみましょう。
よく冷やしてそのまま飲むのが江戸時代スタイルですが、現代風にオンザロックにしたり、ソーダ水で割っても美味しくいただけます。
ソーダ水に、レモンやミントをプラスして爽やかに
みりんハイボール
もっとも手軽。かつ飲みやすいレシピです。
材料
- みりん
- ソーダ水
作り方
- グラスにみりんとソーダ水を注ぐ(割合はお好みで。みりん1:ソーダ水3くらいが飲みやすくてオススメ)
- 静かに混ぜる
みりんのレモンスカッシュ風
レモン果汁を入れてスカッシュ風に。飾りにはレモンのほか、レモンゼリーをクラッシュしたものを沈めても良い感じ。
材料
- みりん
- ソーダ水
- レモン果汁
- レモン(飾り用、なくてもOK)
作り方
- グラスにみりんとソーダ水を注ぐ(割合はお好みで)
- レモン果汁を適量入れ(目安はティースプーン2杯程度)静かに混ぜる
- 飾り用のレモンを飾る
みりんのモヒート風
みりん自体にかなり甘みがあるので、本来のモヒートのレシピからブラウンシュガーを抜いています。ライムが入手できなければレモンでも代用可能。どうしてもライム風味が欲しいときは、モヒート用シロップを使うと良いでしょう。
材料
- みりん
- ソーダ水
- フレッシュミント
- ミントシロップ(お好みで)
- ライム(1人分の目安1/2個)
作り方
- よく冷やした大ぶりのグラスに、くし切りにしたライム・ちぎったミント・ミントシロップ(ティースプーン1杯程度)を入れて軽く潰す
- みりんと氷を入れ、かき混ぜて馴染ませる
- ソーダ水で満たし、静かにかき混ぜる
リキュールやスパイスをプラスして華やかに
みりんのジンジャーエール風
和スパイス「生姜」と組み合わせたカクテル。2通りのレシピを紹介します。
材料
- 生姜
- みりん
- ソーダ水
作り方1
- 消毒した密閉ガラス瓶に、スライスした生姜とみりんを入れて数時間〜数日漬け込む
このときにお好みで、ホールのブラックペッパー・アニス・カルダモンなどを追加しても◎ - ザルで漉しながら、グラスにみりんを入れる
- ソーダ水で満たし、静かに混ぜる
作り方2
- グラスにみりん、おろした生姜を入れる
- ソーダ水で満たし、静かに混ぜる
みりん+ミントリキュール
意外と合うみりんとミントの香味。モヒート風よりもより簡単に作れて、よりアルコール度数高めの、爽やかながらパンチのあるカクテルです。
材料
- ミントリキュール
- みりん
- ソーダ水
作り方
- グラスにみりんと、少量のミントリキュールを入れる
- ソーダ水で満たし、静かに混ぜる
- あればフレッシュミントを飾るとかわいい。お好みでレモンを入れてもOK
みりん+オレンジリキュール
みりんにレモンやライムの風味が合うのなら、オレンジが合わないわけがありません。オレンジリキュールで華やかな香りを足したカクテルレシピです。
材料
- オレンジリキュール
- みりん
- ソーダ水
作り方
- グラスにみりんとオレンジリキュールを入れる
- ソーダ水で満たし、静かに混ぜる
- あればオレンジの輪切りを飾るとかわいい
夏の宵は「みりんカクテル」でクールダウン(でも飲みすぎ注意!)
古来から暑気払いとして飲まれてきたみりんを、より夏向きにしたカクテルレシピを紹介しました。甘く飲み口のよい味なので、デザート酒としてオススメしたいものばかりです。
ただ口当たりが良いとはいえ、みりんはアルコール分14%前後のかなり強めのお酒。それにリキュールなどを足すと、さらに強いお酒になっています。くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。
- お酒は20歳になってから
- 車を運転する予定の人には、絶対にお酒をすすめない・飲ませない
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