分譲マンションには、法律で義務付けられている「法定点検」があります。
法定点検はマンションの建物および設備に対して行う点検で、居住者の安全と快適な暮らしを守るために欠かせないものです。
この記事では、法定点検の内容の解説と、不動産販売のプロが教える法定点検の注意点、お客様から実際に受けた法定点検にまつわる質問およびその回答を紹介します。
目次
1.法定点検の種類
まず分譲マンションで発生する法定点検を紹介します。
点検項目によって、周期や点検者は異なります。共通して言えることは、「一定の周期で定期的に点検を行う」「有資格者等の専門家が点検を行う」ということです。これにより、所有している分譲マンションの安全性や快適性を確保し、高い資産性を保つことができるのです。

生活インフラの安全にかかわる「専用水道定期水質検査」や「自家用電気工作物定期点検」は、特に高頻度で行われているのがわかります。
万が一の災害時に動かないと困る設備を点検する「消防用設備点検」は6ヶ月に1回、その他の設備を点検する「建築設備定期点検」「昇降機定期点検」「簡易専用水道管理状況検査」は1年に1回行われます。
また、マンションで暮らす入居者に影響があるのは以下の3つの点検です。
- 昇降機定期検査…エレベーターを使用できない時間帯が発生
- 消防用設備点検…一部の部屋では、点検への立ち会いが必要
- 自家用電気工作物年次点検…マンション全体で停電が発生
この後は、暮らしに影響があるこの3つの点検について、注意点を解説します。
2.不動産のプロが教える!法定点検の注意点
法定点検の頻度はさほど多くありませんが、マンションの住民に不便が生じることがあります。
法定点検はあくまでも居住者の安全を確保するための点検なので、不便があるからといって避けることはできません。暮らしにどんな影響があるのか、しっかり把握しておきましょう。
[1] 点検内容によってはエレベーターの使用禁止期間がある
エレベーターの使用禁止期間がある法定点検は「昇降機定期検査」です。基本的に点検による使用禁止期間は数時間で、平日の正午前後におこないます。
一般に休日となっていることが多い土日や、平日の通勤帰宅ラッシュの時間を避け、法定点検によってかかる不便を少人数にとどめたいという意図でのスケジュールです。したがって、平日の日中はお仕事で不在の方には、何ら支障はありません。
「昇降機定期検査」は居住者へあらかじめ通知がありますので、日中在宅の方も、点検時間を避けてエレベーターを使用すれば問題ありません。
[2] 立会いが必要な場合がある
立会いが必要な法定点検は複数ありますが、代表的なものをひとつあげると「消防用設備点検」がありです。バルコニーに“避難はしご”がある住戸の方は、1年に1回の点検に立会う必要があります。
火災時などの緊急時にしか使わないものであるからこそ、定期的に点検して正しく作動するか確認が必要です。必ず点検を受けるようにしてくださいね。
[3]マンション全体で停電する点検がある
近年のマンションで多く採用されている『高圧一括受電サービス』には、自家用電気工作物の法定点検が義務付けられています。原則として1年に1回、約1時間程度の停電を伴う年次点検が実施されます。平日の日中に行われ、事前に告知を行ったうえで実施するのが一般的で、立ち合いの必要はありません。
パソコンや一部家電製品のコンセントを抜いておくなどの事前対応は必要ですが、電気の安全を確保するためにも大事な点検です。
3.【実録Q&A】実際に受けた質問にお答えします
居住者の安全を守り、快適な生活を維持するために定められている重要な点検なので、法定点検は必ず受けましょう。
例えば”消防用設備点検”の場合、6か月に1回の点検が必要なため、年に2度立ち合いが必要ですが、点検日に予定を合わせられない方に関しては、年に1度に頻度を減らしても問題ありません。
※上記の回答は一部の点検項目に関しての例を挙げているため、その他の点検項目に関しては、立会いの有無や所要時間等が異なる場合があります。詳細は管理会社までお問い合わせくださいね。
4.まとめ
分譲マンションに義務付けられている法定点検。法定点検によって、居住者の安全安心は保証されています。つまり法定点検は、マンションに住むうえで無くてはならない必要不可欠な存在なのです。
点検の種類によっては立会いが必要なケースもありますが、頻度も限られています。マンションでの普段の生活への影響は最小限になるよう配慮されていますので、立会いが必要になる場合も、ぜひご協力をお願いいたします。