常備野菜として、キッチンに欠かせない玉ねぎ。ですが、春に収穫される新玉ねぎのフレッシュな味覚は、茶色い皮に包まれた玉ねぎとは一線を画す、格別な美味しさがありますよね。
そんな新玉ねぎは、通常の保存とは異なる方法がその特性から必要になります。
新玉ねぎを長く楽しむための保存法、また旬に起こりがちな大量消費にもお役立ちするとっても簡単なレシピをご紹介します。
なぜ新玉ねぎは保存が難しい?3つの理由
白くて肉厚、シャキッとした歯ごたえと辛味が控えめな新玉ねぎは、3月~4月の盛りにかけて出回ります。旬もたけなわになると、特売になったり、いただきものだったりと、いちどに食べきるには難しい量を迎えているご家庭も多いのでは?
通年入手できる皮の茶色い玉ねぎは常温保存が可能ですが、新玉ねぎも同様に保存できるか……といえば、実はそうはいきません。
新玉ねぎがご家庭での常温保存に向かないのには、大きく3つの理由があるからです。
水分が多いから
通年流通している皮が茶色い玉ねぎは、保存性を高めるために表面を乾燥させています。
収穫後に1~3日天日乾燥させて表面の余分な水分を抜き、さらに暗所や風通しの良い日陰で1ヵ月ほど貯蔵。そうすることで硬くなった皮が水分の揮発をある程度ガードし、流通したあとも常温で保存することが可能になります。
一方で新玉ねぎは、収穫してからおおよそ2日~8日ほどで出荷されており、みずみずしい美味しさが特徴。フレッシュさを活かすために、水分を抜く手間を施していません。
その水分の多さから家庭で常温保存すると腐敗しやすく、生鮮食品と同様の扱いが必要になります。
旬の時期の湿度が高いから
新玉ねぎの最盛期3~4、折しも春の長雨の頃。
冬の乾燥した冷たい空気から一転、温かく湿気を帯び始めます。
となると、気にしなければならないのが、環境要因による腐敗の進行。
カビは温度20〜30℃、湿度70%以上になると増殖しやすくなります。つまり新玉ねぎの旬の時期は、室内置きはもとより、外置きにしていてもカビが生えやすい条件が揃っているというわけです。
新玉ねぎがもともともつ豊富な水分も相まって、腐敗の要因が重なってしまいます。
臭いの問題があるから
玉ねぎの王道の保存方法といえば「風通しの良いところに干す」「新聞紙にくるむ」「ネットに吊るす」。
しかし新玉ねぎの保存方法としては、あまりおすすめではありません。
というのも、採れたての新玉ねぎには、玉ねぎ独特の臭いの大元でもある成分硫化アリルを多く含んでいるので、ご家庭、特にマンションのような集合住宅では、臭いの問題が生じてしまうからです。
風通しの良いベランダなどでは、風に乗って近隣のご迷惑にもなりかねません。また機密性の高い室内では臭いがこもりやすく、壁紙やカーテンに付着した臭いはなかなか取れないので注意が必要です。
美味しく食べきろう!新玉ねぎのいろいろな保存法
玉ねぎではあるけれど、通常の玉ねぎと同じ保存ができない……新玉ねぎは扱いが難しいと思われがちですが、心配ご無用!
新玉ねぎの特徴を活かしつつ、美味しくお料理に変身させる保存法があります。
丸い形状を活かすなら ラッピング冷蔵保存
丸い形状そのままに長持ちさせるには、新聞紙とポリ袋による冷蔵保存が最適です。
玉ねぎ1個に対して新聞紙1面分を用意し、しっかりと包みます。それを厚手のポリ袋やフリーザーバッグに入れて密閉し、野菜室へ。
1週間はシャキシャキの状態を保つことができます。
調理の下ごしらえに カットして冷凍保存
さらに保存期間を延ばしたい、新玉ねぎを加熱調理する予定の場合は、カットして冷蔵保存が◎。
調理に使う形状にカットし、フリーザーバッグに入れて、平らにして冷凍庫へ。使うときは、凍ったままで通常の調理手順どおりに使えばOK。
くし形切りは、お味噌汁や肉じゃがに。
薄切りスライスは、コンソメスープやグラタンに。
みじん切りは、ハンバーグやミートソースに。
…という風に、保存しやすいだけでなく、調理の際の下ごしらえの手間を省くこともできます。
また水分量の多い新玉ねぎは、冷凍時の水分の膨張で細胞壁が壊れやすく、これによって火が通りやすくなるという嬉しい利点も。加熱時間の時短ができるので、忙しいときに助かる便利な保存法です。
保存期間は1ヵ月が目安。長期保存しすぎると冷凍焼けを起こしてしまう点に気をつけてください。
煮込み料理のコク出しに 飴色に炒めて冷凍保存
スライスした新玉ねぎ2個(約500g)に対し、オリーブオイルとバターをそれぞれ大さじ1の割合で、飴色になるまで弱めの中火で炒めます。フリーザーバッグに入れて平らにして冷凍。
新玉ねぎは冷凍済みのものを使うと、面倒な炒め時間も驚くほど短縮できます。
使うときには、凍った状態で必要な分をポキッと折るだけ。冷凍する前に菜箸で格子状に線を入れておけば、簡単に折ることができますよ。
カレーやスープはもちろん、料理のコク出しにも大活躍します。解凍して食パンに塗りチーズをのせてトーストした、オニオングラタン風のご馳走トーストも美味。
保存期間は、冷凍庫で1ヵ月ほどです。
旨味引き立つ便利な調味料 発酵させて冷蔵保存
麹菌の力を借りて「玉ねぎ麹」に変身させれば、腐敗を防ぎつつ、旨味たっぷりの調味料に。お料理の幅もグンと広がります。
- 生米麹300gに対して、塩100gをガラス製の清潔なボウルの中でよく混ぜておく
memo:乾燥麹を使う場合は、ほぐしてから1.25倍量の60℃のお湯(分量外)で3時間ふやかしておく - 新玉ねぎ2個(約400g)をすりおろすかフードプロセッサーでペースト状にし、(1)に入れてよく混ぜる
- ラップをして10日ほど常温で熟成させる(1日1回清潔なスプーンでよく混ぜる)
ねぎ臭さが減ってほんのりピンク色に変化したら完成。
発酵が進むにつれ米麹の粒が溶けてなめらかになっていきます。粒感が気になるようなら、ブレンダーなどですりつぶしてしまいましょう。
万一、熟成時に赤や黒い点・青カビが生えてしまった場合は、その部分を取り除くか、残念ですが廃棄してください。そうならないためにも、1日1回、全体をしっかり混ぜるのをお忘れなく。
使い方は塩麴と同じ。
唐揚げやポークソテーなど、肉料理の下味として漬け込めば、麹の効果でお肉が柔らかくなるだけでなく、新玉ねぎの香味でさらに美味しく仕上がります。
またオリーブオイル・お酢と合わせてよく振ると、甘味豊かなフレンチドレッシングに。トマトによく合います。
保存期間は、熱湯やアルコールなどで消毒した瓶に入れて冷蔵庫で3ヵ月ほどです。
大量消費や保存食にも お手軽レシピ5選
おうちカレーがワンランクアップ 新玉ねぎのアチャール
アチャールとは、インドのお漬物のこと。
最もオーソドックスなのが玉ねぎで作るアチャールです。スパイスの風味と新玉ねぎのシャキシャキの歯ごたえが、食欲を増進してくれます。
カレーとの相性は抜群!普段のカレーにちょっと添えるだけで、お店気分間違いなしですよ。
材料(3~4人分)
- 新玉ねぎ……1個
- 塩……小さじ1
- チリペッパー(カイエンペッパー)パウダー……小さじ1
- コリアンダーパウダー……1つまみ
- クミンパウダー……1つまみ
- ライム汁……大さじ1
- オリーブオイル……大さじ1
- あさつき(飾り用)……1/2本
作り方
- 新玉ねぎは縦に半分に切ったのち、縦2~3mmにスライスし、ガラスボウルなどに移して塩を振って置く。
- 小鉢に、チリペッパーパウダー・コリアンダーパウダー・クミンパウダーを合わせる。
- (1)を軽く絞って水気を切ったのち、(2)・ライム汁・オリーブオイルを加えて、全体が均一になるようによく混ぜる。
- 皿に盛り、刻んだあさつきをのせる。
ポイント
チリペッパーパウダーが辛いようなら、パプリカパウダーで代用を。
作ってすぐより半日~1晩ほど置いたほうが、味がなじんで美味しいです。
レンジのみで驚きの甘さ 新玉ねぎのレンチン蒸し
新玉ねぎを丸ごと使ったインパクトのある蒸し料理です。しかも電子レンジを使うので、調理も簡単!
加熱された新玉ねぎの水分とベーコンが合わさって、まるでスープのようにスルスルといただけます。食欲がないときにももってこいの、滋味あふれる味わいです。
材料(3人分)
- 新玉ねぎ……3個
- ベーコン……1枚
- ポン酢……大さじ1
- パセリ(飾り用・刻んだもの)……少々
作り方
- 新玉ねぎの上部から中央部辺りまでに、6等分の切れ込みを入れる。ベーコンは5mm幅の細切りにする。
- 耐熱皿に(1)の新玉ねぎを並べ、ベーコンを上にのせて、ふんわりとラップをかける。500Wで6分加熱する。
- 竹串を刺して中まで柔らかくなってたら、ポン酢をかけ、パセリをのせる。
ポイント
加熱が足りない場合は、1分ずつ足して様子を見てください。
コッテリした味がお好みの方は、お醤油とマヨネーズを混ぜたソースをかけるのもオススメです。
切り方に技あり 新玉ねぎのカツ
串揚げ風の新玉ねぎのカツです。一口ヒレカツやエビフライ、うずらの卵串など、ほかのフライと盛り合わせにすれば、楽しいパーティーメニューにも変身しますよ。
ポイントは串を刺すタイミング。バラバラになりがちな玉ねぎが、このやり方だとスムーズに下ごしらえできます!
材料(3人分)
- 新玉ねぎ……1個
- 塩・コショウ……少々
- 小麦粉……大さじ3
- 卵……1個
- パン粉……大さじ5
- 揚げ油……鍋に合わせて適量
作り方
- 新玉ねぎは縦半分に切り、断面を下にして、1.5~2cm間隔につまようじを深く刺す。
- つまようじの間に包丁を入れて、切り分ける。
- (2)の両面に塩コショウをし、小麦粉・溶き卵・パン粉をつけて、揚げ油を張った鍋に沈める。
- 鍋を火にかけ、180℃に上がったらひっくり返し、きつね色になったら油から上げ、油を切ってから皿に盛る。
ポイント
つまようじは垂直に刺すことを意識すると失敗なく切れます。
新玉ねぎのサイズが大きくてつまようじが埋まってしまう場合は、中心に竹串を刺し、その両脇につまようじを中心に向かって補助的に刺すと、安定して揚げられます。
たっぷりの新玉ねぎがポイント タラと新玉ねぎと春ニンジンのキャセロール
新玉ねぎと春ニンジンを使った、春めいたお魚料理。
ジューシーで肉厚な新玉ねぎから出る水分で煮込むため、お砂糖不要なのに濃厚な美味しさに仕上がります。
材料(3人分)
- 新玉ねぎ……2個
- ニンジン……1本
- ニンニク……1片
- 甘塩タラ(切り身)……3切れ
- 小麦粉……大さじ2
- オリーブオイル……大さじ2、大さじ1
- トマトピューレ……50cc
- ローレル……2枚
- 塩コショウ……適量
- コリアンダーパウダー……1つまみ
作り方
- 新玉ねぎは1~2cm角の粗みじん切りに、ニンジンは5cm程度の太めの千切り、ニンニクは皮をむいてスライス、甘塩タラは半分に切る。
- 鍋にオリーブオイル大さじ2・ニンニクを入れ、中火にかける
- 香りが出てきたら、新玉ねぎ・ニンジン・塩ひとつまみ・ローレルを加えて混ぜ、油が全体に回ったら蓋をして弱火に落とす。底が焦げ付かないよう時折かき混ぜる。
- タラの水気を拭き、軽く塩コショウをして、小麦粉を全体的にまぶす。フライパンにオリーブオイル大さじ1を引き、中火で表面に軽く焼き色が付くまで焼く。
- (2)の新玉ねぎが透き通って水気が出たら、トマトピューレを加えて5分ほど煮る。
- 塩コショウで味を整えてから半量を取り、(3)のタラを鍋に入れ、取り分けたものをタラの上に戻し、さらに10分ほど煮込む。
ポイント
お鍋はできれば機密性の高いもので調理を。新玉ねぎの水分を逃さず、焦げにくくなります。
付け合わせにマッシュポテトを添えてどうぞ。
お肉に負けない味染み玉ねぎのボリューム 新玉ねぎとごぼうの牛甘辛煮
甘辛いタレと牛肉、トロトロになった新玉ねぎが美味しい、ごはんが進む一品です。
ゴボウを入れることで牛の臭みが旨味に変わり、ちくわぶが素材の出汁をギュッと吸って、ボリュームも満点!
材料(4~5人分)
- 新玉ねぎ……1個半~2個
- 牛肩ロース切り落とし……250g
- ごぼう……1/2本
- ちくわぶ……1本
- スナップエンドウ……3房
- 酒……50cc
- 醤油……50cc
- 砂糖……小さじ1
- 顆粒だしの素……小さじ1/4
作り方
- 新玉ねぎは縦半分に切り、繊維に対して垂直に1.5cmの厚さに切る。ごほうはささがきに、ちくわぶは2cmの厚さに斜め切りにする。
- スナップエンドウの筋を取り、さっと茹でて、開いておく。
- 鍋に、酒・しょうゆ・砂糖・顆粒だしの素を入れて中火にかける。フツフツとしてきたら、牛肉を入れてさっと湯がき、色が変わったらいったん皿に上げる。
- (3)の鍋に、ごぼう・新玉ねぎ・ちくわぶ・取り出した牛肉の順に入れ、中火5分ほど煮る。
- 全体をよく混ぜてからさらに3分ほど煮込んで、ちくわぶに味が染み込んだら皿に盛りつけ、スナップエンドウを飾る。
ポイント
食べる直前に七味をかけると、味のアクセントに。
たっぷり作って、翌日は残った煮汁とともに卵とじにアレンジするのも美味しいですよ。
まとめ
肉厚でサクサクジューシーな新玉ねぎは、生でも加熱しても「やっぱりこの味!」と思わせてくれる魅力があります。ライフスタイルやお好みに合わせて保存法をうまく取り入れて、ぜひ食卓からも春を感じてみてくださいね。
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