球根・器・水の3つさえあれば、誰でも始められる水栽培(水耕栽培)。透明な世界で繰り広げられる花々の成長は、その神秘的な変化を味わえるだけではなく、お部屋に潤いと彩りも与えてもくれます。鉢植えとは違って虫が出にくく、土の処理に困らないという手軽さも水栽培の魅力。
今回は球根の水栽培の基本から、インテリアとして楽しめるアイディアなどをご紹介。お気に入りの容器で、愛らしいお花を育ててみませんか?
球根の水栽培を始める時期・方法・おすすめのお花は?
球根花には春植え・夏植え・秋植えの3種類があります。水栽培に向いているのは、寒い時期に植え付けて、春に花を咲かせる秋植え球根。冬を越すための養分を球根内にたっぷり蓄えているため、水栽培に向いていると言われています。
その具体的な時期、育て方、水栽培ができるお花の種類などを見ていきましょう。
水栽培を始める時期は11〜12月ごろ
水栽培を始めるのに適した時期は、土に植え付ける場合よりもちょっと遅めの11月〜12月くらい。この時期からスタートすると3〜4ヶ月後の春頃に開花します。
春咲きの球根は9月頃から園芸店やホームセンターに並び始めるので、店頭で見かけたら準備を始める合図。近隣に園芸店などがない場合は、ネットでも購入できます。購入後に少し手を加える必要があるので、早めに用意しましょう。
水栽培の進め方ポイント
水栽培でポイントとなるのはこの4つ。
- 寒さに当てる
- 球根の底部だけを水に浸す
- 2〜3日に1度、水を替える
- 発芽までは日の当たらない場所、発芽後は日の当たる場所へ
1.寒さに当てる
秋植え球根には「冬を越す」という擬似体験を与える必要があります。
球根を新聞紙に包んで1〜2ヶ月、冷蔵庫で眠らせてあげましょう。十分な寒さを与えてあげることで、開花へのスイッチがセットされます。
2.球根の底部だけを水に浸す
冷蔵庫から取り出したら、いよいよ水を与えます。
大切なのは球根の底部がギリギリ触れる程度に浸水させること。根が出てきたら、根の先端が水に浸るくらいまで水位を下げましょう。そうすることで、根が水を求めてどんどん伸びていきます。水栽培では根腐れが一番の大敵なので、水の量をしっかり守ることが重要です。
3.「2〜3日」に1度、水を替える
植物は根から老廃物が出る仕組みになっているので、水は2〜3日に1度替えてあげましょう。
4.発芽までは日の当たらない場所、発芽後は日の当たる場所へ
発芽するまでは直射日光の当たらない、涼しい場所に置きましょう。イメージとしては土の中にいる感覚を与えられるような場所です。発芽後は日当たりのよい場所へ移動して、開花を促します。
球根の内部には栄養がたっぷり入っているので、基本的に肥料は要りません。ただ、ちょっと元気がないな…という場合は、液体肥料を通常の2倍以上に薄めたものを水替えの時に入れてみるのもいいでしょう。
根がぐんぐん伸びたものの、花が咲かないという残念なケースになることも。
花が咲かない原因のほとんどが、寒さ不足。冷蔵庫で球根を冷やす・発芽前まで暗くて涼しい場所に置くという工程は特に重要です。
枯れた花がついている茎をカット、根は付いた状態のままで日当たりの良い場所に植えます。そして肥料と水を与えましょう。こうすることで、再度球根内に養分を蓄えます。
マンションにお住まいの方は、鉢植えにしてベランダなどに置く方法で試してみてください。
水栽培におすすめのお花
水栽培ができる秋植えの球根には、以下のような花々があります。春先に沿道や花壇などでよく見かける球根花ですが、水栽培ではまた違った美しさを見せてくれます。
ヒヤシンス
水栽培の定番といえば、ヒヤシンス。水栽培のイメージが強いのも、やはり育てやすいという特徴があるから。紫、ピンク、白、黄色などがあり、爽やかな香りを部屋に放ってくれます。
クロッカス
ヒヤシンスと並んで水栽培で親しまれる花。ヒヤシンスが高貴なイメージであれば、クロッカスは愛らしい印象があります。ビビッドなカラーなので、容器の色の組み合わせで遊ぶ面白さも。
チューリップ
色、サイズ、形の種類が豊富なチューリップ。ダークな色合いから、ポップなカラーまで幅広く揃っているので、大人っぽくも、カジュアルにもお部屋に合わせてコーディネートができます。
ムスカリ
子供たちの視線も奪うような可愛らしさがあるムスカリ。さりげないサイズ感と優しい色合いは、ナチュラル系のインテリアによく馴染むでしょう。球根が小さめなので、水栽培では球根を支える工夫が必要になる花です。
スイセン
和のテイストも持ち合わせているスイセン。1球だけスラッと上品に育てることもできるし、複数をまとめて育てて、華やかにすることもできます。背丈のある花なので、バランスを取りやすい容器で栽培するとよいでしょう。
インテリアとして映える!球根の水栽培の飾り方
さて、実際に部屋で水栽培を行うとなると、インテリアとしてはどのような楽しみ方があるのでしょうか?同じ球根花であっても使用する容器、飾り方によって部屋の印象を変えることができます。
育てる容器で違いをつける
ネットで検索すると一目瞭然、さまざまな水栽培用の花瓶(バルブベース)が存在することに驚きますね。そこから自分好みのものをチョイスするのもいいですし、あえて日用品を代用して栽培するという方法も。自宅のインテリアとの相性を想像しながら、ぴったりの容器を見つけ出してみましょう。
専用のガラス花瓶で美しいフォルムを楽しむ
球根の水栽培用のガラス花瓶。球根栽培を美しく見せるためのものということもあり、安定感、バランス、見た目…全てにおいてしっくりくるのがわかります。根が伸びる様子をはっきり見ることもでき、機能性と美を兼ね揃えた優れもの。
水栽培用の花瓶には大きく2種類あり、1つの器にくびれた部分があるタイプのものと、球根を置く受け皿が取り外しできるものがあります。後者の場合は、水替えがしやすく、受け皿を取り外して切り花の花瓶としても使えるというメリットも。
水栽培用の花瓶を1つ所有するだけで、毎年の球根栽培がとっても楽しみになります。
家にあるものを代用して、個性的に飾る
専用の花瓶をわざわざ買わなくても、グラスや空き瓶など家にあるものを使って気軽に始められる点も水栽培のおもしろいところ。意図的に日用品を使うことで、部屋の雰囲気とすんなりと馴染み、目指したいお部屋のテーマをさらに強調することもできます。
理想的な容器は、口径が球根のおしりがぴったりと合うもの。口が広すぎる場合は、針金をねじってカゴを作り、球根を浮かせる方法があります。厚めのガラス瓶と針金のお手製容器であれば、インダストリアル系のお部屋などに似合いますね。
水栽培に使えるものには、ジャムなどの空き瓶、コップ、ガラスジャー、キャニスター、デカンタ、ビーカーなどがあります。市販の花瓶にはない、日常に溶け込んだ魅力が引き出せるでしょう。
大きな器にたくさんの球根を植えて寄せ植え風に
大きな花瓶・器を使って水栽培をする方法も。口径がかなりある容器だと球根を浮かせるカゴを取り付けるのが難しいですね。しかし、石やビー玉を底に敷くことで、球根のおしりが水面に触れるくらいに水位を調節することが可能になります。
この方法であれば、球根をいくつも並べられるので、寄せ植え風に仕上げることも。ボリュームと華やかさが増し、部屋全体をパッと明るくするほどの存在感を放つでしょう。
特にムスカリやミニチューリップなどの球根が小さい品種では、この方法が重宝されます。
飾る量・場所で印象に差をつける
植物は飾る量や配置によっても、部屋にアレンジを効かせることができます。逆に理想とする住空間に合わせた飾り方もあります。
空間のワンポイントとして1〜2個飾る
お部屋のスッキリ感を損なわずに球根花を飾りたい、モノがごちゃごちゃしているのは好ましくないという方には、1〜2球だけをワンポイントとして育ててみてはいかがでしょう?
僅かな植物でも、お部屋の目立つ場所にフォーカルポイントとして置くだけで、空間全体をおしゃれに引き締め、季節感を添えてくれます。それに1〜2個の花瓶であれば、食事をするダイニングに置いても邪魔になりませんね。少量の花で印象づけすることになるので、ヒヤシンスのような花ぶりのいいものがオススメです。
一点集中で育てる場合、やはり飾る花瓶にもこだわりたいところ。
おすすめは水栽培専用の花瓶です。成長の度合いがしっかり確認でき、そして全体のフォルムが美しく見えるものこそが、部屋のアクセント役として相応しいでしょう。
1か所にたくさん並べて自分だけの植物園に
窓辺やキッチンのカウンター、キャビネットの上など、ひとつのスペースに複数の球根を集めるのもいいですね。
緑溢れる植物園のようなコーナーとなり、家の中で生の自然を感じられる特別な場所になります。透明感のある水栽培は、たくさん置いても、圧迫感があまり出ないところが長所でもあります。
同じ品種だけを並べる、色を揃えて統一感を出す、家中のいろんな植物と一緒に飾ってミックス感を出す…など、幾通りものスタイリングを試せるところも、集めて飾る楽しさのひとつ。
いっぱい並べると容れ物にはあまり目線がいかないので、立派な花瓶を揃える必要もないでしょう。
お部屋に少し寂しいスペースがある、見せる収納を採用している、自分がいいと思ったものを部屋じゅうに並べたいという方が試してみたくなるような飾り方かもしれませんね。
水栽培をさらに楽しむ方法
インテリアとしての役割以外に、水栽培だからこそ体験できるのは、可視化した植物のリアルな成長過程。その貴重な体験を使って、こんなことにチャレンジしてはいかがでしょう?
子供と観察日記をつけてみる
毎日の成長を目の当たりにできる球根の水栽培。栽培時期が冬休みや春休みとちょうど重なるので、子供と一緒に観察日記をつけてみてはいかがでしょう?家族全員で1冊にリレー式に書いていくのもユニークな試み。味を占めると、毎年の恒例行事にもなります。
タイムラプスを作れば、SNSにもアップできる
タイムラプスの機能を使って、成長記録をつけるのもいいですね。今はアプリやスマホの標準機能でタイムラプスを作成することができます。自分が愛情を注いで育てた球根植物をSNSで紹介したり、毎年いろんな花を撮影してコレクションにしていくことも。自然とデジタル機器のコラボで、今流に球根の水栽培を体験してみては?
まとめ
育てる喜びだけではなく、見せ方や配置でお部屋づくりの名脇役にもなる球根の水栽培。まさにハイブリッドで楽しめる秋冬のパートナーですね。
おうち時間が増える季節に、ぜひ球根花を家に招いて、愛情たっぷりで育てみてください。観葉植物よりも低予算で始められ、切り花よりも長い期間を一緒に過ごすことができます。
まずは育てやすいヒヤシンスを1球から、翌年は違う球根花を、翌々年は複数を育てみる…というように、新鮮さを失わずに毎年楽しめます。
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