本格的な梅雨の時期を迎えるにあたり、気になってくるのが食中毒。家庭での食中毒感染を防ぐためには、やはりキッチン用品のこまめな消毒・除菌は欠かせません。
その中でも、「まな板」「ふきん」などの菌を広げる恐れがある道具は最優先に対策を行いましょう。
今回はキッチンのふきんを消毒する方法を5つご紹介します。
ぜひ、続けられるふきんの消毒方法を見つけ、家族を守るための新しい習慣として、暮らしに取り入れていただきたいと思います。
1.ふきんを消毒しないリスクはここにある!
1‐1 食中毒発生の1割は家庭!一因はキッチンの雑菌
厚生労働省の統計によると、平成29年に発生した食中毒の10%が家庭でおこっています。
食中毒の発生場所としては、飲食店についで2番目です。
「少しおなかの調子がよくない」「なんとなく吐き気がする」といったときでも、実は食中毒だったというケースが考えられます。風邪と似た症状だと見すごされがちなので、実際には統計よりも多くの食中毒が家庭内で発生している可能性があります。
食中毒の原因は、主に「細菌」と「ウイルス」です。腸管出血性大腸菌であるO157や急性胃腸炎を引き起こすノロウイルスは、報道などで聞いたことがあると思います。これらの食中毒菌に感染すると、乳幼児やお年寄りは重症化しやすく死亡率が高くなります。食中毒を甘くみるのは危険です。
ふきんを消毒しないことで考えられる一番のリスクは、まさにこの「食中毒」です。家庭でおこる食中毒の原因の多くは、キッチンにあります。ふきんだけではありません、食材そのもの、まな板や包丁といった調理器具も食中毒菌の温床になる可能性はあります。
しかし、手づかみや食べこぼしの多い小さな子どもがいる家庭では、ふきんの登場回数も多いはずです。ついつい拭いたあとに濡れたまま放置している、そのふきんにこそ食中毒菌がひそんでいるかもしれません。
1‐2 ふきんには食中毒菌が好む3要素がそろっている
食中毒菌が増えるためには、3つの要素が必要です。それが、「温度」「水分」「栄養分」です。
ふきんには、まさにこの3要素が揃っています。
【温度】
まず、温度です。
食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌(O157)などの細菌は7~8℃で増えはじめ、約20℃で活発になります。さらに、35℃前後になると増殖のスピードが最もあがるといわれています。
一方、ウイルスは寒さや乾燥に強いという性質があります。ノロウイルスが冬場に流行るのは、このせいです。
種類によって差はありますが、人間が生活している温度が細菌やウイルスにとっても、居心地がいいということです。
【水分】
次に、水分です。
キッチンの周りや調理器具は、どうしても濡れている時間が長くなります。食中毒菌が活動するためには、水分が必要です。
乾く間のないふきんは、細菌やウイルスにとって絶好の場所と言ってもいいかもしれません。
【栄養分】
最後に、栄養分です。
食中毒菌の栄養になるのは、食材や油といった汚れです。調理台やテーブルを拭いているふきんには、どうしても栄養分となる汚れがついてしまいます。
キッチンにあるさまざまな調理器具の中でも、ふきんは3つの要素がそろいやすいアイテムと言えます。
菌が増殖したふきんを使いつづけることで、食卓にはどんどん菌が広がってしまうのです。
1‐3 ふきんの種類も大切、乾きづらいと菌が増殖
菌が増えるための3つの要素の中でも、ふきんが抱える1番の問題は「水分」です。たとえ栄養分である汚れが落ちるように洗剤で洗ったとしても、濡れたままなら意味がありません。
とはいえ、頻繁にふきんを使っていれば乾燥も追いつかず、濡れたままになってしまいますよね。そこで、大切なのがふきんの種類です。食中毒のリスクを減らすためには、乾きやすいふきんを選ぶということも大切なのです。
ふきんの定番は、綿や麻といった素材です。
綿は吸水性がよく使いやすい反面、乾くのに少し時間がかかります。麻は綿より乾きやすいのが特徴です。レーヨンなどの化学繊維でできた不織布は、汚れが落ちやすく乾きも早くなります。どちらにしても、重ね縫いしてあるものや厚手のものは乾きにくいので避けたほうが無難です。
さらに、ふきんの枚数や干す場所も乾きやすいよう見直してみましょう。乾燥機を使えればいいのですが、ふきん1枚のために乾燥機を動かすのもなんだか大げさですよね。洗ったあとは天日干しや、室内でもできるだけ風通しの良いところに干すのがベストです。
どうしてもいい場所がないというのであれば、1日1枚にこだわらず、使うふきんの枚数を増やして常に乾いたものを使えるようにしておくといいでしょう。
2.暮らしにあったやり方をみつけよう!ふきんの消毒方法5選
食中毒の予防は、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則、ウイルスの場合は「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」「やっつける」の4原則です。
もし、細菌やウイルスがついたり、広がったりしたとしても、最終的に「やっつける」ことができれば大事にいたることはありません。だからこそ、ふきんはただ洗うだけでなく、消毒が大切なのです。
厚生労働省の食中毒対策などを参考にしながら、菌への効果が高い順に、消毒方法を5つご紹介させて頂きます。
参考:「食中毒」厚生労働省
2‐1 漂白剤で細菌もウイルスも根こそぎ除菌
菌やウイルス、どちらも死滅させるために最も有効な手段のひとつが漂白です。O157もノロウイルスも、漂白剤の前ではお手上げです。
【用意するもの】
- 次亜塩素ナトリウムを含む家庭用漂白剤
- 漂白用の容器
- ゴム手袋
【手順】
- まず、ふきんの汚れを水で流したあと、台所用洗剤や石けんなどの洗剤をつけて洗います。
- 洗剤をよくすすいだ後に、漂白します。次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用の漂白剤を容器にうすめ、その中にふきんを1時間程度つけておきましょう。
そのつど漂白するのが難しければ、清潔なふきんを数枚使いわけ、1日の最後にまとめて一晩つけ込んでおいてもいいでしょう。 - 漂白後は、ふきんをよく水洗いしてしっかりと乾かしましょう。
【注意点】
- 漂白剤の適量やつけおき時間はメーカーによっても違います。使用上の注意をよく読んで正しく使うようにしてください。
- 色・柄もののふきんは色落ちしてしまったり、長時間のつけおきで布が傷んでしまったりする可能性があります。
- 薬剤が手につかないようにゴム手袋をつけ、小さな子どもの手が届かないように気をつけましょう。
漂白すれば食中毒菌への効果は絶大ですが、手間がかかる点はデメリットかもしれません。
2‐2 薬に頼らず熱湯で煮沸消毒
漂白に匹敵する効果が期待できるのが、煮沸消毒です。
多くの細菌は75℃以上、ノロウイスルは85℃以上の熱で1分以上加熱すれば死んでしまいます。子どもがいて薬剤を使いたくないという方におすすめです。
漂白よりも短時間でできることもメリットです。
【用意するもの】
- 煮沸用のお鍋(ステンレス、ホーローがおすすめ)
- 煮沸後のふきんをつかむための道具(トング、菜ばしなど)
【手順】
- まずはふきんのよごれを洗剤などで洗い流しましょう。
- 煮沸用のお鍋にお湯をわかし、5~10分ほど湯がいてください。
- 取り出すときは火傷に注意し、水ですすいだあとはよく乾燥させます。
【注意点】
煮沸消毒を習慣にする前に考えておきたいのが、道具のことです。
- 煮立ったお鍋からふきんを取りだすためのトングや菜ばしも、調理用とは別に煮沸用を準備したほうがいいでしょう。
- お鍋1つでできるとはいえ、1つ増えればそれだけ場所をとります。
収納場所が限られている場合は、煮沸用の道具がキッチンに出しっぱなしになってしまうかもしれません。道具の収納場所はあるか、確かめてからはじめるとキッチンが散らかりませんよ。 - アルミのお鍋は洗剤に残ったアルカリで変色したり腐食したりするおそれがあります。
煮沸消毒にはステンレスやホーローがむいています。
2‐3 手軽なアルコール除菌
スプレータイプのアルコール除菌なら、シュッとひと吹きして拭き取るだけなのでとても手軽です。漂白剤とは違い、少量であれば手についても大きな問題はありません。
【用意するもの】
- アルコール(スプレータイプがおすすめ)
- 乾いたふきん
【手順】
- 乾いたふきんに直接アルコールスプレーを吹きかけます。
- 調理台やテーブルを拭くときも、乾いたふきんにスプレーを吹きかけて拭き取るようにしましょう。
【注意点】
- アルコール除菌には限界があります。O157に代表される細菌はとりのぞくことができますが、ノロウイルスにはその効果が期待できません。
厚生労働省がすすめているノロウイルス対策は、漂白か煮沸です。
手軽なアルコール除菌を選ぶのであれば、ふきんの中でノロウイルスが増えるまえに、ウイルスを「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」といった工夫も考えなければいけないでしょう。
2‐4 1分でできる電子レンジ除菌
短時間で除菌したいときにオススメなのが、電子レンジです。
道具も薬剤もほとんど必要ないので、もっとも簡単にできる消毒方法と言ってもいいかもしれません。
【用意するもの】
- 電子レンジ対応のお皿
【手順】
- ふきんを洗剤でよく洗い、しっかりと水ですすぎます。
- 軽くしぼって余分な水気をきったあとは、濡れたままのふきんを電子レンジであたためます。
だいた500Wで1分が目安です。 - 冷ましてから絞り、乾かしておけば消毒完了です。
【注意点】
- 電子レンジ除菌も、アルコールと同じように全ての食中毒菌を取りのぞけるわけではありません。
- 電子レンジの加熱はムラができやすいため、75℃以上の熱が全体にいきわたっているのかは不安が残ります。
電子レンジ除菌をするのであれば、それだけを過信せずに他の食中毒対策もあわせて行うようにしましょう。
2‐5 消毒の手間なし!使い捨てふきん
ふきんの消毒に気を使うのが面倒であれば、ふきんを使い捨てにしてキッチンからをなくしてしまうのも一つの手です。
筆者も少し前までは布のふきんを使っていましたが、消毒まで手が回っていませんでした。使い捨てにしてから、手間が省けてずいぶん気持ちも楽になったと思います。
【用意するもの】
- 破れにくいキッチンペーパーやダスターなど
【手順】
- 汚れた調理台やテーブルを拭いたあとは、そのままゴミ箱へ。
必要に応じてアルコールスプレーを併用すると、より除菌効果が高まるでしょう。
【注意点】
使い捨てはコストがかかりますし、ゴミも増えます。できるだけ無駄のないように、食卓をふいたペーパーで床の食べこぼしを拾ったり、シンクの掃除に使ったりするといいでしょう。
3.まとめ
今回は、キッチンにあるものの中でも「ふきん」にしぼって食中毒対策となる消毒についてお話ししてきました。
細菌やウイルスは目に見えないからこそ、意識しなくても消毒ができるように習慣化することが大切です。ご紹介した消毒方法と効果を比較しながら、今の暮らしにあったふきんの消毒方法を考えてもらえればと思います。
また、キッチンで食中毒対策が必要なのはふきんだけではありません。
水回りを中心に、キッチン用品・キッチン設備・家電などを清潔に保つよう日頃から心がけましょう。
キッチンを清潔にすることは、家族の健康を守ることにつながります。
今回の記事が、食材や調理器具を含めた食中毒対策を考えるきっかけになれば幸いです。
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