いよいよ夏本番。連日の猛暑が続いていますね。あまりの熱波に体がぐったりすることもあるのではないでしょうか。とはいえ、何も食べないのはエネルギー不足で気力まで弱まってしまいます。暑いときこそ、しっかり食べて、はつらつと過ごしたいですよね。
こんなときは、普段の食事から涼を得るのが一番!
外気でほてった体に効く食事の摂り方、体を冷やすために絶好の食材と簡単レシピをご紹介します。
暑くて食欲減退……だからこそ気をつけたい食事の取り方
猛暑が続く季節。毎日のルーティンですら億劫になること、ありますよね。中でも、灼熱のキッチンに立つことは、夏の家事の大変さのひとつ。「今日は勘弁……」と思う方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、1日の活動の源である食事は、とらないわけにはいきません。暑い夏を乗り越えるための食事には、ちょっとしたポイントがあります。
冷たいものの食べすぎはNG 冷えや胃腸虚弱の原因に
「暑い」を解消するには、反対の「冷たい」を求めがち。しかし、こと食事に関していうと、あまりお勧めできません。
というのも、内臓が冷えてしまうからです。
胃や腸などの内臓が冷えると、血流が悪くなって機能が低下してしまいます。滞った血流はどんなに外気が高くてもなかなか改善されません。内臓が冷えると消化が悪くなり、食欲が減退してさらにバテやすい体に……と、悪循環に陥りかねないのです。
「暑いときには熱いものを」とはよく言ったもので、暑いときこそ冷たい食事は避けて、体の内側を冷やさないことが重要なのです。
暑い日の食事で注目すべきは「旬の食材」
「どう食べるか」の次に気をつけたいのは「何を食べるか」です。
特に野菜に関しては、ビニールハウスでの栽培で通年流通する食材も多くなってきましたが、季節ごとに収穫できる露地栽培の食材は、実はその時期に人間にとって必要な要素を豊富に蓄えていることが間々あります。
夏に旬の盛りを迎える野菜を思い出してみましょう。
ナスやキュウリなど、あっさりとして水分が多いもの。これは発汗による水分補給に最適。
トマトのように酸味あるもの。酸味はビタミンCによるもので、ビタミンCは皮膚や血管、軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」の生成を促します。日焼けでダメージを受けた肌の再生に効果的です。
ゴーヤやピーマンなど苦みのあるものは、その苦み成分が胃腸を刺激して消化液の分泌を促します。夏バテで弱った胃腸にうれしい効果ですよね。
また、たくさん流通するため、新鮮な食材が手に入りやすくなります。食材として選ぶなら、旬の食べ物に注目しない手はありません。
ポイントはカリウムにあり!暑い日に体のほてりを取ってくれる夏の食材BEST3
夏野菜の食材が含む成分の中でも、特に注目したいのがカリウム。
というのも、カリウムには体内の熱を放出する効果があるからです。
小腸から体内に摂取されたカリウムは、全身の細胞に行き渡り、細胞内に含まれるナトリウム(塩分)や水分の濃度などを調節し、浸透圧を適切な状況に保つ働きをしています。
体内で塩分濃度が高くなると、カリウムの働きによって、余分な塩分を尿とともに体外から排出させようとします。そのためカリウムには利尿作用があるともいわれています。つまり排尿とともに体の熱も外に出され、自然に体内のほてりも放出できる、という効果が得られるのです。
夏に旬を迎える野菜で、カリウムの含有量の多い=体の熱を効率的に取ってくれる食べ物を見てみましょう!
アボカド
アボカドは、メキシコなど暑い地域で盛んに栽培されている果物。日本では春~夏にかけて入荷が多くなります。
「森のバター」の異名もあるアボカドは、100g中に590mgのカリウムを含んでいます。可食部の量でいうと、小さめなサイズ1個分です。
枝豆
豆類はカリウムを多く含む食材の代表格。中でも夏のおつまみの定番・枝豆は、可食部100g中に590mgのカリウムを含んでいます。
枝豆は外皮と豆部分は重さがほぼ同等なので、八百屋さんで売っている1袋200g前後がその量になります。
モロヘイヤ
モロヘイヤは、アオイ科の一年生草本。和名はシマツナソとも呼ばれ、モロヘイヤの呼称はエジプトの方言からきているそう。
加熱して刻むと独特の粘りが出るモロヘイヤは葉を食べる野菜で、100g中に530mgのカリウムを含有しています。
カリウムを多く含む食材を扱うときの注意点
体の熱を排出するのに最適なカリウムですが、注意しておく点が2つあります。
水に溶けやすい
カリウムの特徴のひとつに、水に溶けやすい、という性質があります。そのため、煮る・ゆでるといった調理法ではゆで汁に逃げてしまい、調理後の含有量が少なくなってしまいます。
効率よく摂取するには、蒸す・焼く、あるいは煮汁ごといただく調理法がおすすめです。
過剰摂取
カリウムの1日の適正量は、18歳以上の男性で1日2,500㎎、女性では2,000㎎といわれています。
一般的な食生活を送っていればまず摂りすぎることはありませんが、サプリメントなどでの過剰な摂取には注意が必要です。
必要量以上の摂取は、カリウムが排泄しきれずに血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」を引き起こすおそれがあります。麻痺や手先のしびれ、筋力の低下、致死的な不整脈が現れる場合もあるため、くれぐれも適正量を超える摂取を継続的にしないよう注意が必要です。
また糖尿病を患っている人、腎機能が低下している人は、カリウムの摂取制限があります。医師の指示に従った適切な量をとるように心がけてください。
夏バテ防止にも◎ カリウムを豊富に含む食材を使ったレシピ5選
身体に負担をかけず、美味しく効果的にカリウムを摂取するための、簡単レシピをご紹介します。
暑い朝のパワーチャージに アボカドトースト
食欲が落ちたり、料理が面倒に感じたりといったときは、具がたっぷり乗ったトーストでお手軽にエネルギー補給をしましょう。
アボカドは加熱をすると、トロリとしたさらにマイルドな口当たりに。身体を冷やさず、余計な熱を出してくれる食べ方です。
材料(1人前)
- アボカド……1/2個
- 食パン……1枚
- マヨネーズ……小さじ1
- 塩……ひとつまみ
- シュレッドチーズ……大さじ2
- コショウ……お好みで
作り方
- アボカドは縦半分に切ったものを垂直に、5mm程度の薄いスライスにする。
- 食パンにマヨネーズを薄く塗り、(1)をのせて軽く押してずらし、塩を振りかける。
- シュレッドチーズをのせて、チーズに焦げ目がつくまで焼く。
- 皿に上げて、コショウを振る。
甘辛で食べ応え抜群 アボカドの豚肉巻き
疲労回復に効果的なビタミンB1を多く含む豚肉との組み合わせ。濃厚なアボカドと合わせて脂身の少ないロース肉と合わせました。米粉の絶妙なとろみが具に絡んで、食べ応えもバッチリです。
材料(3人前)
- アボカド……1個
- 豚ロース薄切り……12枚(約180g)
- 米粉……大さじ3
- 塩・コショウ……少々
- サラダ油……大さじ1
- 醤油……大さじ1.5
- 砂糖……大さじ1
- 酒……大さじ2
作り方
- アボカドの種を取り、縦に12等分する。醤油・砂糖・酒を混ぜて調味液を用意しておく。
- 豚ロース肉を広げ、塩コショウを振り、(1)のアボカドを巻く。
- (2)に米粉をまぶす。
- 熱したフライパンにサラダ油を引いて(3)を並べ、こんがりと焼き目がつくまで両面焼く。
- 焼き目ができたら調味液を上からかけ、時折スプーンで豚肉にかけながら、とろみがつくまで煮詰める。
ネバネバでのど越しよく モロヘイヤと夏野菜のだし
山形の夏の風物詩、だし。カリウムが豊富な長芋や昆布と合わせて食べる、とても理に適った食材の取り合わせです。モロヘイヤや長芋の水溶性食物繊維は腸内環境を整える働きもあります。
食欲が落ちたときでも、あったかいごはんがするする入るいいお供になりますよ。
材料(4人前)
- モロヘイヤ……1/2袋
- なす……1/2本
- きゅうり……1/2本
- 長芋……30g
- 長ネギ(白い部分)……1/4本
- しょうが……1片
- がごめ昆布(細切り)……大さじ1程度
- めんつゆ(2倍濃縮)……大さじ3
作り方
- モロヘイヤの葉を茎からもいで水洗いをし、水滴がついた状態で耐熱皿に入れ、ラップをして500Wで2分加熱する。荒熱が冷めるまでそのままにしておく。
- なす・きゅうり・長芋・長ネギ・しょうが・(1)を細かく刻み、器に入れて、がごめ昆布・めんつゆを入れてよく混ぜる。
- 冷蔵庫で30~1時間ほど味をなじませる。
暑いキッチンもグリルにお任せ 焼き枝豆
茹でることの多い枝豆ですが、カリウムを逃がさないためには、そのまま焼くのがオススメ。魚焼きグリルで焼くため、調理時もあまり暑くないのがうれしいポイントでもあります。
焦げた外皮の香ばしさと、濃厚な甘味、ほっくりとした食感が美味しい一品です。
材料(3人前)
- 枝豆(枝付き)……1束
- 塩……一握り
作り方
- 枝豆は根と葉を取り除き、大きめのボウルでよく水洗いして汚れを落とす。
- 水気をはらったら、塩をまぶして軽くもみ、10分ほど置く。
- グリルを強火で1分予熱したのち、枝豆を重ならないように置いて、弱火で6分焼く。グリルが片面焼きの場合は、ひっくり返してさらに2分焼く。
おやつ感覚でカリカリ美味しい 枝豆チーズスティック
プロセスチーズと枝豆を春巻きの皮で包んで揚げた、カリカリとした食感が心地よい一品。
枝豆のカリウムだけでなくチーズのたんぱく質もプラスして、バテがちな夏の体にもうれしい食べ合わせです。枝豆が食べきれないときにぜひお試しあれ!
材料(10本分)
- 枝豆(外皮を外したもの)……60粒(約60g)
- プロセスチーズ……約60g
- 春巻きの皮……5枚
- 小麦粉……大さじ1
- 水……大さじ1.5
- サラダ油……大さじ2
作り方
- チーズを枝豆と同じぐらいのサイズに切り揃え、春巻きの皮は対角線に半分に切る。
- 小麦粉を水で溶く。
- 春巻きの皮の切断した側を手前に置き、下から5mmのところに枝豆とチーズを交互に6個ずつ1列に並べる。具材両脇春巻きの皮を具の上に折り曲げ、先の2辺に(2)を塗り、巻く。
- フライパンにサラダ油を引き、(3)を留めた側を下にして並べて中火にかける。
- 焼き目がついたら裏返し、反対側にも焼き目をつける。
まとめ
元気が出ないときほど、心身を豊かに満たしてくれる食の力。「美味しい!」と感じることで、活力も湧いてくるはずです。
夏の過酷な環境で弱った人を回復してくれる「旬の食材の作用」を取効率のよい調理法で取り込んで、今年の猛暑も健やかに乗り切りたいですね。
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