ふだん掃除をする際、台所用・トイレ用・お風呂用と場所ごとに洗剤を分けている人が多いかもしれませんが、実はあるモノさえあれば、大部分の掃除がまかなえるんです。
そう、その正体とは「重曹」。ここ数年で浸透しつつある「エコ掃除」で多くの人に支持されているこの重曹、環境に優しいのに汚れはしっかり落ちる優れものなんです。かくいう筆者も、出産を機に取り入れていますが、使い勝手が良くてお気に入りです。これからの時期、大掃除にもおすすめ!
そこで、今回は、重曹を使った掃除テクニックをご紹介します。
※重曹を使った洗面台のお掃除方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
そもそも重曹って何なの?
「重曹」というと耳にしたことはあると思いますが、何に使うものなのかを知らない人もいるかもしれませんね。ここではまず重曹についてお話します。
実は意外と身近な存在だった!
漢字のイメージからか、何となく科学っぽくて扱うのが危ないイメージがあるかもしれませんが、実はわりと身近なアレが重曹の正体だったのです。
そう、重曹とは、ケーキ作りなどに使う「ベーキングパウダー」のこと。正式名称は「重炭酸曹達(じゅうたんさんソーダ)」というそうで、純度によって薬用・食用・工業用の3種類に分かれています。
赤ちゃんがいる家庭などでは、万一口に入ったときのことを考えて、食用を使うのがおすすめです。
スーパーや、大きめのものでしたらホームセンターなどでも手に入りますよ。他にも、「炭酸水素ナトリウム」や「重炭酸ナトリウム」などと呼ばれることもありますが、これらもすべて重曹のことを指します。
なお、重曹は昔から“天然のミネラル”として使われるくらい環境への害も少なく、安心して使えますよ。
こんなに使い勝手抜群♪
重曹はアルカリ性なので、酸性の汚れを中和して浮かせることで落としやすくすることができます。つまり、油汚れに強いのが特徴。それだけでなく、グリルまわりや鍋の焦げ付き・水周りのヌメリ・金属のサビにも効果を発揮しますし、さらには消臭効果まであるというから驚きです。環境に優しいのにこれだけのパワーを発揮するなんて、使い勝手がいいですよね。
注意!こんな掃除には不向き
これだけあちこち使えると、もはや万能のように思える重曹ですが、不向きなこともあるので注意してください。
まずは水垢。これは重曹と同じくアルカリ性の汚れなので分解することができません、また、消臭効果があるといいましたが、トイレのアンモニア臭はアルカリ性なので例外です。
このほか、フローリングや木製品は重曹の研磨作用で剥がれる可能性があります。また、畳は変色することもあるので使用しないほうがいいでしょう。
三変化!重曹の使い分けテクニック
実際に掃除を始める前に、まずは重曹の使い方をマスターしましょう。
<粉のまま>
水に溶けにくい性質なので、刺激の少ない研磨剤として使うことができます。
使い方は、あらかじめ掃除したい場所に水をかけ、そこに重曹を降り掛けてスポンジなどでこするだけでOK。お風呂やシンク周りのカビ汚れや食器の茶渋取りなどに使えますよ。
<スプレーにする>
筆者がお気に入りなのが、この重曹スプレー。
100円均一などで売っているスプレー式のボトルに、重曹を小さじ1杯入れ、ぬるま湯100ccを注ぎます。そして、重曹がきっちりとぬるま湯に溶けるまでよく振ったら出来上がりです。
この重曹スプレーは、キッチン回りや冷蔵庫の掃除、プラスチック製品の汚れ落としなどに使えます。また、消臭効果があるので、下駄箱や排水口にスプレーするだけでイヤなニオイが取れます。スニーカーやタバコや焼肉などのニオイが着いた衣類にも使えますよ。
なお、スプレーを作る際、65度以上のお湯で作ると重曹水が超アルカリ性になって危険ですので、“ちょっとあたたかい”くらいの目安のぬるま湯を使いましょう。また、水は日数が経つと腐ってしまうので、使い切れる分を目安に作ってください。
<ペーストにする>
基本的には、上記のどちらかで汚れは落ちると思いますが、それでもなかなか落ちないガンコな汚れは、ペーストを使いましょう。
作り方は、小さな容器に重曹大さじ2杯を入れ、そこに水を大さじ1杯加えてスプーンでペースト状になるまで混ぜたら完成。これを、掃除したい場所に乗せ、汚れが浮いてきたら拭き取って仕上げに水で流すか水拭きすればOKです。
これら3つの使い方をマスターしたら、場所別の掃除方法をみていきましょう!
場所別の掃除方法をご紹介!
<浴室編>カビもヌメリも一掃!
タイルなどのカビ部分には、重曹ペーストが効果的。カビの上にペーストを乗せ、30分ほど放置してからスポンジで軽く拭き取るとすっきりキレイになりますよ。
それでも落ちきらない場合は、ペーストをした上からラップでパックするといいですよ。仕上げにシャワーで流してくださいね。
次に、排水口のヌメリは、最初にゴミを受ける網から髪などを全て取り除いておき、そこに重曹をふりかけます。ふたもヌメリがあると思うので、そちらにもふりかけましょう。
そしてブラシでこすってシャワーで流せばヌメリが取れます。この方法でもなかなかヌメリが取れない場合は、以前の記事でもご紹介したようにクエン酸をプラスするのがおすすめ。重曹をかけた上からお酢をふりかけて発砲させ、10分程度おいてからこすってくださいね。
浴槽の掃除は、入浴後がベスト。お湯を捨てずにそこに重曹を1カップ入れ、そのまま一晩放置するだけ!次の日にお湯を抜いてシャワーをかけ流しながらブラシで軽くこすればキレイになりますよ。ついでに桶や子供のおもちゃなども一緒に浴槽に入れて、つけ置きするのがおすすめですよ。
<キッチン編>水回りから換気扇まで
シンクは、まず水を流してから重曹を少しかけ、スポンジで軽くこすって流せば簡単にキレイになります。
排水口は、上でご紹介したお風呂と同じやり方をしてください。
コンロ周りは、軽い汚れの度合いによって重曹の使い方を変えましょう。普段こまめに手入れしている比較的キレイな状態なら、重曹スプレーをかけて拭き取るだけでOK。油汚れや調味料がこびりついている五徳などは、重曹ペーストを塗って30分ほど放置したのち洗い流すのが良いでしょう。
キッチン大掃除の最大の難関といえば換気扇!筆者も嫌いな掃除の上位に入りますが、ここも重曹で解決します。
まず、ファン部分は取り外してキッチンの流しに重曹を入れてつけおきにするか、汚れがこびりついている場合は重曹ペーストを塗って30分くらいおいてから流します。
フィルター部分は、取り外して新聞紙などの上に置き、重曹をふりかけます。数分経って泡状になったら歯ブラシで軽くこするだけでポロポロと油汚れが落ちますよ。仕上げにお湯を流して乾かせば完璧。
換気扇のフィルターは、汚れている状態で水をかけると、油が乳化して手の打ちようがないほどベトベトになってしまうので気をつけてくださいね。
<トイレ編>アロマオイルをプラスしていい香りに
便器のフタ・タンク部分・便座・床(フローリングをのぞく)・床に敷いているマットは、重曹スプレーをかけて布かスポンジで拭き取りましょう。
筆者はスプレー内のアロマオイルを数滴垂らしているのですが、ほんのりといい香りが漂っておすすめです。便器の中は重曹をまんべんなくふりかけ、ブラシでこすって磨いていきます。
ちなみに筆者は、便器内に1カップほどの重曹を入れ、トイレブラシでなじませながらブラシを2~3時間つけ置きにします。その後こすって流しながらブラシも一緒に洗うと一石二鳥でキレイに!やや荒技かもしれませんが、おすすめですよ。
<お部屋編>シュッとして拭くだけだから楽チン
フローリングは、上でも触れたように重曹は使えませんが、じゅうたんやカーペットには効果的です。
重曹スプレーでじゅうたんが濡れるくらいしっかりとスプレーし、固く絞った雑巾で丁寧に拭いていくと、汚れはもちろんのことニオイも気になりません。
筆者の家は子供が遊ぶスペースにカーペットを敷いているので、毎日掃除機をかけるついでにシュシュッとして拭いていますよ。ハイハイをしていた時期などは、床に触れた手をなめたりもしますが、こまめに汚れを取っていたので安心でした。
また、『しばらく掃除をしてないから思いっきりキレイにしたい』という時は、重曹をふりかけて一晩放置し、掃除機で吸い上げるという方法もあります。じゅうたんやカーペットの汚れを重曹が吸収するので、掃除機で吸うだけでスッキリするのです。
一方、壁に関しては、ビニールクロスであれば重曹が使えます。重曹スプレーを雑巾やウエスにスプレーし、トントンと軽くたたくようにして汚れを吸い取っていきます。タバコのヤニや、魚やお肉などを焼いた際についたニオイなども一掃できますよ。
せっかくキレイにしたからには長持ちさせたい!
ここまで、場所別に重曹を使った掃除方法をご紹介してきました。
ところで、掃除をして見違えるようにキレイになったお家を見ると、『ずっとこの状態をキープしたい』と思うのに、徐々に汚れが溜まって気づけば元通り……なんて経験ありませんか?
ここでは、そうならないために、キレイを長持ちさせる対策をご紹介します。
“ついで”を意識する
「大掃除」となるとなかなかの気合いが必要になりますが、家事や普段の生活のついでにできる「チョコッと掃除」なら、意外と苦になりません。
このときに便利なのが重曹スプレー。ご紹介したとおり、しつこい汚れでなければこのスプレーで落とすことができるので、料理の片付けのついでにコンロ回りやシンク回りにシュッとしてキレイに拭き取りましょう。
トイレの便器なども使用後にシュシュッとしておけば、次に流す際に汚れも一緒に流れてお手軽ですよ。このチョコッと掃除が続くこつは、ストレスを溜めないこと。ついでとはいえ、『あれもこれも』と考えるとそれだけで大変に感じるので、作業の延長で自然とやれる範囲にするのがいいですよ。
週末ごとに1箇所を集中掃除する
ついで掃除でそれぞれの箇所を“比較的キレイ”な状態にし、週末などの時間がある時は、『今週はコンロまわり』『今週はおふろ』と集中掃除する場所を1箇所決めて順番に行っていくと、よりお家がキレイになります。筆者も、1箇所なら比較的負担になりにくいので、気合を入れることができています。
この方法を続けている知り合いの家では、年末にがっつり大掃除をする必要のないくらいキレイがキープできると言っていましたよ。
定期的に来客の予定を入れる
お家がピッカピカにキレイになると、友人などを招待したくなりませんか?この心理を利用して、定期的に来客の予定を入れるのも家のキレイをキープする方法としておすすめ。
来客の予定があれば、日ごろからチョコッとそうじの意識も高まるものです。定期的に人が訪れることで、いつもお家がキレイな状態になること間違いなしですよ。
まとめ
重曹での掃除方法についてご紹介しましたが、いかがでしたか?意外と使用範囲が広くて驚いた人もいるのではないでしょうか。
元々、市販の洗剤を使っていた筆者も、今ではすっかり重曹派です。特に重曹スプレーは大活躍!ちょっとした汚れをすばやくキレイにできますし、シュシュッとするだけなので子供のおもちゃもこまめに掃除できます。
小さいスプレーボトルに複数作り、あちこちに置いて活用していますよ。なお、成分が安全とはいえ、長時間掃除をする場合や肌が弱い人は手袋つけるようにしましょう。
みなさんも、重曹を使って人にも環境にもやさしい掃除をしてみてくださいね!
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