私達の日常生活において「水」は必要不可欠です。分譲マンションでは、「水」がどのような仕組みで給水され、生活に使われているのかご存知でしょうか?
新築分譲マンションの販売に携わっている筆者が分譲マンションの給水の仕組みと水道に関する疑問についてお客様から特にたくさん寄せられている質問項目をピックアップし、解説させていただきます。
1. マンションの水道に関する6つのQ&A
Q1.水圧が弱いんだけど…
A.お住まいが高層階の場合、水圧が弱いというご意見をいただくことがあります。この場合の対策としては、マンション内にある給水管に加圧ポンプを設置する方法があります。また、お住まいが低層階の場合には、給水管に設置している「減圧弁」という設備を調整することで水圧を強くすることができます。
ただし、いずれも共用部分に該当しますので、管理組合または管理会社へご相談をいただく必要がございます。
Q2.受水槽の水は汚くないの?
A.汚くありません!受水槽は、年1回の清掃の実施と定期的な水質検査に基づいた管理を行っているため、安心してご利用いただけます。ご不安なようでしたら、水質検査の回数を増やすなどの方法によりお客様に定期的な状況把握をいただくことも可能です。
ただし、こちらは追加で費用が発生することから、管理組合での協議、決議が必要となります。
Q3.停電時に水道は利用できるの?
A.直圧直結給水方式ではご利用可能ですが、貯水槽水道方式や増圧直結給水方式の場合、水を送るポンプが停電時には作動しない為、ご利用いただけません。
ただし、受水槽(貯水槽水道方式において一時的に水を貯めておくタンク)から直接取水することは可能です。※給水方式については2章にて詳しくご説明いたします。
Q4.マンションで漏水を発見した場合はどうなるの?
A.すぐにマンションの管理会社もしくは、水道局にご連絡ください。最近の分譲マンションでは、漏水の被害を最小限に抑える為、漏水センサーなどが搭載されております。
Q5.室内で漏水した場合はどうなるの?
A.漏水した箇所によりますが、キッチンや洗面所のカラン(蛇口)などから漏水した場合には、それぞれのカラン(蛇口)に止水栓が設置されておりますので、その止水栓を閉めることによって漏水を止めることが出来ます。 また、室内に通っている給水管から漏水した場合には、メーターボックス内にある大元の元栓を閉める必要があります。
いずれの場合にも、早急な対応が必要となりますので、各マンションのアフターサービスあるいは管理会社もしくは水道工事業者へご連絡ください。
Q6.凍結して使えないことってあるの?
A.水は、流れていれば凍結しにくくなります。マンションの場合、多くの方がお住まいになられている為、水の使用頻度が高く、凍結しにくくなっておりますが、もし凍結してしまった場合には、ご使用いただけません。
2. マンションの給水方法に関する基礎知識
本章では、マンションの給水方法に関する基礎知識をご説明します。マンションの給水方法と給水方法を決定するまでの仕組みをご理解いただければ幸いです。
マンション給水方法は大別して2種類
マンションの給水方法は大別して「貯水槽水道方式」と「直結給水方式」の2種類に分かれます。
貯水槽水道方式
水道管から受水槽と呼ばれる大きなタンクに水を貯め、そこから各住戸に給水される方式です。貯水槽水道方式はさらに、高置水槽方式、ポンプ直送方式、圧力タンク方式などの方式に分類されます。
受水槽が設置されるポイントは3箇所
- 1階部分
- 地下部分
- 屋上部分
上記のいずれかに設置されます。当社のマンションでは、メンテナンスのことも考え、1階部分に設置するケースが多くなっています。
直結給水方式
受水槽に水を貯めない給水方式です。直結給水方式はさらに、直圧直結給水方式と増圧直結給水方式に分かれます。
直圧直結給水方式
一戸建てと同じく各住戸まで直接水道管を引き込む方式です。停電時にも利用が可能なほか、設備のメンテナンス費用やポンプを動かす電気代が発生せず経済的であることがメリットです。しかし、水道管の大きさや水圧によって異なりますが、低層階しか利用が出来ず、階数が4階以上※のマンションでは、この方式を利用するケースは少ないです。※配水管の水圧が高い地域では特例で4階以上に採用されることがあります。
増圧直結給水方式
直圧直結給水方式では水圧が足らない中層階以上に水道が給水出来るように、ブースターポンプと呼ばれるポンプ設備を導入し、圧力を上げ上層階まで給水する方式です。ブースターポンプは、1階部分に設置されることが多いですが、非常にコンパクトな為、少しの面積でも設置が可能です。
マンションの給水方式はどうやって決まるの?
マンションの給水方式を決めるにあたって、実は様々な検討がなされています。
給水方式検討項目
- 前面道路に埋設されている水道管のサイズ(管径)や流速等
- 建物の高さや規模
- 敷地の大きさや形状
- 災害リスク
- 工事費用 など
基本的には、各地域の水道局、施工会社、設計者と何度も協議をし、どの方式を採用するのかを決定します。地域によっては「直結増圧方式は採用不可」等と既に決められている場合もあります。
3. 給水方式によって水道料金の支払先が変わる
2章でご紹介しました方式によっては、水道料金の支払先も異なってきます。
貯水槽水道方式の場合
管理組合に対して水道料金を支払います。なぜかというと、水道局は受水槽までの水道メーター(いわゆる親メーター)を検針することが殆どで、その水道メーターの使用量を基に、管理人が各住戸に設置された水道メーター(子メーター)を検針して、各居住者に対して請求するという流れになるからです。
※地域によっては親メーターだけではなく、子メーターまで検針する水道局もあります。その場合は各住戸に対して水道局から請求されます。
直結給水方式の場合
直接水道管が引き込まれている為、一戸建てと同じように各住戸の水道メーターを水道局が検針し、請求金額を水道局に支払います。
4. 貯水槽水道方式の注意点
貯水槽水道方式を採用している場合、ご注意いただきたい点が2つあります。
水道法が適用され、清掃や点検の義務がある
貯水槽水道は「簡易専用水道」と呼ばれ、水道法の適用を受けます。年に1回専門業者にて受水槽の清掃を行う必要があります。
また、各自治体により水質検査や水槽点検などが義務付けられており、維持管理をしていくうえでもコストがかかります。一般的なマンションの場合、管理会社から清掃や点検、検査などの作業説明や案内があるかと思いますが、管理会社がない自主管理の場合は、自分達でこの検査等の段取りをする必要があります。
管理組合に支払う水道料金は、公共料金に該当しない場合がある
マンションを購入する際、住宅ローンを利用される方はご注意いただきたい点です。
住宅ローンの金利優遇条件や、その他の何らかの特典などで「同口座での公共料金の引き落とし」が条件となることがありますが、管理組合に支払う水道料金は公共料金として認められないことがあります。事前に、販売担当者や銀行担当者と打ち合わせしておくことが重要です。
5. 貯水槽水道方式のメリット
ここまでお読みいただくと貯水槽水道方式はメリットがないのではないか?と思われるかもしれませんが、貯水槽水道方式ならではのメリットもあります。それはズバリ、「災害時の水の確保」です!
直結給水方式との大きな違いは、受水槽に水を溜めているということです。つまり、災害が発生し、水道が断水となった場合には、溜められている水を利用することが出来ます。
また、物件によっては「緊急遮断弁」という設備を設置している受水槽もあります。これは、ある一定規模の揺れ(震度5以上の揺れなど)を感じると、各住戸への給水を弁で遮断し、受水槽内の水を確保するという設備になります。
6. ご入居後の給水方式変更のケース
ご入居後に、例えば「貯水槽水道方式」から「増圧直結給水方式」に変更になる場合もございます。
周辺環境や市の条例などにより、給水方法の条件が変更になると、マンションの給水方式も変更になる場合があるからです。
変更の可能性がある場合は、管理会社の説明のもと、総会を設けるなど話し合い、決議されます。
まとめ
私は日々、分譲マンションの販売に携わっております。給水方式は、建築時の立地条件や地域のルールによって決定されます。毎日の暮らしに欠かせない「水」の、その給水方式の特徴は様々です。
分譲マンションの企画では、それぞれの立地や条件に一番適している方法を考え、給水方式を決定していることを知っていただけたら幸いです。
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