郷土によって具材や汁が全く異なるお雑煮。
香川県で食べられているお雑煮は、白みその汁にあん入りのお餅が入った「あん餅雑煮」です。
今回は香川県高松市にあるホテルで提供されている「あん餅雑煮」の作り方を、料理長に教えてもらいました!
日ごろからあん餅雑煮を食べている人も、自宅以外のお雑煮は食べたことがないという人が多いのではないでしょうか?
ホテルで提供されるお雑煮は、味はもちろん、香りや見た目にまで細部にこだわった味わいの上品なあん餅雑煮です。
お正月にぴったりな手まり寿司と日本酒もプラスして、家族や友人と楽しい年始めを過ごしませんか?
【今回レシピを教えてもらった専門家】
ロイヤルパークホテル高松
日本料理 錦 料理長 岩鍋 孝行
香川県高松市出身。
幼少期より料理を作ることが好きで、将来の夢も長年料理人。料理の道を極めたいと19歳でロイヤルパークホテル高松へ。
美観地区の人気宿「旅館くらしき」や「高松国際ホテル」で腕を磨き、41歳で日本料理 錦の料理長に就任。
日本料理の基本を大切に、地産地消を心掛け、素材の良さを生かした料理を提供します。
あん餅雑煮の作り方
材料(4人分)
- あん餅・・・・・4個
- 大根・・・・・・70g
- 人参・・・・・・50g
- しめじ・・・・・40g
- 青のり粉・・・・少々
- 讃岐白味噌・・・80g
- かつお出汁・・・600cc(味噌汁用)
(水・1000cc 鰹節・25g 出汁昆布・7g) - 調味料(醤油・みりん・少々)
具材は家庭によってさまざまだと思いますが、豆腐・椎茸・里芋、手に入れば菜の花を好みに応じて入れるのもおすすめです。
讃岐白味噌が手に入らない場合は、西日本エリアで使われている甘口の白みそで代用できます。
あん餅雑煮の作り方
かつお出汁を取る
- 昆布だしは前晩から水に漬けておくなど、時間をかけて漬けると自然なうまみが引き出されます。
- 鰹節を濾す際にはキッチンペーパーを使うと、細かな鰹節も取り除けて上質な出汁に仕上げることができます。ホテルの調理場では、丈夫な不織布のキッチンペーパーを使用しています。
- 濾した鰹節は、工程3の八方出汁用として使うことができます。
また、だしがらの昆布と鰹節はを佃煮などにして食するのもおすすめです。
野菜を切る
- 大根・人参の皮をむく。
- 大根・人参をそれぞれ丸く切る。
- しめじの石づちを取り、ほぐしておく。
薄くスライスした大根は、飾り用と別にお椀の数だけ用意し、お椀に餅がくっつかないようにするため餅の下に敷くのに使用します。






野菜を焚く
- 大根・人参・しめじを八方出汁で焚く。
【だし汁8:醤油1:みりん1】がベースですが、使用用途によって、調整をします。今回は野菜の下ゆでとして使用します。






お店で提供する際には食材や汁は一緒に煮込まず、それぞれ調理をし、最後に合わせて盛りつけをします。
特にだし汁は煮込むと風味や味が変わります。手間ではありますが、別々に調理をすることで料理全体が上品に仕上がります。
かつお出汁に味噌をとき入れる
- 出汁に味噌を入れる
- 味見をして、醤油・みりんで味を調える
餅を柔らかくする
- 餅を軽く焼き目がつく程度に焼く。このあと、餅を蒸すため、全体が柔らかくならなくてもよい。
焼き目がついた餅を蒸し器で全体が柔らかくなるまで蒸す。






ホテルでは餅の形を保つために「焼いた後に蒸す」をしています。
焼くことで餅の香ばしさが出てきます。
ご家庭では、トースターや電子レンジを上手く活用すると良いかもしれません。
盛り付ける
- お椀に温めた、餅・野菜を盛り付ける。
大根をお椀の底に敷き、その上に餅を置く。(こうすることでお椀に餅がつきにくくなる)
餅の横に大根、人参、しめじを添える。 - 温めた味噌汁をいれ・青のり粉を振りかける。
好みで柚子や鰹節を入れる。
あん餅雑煮と食べるお正月メニュー
お正月は一年の始まりを家族や親戚などで祝う日本の行事。せっかくなら、あん餅雑煮以外にもお料理を準備して、ホームパーティ―にしませんか?
料理長がおすすめするのは、「手まり寿司」や「ちらし寿司」といったお祝い系のごはん。家にあるものや好きな具材を準備するだけですが、一気にテーブルが華やかになります。






いろんな具材を使用する「手まり寿司」は彩りもよいのでお正月にピッタリです。
彩り手まり寿司
材料(4人前)
- しゃり(1個 16g・1合で約15個)
<具材>
- お好みの刺身(鮪・鯛・サーモン・烏賊・はまちなど)・・・各30g
- 寿司海老・・・4尾
- いくら・・・少々
- 金糸玉子(玉子焼き)
- 彩り野菜各種
(お好みで)
胡瓜、蓮根、大葉、ラディッシュ、紅心大根(赤大根)、トマト、人参、菜の花、アボカド、穂紫蘇、木の芽 など
(子ども用)
ハム、ローストビーフ、チーズ、シーチキン、コーン、カニカマなど
子どもと一緒に、好みの具材で自由に作ってOK
きゅうりにいくらを添えると、より華やかに見えますね。人参を梅の形にしたり、きゅうりを門松風にするなどして、切り方を工夫するのもおすすめです。
【きゅうりの飾り切り(きゅうりカップ)】
作り方
- 炊きたてのご飯に寿司酢を混ぜ、一口大(16g)に丸める。
- 好みの具材を用意。
刺身はしゃりに乗せやすいように、薄めに切る。 - ラップに具・しゃりを乗せ、包む。
- お皿に盛り付ける。
下の写真のように、一人前ずつ箱に入れて盛り付けておくと、来客時にもお出しできます。


ソムリエおすすめの日本酒
あん餅雑煮と手まり寿司に合うお酒をホテルのソムリエにご紹介いただきました。
ご紹介いただいたのは、日本酒。おいしい飲み方も教えてもらいましたよ。
ぜひ、お試しください。
今回ご紹介した甘塩っぱい「あんもち雑煮」にも、喉越しがシャープで辛口かつ上品な「煌」はよく合います。
飲むとほのかに柑橘類やハーブの香りが感じられ、すっきりと上品な口当たりです。
よく冷やして、ガラスの酒器や小ぶりのワイングラスで飲むのがおすすめです。
いつも違うお料理で、楽しいお正月を
今回は、ちょっと変わったあん餅雑煮と、雑煮と合わせて食したい手まり寿司・日本酒メニューをご紹介しました。
お餅のあんこを味噌汁に溶かしながら食べるなど、色んな食べ方を楽しんでいる人も多いようです。
いつもと違ったお雑煮で、家族の会話が弾むこと間違いなし!
初めてあん餅雑煮を食べる方もぜひチャレンジして、旅行気分を味わってみませんか?ぜひ楽しいお正月をお過ごしください。