6月の和名「水無月」は、「水の月」という意味。
田んぼに水を引く時期であったことから、そう呼ばれるようになったようです。
紫陽花が咲き始め、雨が緑を濃く引き立たせるこの月。やがて白い梔子の花が咲き始めると、梅雨に湿った空気に重く甘い香りが滲み出す……そんな6月のくらしの歳時記をお届けします。
6月のこよみ
6月5日「芒種」(二十四節気)
稲や麦など、芒(のぎ=穂の針のような突起)のあるような穀物の種をまく頃のこと(現代の種まきは、これよりずっと早い時期に行います)。
青かった梅の実が黄色に変わりはじめ、里山では蛍の姿が見られるようになります。
しだいに梅雨めいてきて、蒸し暑く感じるようになる頃。早めに住まいの湿気対策をしておきたいところです。
6月10日「入梅」(雑節)
梅雨入りの目安を示す雑節ですが、実際にこの日をもって梅雨入りをするわけではありません。
農家が田植えの時期を決めるために、梅雨入りの時期を知る必要があったために設けられました。現代のように気象情報が発達していなかった時代の名残です。
しかし入梅の頃からは湿度も気温も高くなり、梅雨の時期のような蒸し暑さが続くようになります。
6月21日「夏至」(二十四節気)、夏至日
北半球では、1年のうちでもっとも昼間が長くなる日。冬の長い北欧などでは「夏至祭」が行われるなど、盛大にお祝いをする日です。
日本は梅雨のさなかで天気が悪いことが多いので、「昼が長い」と言われてもピンとこない人が多いのではないでしょうか。
しかしお天気の良い夏至の日であれば、なんと20時ごろ(西日本の場合)までほんのりと明るく、夕焼けが残る空が見られたりすることもあります。運良く晴れたときは、ぜひ日の明かりの残る空を見上げてみてください。
またこの日から二十四節気の「夏至」に入ります。
暦の上での「夏の折返し」地点。この日をすぎると暑さが増し、本格的な夏がやってきます。
6月の年中行事とイベント
6月1日「衣替え」
平安時代の宮中行事からはじまった習慣で、衣服を夏用のものに替える日です。
当時の衣替えでは衣類だけでなく、手に持つ扇も夏の素材のものに変えていました。時代が下って鎌倉時代ごろになると、お部屋の調度品の取替も含めるようになっています。
現代でも軒先によしずを吊したり、部屋の敷物を夏素材のものに取り替えたりと、住まいを夏仕様に整える目安にしても良さそうですね。
6月10日「時の記念日」
「時間に関心を持ち、規律正しく効率的な生活を習慣化する」ことの啓発を意図して、大正時代に制定されました。6月10日は、日本初の時計が鐘を打った日であることが由来です。
この日本初の時計は「漏刻(ろうこく)」という水時計。天智10年(671年)、天智天皇が大津宮の内裏に設置したものであると『日本書紀』に記されています。
天智天皇を祀る近江神宮(滋賀県大津市)では、この日に「漏刻祭」を行います。
6月16日「和菓子の日」
嘉祥元年(848年)6月16日に、16個の菓子や餅を神前に供えて疾病よけと健康招福を祈り改元した故事に倣って定められた日です。
6月16日に菓子や餅を神前に供える行事は「嘉祥の祝」として時代が下っても引き継がれ、江戸時代には宮中のみならず、幕府においても重要な行事になりました。
蒸し暑さが増してくるころ。
目にも涼しい和菓子を、おうちで手作りしてみるのはいかがでしょうか。
「食べられる宝石」としてSNSでも人気の琥珀糖(こはくとう)は材料も少なく、溶かした寒天液で砂糖を煮詰めるという簡単な工程で作れるので、レシピ通りに作業さえすればお菓子作り初心者でも失敗することはまずありません。
すりガラスのような見た目と、結晶化した糖のシャリッとした食感が、涼を呼び込んでくれます。
6月16日「父の日」(6月第3日曜日)
父親に感謝の気持ちを表す日です。
「父の日」も母の日と同様に世界各国にあって、その由来も日付もバラバラ。 日本における父の日は、アメリカから伝わったものです。
1909年にアメリカのいち女性が、男手一つで自分を育ててくれた父を讃えて、キリスト教会の牧師に父の誕生月である6月に礼拝をしてもらったことが始まりとされています。
当時すでに母の日が始まっていたことから「母の日のように父にも感謝する日を」と牧師協会に嘆願。その後、1916年に米大統領の演説で認知が広まり、1966年には大統領告示で6月第3日曜日が父の日に定められましたが、米国内で正式に記念日と制定されたのは1972年のことです。
日本に伝わったのは1950年代ころだと言われています。当時はまだ認知度が低く、母の日のように一般的になったのは1980年代に入ってからだとか。
母の日にカーネーションを贈るのに対して、父の日はバラを贈ります。
6月30日「夏越の祓」
夏越の祓とは、毎年6月と12月の晦日に行われる神事のうち、6月に行われるものです。正月から6月までの半年間の病や罪穢を祓うため、茅の輪くぐりや形代流しなどの儀式を行います。
この日にいただくのが、夏を元気に乗り越えるための縁起菓子「水無月」。
ういろうの上に邪気を祓う小豆をあしらった三角形のお菓子は、暑気を払う氷を模しています。
古くから京都を中心に親しまれてきた行事食でしたが、最近では全国のお菓子屋さんで作られるようになっているようです。夏の訪れを感じる水無月、見かけたら是非賞味してみてくださいね。
6月の自然を表す「ことば」
常磐木落葉
一年中、緑の葉を付けている楠や松などの常緑樹が、4月から6月にかけて萌え出した新葉と入れ替わりに落葉する情景を表した言葉で、「ときわぎおちば」と読みます。初夏の季語。「夏落葉」と呼ばれることも。
初夏の爽やかな風にゆられて、ひらひらと軽やかに落葉する様子は、秋の落ち葉とはまた違った風情があります。
山滴る
緑が滴るように見える夏の山を表した言葉で、夏の季語になっています。
初夏を迎えて濃くなった緑に日射しが映え、瑞々しさをたたえた木々の情景が目に浮かぶ、字面も美しい言葉です。
五月雨
五月雨(さみだれ)は旧暦5月=現代の6月に降る長雨のことで、つまり梅雨の雨のことを指します。
梅雨時期の雨が降ったりやんだりが続く様になぞらえて、物事がだらだらと長く続くことを「五月雨式」「五月雨戦術」と呼んだりするなど、なじみ深い言葉です。
五月晴れ
五月晴れ(さつきばれ)は、梅雨の晴れ間のことです。五月雨と同様、「五月」は旧暦5月=現代の6月を指しています。「梅雨晴れ」と呼ぶことも。
近年では新暦5月の晴れのことを「五月晴れ」と呼ぶようにもなりました。
夏の手仕事——「梅仕事」のすすめ
「梅仕事」とは、梅の実を収穫し、梅酒や梅干し等を仕込むための一連の作業のこと。
6月の上旬は梅酒や梅シロップ向けの青梅が、中旬から下旬ごろからは甘露煮や梅干しに使う黄色い完熟梅がスーパーの店頭などに並び始めます。いま仕込んでおけば、夏の間中、いつでも爽やかな梅の味を楽しめますよ。
基本の作業
未経験の人にとっては、ちょっと難しそうでハードル高めの梅仕事。でも作業自体はとても簡単でシンプルで、水で洗って乾かし、ヘタを取るだけ。何を作るにしても、最初のステップは同じです。
梅を水で洗う
大きなボウルなどに梅を入れて、流水でひとつひとつ丁寧に洗い流します。
このときに実に傷が入ると、そこが痛みの原因になります。ボウルに移すときは、高いところから落としたりしないようにそっと扱いましょう。
よく洗うためにと、ブラシを使う必要もありません。あくまでも緩やかな流水で洗います。
乾燥させてヘタを取る
ザルにあけて水気をきったら、キッチンペーパーや布巾で一粒ずつ拭いていきます。その後、しばらく乾燥させましょう。
梅が乾いたら、竹串を使ってヘタを取り除きます。
ヘタが付いたままでも差し支えはありませんが、えぐみの元になります。より美味しい仕上がりを目指すなら、面倒でもヘタ取りを。
使う容器も消毒しておく
あわせて、梅を漬けるための容器を消毒します。
耐熱ガラス製なら熱湯で煮沸消毒を、そうでないガラスやプラスチック製などの容器なら食品に使える消毒用アルコールや焼酎などを使います。同時に使う道具類も消毒しておきましょう。
大量の塩や砂糖、アルコールに漬けるとはいえ、梅の実に傷みがあったり、雑菌が混入すると簡単にカビてしまいます。せっかくの梅が台無しにならないように、確実な消毒が必要です。
おすすめレシピ
梅シロップ
初めての梅仕事なら、梅シロップがおすすめ。水やソーダで割って飲むだけでなく、カクテルのベースにしたりゼリーにしたりと、幅広く使えます。
梅酒
王道の梅酒もおすすめ。ベースになるお酒を変えると味や風味にバリエーションが出るほか、熟成期間を短くできる場合もあるので、お好みに合わせて様々に楽しめます。
梅干し
完熟梅を入手したら、梅干し作りにチャレンジ。シンプルな材料で作るので、素朴で酸っぱい昔ながらの梅干しに仕上がります。
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今月のお題は「朝の過ごし方」
日の出が早くなり、早起きするのが気持ち良い季節となりました。
みなさんは朝をどのように過ごしていますか?起床時間や過ごし方、朝食についてなど、朝の過ごし方について教えてください。
回答期限:2024年6月20日(木)
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