普段はそれほど気にならない部屋の壁紙。じっくり見てみると意外と汚れていたりしませんか?
壁紙が汚れていると、部屋が暗く感じ、古びた印象にもなってしまいます。ただ、いざ掃除をしようとすると、適切な方法がわからない方も多いのではないでしょうか。
壁紙の掃除は「汚れの種類」と「壁紙の材質」によって方法が異なります。ポイントさえ押さえておけば、ご家庭での掃除で簡単に落とせる汚れがほとんどです。
今回は、日本の一般的な住宅で最も多く利用されているビニル壁紙を中心に、壁紙の適切な掃除方法と、汚れの防止策をあわせてご紹介します。
1.壁紙が汚れる5つの原因と、その掃除方法
壁紙の汚れの原因はさまざまで、汚れの種類ごとに適した掃除方法があります。
この章では、一般住宅で主流となっているビニル壁紙を想定し、汚れごとの掃除方法をご紹介します。
壁紙の材質によっては、水拭きができないものや、使ってはいけない洗剤があるものもあります。壁紙の材質別の注意点はのちほど2章で触れていきますね。
1-1.気が付かない間に付着している「ほこり汚れ」
床のように上から積もるほこりと比べると、一見気がつきにくいかもしれませんが、壁にもほこりが蓄積されます。たまったほこりを放置していると次第にほこりは湿気を含み、カビの発生につながるので、定期的に取るようにしましょう。
ほかの種類の汚れを落とす際でも、まずは下準備としてほこりを除去する必要があります。
このとき、ブラシでこすりすぎると壁紙を傷めることになります。優しく掃除機をかけるようにしましょう。
1-2.台所に多い「油汚れ」「水汚れ」
主に、キッチン周りやダイニングの壁紙に付着しやすいのが油汚れと水汚れです。調理中や食事の時に、油や調味料、飲み物がうっかり飛ぶことは少なくないですよね。
油汚れや水汚れは、汚れが染み込む前に、すぐふき取ることが大切です。
洗剤で壁紙が変色するのを防ぐため、仕上げに、水かぬるま湯でぬらした布を固く絞り洗剤が残らないようにふき取ってください。最後に乾いた布で水分を拭き取るようにしましょう。
1-3.電気スイッチ周辺に多い「手あか汚れ」
生活のなかで触る機会が多い照明のスイッチ。その周辺の壁には「手あか汚れ」が付きやすい場所です。付いたばかりの手あかは布で拭くだけでさっと落ちますが、時間が経つにつれ、頑固な汚れに変わり、それが蓄積されると汚れが目立つようになります。
1-4.子どもがいる家庭に多い「落書き汚れ」
ちょっと目を離した隙に描かれる「落書き汚れ」は、小さな子どもがいるご家庭ではありがちですよね。かくいう筆者の自宅にも、かつてボールペンでぐるぐると描かれた娘の芸術作品がありました…。
せっかく子どもが描いたものですが「そのままにしておくのは目立つしちょっと困る…」ということであれば、以下の方法で汚れを取りましょう。
- 鉛筆の落書き
消しゴムで消して落とします。このときも、こすりすぎて壁紙を傷めないように注意しましょう。
- 水性クレパスやクレヨン
中性洗剤(食器洗い洗剤)を原液のまま布につけて拭き取ります。洗剤で壁紙が変色するのを防ぐため、仕上げに、水かぬるま湯でぬらした布を固く絞り洗剤が残らないようにふき取ってくださいね。最後に乾いた布で水分を拭き取るようにしましょう。
- 油性のマジックやクレヨン
一般ビニル壁紙では残念ながらきれいに落とすことは難しいです…。
しかし、表面がラミネート加工されている汚れ防止壁紙なら、油性の汚れも落とすことができます。方法としては、消毒用のアルコールを布に染み込ませ拭き取ります。ただし、最初に壁紙の目立たないところで試してから行うようにしましょう。
1-5.喫煙者がいる家庭に多い「たばこのヤニ汚れ」
たばこの煙によるヤニ汚れは壁紙全体に浸透してしまう汚れなので、一度ついてしまうと完全に取り除くことは難しいです。ヤニ汚れに関しては自分で掃除をするよりは張り替えたほうが早いかもしれません。
しかし、まずは自分で少しでも汚れを落としたい場合は、他の汚れと同様のお掃除方法を試してみてください。
ただし、変色の恐れがありますので、目立たない所で一度試してから行うようにしましょう。
ヤニ汚れは壁紙全体に及ぶものなので、拭き掃除をした部分だけ汚れが落ち白くなります。洗剤を直接壁紙に吹きかけてしまうと仕上がりにムラが出てしまうので、洗剤は必ず布に含ませてから均等に拭くようにしましょう。
壁の黄ばみにもなる厄介なヤニ汚れは、汚れを落とすより予防が肝心です。詳しくは3章をご覧ください。
2.壁紙の材質別!掃除の注意点
壁紙は材質により取り扱い方法が異なるので、掃除をするうえで注意が必要です。壁紙掃除に取りかかる前に必ず、自宅の壁紙の素材を確認してくださいね。
素人が壁紙の材質を見分けることは難しいです。壁紙の材質を自己判断するのではなく、施工時・販売時の資料を見て確認するか、管理会社や壁紙の張替えを行った施工業者に問い合わせると間違いないでしょう。
2-1.日本で最も一般的。丈夫で掃除しやすい「ビニル壁紙」
壁紙の表面が塩化ビニルなどを原料としたビニルシートで覆われているものをビニル壁紙といいます。比較的丈夫で、安価、さらに施工がしやすいといったメリットから日本では最も多く普及しています。
ビニル壁紙についた汚れは、比較的落ちやすいです。しかし、表面に立体的な加工が施されたデザインものは、凸凹の部分に汚れが入り込みやすいため、念入りにふき取る必要があります。
- 拭き掃除を行うときは力を入れすぎると傷がついたり、凹凸が潰れたりすることがあるので優しく拭くようにしましょう。
- 拭き掃除の際、壁紙のつなぎ目に水が入らないように気を付けましょう。はがれの原因になります。
- 強い洗剤・有機溶剤(シンナー・ベンジーなど)は、変色や表面破損の原因になるので使用しないようにしましょう。
- 壁紙は結露や乾燥により、部分的にはがれが生じることがあります。
はがれた部分をそのままにしておくと、さらに範囲が広がり補修ができなくなるので、できるだけ早く対処しましょう。
下記の補修方法を参照ください。
補修方法
まず、剥がれた部分の下地のごみやほこりをキレイに取り除きます。下地にまだ糊が残っていると、補修してもまたはがれてくる原因になるので、古い糊は紙ヤスリで削り落としましょう。そして、壁紙の裏に木工用ボンドや文具糊を塗りつけ、手で押さえるようにして補修します。
※ただし、経年劣化により壁紙が硬化している場合は部分的な補修では対応ができません。その場合は貼り替えしてしまった方がいいですよ。
2-2.水分はシミになることもあるので注意!「紙壁紙」
紙壁紙は欧米でポピュラーな壁紙です。
パルプを原料にして作った洋紙により製造されており、表面にプリントや立体感のあるエンボス加工などを施しています。和紙を原料にした壁紙もあります。
紙壁紙の多くは輸入物で、華やかなデザインが多く個性的な部屋を演出できます。一方で、壁紙自体に厚みがないので、水とこすれに弱いデメリットがあり、扱いには十分な配慮が必要です。
- 紙壁紙に一度ついてしまった汚れは簡単に落とすことはできません。
そのため、日ごろから表面にほこりがたまらないように、はたきや掃除機などでほこり掃除をこまめにすることが大切です。
- 水を吸い込みやすいという性質上、水汚れが染み込んでしまうシミになってしまいます。
水汚れがついたときは、すぐに乾いた布やティッシュペーパーで拭くようにしましょう。ただし、表面をこすると破れの原因になるので、ポンポンとたたくように吸い取るのがポイントです。
- 手垢や少しの汚れは、消しゴムが効果的です。表面が破れたり凹凸がつぶれたりしないように表面を優しくこすります。
2-3.ほこり対策は定期的に!「織物壁紙」
織物壁紙とは、レーヨン、合成繊維、綿、麻、絹などの素材を織り込んでつくる壁紙のことです。最初の壁紙は織物がメインで、独特の厚みやあたたかな風合いからなる高級感が特徴です。現在ではホテルや結婚式場、オフィスの応接室など、高級感をもたせたい場に利用されていることが多いようです。
調湿性と通気性があり、結露が発生しにくい点から、住宅においてはリビングや寝室に適しています。 その反面、水を吸い込む性質により、壁紙の表面を水拭きすることはできないので一度ついた汚れは落としにくいという弱点があります。
- 織物壁紙は、ほこりがたまりやすいので、こまめにはたきや掃除機を使って取り除くようにしましょう。定期的にほこり掃除を行うことが、織物壁紙をきれいに保つコツです。
- 壁紙のつなぎ目は、糸がほつれやすく、また表面は強くこすると、はがれやキズの原因になるので注意しましょう。
- 水汚れは一度染み込むと落とすことができません。もし水汚れがついてしまったら、すぐに乾いた布やティッシュペーパーなどでポンポンと優しくたたくようにふき取ると汚れが軽減できます。
- 部分的な汚れは、食パンの柔らかい部分で丁寧にこするととれます。また、より手軽な方法として消しゴムでこする方法もありますが、壁紙の光沢を消してしまうことがあるので慎重に扱ってください。
どちらの方法も、最初に目立たない部分でテストしてから行いましょう。
2-4.キズやはがれが起きやすいので扱いは丁寧に!「珪藻土(けいそうど)壁紙」
珪藻土壁紙は、天然素材の珪藻土を壁紙に仕立てたものです。調湿性や消臭性に優れている点やマットな質感が特徴です。
一方で、傷やはがれが起きやすいうえ、補修しにくい素材ですので、扱いには十分に注意しましょう。
- ホコリや水分を吸着しやすい材質なので、ほこり汚れは、はたきや掃除機を使ってこまめに取り除きましょう。
ほこり除去を長い期間行っていないとほこりが湿気を含み、汚れが付着することがあります。その場合は、乾いたスポンジや掃除機のブラシで叩きながら、吸い出すとある程度除去することができます。
- 手あか汚れは、消しゴムで軽くこすると少し落ちますが、完全に落とすことは難しいでしょう。壁紙の表面は、強くこすると剥がれやキズの原因になるので力加減に注意しましょう。
- 水汚れは一度染み込むと落とすことができません。
しかし水汚れがついてすぐであれば、乾いた布やティッシュペーパーなどでポンポンと優しくたたくようにふき取るか、中性洗剤を水で薄めてスポンジで、汚れ部分を軽くたたき、乾いた布で拭き取るとある程度きれいになります。
3.心がけるだけで壁紙をきれいに保つ!汚れの防止策7選
日頃のちょっとした心がけが壁紙をきれいに保ち、長持ちさせます。
この章では、全ての壁紙の種類に適用される壁紙汚れの防止策を7つご紹介します。今からでも遅くありません。ぜひ意識してみてくださいね。
3-1.部屋の換気と除湿を心がける
結露は壁紙のカビやシミ、はがれの原因になります。
浴室やキッチンなどの水回りでは、特に湿気がこもりやすいので、できるだけ換気扇を回しておきましょう。また、窓を開ける回数を増やしたり、室内のドアやクローゼットなど収納の扉も定期的に開けたりして、風通しをよくしましょう。
3-2.直射日光から守る
壁紙に直射日光が当たると、色あせが起き劣化がすすむ恐れがあります。
お部屋のカーテンやブラインドを使って日よけをするように心がけましょう。
3-3.高温を避ける
暖房器具の熱風が当たる場所や、オーブンレンジ付近など高温になる場所では、壁紙が変色・変形する恐れがあります。壁紙に熱が直接当たらないように気をつけましょう。
3-4.粘着テープを直接貼らないようにする
ガムテープやセロハンテープなどの粘着テープを壁紙に貼ると、粘着剤が壁紙につき、変色や汚れの原因になります。また、貼ってしまった粘着テープをはがすときにも、壁紙を破損しかねません。
3-5.化粧品や薬品を付着させないようにする
殺虫剤、塗料、化粧品といったスプレー式の薬品や、傷薬などの医薬品、口紅などの化粧品は壁紙を変色させる可能性があります。付着しないように気をつけましょう。
3-6.壁紙と家具の間に隙間をあける
壁沿いに置いている家具の塗装に含まれる成分が壁紙に移行して変色を起こす可能性があります。家具を置くときは、壁紙から少し離して隙間をつくるようにしましょう。壁紙と家具の間に隙間をつくることで風通しがよくなり、結露やカビの予防にもなります。
3-7.たばこの煙と油の煙が部屋の中にとどまらないようにする
壁紙を広範囲に汚す原因として挙げられるのがたばこの煙やキッチンの油の煙です。この2種類の煙は短期間で壁紙を黄色く変色させ、頑固なこびりつき汚れとなります。
喫煙時や調理時には、煙が部屋の中にとどまらないように、室内換気を行うようにしましょう。
4.まとめ
家庭で簡単にできる壁紙の掃除方法と、汚れの防止策をご紹介しました。壁紙に負担をかけず最大限に掃除の効果を出すために、次の3つのポイントが大切です。
- 汚れの種類と原因を知ること
- 壁紙の材質とその特性を知ること
- 汚れの種類と壁紙の材質に適したお手入れ方法を選ぶこと
これらのポイントを押さえていれば、壁紙の掃除は決して難しくありません。ただ、汚れが蓄積されてから掃除をすると手間も増えますし、汚れが落ちなくなってしまうことも…。
そうなる前に、日ごろから壁紙汚れをチェックし、掃除を定期的に行う習慣や汚れ防止の工夫を意識したいものですね。
落としきれない汚れになってしまった場合は、思い切って全面を貼り替えてしまうという手も。
壁紙の貼り替えにかかる費用感やおしゃれに見せる方法、せっかく貼り替えるならぜひ検討してほしい機能性壁紙について、こちらの記事で詳しく解説しています。
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