いよいよ桜のシーズンが到来。桜満開のニュースも入ってきて、お花見の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
お花見には、せっかくなら桜にちなんだ華やかな料理・お菓子を持ち寄りたいものです。
そこで今回は、お花見にぴったりの桜の和菓子の作り方をご紹介します。
洋風の焼き菓子などと比べて、手作りするにはハードルが高そうな和菓子ですが、市販のあんや電子レンジを駆使すれば、ご家庭でも手作りすることができますよ。
ちょっとコツが必要な「練りきり」の形の作り方も、動画で解説いたします。
華やかな桜の和菓子は、普段の食卓に取り入れるとそれだけで春を楽しむ食卓になります。
手軽に作って、お花見だけでなく、日常の食卓にも花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
意外と簡単な手作り和菓子。お花見に桜の和菓子を作ってみよう
桜の下で食べたい和菓子といえば桜餅ですね。その他にも桜の羊羹やういろうなど、この季節には桜モチーフを使ったお菓子が和菓子屋さんに並びます。
その中で、今回は関東風/関西風の桜餅2種と、桜の花をかたどった練りきりの作り方をご紹介します。
和菓子作りの材料と道具を揃えよう
和菓子作りには、和菓子作りならではの道具や材料があります。
まずは、今回ご紹介するレシピで必要なものの入手方法をご紹介します。
各種あん・粉類・食紅はスーパーマーケットで
白あん、こしあんなどの餡類は、大きめのスーパーマーケットなら入手できます。
また、白玉粉や食紅も大抵のスーパーマーケットの粉類売り場か製菓用品売り場にあると思います。
近くのお店にない場合は、製菓用品の専門店か通信販売で探してみてください。
桜の葉の塩漬け・道明寺粉は製菓用品店へ
桜の葉の塩漬けは、輸入食品等の特殊な食品を扱うお店なら期間限定で売っていることがありますが、近くのお店では手に入らないことが多いので、製菓用品の専門店か通信販売で探しましょう。
関西風桜餅を作るのに必要な道明寺粉も同様です。春なら一般的なスーパーマーケットなどに並ぶこともありますが、普段から広く流通する商品ではないので、製菓用品のお店で探すといいでしょう。
専門道具は代用品を考えよう
和菓子の練りきりを作るときには「三角べら」という木の棒を使って形を作ります。この道具は製菓用品店でもあまり置いていないので、通信販売で入手するしかありません。
そこで、この道具は三角形の棒状に折った厚紙にアルミホイルを巻き付けたものや、三角定規をラップでくるんだもので代用しましょう。1回使うだけなら代用品で十分ですよ。同じく練りきりを茶巾絞りにするのに、プロは絹のふきんを使いますが、これも目の詰まった普通の手ぬぐいでOK。食べ物に直に触れるので、煮沸か電子レンジにかけて消毒しておきましょう。
その他に揃えておきたいもの
和生菓子に使うあんは、乾燥すると食感が変わってしまうため、濡らして固く絞った手ぬぐいやラップをかけて保管します。また、糖分が付いた手で生地を触るとくっつくため、作業中頻繁に手を洗うことになるので、食品用の手ぬぐいを多めに用意しておきましょう。
また、今回のレシピではあんの硬さ調整に電子レンジを使います。電子レンジで使える耐熱ボウルや耐熱器と、ラップ・キッチンペーパーを用意しておいてください。
定番の桜餅2種類
桜餅には、関東風の長命寺と関西風の道明寺の2種類があります。
どちらも塩漬けした桜の葉でくるんだピンク色の餅菓子ですが、こんな違いがあります。
- 関東風(長命寺)…薄く焼いた小麦粉製の皮で餡を包む
- 関西風(道明寺)…もち米を砕いた「道明寺粉」を蒸した餅で餡を包む
筆者の住む西日本では、実は関東風の桜餅はほとんど見かけません。 お花見の席に両方の桜餅を持っていくと、それぞれの方が馴染みのない桜餅を珍しく感じられて盛り上がれそうですね。
関東風(長命寺)の桜餅の作り方
関東風の桜餅の特徴は、薄く焼き上げたもちもちの小麦粉の皮。もち米を元にした白玉粉を混ぜているため、もっちりした食感が生まれます。
この食感をうまく出すためには、生地を焼きすぎないのがポイントです。
<材料>(6個分)
■生地
- 薄力粉…65g
- 白玉粉…12g(約大さじ1と1/2)
- 砂糖…45g
- 水…100ml
- 食紅(赤)…少量(色を見ながら調整)
※食紅(黄色)をごく少量加えると、自然なピンク色になります
※着色料を使いたくない場合は、ストロベリーパウダーや紅麹パウダーで着色することもできます(それぞれ、製菓用品専門店などで購入できます)
■その他
- こしあん…160g
- 桜の葉の塩漬け…6枚
<準備>
- 薄力粉をふるいにかけておく
<作り方>
関西風(道明寺)の桜餅の作り方
関西風の桜餅の特徴は、粒感の残る道明寺粉の生地。
道明寺粉は蒸したもち米を乾燥させて細かくしたもので、粉の細かさにバリエーションがあります。桜餅にはどれを使っても構いません。お好みで選びましょう。
<材料>(6個分)
■生地
- 道明寺粉…100g
- 砂糖…20g
- 塩…ひとつまみ
- 水…150ml
- 食紅(赤)…少量(色を見ながら調整)
※食紅(黄色)をごく少量加えると、自然なピンク色になります
※着色料を使いたくない場合は、ストロベリーパウダーや紅麹パウダーで着色することもできます(それぞれ、製菓用品専門店などで購入できます)
■その他
- こしあん…120g
- 桜の葉の塩漬け…6枚
<準備>
- 生地を丸めるとき手にくっつかないよう、手水となるシロップを作っておきます。
水と砂糖を3:2くらいの割合で混ぜて電子レンジにかけたものを冷ましておきましょう。
<作り方>
桜の練りきり2種類
和風の生菓子といえば「練りきり」。粘土細工のように自由に色・形を作ることができるので、生地の作り方を覚えておくと、どの季節のお菓子も作ることができます。
季節ごとに伝統的なデザインがあるのですが、あまり拘らずに自動車やアクセサリー型などの好きなものや、キャラクターを作ってみても楽しいですよ。ぜひお子様と一緒に、自由な和菓子作りを楽しんでみてください。
桜の花びらをかたどった「ひとひら」の作り方
桜の花びら1枚を茶巾絞りで表現した練りきりです。
ピンクに着色した生地を内側にして、白い生地で包むと、絞ったときに自然な色ムラができます。
<材料>(6~7個分)
■練りきり生地
- 白あん…200g
- 白玉粉…4g(約大さじ1/2)
- 水…10ml(小さじ2)
- 砂糖…8g(約大さじ1)
- 食紅(赤)…少量(色を見ながら調整)
※食紅(黄色)をごく少量加えると、自然なピンク色になります
※着色料を使いたくない場合は、ストロベリーパウダーや紅麹パウダーで着色することもできます(それぞれ、製菓用品専門店などで購入できます)
■黄身あん(10個分※少し余りますが、冷凍保存できます)
- 白あん…200g
- 卵黄…1個分
<準備>
- 食紅をできるだけ少ない分量の水で溶いておく
<作り方>
桜の花をかたどった練りきりの作り方
三角べらを使うと、桜の花をかたどった練りきりも作れます。
こちらも、ひとひらと材料は全く同じで、白とピンクの生地で黄身あんを包んだもの。
お好みで桜のフレーバーエッセンスを加えても◎。
<材料>(6~7個分)
■練りきり生地
- 白あん…200g
- 白玉粉…4g(約大さじ1/2)
- 水…10ml(小さじ2)
- 砂糖…8g(約大さじ1)
- 食紅(赤)…少量(色を見ながら調整)
※食紅(黄色)をごく少量加えると、自然なピンク色になります
※着色料を使いたくない場合は、ストロベリーパウダーや紅麹パウダーで着色することもできます(それぞれ、製菓用品専門店などで購入できます) - 食紅(黄色)…少量(色を見ながら調整)
※着色料を使いたくない場合は、マンゴーパウダーやかぼちゃパウダーで着色することもできます(それぞれ、製菓用品専門店などで購入できます)
■黄身あん(10個分※少し余りますが、冷凍保存できます)
- 白あん…200g
- 卵黄…1個分
<準備>
- 食紅をできるだけ少ない分量の水で溶いておく
<作り方>
和菓子をより楽しむための3つのこだわり
せっかく作ったお菓子なら、最高の状態で味わいたいところです。
ここでは、和菓子を美味しくいただくために注意したい点、拘りたいポイントをご紹介します。
[1]生菓子の消費期限は1日程度。持ち寄り時には乾燥に要注意!
今回ご紹介した生の和菓子の日持ちは1~2日程度。特に関西風の桜餅は1日以内には食べきってください。
また、やわらかな食感が命の生菓子は、表面が乾いてしまうと台無しです。
作ってすぐに持って出られるならそのまま箱に詰めてもいいのですが、食べるまでに時間がかかるなら、お菓子用の個包装プラケースに入れて持っていくといいですよ。プラケースは製菓用品店で購入できます。
作ってから提供するまでに数日かかってしまう場合は、生菓子は冷蔵ではなく冷凍保存するのが正解。作ってすぐに冷凍して、食べる2~3時間前から常温で解凍します。解凍後はすぐに劣化が始まるので、一度解凍したものを再度冷凍保存するのはやめてください。
[2]和菓子に合う食器は?かわいい懐紙にこだわってみよう
お茶席で和菓子をいただくときは、お菓子を懐紙に載せて黒文字とよばれる楊枝で切っていただきます。
お花見などのカジュアルな席ではそこまでかしこまった道具を揃える必要はありませんが、ぜひ取り入れて欲しいお茶席用具が懐紙です。
和菓子を食べ慣れていないと、一口大に切って口に運ぶのはけっこう難しいものです。お皿にお餅やあんが貼り付いてしまったり、焼き菓子がぽろぽろこぼれてしまったり…。
懐紙をお皿代わりにすれば、汚れたりこぼしたりしてしまってもさりげなく畳んで捨ててしまえるので、お皿の後始末に気を取られずに会話を楽しめますね。
さらには、持ち帰りのお菓子を包んだり、コースター代わりにも使ったりもできるので、懐紙を1冊持っていると便利ですよ。
最近はカジュアルでかわいい柄の入った懐紙が作られていて、お茶屋さんや大きな文具店などに並んでいます。お花見の席には、桜の花をあしらったかわいい懐紙で、和菓子をいただいてみてはいかがでしょうか。
[3]抹茶・緑茶だけじゃない!和菓子に合う飲み物を探してみよう
和菓子と一緒にいただく飲み物といえば抹茶や煎茶と考えがちですが、あんは意外とコーヒーにも合います。
あんの原料の小豆もコーヒー豆も同じ豆類。和風のコーヒー喫茶では、コーヒーの付け合せにあんこを出すところもありますし、最近ではコーヒーに小豆を入れ風味を変える「あずきコーヒー」や、あんこをコーヒーにいれて甘さをプラスする「あんこコーヒー」が一部のお店で注目を集めているのだとか。
ただ、今回の桜餅のように桜の葉の香りをつけたものや、抹茶を練り込んだ和菓子にコーヒーを合わせると、繊細な風味が消されてしまいます。コーヒーには風味を付けていない練りきりやシンプルな羊羹、どら焼きなどを合わせるのが個人的にはおすすめです。
外でお花見できないときのために。室内で桜を楽しむ方法
当日があいにくの雨模様だったり、花粉症がつらくて春は外に出たくなかったり。外の桜の木の下でお花見ができないこともあります。
そんなときは、お部屋のインテリアに桜や春らしさを取り入れて、お花見ホームパーティーを催してみてはいかがでしょうか。そのときには、お茶菓子にはぜひ桜の和菓子を手作りしてみてくださいね。
ホームパーティーの準備や注意点はこちらの記事も参考にしてください。
→ホームパーティー成功の秘訣は「段取り」スマートなおもてなし術
お部屋に桜を飾ろう!
室内に飾れる桜にはいくつか選択肢があります。
使い方や時期によっておすすめが違いますので、参考にしてみてください。
桜の切り花
室内でお花見の席を再現するなら、大ぶりの桜の切り花を飾るのが一番。桜の切り花は蕾の状態で売られていることが多く、開花までの変化を楽しむことができます。 長持ちさせるには、なるべく涼しい場所に置き、直射日光を避けましょう。うまく保管すると1ヶ月くらい花を保たせることができるようですよ。
ただ、桜の切り花は1月~3月くらいの間しか売られていないので、お花見したいときにちょうど手に入れるのは難しいかもしれません。
桜の盆栽
室内で毎年桜を楽しみたいなら、桜の盆栽を育てるのはいかがでしょうか。
桜は比較的育てやすい木ですが、品種ごとに気をつける点が違うので、購入時によく確認しておきましょう。
盆栽には共通した手間ですが、成長に合わせて植え替えが必要です。新しい鉢や土、作業用のスペースなど、植え替えには様々な準備が必要になりますので、盆栽を選ぶときは、長く付き合うことを想定して植え替え作業ができるように考えておきましょう。
家に桜の盆栽があると、蕾のふくらみで毎年春を感じられて、生活に季節感を取り入れられますよ。
桜の造花
手軽に春の雰囲気を演出するなら、桜の造花を飾ってもいいですね。
桜の枝や花びらは100均ショップで手に入りますが、100均ショップの品は小ぶりなので、枝がしっかりした大ぶりの造花がほしいときは、手芸店でディスプレイ用品を探してみましょう。
春の雰囲気を作るインテリアテクニック
桜をお部屋に飾ったら、それに合わせてインテリアにも春の雰囲気を取り入れましょう。
手軽に春を演出できるインテリアテクニックをご紹介します。
ピンクの小物・リネンを取り入れる
一番簡単なのが、クッションやラグなどにピンク色を取り入れること。
こちらのコーディネートでは、クッション・ラグの他にカーテンのタッセルにも淡いピンク色を取り入れています。様々なトーンのピンク色を配置することで、かわいらしさと春らしさを演出しています。
鮮やかなピンクをうまく取り入れるのは難しそう…という方は、こんなシックなピンク色のクッションやラグはいかがでしょうか。
桜の花柄のクッションも、季節感を出すのにぴったりですね。
桜・花びらのウォールデコレーション
壁に桜に見立てた装飾を施すと、さらに春気分が盛り上がります。
こちらはウォールステッカーで桜の枝を壁に再現しています。
これだけで、食卓が春らしくなりそうですね。
その他、造花の花びらや桜色のジェルシールなども、ウォールデコレーションにぴったりです。
ジェルシールは雑貨店や手芸店、花びらの造花は手芸店や100均ショップで手に入ります。
まとめ
お花見シーンに取り入れて欲しい、和菓子の作り方・楽しみ方をご紹介しました。
和菓子は洋菓子と比べてカロリーが低くヘルシーというのがよく言われるメリットですが、もう1点、後片付けが楽というのも手作りをおすすめする理由です。油を使うことが少ないので、水につけておくだけで大抵の汚れは落ちてくれるのです。
6月16日は「和菓子の日」。春の和菓子の次は、和菓子の日に向けて、あじさいや雨のしずく形の練りきりに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
ちょっと憂鬱な梅雨のシーズンも、季節感を楽しめるようになるかもしれませんよ。
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