2017年、団塊世代が高齢者時代を迎え、「老後の生活をどのように過ごすか?」その選択肢も多岐に渡ります。
住み慣れた街を離れることに抵抗を感じる方が多い中、老後の移住について注目が高まっています。
終の棲家に求めるものは何でしょうか?
心身共に安らぎを得られる環境であると同時に、医療関連でも不安に感じることがなく、さらに買い物などの利便性でも心配しなくて済む場所…。
本記事では、そんな願いを叶える老後移住のポイントとおすすめエリアについてご紹介します。
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老後の移住は「地方都市」が人気
移住というと自然豊かな田舎暮らしを想像しがちですが、老後の移住は「地方都市」が人気です。
その理由として、多くの地方都市は都市の中心部に機能を集めた「コンパクトシティ構想」を導入し、程よく都会で、近くに自然を感じることもできます。
また、老後移住する理由について、本当に住みたい場所に住むということに加え、老後の人生において収入が限られる中で「生活レベルを保ったまま生活費を下げたい。」という意識が強いと言われています。
そういった点でも、「地方移住」は非常に効率的な生活を実現できると言えます。
老後の地方移住で押さえておくべき5つのポイント
具体的なエリアの住みやすさは、
- 生活費
- 医療
- 気候の過ごしやすさ
- 余暇をどう過ごすか
- 公共交通機関の便利さ
の5つのポイントで判断すると良いといいます。
現役世代なら、職場からの近さと子どもの学校などから見る「立地」を一番に考慮しますが、リタイア後の住む場所選びなら、ここの優先度は少し下がってくると思います。
1|生活費
生活費の中でも地域によって差が出てくるのが「住居費」。そして「物価」です。
まずは固定費の最も大きな部分を占める「住居費」から住むべきエリアを判断したいと思います。
民営住宅の1畳あたりの家賃をみると,東京都が8,758円と最も高く、一方,愛媛県が3,285円と最も低く,次いで大分県が3,311円,佐賀県が3,351円となっており,愛媛県は断トツで安く、東京都は愛媛県の2.6倍となっています 。
2013年 都道府県別 民営賃貸住宅の家賃ランキング(2013年総務省統計局調べ)
一方、「物価」面を見てみると、下グラフでは、全国平均を100とした場合、秋田市、前橋市、奈良市、福岡市、佐賀市、宮崎市などは97となり、東京都区部より1割ほど安くなっており、食費などに限ってくれば3割ほども安くなると言われています 。物価が安い地域を選べば単純に支出は下がります。
そのほか、国民健康保険や固定資産税、水道料金なども行政によって違ってくる ので、移住によるメリットを充分に受けるには、これらの違いをしっかり調べたうえで移住地を選択しましょう。
2|医療
大都市圏では、公共の介護施設が足りないところが多く、今後10年間で、特に首都圏(1都3県)の介護施設不足は危機的状況になると言われています。そのとき、介護や医療に余力のある、老後移住におすすめの地方都市を、有識者による政策発信組織が発表しています。
医療・介護に余力のあるおすすめの地域は41都市。「生活の利便性がある程度保たれ、急性期医療や介護も提供する余力のある地域」が「移住の有力な候補地」とのこと。
介護ベッド準備レベルと急性期医療密度レベルを掛け合わせて見たときに優位な地域として、下記が最終的なおすすめになるようです。
介護レベル6×医療レベル7 | 室蘭(北海道)、別府(大分) |
介護レベル5×医療レベル7 | 函館(北海道)高知(高知)、大牟田(福岡) |
介護レベル5×医療レベル6 | 弘前(青森)、上越(新潟)、米子(鳥取)、岡山(岡山)、坂出(香川)、三豊(香川)、松山(愛媛)、鳥栖(佐賀)、宮古島(沖縄) |
介護レベル4×医療レベル7 | 旭川(北海道)、帯広(北海道)、釧路(北海道)、秋田(秋田)、松江(島根) |
介護レベル4×医療レベル6 | 青森(青森)、山形(山形)、富山(富山)、高岡(富山)、福井(福井)、福知山(京都)、若山(和歌山)、鳥取(鳥取)、宇部(山口)、徳島(徳島)、高松(香川)、新居浜(愛媛)、八代(熊本) |
「介護レベルが高い」という意味は、例えば東京だとお願いして介護施設に入れてもらう、というのが現状ですが、レベルが高いところでは、候補を3つ4つ出してもらい、その中から選ぶことができる、というぐらいの差があるようです。
3|気候の過ごしやすさ
老後は在宅時間が長くなるので、暖房費が少なくて済む温暖な気候や雨が少ない地域が良いと言えます。
また、ガーデニングや家庭菜園などを老後の趣味とされる方も多く、そういった意味でも温暖な気候であることや、日当たりの良い住まいを選ぶことが大切ですね。
具体的な地域を挙げるとするならば、瀬戸内海に面した県(香川、愛媛、岡山、広島、兵庫、大阪)など がおすすめ。
なかでも岡山県には「晴れの国おかやま」というキャッチコピーがあるくらい、一年を通して降水量は少なく温暖な傾向にあります。
4|余暇をどう過ごすか
2016年、日本の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、65歳定年としても余生として15年以上。リタイア後に実はたっぷり時間があります。
移住したいエリアでは、余暇の時間を楽しく過ごせるものがあるかどうかという視点も重要です。ここは趣味や嗜好によって判断が分かれるところですが、そういったものが楽しめる環境なのか想像してみることが大切です。
5|公共交通機関の便利さ
先ほど、15年以上の余生があると言いましたが、健康寿命のことを考えると、定年後元気に過ごせる期間と、体に何らかの不自由が出てくる期間とでは、後者の方が長くなる計算になります。
地方ではついつい自家用車を中心にした生活を想定しがちですが、最近では、高齢者の免許更新も難しくなってきています。
高齢者の運転による交通事故が社会問題となっており、2017年3月から75才以上の運転者に認知機能検査が義務化されました。
リタイア後の長い生活を快適に過ごすために、先のことも見据えて、徒歩圏内の施設やバスや電車などの公共交通機関が充実している地域を選びましょう。
おすすめの老後移住エリアはここ!
5つのポイントを押さえた上で、今回筆者がおすすめしたいのが「愛媛県松山市」 です。
松山市は都市として一定の規模があり、また中央に集中するコンパクトさがあります。人口は50万人を超える中核都市なのでデパートや医療・公共施設なども充実しており、移動は路面電車が市内を走っており(路面電車は階段の上り下りもほとんどないので老後生活には重宝)公共交通機関でほぼ事足りるのでマイカー不要の生活が送れます。
老後移住に”松山市”をおすすめする理由
筆者は松山市出身ではありませんが、2年ほど松山市に住んだ経験も含めてご紹介できればと思います。
生活コストが安い
住居費の安さが最大のポイント。家賃はファミリー向け物件でも松山市ではなんと4万~5万円!破格の安さです。
物価については、松山市は東京比で約7%安く全国平均は下回るものの、高松や福岡よりは高くなります。
しかし食費に関していえば、瀬戸内の魚介など地のもの等は新鮮で地元の食材を扱った産直市やオーガニックのスーパーも多いので安いというイメージがあります。首都圏からの移住なら生活コストの下げ幅はかなり大きいように思います。
温暖な気候
気候は温暖な瀬戸内海気候で、中国山地と四国山地に挟まれた地形により、晴天の日が多く穏やかな気候の中で生活ができます。
筆者が住んだのは2年間ですが、特に天候に悩まされた記憶がありません。
冬は積雪もほとんどありませんし、夏は台風が通過することも少なかったです。
松山市は、山も海も近いことも含めて、アウトドアが趣味な方は一年を通して楽しめる環境だと思います。
なじみやすい市民性
愛媛の県民性は、よく働き、仕事を楽しむ「活動型」の東予人、機嫌がよく、もの静かな「温和型」の中予人、朗らかで生き生きとしている「陽気型」の南予人、の3つに分類することができると言われています。
松山市民はこのうちの「温和型」中予人にあたりますね。松山に住んでいた時に、仕事上でもプライベートの中でも穏やかな方が多いなぁとつくづく感じていました。
大都市圏への移動のしやすさ
空港は中心部から近く約7kmの位置、車で15分程度の距離にあります。地方空港としては比較的、国内線の運航便数が多く、2017年2月現在、羽田、成田、伊丹、関西、中部、福岡、鹿児島、沖縄の8つが運航しています。
成田関西へはLCCが就航しているので、大都市圏へ早く安価にアクセスすることができるのが、大きなポイントですね(成田へは1.5時間くらいで着きます)。
「温泉が日常にある」という付加価値
松山市への移住を検討されている方に、せっかくであれば“日常に温泉のある暮らし”を堪能してもらいたいと思います。
松山市で温泉地といえば道後を思い浮かべますが、老後に住むなら「東道後エリア」 がおすすめです。
地元民に愛されるジモ泉“東道後温泉郷”
東道後温泉郷(ひがしどうごおんせんきょう)は、愛媛県松山市(旧国伊予国)の「南久米町、北久米町、鷹ノ子町、星岡町、福音寺町」の周辺に湧出する温泉の総称です。
道後温泉が「観光客向け」なら、東道後温泉郷は地元民がヘビーユーズする、まさに“ジモ泉”だと言えます。
筆者もよく仕事帰りに温泉に入りに行っていましたが、道後よりも”東道後”の温泉街へ通っていました。
お風呂の種類も多く、岩盤浴やリラクゼーションルーム、テラスで読書を楽しんでいる方もいたりして、複合施設のようなイメージです。
東道後のそらともり | |
住所:愛媛県松山市南久米町3-1 | 営業時間:朝5時〜翌1時 / 最終受付24時 定休日:なし 日帰り入浴料:大人1,080円、小人550円 宿泊料:6,297円~ 駐車場:あり |
東道後エリア温泉マップ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
老後の移住は夢が膨らみますが、本記事のポイントを押さえたうえで、それぞれの特徴を踏まえ安心して快適に過ごせるようなエリアが見つかれば幸いです。
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