何気ない日常や、旅先、あるいは街角で、ふと漂ってきた香りで懐かしい記憶が蘇った。そんな経験はないでしょうか。
そんな風に、香りは人の心理に深く関わってくるものと言われます。香りによってリラックス効果が得られたり、また作業効率がアップしたりするという研究結果もあるほどです。
一方で、香りの好みはとても個人的なもので、自分にとっては良い香りでも、周囲にいる人にとっては苦手な香りであることも。特にお香のように、お部屋全体に香りを漂わせるタイプのものは、「同居の家族が香りを嫌がるから」と使うのをためらう方も多いのではないでしょうか。
また、お香は火をつけてくゆらすので、煙による壁紙の汚れが気になることもありますね。小さいお子さんやペットのいるご家庭では、火の始末も心配です。
そこで、火を使わずに、自分の周囲30cmだけを香らせて楽しむ、そんな新しいお香の使い方を香想師・岩佐喜雲さんに伺いました。
みんなの暮らし、住まい探しをリサーチ!
あなぶき興産が運営する「アルファあなぶきStyle」では、住宅購入にまつわるアンケート調査から、わざわざ人に聞かないけどずっと気になっている日常生活のアレコレまで、独自リサーチをお届けしています。
会員登録してみんなの「どうしてる?」をキャッチしよう!
文香を使いこなす
文香(ふみこう)とは匂い袋の一種で、少量の香料を和紙に包んだものです。
一般的にお香は加熱することによって香りが立ちますが、文香は白檀や丁字のような、加熱をしなくても芳香を放つ原料を用います。
かつて平安時代の貴族は、文をしたためる紙に香を焚きしめて、自分のセンスや個性をアピールしました。それをより手軽にしたものが文香です。匂い袋よりも薄く小さな文香は、封書に入れて香りを相手に届けます。
また「ほのかに香る」「一緒に入れたものに香りを移すことができる」特性を活かして、名刺入れに入れたり、バッグやチェストの引き出しに入れたりと、場所を選ばずに使えるのも魅力です。使用状況や保管場所にもよりますが、だいたい数ヶ月〜半年程度は香りが持続するので、ひとつ買えば長く楽しめるのも良いですね。
ピローケースにセットして、パーソナルなリラックス空間を作る
リラックス効果があると言われるお香。ベッドタイムに使わない手はありません。
しかし一般的なお香は火を使うことから、就寝時に使うのは心配ですね。また同じ部屋で眠る人にとって好きではない香りの場合、寝室全体を香らせるのも難しいでしょう。
そんなときにオススメなのが文香。
火を使わずに香るので、就寝時にも安心。また周囲に香りを満たすタイプのものではないので、同室の人が香りが苦手でも使いやすいでしょう。
使い方は簡単。ピローケースの中に入れるだけです。香りが強すぎるようなら、顔が当たる部分から離れたところに入れたり、上にタオルを重ねるなどして強さを調整しましょう。
オススメの香りは白檀が前面に出てきているもの。
古くから寺院で瞑想に用いられてきた白檀は、リラックス効果のある香りとされています。まろやかに甘く、ウッディで落ち着いた香りは、まさにベッドタイムにピッタリです。
ハンカチに忍ばせて、外出先でもリフレッシュ!
香水を使いたいけれど、強く香らせたくないときに、ハンカチにスプレーする方法があります。ハンカチを入れたバッグの中や、取り出して使う時に香らせる方法ですが、文香でも同じ使い方ができます。
使い方は、ハンカチに文香を包んでおくだけ。仕事中に根を詰めすぎてしまったあとの休憩時や、出先のカフェでひと息つくとき、文香の香りが移ったハンカチを取り出せば、ほのかな香りでリフレッシュできます。
香りが周囲に拡散しないので、場所を気にすることなく使えるのが魅力です。また香水の場合はハンカチに色が付いてしまうことがありますが、文香は包んでおくだけなので、お気に入りのハンカチにも安心して使えますね。
塗香を使いこなす
塗香(ずこう)は、字のとおり「塗る」お香です。といってもジェルやクリーム状になっているわけではなく、粉末状のサラサラしたもの。成分は文香と同じ、加熱をしなくても芳香を放つ香料です。それらを粉末に砕き、調香したのちに篩にかけて滑らかにしています。これはもっとも古い形のお香だと考えられていて、なんと2000年以上前から使われているんだとか。
茶色い粉末のそれは、一見すると仏事に使う抹香のようですが、塗香は身体に直接塗るお香。ですので、普段馴染みのある「お香」とは違った使い方をします。
塗香の基本の使い方
- 手のひらに適量を出し、両手を擦り合わせて馴染ませる
- 馴染んだら、首筋などに刷り込むかハンドプレスする
自分にだけ香る「香水」として
塗香の本来の用途は、寺院において修行者が自身の身を清めるためのもの。あるいは写経をされる方は、始める前のお清めに使われたことがあるかもしれませんね。
したがって香りも、白檀や丁字、桂皮などをメインに用いた伝統的な調香がメインのアイテムです。
しかし実は今、従来の香りとはまったく違う、花や果物をイメージした塗香が登場しています。お香というとイメージされる「お寺さんの匂い」や「仏間のような匂い」。そういったものとはまったく違う、甘かったり瑞々しかったりといった現代風の香りで、日常使いを想定しています。
そんな塗香を、香水の代わりとして使ってみてはいかがでしょう。
塗ると体温で暖まって、自分にだけ香る程度の仄かさなので、「香りは纏いたいけれど、強い香りは苦手」という方でも使いやすいでしょう。また香水と違って香りが周囲にほとんど拡散しないので、安心して普段使いできますね。
ボディケアアイテムとしても
塗香の原料は香木と、漢方薬に使われる「生薬」と呼ばれるもの(丁子や桂皮など)。その中には防虫・防臭効果があるものが含まれています。
それらを混ぜ合わせてつくる塗香は、気になる体臭を抑える効果が期待できます。実際に2世紀ごろのインドの仏教書「大智度論」にも、塗香をつかって体臭を抑えた後に仏様や僧侶をおもてなしすべし、と書かれているほどです。
だから香りを楽しむだけでなく、体臭予防を目的としたボディケアアイテムとしても使えます。
また、仏教の経典「華厳経」に書かれた塗香の効能のひとつに「三調適温涼(身体の温冷を調節する)」というものがあります。実際に使ったところ「身体が温まった感じがした」という人もいるようです。
こういった効果やアロマセラピー効果を期待して、塗香を使ったメニューを提供するエステティックサロンも出てきました。自宅では、塗香を塗ったあとにボディ用オイルでマッサージをするなど、ケアアイテムとして取り入れるのもおオススメです。
おわりに
今回は火を使わずに、自分の周囲30cmだけで楽しめるお香を2種、紹介しました。
文香と塗香という、お香の中でもかなり馴染みのないものですが、意外と日常使いしやすいことがお分かりいただけたかと思います。
香りを活用して、より日常生活を豊かなものにしてみてはいかがでしょうか。
みんなの暮らし、住まい探しをリサーチ!
「住宅ローンを組むには年収はどれくらい?」
「頭金はどれくらい出すのが妥当?」
「収納が足りないけど、みんなどうしてる?」
あなぶき興産が運営する「アルファあなぶきStyle」では、住宅購入にまつわるアンケート調査から、わざわざ人に聞かないけどずっと気になっている日常生活のアレコレまで、独自リサーチをお届けしています。
会員登録してみんなの「どうしてる?」をキャッチしよう!
あなたのアイデアもぜひ聞かせてください!
その他の記事はこちらをCHECK
https://journal.anabuki-style.com/
編集・発行
<著作権・免責事項等>
【本紙について】
・メディアサイト「アルファジャーナル」に掲載された記事を印刷用に加工して作成しております。
・アルファジャーナルにはあなぶきグループ社員および外部ライターによって作成される記事を掲載しています。
【著作権について】
・アルファジャーナルが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売など二次利用することを固く禁じます。
・アルファジャーナルに登録される著作物に係わる著作権は特別の断りがない限り、穴吹興産株式会社に帰属します。
・「あなぶき興産」及び「α」(ロゴマーク)は、穴吹興産株式会社の登録商標です。
【免責事項】
・アルファジャーナルに公開された情報につきましては、穴吹興産株式会社およびあなぶきグループの公式見解ではないことをご理解ください。
・アルファジャーナルに掲載している内容は、記事公開時点のものです。記事の情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、必ずしも正確性・信頼性等を保証するものではありません。
・アルファジャーナルでご紹介している商品やサービスは、当社が管理していないものも含まれております。他社製品である場合、取り扱いを終了している場合や、商品の仕様が変わっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。
・アルファジャーナルにてご紹介しているリンクにつきましては、リンク先の情報の正確性を保証するものではありません。
・掲載された記事を参照した結果、またサービスの停止、欠陥及びそれらが原因となり発生した損失や損害について、当社は一切責任を負いかねますのでご了承ください。
・メディアサイトは予告なく、運営の終了・本サイトの削除が行われる場合があります。
・アルファジャーナルを通じて提供する情報について、いかなる保証も行うものではなく、またいかなる責任も負わないものとします。